唇に。冷えた指先に。足元に。花がこぼれる嬉々とする笑う月。道路の向こう側には一人でいつまでも見上げる昔の私がいた彼女は、落ちていた石を満月に向かって思い切り投げた。世界に裏切られるそれでも今、彼らは半分しかない今なら勝てるあの憎たらしい月。私も今、その小石を拾いあげる。隣には君がいた。