僕の、場所。
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僕の、場所。

今日の僕は誰だろう。



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終焉

体を構成するあらゆる働きが低下していく。

心筋の動きが鈍り、
心拍数が減り、
血液量が減り、
ATPが減り、
酸素が減り、

細胞が死んでいく。



温度、嗅覚、聴覚、視覚、触覚、本能、
機能が少しずつ低下。
痛覚だけは残っていたかもしれない。


この緩やかな緩やかな最後のときに、

言葉などは無用。




ただ、失われていく体温に
硬くなっていく体に
存在するだけの存在に

残酷な神を呪う。


questions

クスクス、クスクス。
楽しいね。
飛べそうだよ。
高いビルの屋上の、端から端まで。
全速力で走って、走って、走って、最後に強くコンクリートを蹴る。
きっと、そのままスゥと飛べる。
放物線? 何、それ。

クルクル、クルクル。
面白いね。
腕広げて踊るよ。
ここを中心に、回って、回って。
色んなものを集めて、ブラックホールにしちゃえ。
引力はマックス。温度は絶対零度。
ここでは全てが同じ。
分子の区別なんて無意味な事。


白い太陽も
蒼い草も
黄色い大地も

全てがもう夢の中。



トンネルを抜けたら、
線路は海の上。
ずっと、ずっと、
ずっと、このまま。


クスクス、クスクス。
さて、これからどこに行こうか?


