監督:ダニー・ボイル 出演:キリアン・マーフィー ナオミ・ハリス ミーガン・バーンズ、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 ケンブリッジ霊長類研究所から凄まじい感染力の「凶暴化ウイルス」を持った猿が逃げ出し、ロンドンはパニックに陥った。感染していない者は国外逃亡し、国に残ったのは感染者と逃げ送れたわずかな人々―事件が起こる前に交通事故で昏睡状態になり、28日後にようやく病院のベッドで目覚めたジムは、その余りに様変わりした町の様子に驚愕する。感染者に襲われそうになった所を寸での所で非感染者に助けられたジムは、この国で何が起こったのかようやく判ったのだが・・・
【感想】 「ザ・ビーチ」で賛否両論(つーか、どちらかと言えば酷評された)ダニー・ボイル監督の新作。・・とエラそーに書きましたが、ぴよは「ザ・ビーチ」どころかダニー・ボイル監督の作品を1つも見た事ありませんわ。(苦笑) イギリス映画ですが、出演してる俳優さんもほとんど聞き覚えのない名前ばっかり。
さて。 事件から28日後に昏睡から覚めたジムがロンドンの町を歩き回るんですが、これがスゴイんですわー!どーやって撮影したんでしょう?冗談抜きで人っ子1人いないんすよ! 「バニラ・スカイ」でタイムズ・スクエアを完全に人払いしてトム・クルーズを走らせたのなんて、チョロいチョロい(笑) とにかくロンドン市内から完全に人の気配を消しちゃってますもん!・・・たぶんこれはCGを駆使しているんだろうと思うけど、こういうCGの使い方ってすごく好感持てます。わざとらしいアクションやオモチャみたいなキャラクターにCG使うよりも、こっちの方が断然CGとしての効果が生きてると思う♪
凶暴化した感染者に襲われるくだり等の「絵でビビらすシーン」は、正直言ってそれ程物珍しいモノはなかったんだけど、この映画は決してホラーではないとぴよは思うので、話の流れとして見て楽しんで頂ければいいんじゃないかと思う。
この映画は、絶望的状況におかれた人間がどこまでアイデンティティーを保てるのか?自分の命が危険に晒された時、人はどういう選択をするのか?そして未来に希望はあるのか?・・・そういう、「人間が人間として生きる根源」を探るような話だと思ったんだけど。
ジムという主人公の存在は、人間が人間として生きる上で大切なモノを観客に示そうという、象徴的存在なんだろうな。彼は人っ子1人いないロンドンの町を彷徨いながら、廃墟のような建物の中に入りながら、「HELLO」と声をかける。 「HELLO」―挨拶は人間の基本。人間関係を構築する上で、挨拶は欠かせない。挨拶から人の繋がりは始まる。 すごくシンプルなメッセージだけど、今この世の中に一番足りない「人として生きる基本」がこの映画の中にはある。
映画はラストシーンが2通りあって、まず一通り話が終わってスタッフロールが流れた後で「What if(もしこうだったら?)」と、別バージョンのラストシーンが出て来ますが・・・
ぴよはスタッフロール後のラスト(別バージョン)の方がしっくり来ると思ったんだけどな。 話の展開的に、元々の脚本としてあったのはこの別バージョンの方だったんじゃないかと思うんだけど。 最初はこの別バージョンで作ってみたものの、スポンサーか配給会社辺りが試写した段階で「コレはー・・ちょっとやり過ぎなんぢゃないのぉ?」ってクレームが入って、致し方なくラストシーンだけ撮り直したって感じがプンプンするぞよ。(^_^;)
きっと、監督と脚本家は「なんだよー!オレ達が作ったモノにケチつけんぢゃないよぅ〜」とクダ巻きたい所をグッとこらえて、「だったら映画の後に別バージョンのオチって事で、本来のラストシーンも流しちゃおうぜ♪」的ノリで、小さな抵抗を試みちゃいましたぁ♪・・・ってな展開だったんじゃないかなぁ〜(笑)
DVD化されたら、別バージョンのオチが本編になってたりなんかしてね♪
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