監督:スザンネ・ビエール 出演:ソニア・リクター マッツ・ミクルセン パプリカ・スティーン、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 もうすぐ結婚するセシリとヨアヒムは幸せ絶頂のカップル。ところが1台の車がヨアヒムを撥ねた事で一変する。一命は取り留めたもののヨアヒムは全身麻痺になってしまったのだ。「2人で乗り越えよう」と献身的看護を続けるセシリの言葉もヨアヒムには届かない。セシリに辛く当たり、ついには病室から追い出されてしまった彼女は、ヨアヒムを撥ねた加害者の夫でたまたまヨアヒムが入院していた病院のドクターだったニルスに何かと相談するようになったのだが・・・
【感想】 2002年のアカデミー賞外国語賞にノミネートされ、本国では国民の8人に1人が見たという記録的大ヒットとなったデンマークの作品。予告編で流れるBGMが何ともぴよの好みなので、気になってた一作です♪
本来なら出会う事もなかったハズの2組の幸せなカップルが、ひょんな事故がきっかけでそれまであった幸せが根底から覆されて行く・・・と言うとすごくドラマティックで臭い話(をい)って気がしますが、あり得そうにもない展開のような気がするのに、実際こんな事が起こったら自分もこの映画のキャラクターみたいな状態になるだろうなぁ〜・・・と、妙に共感させるウマイ作りになっています。
じゃあどのキャラクターに共感するのか? ヨアヒムにもセシリにも、そしてニルスとマリーの夫婦にも、更には事故のきっかけを作ってしまったと自己嫌悪に陥る娘にまでも共感出来てしまうからスゴイです。 あ。スゴイってのはぴよがスゴイんじゃなくて映画がスゴイんです!(んな事言わなくても判るってか。苦笑)
全身麻痺になって心を完全に閉ざしてしまったヨアヒムの心痛もうなずけるし、ヨアヒムに辛く当たられて心の逃げ場を求めてニルスに傾いていったセシリの気持ちも痛いほど判る。
たぶん問題になって来るのは医師夫婦の方だと思うんだけど。 加害者である妻のマリーは、気の毒なセシリの為に夫に出来る限り力になってやって欲しいと言ったものの、まさか不倫しろとまでは言ってねーだろ!ってな心境なんでしょうが、強く出てみても結局は夫が愛しい。 ニルスが「家を出て行く」と言った時になりふり構わず「見捨てないで!」とすがるマリーが痛々しくて切なかったワ
1番問題のニルス、世にありふれた不倫おやぢと言ってしまえばそのとーりですが(をい)、家庭も円満と言えば円満だけど、ちょっとくたびれた女房に多少女性としての魅力を感じなくなっているのは事実。そんな時に23歳のピチピチギャルに涙目で「私の所に来て、そして抱いて♪」なぁ〜んて言われた日にゃ〜、そりゃおじちゃん突っ走っちゃうでしょ(笑)
それぞれが誰かを傷付け、それぞれが傷付き、そして今まで見えなかった新しい幸せを求めて立ち上がって行く。 自分が傷付いてみなければ人の痛みも理解出来ない・・・と言ってしまうと乱暴だけど、誰かを傷付けて自分も傷付いてみて初めて見えるモノも世の中には確かにあると思う。 この4人がそれぞれに下した決断は、傷付け傷付いた者だからこそ知ることの出来た優しさだったり強さなんだろう。
手持ちカメラや自然光で撮影された独特の映像も、それから作品中に使用されている楽曲もとっても雰囲気がいい♪ ちょっとシーンの繋ぎが不器用な感じで違和感がありましたが、少なからずも恋に傷付いた事のあるアナタ、必見です!
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