即興詩置き場。

2006年02月27日(月) 私たちの河は海に届かない



私たちはとても弱いので
ときどき何かを殺めたりもする
ぬばまたの真夜中に潜む
声を持たない涙のように

私たちはとても怖くて
目を瞑って過ちを繰り返す
陽光のまぶしさが作る
白い闇を前にして
絶壁の一歩手前で
扉を開けてしまう

体が震えるときは
心も震えている
私たちはとても愚かなのでそれを
他の場所からもたらされたもののように扱う
私たちから生まれた
その震えをそのように
扱ってしまう
ことに気づかず
いつまでもそれは生まれ続ける

私たちは知らないうちに
歌を口ずさむことがある
それは誰かへの祝福であり
同時に誰かへの呪いとなる
歌に
罪はなく
私たちは口ずさみながら
石を投げてみたりする
どこかで血が流れて
それを悔やんでも
殺めたものは殺められたまま
いつまでも戻ってこないのに
私たちは赦されないまま
何かが終わるのを
いつまでも待ち続けている





2006年02月16日(木) みやみや



みやみや


満月が近づくと空気が変わる
だから空を見なくてもそれがわかる
うつむいて歩くと足音が遠のき
夜はいつのまにか
重くなっている

みやみや
絵葉書の風景のように
闇が美しく固定される
潜む者たちも美しく安定して
それはもう薬漬けのように安定しまくっていて!
それはもうそれはもう何かのふりをするふりをするみや
みやみや
闇は空になく
足元で
やみや
みや

闇は月光で作られている
闇は月光で固定されている
夜はいつのまにかうつむいている
月は
とても冷たい
みやみや
固定したまま
満月
みやみや
固定される


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