ぴよの映画めった斬りコーナー
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【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2006年01月11日(水) スタンド・アップ

監督:ニキ・カーロ
出演:シャーリーズ・セロン
    フランシス・マクドーマンド
    ウディ・ハレルソン、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
夫の暴力に耐えかねて、2人の子供を連れて故郷・北ミネソタに戻って来たジョージー。2人の子供を養う為に、最近ようやく女子労働者も受け入れる事になった炭鉱に就職するものの、男社会の炭鉱で執拗な嫌がらせとセクハラに悩む。だがシングルマザーで長男を産んだ彼女は「アバズレ」のレッテルを貼られ、同僚も友人も家族さえも理解してくれない。孤立無援の中、ジョージーは会社を相手取って訴訟を起こす決意をするのだが・・・ 


【感想】
クララ・ビンガムとローラ・リーディによる共著「集団訴訟」の映画化。
本の映画化というよりも、そもそもこの原作が事実を元に書かれているので、「事実の映画化」と考えていいでしょう。
主演は「モンスター」でオスカーを手にした記憶も新しいシャーリーズ・セロン。監督は「モンスター」とオスカー像を競い合った秀作「クジラの島の少女」のメガホンを取った、女流監督ニキ・カーロ。

「事実を元にした」「アメリカの様々な差別に苦しむ女性が」「立ち上がる話」
この3つのお題で誰もが思い出すのは、ジュリア・ロバーツが念願のオスカーを手にした「エリン・ブロコヴィッチ」でしょ。
「エリン〜」が割と明るくハイテンポなイメージだったのに対し、本作は非常に重くずっしりと描かれている気がします。

今ではどの国でも当たり前になった「セクハラ訴訟」の先駆けになった事件の映画化ですので、重くなって当たり前だと言われればその通りなんですが、本作は「セクハラ訴訟」自体を見せるよりも、そこに到るプロセスとジョージという女性が抱える問題と周囲との軋轢、感情の行き違いや誤解と偏見、更にどん底からの脱却という「ヒューマンドラマ」にした事で、より観客が入り込み易く、共感を得られるように作られていました。

言い方は悪いけど、シャーリーズ・セロン嬢はおキレイなのに「汚れ役」がとても似合う。
「モンスター」の演技も素晴らしかったけど、本作の「アバズレのレッテルを貼られ、家族にまで蔑まされた女」というキャラクターも、非常にジョージという女性の内面まで入り込んだ「生きた演技」を見せてくれましたね。
彼女の生い立ち自体が複雑なので(知らない方はネットで調べりゃー直ぐにヒットしますワ)、こういうちょっと難しい複雑な心理状態の女性にセロン嬢は共鳴し易いのかもしれません。

ほかの出演役者も豪華なら演技も秀逸。でもどんなにいい役者を使ってもクソ映画は山ほどある。
本作は「ヒューマン」という柱がしっかりしていて、軸のブレない秀逸な脚本と監督の力量も評価大でしょうね。
あんまり書くとネタバレになっちゃうから何ですが・・・組合総会?みたいなシーンで、ジョージーのパパがスピーチする場面があるんですが、このシーンはマジ泣きしましたヨ!

女性の共感度が高いのは当たり前ですが、是非男性にも多く見てもらいたい作品です。
炭鉱の男達は、ただ闇雲にジョージーをいじめた訳じゃない。彼らだって生きる為に必死になってる。
それに誰も彼もがいじめてた訳じゃない。ちゃんと女性の社会進出を認めて受け入れている男性だって存在していた。

そういう背景もきちんと描き込んだ上で、「女性の頑張るムービー」です。
決して一部フェミニストの為の作品ではないですヨ。食わず嫌いしないで是非鑑賞してみて下さい♪







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