2003年06月01日(日) |
ムーンライト・マイル |
監督:ブラッド・シルバーリング 出演:ジェイク・ギレンホール ダスティン・ホフマン スーザン・サランドン、他 オススメ度:☆☆☆−
【あらすじ】 結婚を間近に控えたある日、婚約者のダイアナが発砲事件に巻き込まれて殺されてしまった。彼女の父親と結婚後は一緒に不動産業を営む予定で、彼女の両親と一緒に暮らし始めていたジョーだったが・・・ 実は、ダイアナが銃弾に倒れる3日前に2人は話し合いの末、婚約を解消していたのだった。一人娘を失って悲しみに暮れるダイアナの両親に本当の事が言えず、彼女亡き後も一緒に暮らし続ける決意をしたジョーだが、ある日運命の女性と出会ってしまったのだ。
【感想】 「シティ・オブ・エンジェル」のブラッド・シルバーリングが送る新作は、彼の実体験が元になっている。 シルバーリングは、1989年に当時の恋人でTV女優だった「レベッカ・シェーファー」をストーカーに殺され、その後も彼女の両親と深く交流が続いたそうだ。この映画ではストーカーではなく、全く彼女とは無関係の発砲事件の流れ弾に倒れたという設定になってるけど、主人公の「ジョー」が彼女の死後も彼女の両親と共に暮らすという展開は、監督自身の実体験を反映させているんだろうね。
さて。 名役者揃いのこの作品、特に「ダスティン・ホフマン」と言えば「感動名作モノ」の記号みたいな俳優。これだけ素晴らしいキャストが揃って悪い映画が出来る訳がない!・・・が、決して「良い」とも言い難く(苦笑) どう言葉にすればいいのかちょっと難しいんだけど、「名作」を気取ってる割りには感動は薄いと言うのか、何か非常に中途半端で微妙な映画としか言いようがないんですけどー(^_^;)
何故か映画の舞台設定は1970年代。話の筋考えると全然70年代の設定にする必要性を感じないんだけどさ・・・強いて言うならジョーが出会う運命の女性が、ベトナム戦争で行方不明になった彼を待ち続けるという設定だからか?
いや、それよりもぴよが思うに・・この「ムーンライト・マイル」というタイトルは「ザ・ローリング・ストーンズ」が同名の楽曲を作っているそうで、シルバーリング監督はこの曲に思い入れがあるらしく、映画中でもこの曲から70年代にヒットした名曲を沢山器用しているんだよね。 ローリング・ストーンズの「ムーンライト・マイル」を使いたくて70年代の設定にしたってのが当たりなんじゃないかと。
大切な人を失った喪失感からどうやって立ち上がって行くのか・・・家族という立場と、元恋人(婚約は解消したものの、彼女とは本当に分かり合える親友だった)という双方の立場からアプローチしている再生物語なんだろうけど、どうにも監督が意図する主題が見えにくくて、観客の心の中に踏み込んで来ないのは痛いと思う。
裁判シーンはこの映画の一番の核になっているにも関わらず、ジョーの告白によって結局犯人にどういう判決が下されたのか、この映画は肝心の結末を用意してくれないし (ジョーの告白が大切で、裁判自体に意味はないという事なんだろうけどな) ダイアナの両親、特に生きる希望を失っていた彼女の母親が立ち直ったというのがツボなんだろうけど、ジョーと彼女の両親の関係がその後どうなったのかも中途半端で判らない。お互い立ち直ったから「ハイ、それまでよーん♪」って、さよならしちゃうって事っすか?(^_^;)
役者の名演技がなければ、非常に面白味の薄い「トンデモ映画」になっちゃうトコロだよ(笑)
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