2005年05月16日(月) |
ミリオンダラー・ベイビー |
監督:クリント・イーストウッド 出演:ヒラリー・スワンク クリント・イーストウッド モーガン・フリーマン、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 老トレーナー・フランキーは23年来の付き合いの雑用係スクラップと共に、昔気質のボクシング・ジムでボクサーの育成に力を注いでいた。そこにある日31歳の女性ボクサーのマギーがトレーナーになって欲しいと通うようになる。女性ボクサーを認めないフランキーは最初は相手にしないものの、マギーの熱意にいつしか心動かされてトレーナーになってしまう。果たしてマギーはデビューすると連戦・連勝の快進撃を続け、いよいよタイトルに手を掛ける事になったのだが・・・
【感想】 今年のアカデミー主要4部門(監督賞、作品賞、主演女優賞、助演男優賞)を総なめにして話題になった作品。 よもや映画好きさんでこの作品を全く聞いた事もない、なんてー人はいないでしょう。
さて・・・ヒラリー・スワンクはとにかく凄かった。 彼女のこの渾身の演技・・・こりゃー誰が見ても主演女優賞は彼女以外に考えられないでしょう!の熱演です。 ボクシングシーンのあの迫力を、ノースタントで演じたというのは本当に拍手喝采です。 更にモーガン・フリーマンとイーストウッドの掛け合いもいい。 時に皮肉交じりに、時にユーモラスに、でも2人が共に生きてきた長い時間の重みと2人の信頼関係を誰もが感じさせずにはいられない、共に戦って来たからこそお互いを思い遣れる・・・そんな静かでありながら熱いモノを感じさせてくれる素晴らしい演技でした。
なかなか内容に触れませんネ(^-^; ・・・実は、あまり内容自体に触れたくない。というのが正直なトコロか。
本作はまだ一般公開していないので(試写会で鑑賞)、余り内容に触れるとお楽しみにが半減しそうです。 ですからなるべく内容の核心に触れないように書こうとは思いますが・・・ 【この作品を先入観を入れずに楽しみたい方は、この先は読まない方がいいかもしれません】
なるべく核心部分の記述なしで感想を書いていきましょう(く、苦しい・・)
正直言うと、予告編を見た段階では「女性ボクサーの頑張るムービー(サクセスストーリー)」なんだなと思いながら鑑賞していたんですが、映画後半になって予想だにしない展開が待っていました。 コレには本当に驚いた。本当に全く考えてもいなかった展開だったので、唖然としまくった。
そーか。これは「頑張るムービー」じゃなかったんだ・・・そう判った時、正直に言うとぴよは「ズルいよ」と思った。
フランキーの決断について、賛否両論があるのはイーストウッド氏は織り込み済みだろう。 それを見越した上でモーガン・フリーマンを語りべにしているというあざとさ←言い方変えれば「巧み」なんですが。 マギーの家庭環境の劣悪さを散々見せ付けておいて、マギーにとって唯一無二の存在はフランキーしかいない、という事を散々観客に見せ付けておくというのもソツがないし。
更に言えば、どーやらフランキーは娘と長きに渡り確執があり(それもフランキーに非があるようだ)、毎日教会のミサに通っては神父に食ってかかってみたり、そうかと思えば読まれる事のない手紙を娘に送り続けていたり・・・フランキーの生い立ちや人生を多く語らずに観客の想像任せにする事で、逆に観客にフランキーとマギーの心の結びつきの強さを強調しようという趣向なんだろうと思います。 これはやり方を間違えると「説明不足で訳わかんない」と吠えられる危険をはらんでいるものの、今作はそれを上手にクリアして観客にクライマックスの感動を与える事に成功しているんじゃないかと思う。
確かにこの作品はその意外な展開、そして映画の主題を観客が理解した頃にはすっかりイーストウッドのペースに持ち込んでいるという妙技、役者の確かな演技に裏打ちされた感動と満足感を得られる、及第点以上の(もっと言うとアカデミー賞選考委員が大絶賛しそうな)作品だと評価されて然るべきだと思う。
でもぴよはこの作品が余り好きになれなかった。 誰もが考えさせられる、誰もが感動させられる、逆にそう思わない人間は冷徹だと思われるような・・・そんな「あざとさ」がどうにも鼻について、天邪鬼な性格のぴよは「これはズルいよぅ!」ってずーっと心の中で叫びまくってた。 そもそも後から考えると、話の作り方自体はそれ程凝ってる訳じゃない。どちらかというと稚拙なのかもしれない。
それでも「考えさせられる話だった!」って言わずにいられなくさせるパワーがあるって事は、やっぱり評価に値する作品だったって事なんだろうなぁ・・・いやぁ〜、でもぴよはやっぱりこの作品は余り好きじゃないですけどネ(^-^;
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