ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2004年10月21日(木) 笑の大学

監督:星 護
出演:役所公司
    稲垣吾郎、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
時は昭和15年。日本は戦争へ向かって規制強化が進み、大衆娯楽の演劇にも厳しい検閲が行われていた。浅草の劇団「笑の大学」の座付き作家・椿一は新作喜劇の検閲の為に警視庁の取調室にやって来た。そこで待っていたのは「生まれてこの方笑った事がない」と豪語する新任検閲官・向坂だった。向坂は何とか公演中止にしてやろうと次々と笑いを排除させる為の無理難題を吹っ掛けるが、その度に椿は手を加えて難題をクリアしながらも更に面白い脚本を書いて来るのだ。次第に向坂は椿と彼の書く脚本に興味を持ち、いつしか2人は共同作業で台本を作り上げて行くのだが・・・


【感想】
既に「売れっ子」という名前は似つかわしくない、日本脚本界の重鎮と呼んでも差し支えない三谷幸喜氏が94年にラジオドラマとして脚本を書き、更に96年に舞台化されるや大絶賛されて伝説ともなった名作「笑の大学」の映画化。
監督には三谷氏の代表作ともなったTVドラマ「古畑任三郎」等を手掛けて、その演出力を高く評価された星譲氏を三谷氏自らが指名。星氏は本作で映画監督デビューを果たしています。

確かにこれは舞台用の話なんだなぁ、という設定。
話はほとんどが検閲官と喜劇作家の2人が取調室で丁々発止する密室劇になっているし、登場する人物も少ない。三谷氏はこの映画用に新しく設定を加えてフィールドを広くし、取調室以外の劇場の様子や浅草の町の様子も見せてくれていますが、基本的には役所公司氏と稲垣吾郎ちゃんの2人芝居だと言っても過言ではないでしょう。

ぶっちゃけ言うと「腹がよじれるほど笑える」という話じゃないです。
もちろん笑えるシーンが沢山あるんだけど、「ぎゃははは!」じゃなくて「ぷぷっ!」程度のシニカルな笑い。
笑わせ方が巧みでね、喜劇台本を読み上げるシーンは普通だったらその台本の内容で笑わせようとするんじゃないかと思うんだけど、台本の内容自体は「ぷっ」程度の大したモノではなく、そのギャグを思い付く作家と検閲官のやりとり部分でクスクスと笑わせようという趣向。
変な言い方だけど「こーいうのが日本人の肌に合うコメディだよなぁ」としみじみ思っちゃいましたね。

昭和15年「古きよき時代」と「戦争へ向けて国が大きく動く」という微妙な時代を舞台にしているというこだわりを随所に感じさせてくれる、非常に丁寧な作りをしてましてね。
映画中のセット、浅草の様子、服装から風俗までレトロで懐かしい匂いをプンプンとさせているし、それだけではなく映画冒頭からラストのスタッフテロップに至るまで、徹底してあの時代のレトロ感を存分に楽しませようという遊び心が満載♪
展開もチャップリンのトーキー作品を彷彿させるような、1日毎に「幕間」を作っている辺り、舞台演出にも近いような?映画を見ながら舞台も楽しんでるような面白さと洒脱さがありました。

正直言って「稲垣吾郎ちゃんって・・・どーなのヨ?」と思ってたんだけど、彼の天然なのか作ってるのか判らない演技のクサさ(をい)が案外この役にハマってて良かったな。役所サンは相変わらずお上手だけど、彼もちょっとクセのある臭さがあるじゃない?(そー思ってるのはぴよだけか?苦笑)、それがゴロちゃんとなかなかうまく噛み合ってたネ♪

で、ゴロちゃん演じる喜劇作家は、名前くらいは誰でも聞いた事はあるだろう「喜劇王エノケン」こと榎本健一氏の座付作家だった「菊谷栄」氏がモデルになっているそうなんですよ。
菊谷氏は厳しい検閲の中にあってエノケンの全盛期を支えた名脚本家だったそーです。
彼の事を知らない方でこの映画を未見の方は、決して公式HPを見ないで映画館に足を運んで下さい。公式HPを見ると菊谷栄氏の事がもうちょっと詳しく書かれてて、これ読んじゃうと映画の面白味が半減しちゃうとぴよは思うので。

映画のクライマックス、涙腺詰まりまくりと評判のぴよがマジ泣きでした。
日本には確かにこんな時代があった。そしてそんな時代にも「笑い」を追い続けた人々がいた。
人の心を動かすのは「怒り」ではなくて、いつの時代も「笑い」であって欲しい。

素晴らしい脚本です。この作品の舞台劇も是非見たかったな。







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