監督:フランシス・ヴェベール 出演:ダニエル・オートゥイユ ジェラール・ドパルデュー ミシェール・ラロック、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 冴えない中年男「ピニョン」妻子は愛想をつかして出て行き、20年間も勤めた会社からはリストラ宣告をされ、自暴自棄になって自宅アパートから飛び降り自殺をしようとしていた。それをたまたま目撃していた隣の部屋に住む老人に引き止められたのがきっかけで老人に自分の窮状を語った。すると老人が「会社をリストラされなくても済む方法がある」と言うではないか! その奇想天外な老人のアイディアに乗る気になったピニョンだが・・・
【感想】 予告編見た時から「これはぴよの大好きなおバカ映画っぽいなぁ〜♪」と思ってたんだけど・・・ いやぁ〜!本当に大笑いさせてもらっちゃったわよ!!
老人の提案した奇想天外なアイディアというのは「ホモであるとカミングアウトする事」なんだけど、別にピニョンはゲイでも何でもない。当然ピニョンは老人に「ホモの演技なんてとても出来ない」と訴えるんだけど、老人は「演技など必要ない。ただホモだという噂さえ流れれば周りの目が勝手に変わって来る」って言うのね。
これって人間の心理だよねぇ・・・確かにそれまでは何とも思ってなかったのに、いざ「あいつはホモだ」っていう噂が流れると、言われてみれば確かにあいつはホモっぽい仕草だったなぁ、なぁんて思っちゃうモノなのよね。 人間の噂だったりクチコミ、思い込みによる影響の恐ろしさを痛烈に皮肉った内容なんだけど、実に笑わせてくれましたわ。
映画は皮肉りながらも、隣家の老人はピニョンに語る。 自分も過去にリストラされた人間だったと。そしてリストラの理由は正に自分がホモだった事が原因だったと。 時代は変わり、今はホモだからという理由で解雇すると世間から批判的な目で見られる、だからそれを逆手に取れるのだと。いい時代になったと苦笑まじりに老人が語るシーンはこの映画を引き締めてくれる実にいいシーンだったと思う。
この映画の愛すべき部分は、それまで自分自身「私は透明人間だ」と言うくらい地味で目立たなかった主人公が、本来なら蔑視されがちな「自分はホモだ」という噂に踊らされて逆に自己主張が出来るようになって行く事。
「嘘から出たまこと」という言葉、そのままの随分とシニカルなおバカ映画だったけど、ネタはかなり皮肉たっぷりではあるものの、ラストはやっぱりハッピーエンド。おバカ映画はやっぱり見てハッピーになれなきゃね♪
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