サミー前田 ●心の窓に灯火を●

2003年10月25日(土) ザ・シロップとホット・ハニー・バニー・ストンパーズ

古いおつきあいになるパニックスマイルの吉田君のお誘いで、 架空のオリジナル・サウンド・トラック「ビザールデッド〜鮮血の美学」CD発売記念オールナイト・イベント(@新宿レッドクロス)にDJで参加しました。
CDに参加している名古屋のザ・シロップを半年ぶりに拝見。前回観た時は「レゲエ化」していたので、どう変っているのか興味深かったのだが、タイトなインストと歌モノを交互に披露した「歌謡ニューロック・サウンド」(?)で、私が観た中で最も完成度の高いステージだった。ラストの、インスト「ザ・シロップは燃えているか?」(ライブアレンジ)では、ファンカデリック「マゴットブレイン」とイメージがダブってしまった。

20年くらい前に「マゴットブレイン」を初めて聴いた時、聞き覚えのある日本映画のサントラ曲だと思い込み、主人公が早朝の新宿を歩くエンディングテーマに似合いそうな曲だと、勝手にイメージというか妄想を膨らませていた。私にとって、フェイバリットインストなのである。

シロップの演奏が終わり、深夜3時頃、ゴールデン街へ向かう。
そして、そう早くもない朝、家に帰ってCDを聴くと、シロップのインスト曲はこれまた、架空のサントラ『やぶれかぶれのブルース』の収録曲だった。とするとこの曲は大須の朝焼けが似合う曲なのかもしれない。

そして、シロップのバンマス松石ゲル君からいただいた『ホット・ハニー・バニー・ストンパーズ/ご機嫌よう』のCD。これは、素敵なオリジナル曲を大正歌謡やポルカ、ラグなどに料理した変態グッドタイムミュージック。ここでもプロデューサー松石君の才能爆発である。うーん、これは数年前NYで観たホーリーモーダルラウンダーズ(少し自慢)と共演させたい。

吉田君と松石君は「いとこどうし」だという嘘のような本当の話。
どちらも普通じゃないというか異常な音楽性を持ったすごい家系ですな。まったく。



2003年10月17日(金) 騒音寺と野村麻紀

新宿の新しいライブハウス「レッドクロス」に行ってきました。場所は今は亡き日清パワーステーションのすぐ横だった。狭い店だが、なかなか気がきいた居心地の良い店。本日は魔界都市京都から来た3アーティストが出演。

トップに出た「野村麻紀」。若い女の子が生ギター持ってステージに登場。一言でいうとフォークシンガーといえばいいのかもしれないが、彼女の曲は歌謡の匂いもするし、歌詞に情念が隠っているわりにポップであっさりしているところも魅力だ。弾き語りというスタイルがまたサマになっている。彼女の歌を聴いているうちに、初期の中山ラビを思い出してしまったのだが、先週「新宿ブルースナイト」で観た現在の中山ラビの姿はチェリー・カーリー(ランナウェイズ)みたいだったのだ。どこか巫女的でもある野村さん、新宿ゴールデン街など、飲み屋でのライブも多く、オヤジ殺しのシンガーだと思う。

続いて「全力オナニーズ」。笑いました。

ラストは「騒音寺」。なんかもう、このバンドって、かつてのRCサクセションみたいな存在になって、3000人くらいのキャパでやったり、CD10万くらい売れてあたり前だとおもうんだけど・・・。最高のロックンロール・ショウやってるのに、すごくもったいない感じがする。例えば「村八分とかサンハウスとかに求めているけどないものねだりなような何か」がこのバンドにはある。この調子でライブを続けて行けば、必ず騒音寺は多大な影響力を持つバンドになるだろう。加川良「教訓1」という意外なカバーも完全に騒音寺のロックになっていた。
個人的には、このバンドは「フールズの耕とぶつけてみたいんだけど」って言ったら某レーベル代表に困った顔をされてしまいました。






2003年10月10日(金) thee 50s highteens

博多が生んだキューティー&ワイルド・ロッキン・ガールズ「thee 50s highteens」(フィフティ−ズ・ハイティーンズ)のデビューアルバムが、(いい意味でも悪い意味でも)日本一杜撰なレコード会社ピ−ヴァインから9月25日にリリースされた。

