監督:スティーヴン・フリアーズ 出演:ウェテル・イジョフォー オドレイ・トトゥ セルジ・ロペス、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 各国の難民がひしめき合う街ロンドン。ホテルの夜勤をしているオクウェはナイジェリアからの不法移民だった。彼は同じホテルに勤めるトルコ移民女性のシェナイと同居していたが、夜勤のオクウェと昼勤のシェナイが顔を合わせるのは勤務交代のわずかな時間だけだった。ある日オクウェはホテルの一室で人間の心臓を発見した。どうやら秘密の取引がこのホテルでは行われていて、それに支配人のフアンが絡んでいると掴んだオクウェだったのだが・・・
【感想】 2003年度のアカデミー賞でオリジナル脚本賞にノミネートされた作品。製作は英国で2002年の作品です。 本作、予告編や映画チラシでも「アメリのオドレイ・トトゥ主演の新作!」というフレコミになってますが、あくまでも本作の主役はナイジェリアからの不法移民オクウェですよ。 つーか、もうそろそろオドレイ・トトゥ嬢を紹介する時に「アメリの」という形容詞を付けるのはやめてあげた方がいいとぴよは思うんだけどな。今のままじゃ彼女は「アメリ」から一歩も出られないし、「アメリ」以上の作品に恵まれないんじゃないか?と心配になっちゃいますが・・・
と、↑上に書いたのには訳がある。 予告編で「あのアメリのオドレイ・トトゥの新作!」という予告編の作りにすっかり踊らされたぴよは、てっきりこの作品もほんわかしたムードのラブストーリーに違いない、と思って見に行ったからですわ。
事実は全く違って、かなり真面目に移民問題に取り組んだストイックな内容だったんですわ。 コレがいけないと言ってる訳じゃないよ。むしろ甘ったるい恋愛モノ見るよりもよっぽど良かったと思うし。 だけどこの作品にはオドレイ・トトゥ嬢以外に日本人に耳慣れた名前の役者が使われていないが為に、映画配給会社の宣伝部は「いかにもオドレイ嬢が主役の恋愛モノ」という錯覚を起こさせるような予告編を作らなければ観客が呼べないだろうと判断して、このようなイカサマもどきの予告編を作ったんだろうな、と。 これが逆に客を遠ざける、もしくはオドレイ嬢のフワフワした恋愛モノを期待して見に行った人を裏切る結果になってしまったのではないかと危惧する訳です。
さてそんな本作ですが、主人公オクウェ(あくまでもオドレイ嬢は脇役です!)を演じたウェテル・イジョフォー氏が非常にいい感じでした♪彼は「ラブ・アクチュアリー」に出演していたそうですが、あんまり印象に残ってないんですよネ(^-^; 最初に映画を見始めた時、この段階ではあくまでも彼は主役ではなくてオドレイ嬢の恋愛ドラマの相手役という認識しかなかったので、正直言って「え?こんなイケてないおっさんみたいな人がオドレイ嬢の相手役なの?マジぃ〜(涙)」と思っていたんですが・・・
なんの!なんの! 映画が進むにつれてすっかりオクウェの虜になって、ラストでは彼がトム・クルーズよりカッコ良く見えた(ちょっとウソ) いや、トムはウソだとしても(どっちだよ。苦笑)、マジで彼にシンクロして、ラストシーンではちょっぴり涙ぐんじゃったワ。 こんな誠実な人ならシェナイじゃなくても愛さずにはいられないよ・・って思えるくらいいい表情してた♪
話はかなりハードなサスペンス仕立てになってて、そこにオマケのよーに恋愛がチョロッと絡む感じ。 あくまでも話の筋としては「ロンドンの不法移民達の苦悩と生々しく悲しい現実」に焦点を当てて進んで行きます。 ぶっちゃけサスペンス部分はかなり読めるんだけど、それはあくまでも「不法移民の実情」を見せるための遊びだと考えていいと思う。地味なネタながらエンターテイメントに仕立てようと努力した苦労を感じさせる、好感の持てる丁寧な作り。
変な意味で先入観を植え付けたくないので(予告編みたいなサ)内容に触れたくありませんが、少なくともオドレイ嬢にアメリの時のようなキャラを望んでいる人にはオススメしません(かなりギョッとするシーンがありますし) 先の見えた陳腐なクライマックス&ラストだと言われると「そーだよね」と言いたくなりますが(苦笑)自分の命を顧みず、それでも自由を求める移民達の心と体の叫びを聞いて知らぬ顔でいられる人はいないハズ。
ただし、本当に地味な作品ですヨ。それだけは覚悟して見てね(笑)
|