監督:山田洋次 出演:永瀬正敏 松たか子 吉岡秀隆、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 時は幕末、東北の小藩・海坂藩に仕える片桐宗蔵は、久し振りに再会したかつて片桐家に女中奉公していた「きえ」の変わり果てた姿とその後の婚家での冷遇振りに業を煮やし、ついには強引にきえを自宅に連れ帰ってしまった。 そんなある日、海坂藩江戸屋敷で謀反事件が発覚。幕府に知れるのを恐れた藩は首謀者達を秘密裏に処刑・処分したが、その中にかつて片桐と兄弟弟子だった朋友・狭間弥市郎がいたのだ。藩の家老は狭間と片桐の関係を疑い、その疑念を晴らしたいなら片桐自らの手で狭間を処刑せよと命じるのだった。
【感想】 2年前に「たそがれ清兵衛」が大ヒットし、アカデミー賞にノミネートされてレッドカーペットに足を踏み入れた山田洋次監督が、柳に下に2匹目のどじょうを狙った?またしても時代劇ものでメガホンを取った新作。 本作は「たそがれ清兵衛」と同じく藤沢周平氏の原作。氏の同名作品に、同じく氏の短編「雪明かり」を組み合わせて脚本に仕立てたんだそーだ。 と、エラそーに書き出しましたが・・・ぴよはアレだけ売れまくった「たそがれ清兵衛」未見です(^-^; だから本来この作品は「たそがれ〜」と兄弟作品的なモノなんだろーなー、「たそがれ〜」見てないヤツが見るべき映画じゃないんだろーなー・・・と思うんですけどネ。すいません。今度レンタルして来ますぅ(涙)
そーなのだ・・・ 市井ではすっかり「山田洋次=たそがれ清兵衛」という記号が出来ているようですが、「たそがれ〜」を見ていないぴよにとって山田監督というのは「寅さん」以外のナニモノでもないのです。
てな訳で、とにかく「寅さんシリーズ」で培ったセオリーが、今作にはそのまま丸々溢れんばかりに生きています。 思いっきりラブラブ光線出しまくってるのに、なかなか最後の詰めに持っていけないもどかしい恋愛、 不器用なまでに真っ直ぐで、真っ直ぐ過ぎてうまく世渡りが出来ない朴訥な主人公、 人を愛し、親を愛し、兄弟を愛し、友を愛し、そして国を愛し憂う純真な人の心、 全編に散りばめられた滑稽な笑い、そして主人公達の無垢な心に打たれて落とすであろう観客の涙・・・ どれ一つを取っても「寅さんの心・日本の心」をそのまま時代物に写し取ったような作りになってました。
だから「時代物」というカテゴリなんだけど、それ程時代考証とかに振り回されないで、あくまでも人間ドラマの部分に大きくスポットを当てた作りになっています(これは「たそがれ〜」もそうなんでしょうか?) 田舎っぺ面の松たか子(をい)の百姓姿はなかなか堂に入ってるし、不器用で出世しそうにもない下級武士の片桐というキャラは、永瀬クンの寡黙でストイックだけどちょっぴりお茶目な雰囲気とピタリと合う。 そして吉岡クンは何を演じても同じ・・・って、ぴよは何書いてんですか?(爆)
ところで秘儀「鬼の爪」ですが、まさかあーいう手だとはネ(^-^; 映画中、この秘儀を1番の剣の使い手だった狭間ではなく、どうして片桐が伝授される事になったのかがつまびらかにされていませんでしたが、あの秘儀は考えようによっては、片桐よりも狭間の方がよっぽど有効活用してくれたんじゃないだろーかと思うんだけどネ(苦笑) きっと狭間に「鬼の爪」を教えてしまうと、余りに活用し過ぎて世を乱すと師匠は判断したのでしょうなぁ。
日本人で「私は寅さんが大ッキライだ!」という人、あまりいないでしょ。 見てて胸クソ悪くなるよーな作品じゃないし、むしろ誰が見てもホッと出来る心優しい作品だと思う。もちろんぴよも何だかんだで寅さんシリーズって大好き♪(映画館で見た事ないけど。苦笑) だからネ・・・この作品を見て悪く思う人って少ないと思うんですよ。誰が見ても「山田監督らしい人情モノ」という及第点が付けられる、いかにも山田監督が撮った作品だなぁ〜という満足感が得られると思うんすよ。
ところで「たそがれ〜」を見ている人にとって、この作品は「たそがれ〜と一緒やんけ」と思うんでしょうか?(^-^;
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