このグループを最初に目撃というか発見した時の衝撃は忘れられない。10代の娘がGS風の衣装でガレージパンクをやっている、カバーの選曲がマニアック&センスよし(デイ&ナイツ「バラをあのコに」とか)、オリジナルの完成度が高い。英語のカバーを中心とした下手な女の子のガレージ系って、ありがちだしあまり興味ないけど、彼女達の場合は日本語のロックンロールをやっているところがよかった。
昨年からオルガン奏者が変わり、以前は凄い強烈な顔で叫んだり客席につっこんだりする娘だったのが、現在のケイちゃんになって音楽的な水準も高くなった。あのままだったら、モンド的なヒドイモノ扱いだったに違いない。

そんな彼女達も今やアイドル的な人気さえある。東京のライブでは、カメラ持って撮っている人の数が多すぎて迷惑なくらい。
ボーカル&ベースのトモちゃんが16才くらいの頃に、ルルーズ・マーブルを聴いて影響を受けて結成したというが、最近ではルルーズの呪縛から抜けだしたかのように成長著しい。

今回のアルバムは、彼女達の魅力があますところなく詰まった仕上がり。
曲調が一本調子にならないところも凡百のガレージバンドとは一線を画していると思う。
CDを聴いて「ライブの方がイイ!」と言う人がいるのは当たり前で、ライブよりCDの方がいいロックバンドなんてやだね。曲を聴きたければCD、ナマを観たければライブ、というように差別化したかったのだ。一応スタジオ録音だからね。
収録曲は7曲。あっという間である。PVを作ったホットロッドナンバー「サプライズ・サン」のポピュラリティ−はプロフェッショナルな香りさえするし、「恋はこりごり」という曲のギターは「まるで村八分の富士夫みたいだゼ」などとアルバムを一緒に制作したチャ−リ−森田(ファントムギフト12月に再結成ライブ決定)も言っていた。もしかしたらこのグループ、実に深い魅力を持っているのかもしれない。いやほんと。



2003年10月09日(木) DEEP COUNT

80年代はジャングルズ、90年代JAZZY UPPER CUTとして、東京のアンダーグラウンド・シーンに鮮烈な存在感を放った桑原延享(ノブ/大駱駝艦出身)と川田良(ギタリスト/フールズ)。この二人の他、DJヒデなども参加している6人編成の「ロックバンド」がDEEP COUNTだ。
そのDEEP COUNTのファーストアルバム『足音』が9月に発売され、10月3日には初台ドア−ズでレコ発イベントが行われた。
ノブはラップのようなスタイルで次々を言葉を吐くが、簡単にイメージできる日本のラップとはまったく次元が違う景色をみせてくれる。東京ロッカーズのシーンで最高のギタープレイヤーといわれた良のギターは相変わらず徹底的に暴力的だ。人生の重みそのものが音楽になってしまった男達、とでもいえばいいのだろうか。じゃがたらの潮流みたいなものが確実にここにあるのはまちがいないのだが、非常にストイックかつドラマチックである。
先日、スタッフがタワーレコードにCD持って営業行ったら、タワレコの担当者が「ブルーハーブみたいですね」と言ったらしいが、これはまったく逆!ブルーハーブがノブの影響を受けているのは一目瞭然。だって今のノブのスタイルは、1990年4月に出演した日比谷野音の「江戸アケミ追悼コンサート」から始まっているのだから。
しかし、このファーストアルバム。お店ではどのコーナーに置かれるのだろう?ヒップホップのコーナーに置かれる可能性も大だが、やはりロックのコーナーが相応しいと思う。

ついでに書いておくと、このイベントには「南流石組」も出演。有名な振り付け師でもあるミナミのユニットで、オトも参加し、タンゴスにダンサーが加わったスタイル。じゃがたらの曲をダンスしながら歌うミナミの教え子たちのなかには、アイドルグループのマックスのメンバーもいた。このステージは賛否両論だったが、現役時代は最後までマイナーだったじゃがたらの音楽がどんな形にせよ、広がっていくのはいいとおもっている。例えテレビドラマの主題歌に使われたとしても。


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