監督:アーウィン・ウィンクラー 出演:ケビン・クライン クリスティン・スコット=トーマス ヘイデン・クリステンセン、他 オススメ度:☆☆☆☆☆
【あらすじ】 建築デザイナーのジョージはある日突然20年間勤めていた建築事務所から解雇を言い渡され、その上解雇された直後に自分が癌に冒されていて余命3ヶ月だと知る。 自分勝手に生きて来て10年前に離婚。元妻が引き取った我が子は16歳になり、元妻が再婚した新しい父親とうまく行かずに思春期を迎えた息子はドラッグにまみれて手がつけられない状態になっていた。 人生最後の夏、ジョージはかつて自分が父親から譲り受けた因縁の家を我が子と建て直そうと決意したのだ・・・
【感想】 予告編見て、これは絶対に見なくっちゃ!と心に決めていた一本。試写会で見て来ました。
とにかく脚本がいい!それにこのキャスティング、とにかくどこを取っても申し分ない素晴らしい映画だった!! ヘイデン君、思春期を迎えて親子の愛に飢えた青年を実に好演してる!!スターウォーズ・エピソード2のアナキン役と言えばお馴染みの美少年君だけど、はっきり言ってアナキンよりもこっちの方が実にいい!!でも最初に奇天烈なメイクで登場した時は「ま、まさか・・この子がアナキン?(^-^;」と軽く引きましたけど(笑)
この映画の一番いい所は何と言っても「感動」を押し付けない脚本と演出。 余命いくばく系の映画にありがちな「これでもかぁー!」っていう泣かせはほとんどない。それどころか随所に細かく笑いとユーモアを絡めて観客を笑わせてくれすらする。それにも関わらず映画を見終わった頃にはひたひたとジーンと胸に迫るモノが残るのです。
この映画、予告編を見ると「家を建てる」という部分に焦点が当てられてるようなイメージがあるんだけど、それよりも大切なのは「今まであった古い家を壊す」という部分。映画中でもこの部分にかなりの時間が割いてあります。 「家=今までの自分(人生)」にまるまる当てはめているんだよね。更地に新しい家を建てるんじゃない。そこにあった古くて汚くて打ち捨てたい家があって、それを全部自らの手で壊して新しい理想の家を建てる。 今まで自堕落に自分勝手に生きて来た自分(=家)を自ら取り壊して、そして新しく生まれ変わる。ジョージの思いがドラッグまみれだった息子に、元妻に、子供達、隣家の人々に、そして元妻の再婚相手に・・・取り壊し、建て直す(=生まれ変わる)気持ちが伝染するかのように巻き込まれて、全てが優しく、そしてジョージの残された命に呼応するように劇的に再生していく・・・
無駄かとも思える小さなエピソードの数々もきちんと後にオチが付けられている辺り実にウマイです。本当に脚本勝ち。
最後は・・・とても静かに。
素敵な映画でした。映像も申し分ないです。イマドキなCGやらこ難しい技術は一切ない。心に訴えかける映像。 自分は生まれ変われるんだ。いつでも、そして劇的に・・・そんな気持ちにさせられる本当に素敵な映画でした。
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