監督:田口トモロヲ 出演:峯田和伸 中村獅童 麻生久美子、他 オススメ度:☆☆☆−
【あらすじ】 アマチュアバンドの登竜門番組で沸き起こったバンド・ブーム。数多くのアマチュアバンドがここからデビューし、そして束の間のブームが去った後にそのほとんどが消えて行った。 ブームの終焉後も変わらずロックを愛し活動を続ける奴らもいる。中島率いる「SPEED WAY」もそんなバンドの1つだ。ブームに乗ってメジャーデビューを果たしたはいいものの、ブームが去り彼らもまさに現実と理想の狭間で揺れ動いていた。
【感想】 92年に刊行された、今や日本のミュージシャンのバイブルとも呼ばれる「みうらじゅん」の伝説的コミックの映画化。 監督は今作が初監督となった、ミュージシャン&アーティスト&俳優とマルチな才能を開花させている田口トモロヲ氏。 また脚本は今正に旬の人気脚本家、「クドカン」こと宮藤官九郎氏、主人公「中島」役を元「GOING STEADY」の峯田和伸、バンドヴォーカル役を、ぴよが今かなり注目している歌舞伎役者で俳優業もこなす中村獅童が演じている。
時はバブル時代、爆発的人気を博したアマチュアバンドのオーディション番組「イカすバンド天国(イカ天)」の存在を覚えている人は多い事だろうと思う(少なくともぴよと同世代の人だったら) そのほとんどはいわゆるデビュー曲がヒットしただけで消えて行った「一発屋」で、今では「あの人は今」系番組でその後の姿をたまに追いかけられる程度の存在になってる。
この映画の主人公・中島は、確かにバンドブームに乗ってメジャーデビューをしたものの、自身のロックを愛する気持ちがピュアだったが故、流行が去った後も時代に取り残されて現実と理想の狭間で苦悩する。 理想を追えば飯が食えない。売れる歌を作ろうと思うと自分の信念は貫けない。 映画は「一発屋バンド」の話だけど、テーマは人の普遍的な部分をうまく突いていると思う。
中島を演じた峯田和伸クンは、元「GOING STEADY」のフロントマンで、今若者のカリスマと呼ばれているそーですが…すんまそん、ぴよは全く知りませんでしたワ(^_^;) でも、彼はなかなか可愛い顔してるわネ♪役者じゃないから演技は荒削りな所もあるけど、自分のスタンスとこの映画の役柄がマッチしているせいもあるのか、朴訥ながらも何か一本芯の通ったロックマンをリアルに見せてくれていたと思う。
映画を引っ張って行くのは、中島の前に現れた「ロックの神様」が語るご神託。 これは全てフォーク・ロック界の重鎮「ボブ・ディラン」の歌詞の引用なんだけど、彼の歌は結構難解な歌詞が多くて難しい…ものの、映画の内容と歌詞をうまくシンクロさせて、ディランを知らなくてもロックにもバンドにも興味なない人にも、誰にでも訴えかけられるメッセージをうまくチョイスしてあったと思う。
・・・が。(←これはもうお約束か?苦笑)
ちとエピソードが冗長だったように思うんだよね。 どの部分をどう削れば・・とは一口に言い難いんだけど、クライマックスのシーンに辿り着くまでが、ちょっと長過ぎたんじゃないかな?と思ったんだけどね。 製作者のこだわりと、よりメッセージ性を強めたいという気持ちの現れなのかもしれないけど、この内容で2時間近い上映時間はやっぱり長過ぎるように思う。もうちょっとエピソードを端折るか、各シーンのエピソードを短くして、上映時間を1時間半くらいに抑えれた方が、見ててダレなかったんじゃないかなーと思ったんだけど。
ある意味普遍的青春群像劇としては、なかなかうまくまとまっていたと思う。 でもまだまだ映画の作りとしては、監督サンのメッセージを伝えるのに拙い部分が多いように思うわネ。 田口トモロヲ監督の今後の作品に注目しましょうか。(^-^)
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