監督:ピーター・ウェーバー 出演:スカーレット・ヨハンソン コリン・ファース トム・ウィルキンソン、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 タイル職人だった父が失明したので、一家の家計を支える為に画家フェルメール家の住み込み女中になったグリート。彼女の色彩センスを見抜いたフェルメールは、グリートに絵の具の調合を手伝わせるようになった。 ところがフェルメールがグリートとアトリエで過ごす時間が長くなるにつれ妻の嫉妬心を煽り、それはフェルメールがグリートをモデルにして絵を描く事で頂点に達するのだった。
【感想】 トレイシー・シュバリエ著の同名小説の映画化。フェルメールは今も世界中から愛される画家の1人だが、彼の作品の中でもとりわけ人気の高い「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの女、とも呼ばれる)」にまつわる、フェルメールとモデルの少女とのエピソードがネタになってます。 勿論映画の内容(原作もネ)はフィクションですヨ。実際のこの絵のモデルは今も誰だかはっきりしていませんから。 (一番有力なのは、彼の娘の内の1人であろうという説)
本作では「真珠の耳飾りの少女」のモデルになったのは、フェルメール家の奉公人だったという事になってます。 これがまた・・・よくもこんなにモデルの少女に似た顔を捜して来たなぁ〜と感心するくらい、スカーレット・ヨハンソンが絵の少女に似てましてねぇ(笑) 例の絵を描くシーンで青いターバンを巻いて振り向いた顔なんて、絵から抜け出したかのよーな瑞々しさでしたわ。
この「フェルメールの作品から抜け出したかのよーな」というのは、彼女だけでなく作品全編を通しても言える事で、小さなシーンのちょっとしたショットの1つ1つが「あ。これは水差しを持つ女に似てる」とか、「これは秤を持つ婦人っぽい」とか、相当フェルメール作品の「光と影」使いを意識した撮り方をしていて大変高評価です♪ 衣装もフェルメールの残した作品のテイストを実に忠実に再現しているし、室内内装、装飾の細かい部分に至るまで、本当にため息が出るほど「フェルメール」しています。
問題は、キャラクターの心理状態の描き方と見せ方だと思うんだな。
少なくともフェルメール、グリート共にお互い尊敬だったり思慕だったりを超える「性的魅力」を感じていたハズですが、余りに「おキレイ」に作り過ぎて、正直言って魅力を感じないんだよね。(^-^; 昔から画家とモデルが男女の関係になるというのは当たり前で、だからこそフェルメールの妻はこの絵を見て怒り狂う訳だけど、結局アトリエで2人が実際に体を交える事はないのさ。
いい捉え方をすれば「精神的な繋がりを絵画に昇華させた」というトコロなんでしょうが、実際はそんなおキレイなモノぢゃないでしょう。セリフの少ないこの映画の中でフェルメールとグリートの心の高まりを表現しようと思ったら、映像で見せる「エロティシズム」は必要不可欠だったんじゃないかと思う訳です。 唯一エロティシズムを比喩するのがピアスの穴を開けるくだりですが、これだけではぴよには物足らなかったなぁ。
だから映画見ながらずーっと「物憂げな目線くれたり、影からコソコソ盗み見し合ったりしてるけど、結局おまへらは何を考えてんねん!」って思っちゃったぢゃんね(苦笑)
フェルメールが使用していたと言われる「暗箱(今で言う一眼レフカメラみたいなもんです)」のシーン等も盛り込んでいますが、これは美術史やフェルメールが好きだという人じゃないと、見ても意味が判らなかったんじゃないかと思うわ。 (ぴよは勿論フェルメール好きなので、このシーンが挿入されてるのは嬉しかったけどネ♪)
お高くとまらず、もうちょっと2人の関係をググッと掘り下げた内容だったらなぁ〜。 これだけ映像にこだわって撮ってるのに、本当に勿体無いと思うわ。
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