2004年12月16日(木) |
みんな誰かの愛しい人 |
監督:アニエス・ジャウィ 出演:マルリー・ベル ローラン・グレヴィル カイン・ボーヒーサ、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 有名作家の娘ロリータは、太りすぎで野暮ったい容貌がコンプレックス。自分に近付いてくる男は全て父目当てだと思っているし、父にもっと愛されたいと得意の歌で気を惹こうとするものの、父はスレンダーな美女と再婚して自分に全く無関心。 一方、ロリータの歌の教師シルヴィアは売れない作家の妻。ある日ロリータが大ファンだった作家の娘だった事を知って彼女の態度も豹変、時同じくして夫の作品が大絶賛されて一躍売れっ子になったのだ。
【感想】 本年度カンヌ映画祭で批評家たちのランキングで1位に輝き、見事脚本賞を受賞した作品。 監督・脚本を手掛けるのは、自らも歌の教師シルヴィア役を演じたアニエス・ジャウィ。共同脚本でプライベートでもパートナーだったジャン=ピエール・バクリは、ロリータの父エチエンヌを演じています。 (残念ながらこの名コンビは、本作を最後に私生活では破局してしまったそーだ)
有名作家の冴えない娘を中心に据えて、彼女を取り巻く周囲の人間模様と彼女の葛藤や成長?を描く群像劇・・・てなトコロなんでしょうけど、ノッケから言わせてもらいますがこの「ロリータ」という女がとてつもなく感じが悪くてネ(^-^;
顔の作りは悪くないと思うよ。うん。 あと20Kg痩せたら結構イケるんじゃない?くらいの可愛らしい造作ではあると思う(あと20Kgかよ・・・) それにしても、「デブの気持ちなんてワカラナイでしょ!」とか吠えてる割に全く痩せる努力もしないし、自分に近付いて来る男は全て自分の父親が目当てなんだと卑屈になってる割には、男の気を惹く為に父親の名前を最大限ご利用。 自分に近付いて来た男に「アタシ彼氏いるんだけどねー。でもアナタもアタシに興味あるのぉ〜?」みたいな態度で髪の毛いじくり回してる様子なんて、正直言って軽く吐き気がしちゃったサ!
ダメです・・・ぴよは生理的にこーいう女がダメなんです・・・
まあ、彼女が卑屈になるのは判らなくもない。 確かにロリータの父というのはトンデモ自己中なおっさんだし、今までロリータに近付いて来る男は実際父親目当てばっかりだったんだろう。そこへ来て父の後妻が自分とは似ても似つかないスレンダー美人と来たら、誰だって「あたしゃーオヤジのお荷物かよ」くらいにひねくれても仕方ないだろうとは思う。
でもね、実際はロリータが思う程悲劇的状況ではない訳ですわ。 確かに創作意欲が湧いたら娘ほったらかしのオヤジだけどちゃんとロリータの事を見ているし、後妻だって自分の容姿が衰える事には神経質だけどロリータとは何とかうまくやりたいと思って努力してる。 歌の先生だって最初はロリータが有名作家の娘だと知って豹変しちゃうよーな計算高い人だけど、だからといってロリータをないがしろにしないで彼女の心の叫びにきちんと耳を傾けてる。
考えてみると、ロリータの素性を知って豹変した先生の事を、彼女だけが自分の本質と唯一向き合ってくれる人だとロリータが信じているという部分が、「実はロリータは純情な女の子なんだ」という切なさを感じさせるね。
ロリータというキャラクターはどーにも好きになれないんだけど、脚本はウマイんだよなぁ。 この映画に登場する主要キャラクターのほとんどは、どの人もみんなちょっとズレててちょっと欠点があって、そして沢山の愛と優しさを持っている人ばかり。要するに「どこにでもいる普通の人々」なんだよね。 フランス映画らしいちょっぴりイジワルな視点と会話で毒のあるキャラクターを作っているけど、毒の底には誰もが持ってる優しい気持ちが溢れている。 セバスチアンという貧しい青年が、毒のあるキャラクター達とロリータを浄化するような存在になってるのもいい。
ラストは愛に溢れて・・・なんだけど、やっぱりぴよはロリータという女がどーにもダメなんだなぁ〜 すごく良く出来た作品だと思うんだけど、好きになれない女の話ってのはどーにも乗れなくて(苦笑)
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