目撃2

それは、きっと勇気を出しての行動だっただろう。





隣へ腕を伸ばすと、さらさらの髪に触れる。

「会えて良かった」

微笑みと共に返ってくる言葉。

「それはあたしの台詞だよ」

電車の中での別れなど、時間が足りなさ過ぎる。
人目を気にしてしまうのは仕方がない事だろうか。


触れられる事に恐怖はないようだから。
満員電車を言い訳に、ギリギリまで君に近づく。
それでも足りなくて、肩に腕を回して凭れ掛けさせる。

駅が近づいてくる。カーブと停車で、速度が緩む。
しかしそれは別れが近づいている事に他ならない。

「気を付けて帰ってな」
「そっちもね。じゃ」

本当に離れてしまう、そう思っていた矢先。

最後の言葉に被るように、首筋に君の唇と体温が触れた。








何事かを理解するまでに時間は必要なかったけれど、
ホームに降り立ってにこやかに手を振る君に呆然とする。

座ったままの僕の膝に何かが触れて意識をこちらに取り戻す。
杖をついた老婆に席を譲り、数歩の移動をした。


あれ、と気付いた時には



もう電車は動き出し、既に君の姿はみえなかった。







君は僕を見ていただろうか、それとも歩き出していただろうか。
それすらも知りえない自分に呆れかえった。






最後の最後まで君を見ていたかった…なんて信じてもらえるだろうか。










ひとり、路線図を頭に描いて帰路を考える。


目撃1

それは、きっと勇気を出しての行動だっただろう。





別れ際に軽く頭をなでて、君は言う。

「会えて良かった」

頬を緩めてこちらが返す。

「それはあたしの台詞だよ」

到着駅を告げるアナウンス。せめて、ホームだったりしたら。
両手で抱いて肩に顔埋めて此の体に刻むのに。

きっと、もう習慣化された事。
満員電車に便乗して、ぴったりと寄せた体。
腕を回して向こう側の肩を抱いてくる。

ホームが見えてきて、スピードが落ちる。
もう少し、もう少し、このままで。

「気を付けて帰ってな」
「そっちもね。じゃ」

ほんとうは、言い終わる前から狙ってた。

その短い髪の首筋に唇押し付ける。君に送る別れの挨拶。








手を振って振られてスカートがひらり。

たくさんとってあるフリルが揺れるのに、
ドアが閉まっても視線はまだ据えられているのに、
君がおばあさんに席を譲っている間に

もう


見えなくなってしまった。







気が付けばひとり、電車を見送ってホームに佇んでいた。
君のそんな優しさが、魅力のひとつではあるけれど。






ずっと、見ていてほしかった……なんて我が侭な思考。










もう、おうちに帰ろう。


四角い三角

ドクン、とおかしなリズムの心臓に気付いて歩みを止める、

とそこはかつて君を待った記憶の中。

彷徨う視線は求める対象を見つけられずに消失。





「……」

「、どうしたよ」

「ぁー。なんでもないって」




そういえばこのメロディはどこかで。

ああ、あの時歌ってくれたもの。

しかし口ずさめるほど確かな記憶などない。




「オマエ今日ぼーっとしてねえ?」

「寝不足なだけだろ、気にすんな」

「んー」




目にしみる雲の白さを呪いたくなる。

どうせ、どうせ、この手は届かないのに。

更に果てなく広がるこの青空といったら、腹が立つ以外の何者でもない。





「……あ、やばい視界回る」

「は? おーぃ大丈夫かよオマエ」

「…わりー…どっか座って良いか」




全くもってついてない。

ガキ共でうるさく暑い公園のベンチなんて情けなくて泣けてくる。

せめて横で座ってんのが可愛い女の子だったらな。




「寝るな阿呆」

「寝てねー」

「嘘つけ、今すっげ寝てた」




あー………。

もう、

どうでもいいや。


dreaming a dream

例えば。あの情景。



狂った波、

そしてただなんとなくそこに寝転ぶ、

視界には希薄な空気、

触れているのは気持ち悪いくらいに生温いエイチツーオー、

しかしそれは気体かもしれない、ひょっとすると固体かもしれなく、

顔の表面にある表情は「無」で。








もう自分が何だったのかさえ記憶の彼方。






ただ欲していたのは、その眼差しや声や繋ぐ手。

自棄になってブランコを大きく漕ぐ音、

カタカタと蓋をゆらす火に掛けられたやかんと

用意された二つのカップ。

彼方の窓に目をやれば、ずっとパジャマのまま咳き込む女の子。






太陽に気付いて赫を畏れ、

照らされる事の無い暗闇に目を慣らす。






波に顔を洗われて目を覚ませば此処は白い世界。




きっと僕はもう何処にも居ないんだ。


過去における、満月と半月(プチ)

ア○ロ○ク5mgを20錠一気飲み。



催眠作用もないし興奮もしないし落ち着きもしない普通の薬。

…だという事をわきまえた上で。




満月と半月、アルファベットの大文字で表してみよう。



10錠入りシートが変に折れ曲がって二つ、残されている。



僕もまだまだ功夫が足りない。


So what?

突然泣きたくなったときに、

一体どうすれば良いのだろうか。

流れる風景、流れてしまった後に残るものは何だろうか。

もしもあの時、線が交差せずにすれ違っていたら。

僕が違う僕だとしたら。

蝉時雨に打たれながら、一年の月日は短いと感じる。




少しの勇気で、もしかしたらあの位置に帰れるのかもしれない。

どれだけ頑張ったところで、もう届かない場所になってしまったかもしれない。

構成する要素のうち1つ、すでに失われたと知っているのは僕と彼女。

君はまだ心の底で、願い続けているのだろうか。

かつて手にした剃刀は、依然として冷たい輝きを放ったまま――。



そうやって僕は君を苛んでいたんだ。





「もう、どうしたらいいのか分かんないんだ」


 淋しそうな笑顔を1つ残して、彼女は去っていった。



 残された、私。



 


add

空回りする言葉……。

届かない手…。

眩しすぎると言って、伏せられる瞳……。





お前は頭が良すぎるんだよ。俺みたいに単純に考えられないんだろう、きっと。
難しい事ばっかり考えて、いつも悩んでる。
一生懸命で良いなとも思うけどさ。

手ぇ切ったりとかさ…薬のバカ飲みとか……最低限にしてくれよ…?
心配させられんのは俺らなんだよ。

そう言ってみたら痛い顔して笑う。まったく、こいつは……。
俺だって分かってるよ、昔何かあったんだろう。
でも俺じゃ、その過去を癒す事はできないんだろう…?
途轍もなく、悔しいと思う。


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