監督:カルロス・サウラ 出演:アイーダ・ゴメス ペレ・アルキュリエ パコ・モラ、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 伝説のフラメンコ・ダンサー、アイーダ・ゴメスはオスカー・ワイルドの傑作「サロメ」を、フラメンコとバレエを融合させた新しい創作舞台として蘇らせようとしていた。その舞台を演出し、更に映画を撮るために、カルロス監督は音楽監督や衣装担当者、更に出演するダンサー達と綿密な打ち合わせを何度も交わし、1つ1つ「サロメ」のイメージが生まれて行く・・・
【感想】 「フラメンコを語らせたら彼の右に出る者はいない」と言わしめた、スペインが生んだ巨匠カルロス・サウラ監督と、元スペイン国立バレエ団芸術監督にして伝説のフラメンコ・ダンサー、アイーダ・ゴメス。 天才2人がタッグを組み、舞台と映画を融合させて虚々実々の摩訶不思議な世界を作り出した一作。
元々は、アイーダ・ゴメスからフラメンコとバレエを融合させた新作舞台『サロメ』の演出を依頼されたカルロス・サウラ監督から、「どーせならこの舞台の創造過程をドキュメンタリータッチの映画にしたい」という提案があり、結果的に舞台「サロメ」と映画「サロメ」が同時進行で誕生したんだそーだ。
だから劇中劇としてだけにこの舞台が作られたとしたら何という贅沢なんだろう・・・つーか勿体無い!と思っていたら、ちゃんと新作舞台として「サロメ」は実在するのですわ。 2004年2.27(金)〜3.10(水)まで東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールで公演があります。 ・・・ええなぁ〜!東京の人は。この映画見たら絶対に生・舞台も見たくなりますよ!!
映画前半、舞台「サロメ」を作り上げる為にゴメス監督は綿密な打ち合わせを様々なスタッフ、ダンサー達とする。 ダンサー達は肉体を酷使し、極限まで絞り込んだ美しい肢体を躍動させ、そしてこの新しい舞台に命を吹き込む為に、正に血の滲むようなレッスンを繰り返し繰り返し続ける・・・
と、思って見てたら、このシーンはフィクションらしいと公式HPを見て判った。愕然!! いや・・・全くのフィクションって訳でもないんでしょうけどね。少なくともこの映画中にドキュメンタリーで撮影されているよーに見せかけているシーン(監督さんが色んな人達と打ち合わせしているシーン)、この映画中に出て来る監督さんはカルロス・サウラ監督ご本人ではなく、役者さんが監督役を演じているんだそーですよ。 してやられたわー!てっきりサウラ監督だとばっかり思って見てたのにぃーっ!!
実際のレッスンシーンも撮影されているんだろうけど、その中に挿入されている様々な細かいシーンは、この映画用に別で撮り直ししているって事らしいんだけど・・・何が現実で何が虚構の世界なのか、今もって判らないですよ。
ドキュメンタリーに見せて、実はドキュメンタリーではない。 でも「サロメ」の舞台は存在し、踊り手達は確かにそこに息づいている。 どこまでが台本のないリアルな話で、どこからが計算された演出なのか? 虚と実が入り混じり、溶け合い、そして映画の世界に、舞台の中に、観客はいつの間にか入り込んでいる。
映画後半は、実際の新作舞台「サロメ」の様子を、映画用に演出とカット割りしてそのまま見せてくれるんだけど・・・実際の舞台を見に行ったら全然違う作りの作品になってるかもしんないよね。(笑)
とにかくその舞台シーンを見るまでに、観客はたっぷりと監督やダンサー、この舞台に携わった人達の、この舞台に対する思い入れや情熱をレクチャーされている訳ですわ。見ていて面白くないハズがありません。 サロメの燃えたぎるヨハネへの愛憎。聖者ヨハネの神秘的で凛とした出で立ち。ヘデロ王の苦悩――言葉を一つも交わさなくとも、その研ぎ澄まされた美しい肉体を躍動させる事によって、能弁に激しく官能的に見る者を魅了してくれる。
あ〜・・・実際の舞台もやっぱり見てみたくなるよぉ〜!
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