監督:ニコラ・フィリベール 出演:ジョルジュ・ロペス 13人の子供達、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 フランス中部、オーベルニュ地方にある小さな小学校。ここの小学校で1つの教室に3歳から11歳までの13人の子供達が、ロペス先生からあらゆる事を教わっている。あと半年で35年の教師生活に幕を閉じるロペス先生、子供達はその事実がなかなか受け入れられないでいる・・・
【感想】 ニコラ・フィリベール監督のドキュメンタリー作品。この映画に出演している「ロペス先生」を始め、小さな小学校に通う子供達、その親、親戚、全てが丸々本当の先生と生徒とその家族。役者は一切出て来ない。 (だからドキュメンタリーって言うんだけどさ。笑)
ドキュメンタリー映画と一口に言っても、その見せ方には何がしか作為的なモノを感じたり、又は多少の演出(ヤラセと言う人も多いだろう)はあるものだ、というのがぴよの持論。 しかしながらこの映画は、本当の丸々ドキュメント。何の演出もない。 畜産業を営む小さな村にある、一つしか教室のない小さな可愛らしい学校で繰り広げられる、ロペス先生と子供達の日常。それがそのままそっくり何の手も加えないでスクリーンに淡々と流れて行く。
子供達は時に小さな諍いを起こしたり、学業について行けずに漠然とした不安を持ったり、友達となかなか打ち解けずに引っ込み思案になっていたりする。それは劇的な事でもないし特別な事でもなく、どこの学校にもある、どこの学校にもいる、ごくごく普通の子供達の姿だ。
でも、こんなに「普通の子供達の素朴な姿」を今一体どこで見られるだろうか? TVのチャンネルをひねれば、日々信じられないような少年犯罪のニュースが垂れ流されている。町を歩けば、髪の毛を茶色く染めて巻き髪にした小学生が、得意げにブランドの服を着て闊歩している。
まるで時代から忘れ去られたような美しい自然と、そこに息づく小さな子供達の日常。 そして子供達の成長を、子供達の視線で優しく包み、そして人生の師として正しい道を示すロペス先生の愛情溢れる姿。 全編ノスタルジックな詩情溢れる映像が、今の日本が失った美しいモノ全てを余すところなく見せてくれる。
子供達の生き生きした輝く瞳に、思わず見てるこっちが目を細めて微笑んでしまう。
が。 寝不足状態で見てはいけない。 何故なら、余りに見てて気持ちいい映像に(しかも何も起こらない日常風景が淡々と流れるだけ)
ぴよは強烈な睡魔と闘うハメになったからだ。(苦笑)
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