2003年05月06日(火) |
ハッピー・フューネラル |
監督:ヤフォン・シャオガン 出演:ドナルド・サザーランド ロザムンド・クワン グォ・ヨウ、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 「ラスト・エンペラー」のリメイク映画の撮影の為に中国・紫禁城を借り切ってロケ中の巨匠監督ドン・タイラー、彼の助手のルーシーはメイキング映像を撮る為に現地のフリーカメラマン「ヨーヨー」を雇って密着取材させていた。 撮影に行き詰まっていたタイラー監督はヨーヨーから「喜葬」の話を聞いて感銘を受け、「自分が死んだら楽しい葬儀をしてくれ」とヨーヨーに話した直後、心臓発作で倒れてしまった・・・医者に助かる見込みがない事を告げられたヨーヨーは、タイラー監督の遺言を叶えようと、喜葬の為に遁走する事になったのだが。
【感想】 中国には独特の「死」に対する思想があって、70歳以上の人が亡くなると大往生を祝い、楽しく笑って送り出す「喜葬」という葬儀を執り行なう風習があるそうだ。日本でもすっごい長生きしたバーチャンとかの葬式では、親族が集まっても結構和やかな雰囲気で「バーサンも大往生だったねぇ」なんて話しながら酒飲んでたりする事ない?
この映画のミソは、この巨匠監督の葬儀の為に大々的に準備を進めていたものの、実は監督は無一文とわかって資金繰りに困ったヨーヨーが繰り広げる「資金集め」のドタバタ。 資金繰りに困ったヨーヨーは、監督の葬儀を世界生中継する事でスポンサーを募って、葬儀会場や遺体の衣装に企業CMを載せる事で資金を調達しようと思い付く。よくオリンピックや世界陸上、F1やワールドカップ等に企業スポンサーが付いて、ありとあらゆる物に企業ロゴや商品名がベタベタ貼り付いてるでしょ。アレですわ(笑)
その「商業主義的葬儀」のプロモたるや、実にエゲつないと言うか凄まじくて!!(^▽^;)
これは、共産主義から資本主義にめまぐるしく変貌を遂げようとしている今の中国のマスコミや商業主義をかなりシニカルに笑い飛ばしちゃってて、そのドバタバ振りはそのままそっくり今の中国のドタバタ振りを表していて絶妙だった。
変わりつつあってもまだまだその垣根は大きい中国とアメリカ的資本主義の温度差。 それを実在する映画「ラスト・エンペラー」を見た欧米人と現地中国人の感想の違いでさりげなくアピールしているトコロも実に面白いと思った。あの映画はぴよも感動したけど(欧米人的感想はおしなべて『感動した』と映画中でも言っている)現地で生まれ育ち生活している中国人青年ヨーヨーの感想は全く違う。 「毎日大勢の女に囲まれてウマイもん食って、それを国の金でまかなっていたんだからヒドい話だ」 ・・・なるほどなぁ〜!と思わされる、実に印象的なエピソードだったね。(^_^;)
エキストラとかセットとか、意外とお金かかっちゃってるんじゃない?って思わせる徹底振りなんだけど、全面シニカルなドバタバはそこはかとないB級感漂わせていて、はっきり言ってかなりぴよのツボに入ったねっ!!
ダメな人にはこういう映画は全くダメだろーけど・・ 今後の中国映画を注目する意味でも、見ておいて損はない楽しい映画だと思うぞ!アジア映画好きにはオススメ!
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