'ゃッぱ・頭、変っすか。
'ゃッぱ・頭、変っすか。
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2006年11月30日(木) |
久々の日本のミステリーを読んでみました |
薬丸岳:「天使のナイフ」 第51回(2005y)江戸川乱歩賞受賞
テーマは重い 少年法の保護主義 刑事罰の対象にならない少年たちに社会に問い掛ける
「被害者が本当に許してくれるまで償い続けるのが本当の更生なんだ」 と糾弾する主人公の声は悲痛だ。
「刑法41条によると14歳に満たないものの行為は罰しない」という。 「十四歳未満のの少年は刑事責任能力がないんです。 刑罰法令に触れる行為をしていても犯罪をおこなったとはいえないで触法少年と呼ばれて保護手続黄の対象となります」
---「国家が罰を与えないなら,自分の手で犯人を殺してやりたい」--- 少年法の保護主義なかで犯罪にあった最愛の妻、 過去に家族を失った障痩を心に負いながらひたむきな小家庭を築かんとした主人公、 さらに傷つき激しい慟哭に咽び怒り、自らその真相を求めて歩み、
そして絡み合った過去をもつ人々とその真偽 犯罪者を罰することを強く望みながらその犯罪行為者に法理論とおなじく更生の実現が「贖罪」と「可塑性」が有りえるのか そして、 人生をけなげに生きようとしている者たちが身近にいたことを見いだすのである 天使のナイフは少年の手によって引き起こされた惨劇をテーマに切り裂かれてしまった道徳と愛と法律という倫理にたいして 強くつよく吼え愛を叫んだ一級のミステリー小説であった。
2006年11月11日(土) |
ふたたびの検屍局の仕事とは、 |
『痕跡』 (上/下) (講談社文庫) パトリシア・コーンウェル (著), 相原 真理子 (翻訳)
出版社 / 著者からの内容紹介 検屍官シリーズ、驚愕の新展開で登場! 5年前に辞めた検屍局から協力の要請を受けたスカーペッタは、自身の判断にも、ベントン・ウェズリーと姪ルーシーの忠告にも反して、14歳の少女の死をめぐる事件の顧問病理学者としてヴァージニアに戻ることにする。ピート・マリーノとともに古巣を訪ねると、馴染みのモルグや部署はすっかり様変わりし、スカーペッタの手腕を頼みにしているはずの新しい検屍局長からは、なぜか侮蔑的な扱いを受ける。だが相変わらずプロ意識の強いスカーペッタは、さっそく証拠を洗い直し、くだんの少女が何者かに殺されたことを突き止める。さらに彼女はある痕跡を発見するのだが、同じ痕跡が別の事故の犠牲者の遺体から、またルーシーの同僚が襲われた現場からも見つかった。それは単なる捜査上の謎ではなく、スカーペッタのごく身近な人々を誰かが狙っている可能性を示すものだった。
読後韓、/ 前作、「黒蠅」を読書後間を於かずに、この文庫本も上/下卷 いっきにストーリーを読み終えたところです。 シリーズを通してというか、ますますスピーディーな場面転換でTVドラマやムービーのような映像展開を意図しているのであろう、 登場人物の多彩さや描写もさらに人間臭さを増してきたもので、前作「黒蠅」の読後韓にはグロテスクと感じている旨、作文してみましたが、今作に関しては、特に対人間的に「えげつない!」そのように思います、 対ひとの愛憎はメロドラマ的な機微もある程度は引き込まれて楽しめますが、それが犯罪行為にエスカレートさせて描いた場合や、身体や精進の異常な部分にまで及んで登場してくることには、何だか嫌悪感のような受け入れたくない思いにもさせられてしまいました。 タイトルの「痕跡」は、犯罪や死体の科学捜査で検証されるごくわずかな手がかりの中から結びつけられる、推理テーマの重要な部分を表わしています、今作も別々の事件から抽出されたこの「痕跡」の謎を解き明かしてゆく、ケイ・スカーペッターと彼らの活劇でもあるのでしたが、展開のバランス的にはミステリー度合いが劣性してしまったと思います。
2006年11月09日(木) |
タイトル『黒 蠅』は、グロテスクだぜ、 |
黒蠅 (Blow Fly、原題) パトリシア コーンウェル (著), 相原 真理子 (翻訳) 講談社文庫
出版社/著者からの内容紹介(「BOOK」データベースより) 検屍局長辞任から数年後、フロリダに居を移したスカーペッタに、死刑囚となった“狼男”から手紙が届く。 「あなたが死刑を執行してくれ。さもなければ、また何人もが命を落とす」時を同じくしてルイジアナで女性ばかり十人もの連続誘拐殺人事件が発生。 彼の犯行ではないのか?検屍官シリーズ待望の第12弾。
狼男、再登場の物語であった そして、さらにもっと重要な登場人物も復帰してきたのであった パトリシア・コーンウェルのスカーペッタ・シリーズ第10作『Black Notice(邦訳:警告)』 これを読んでから1年近く本作を読むまで間をあけてしまっていました 狼男の双子の片われの弟(逃亡犯)で美貌美男のジェイ・タリーも事件の決幕への伏線段階で登場してきている このジェイ・タリーの状況もグロテスク極まるものなのだが、例の重要な登場人物により最後は葬りさられてしまうのであった ジェイ・タリーは第10作『Black Notice(邦訳:警告)』で登場したとき、主人公(今回は一人称の物語でなく他者の視点で綴られる女性元検屍局長のはなしだ)ケイ・スカーペッターの ロマンスの対象ともなった人物であった。 猟奇的な描写や殺人場面(姪のルーシーまでが殺人に手を染めるのであった)まですら、シリーズの回を重ねてエスカレートしてきたのであるが、 男女や家族間の愛憎劇もかなりえげつなく書かれているのだ 劇中の人物の相関関係がどうもよくわからない展開で読み進むままの終幕で 「全部よりもっと知っているよ」と例の重要な登場人物のケイ・スカーペッターへの言葉があり 読者までをもこの要約をもって、魑魅魍魎な人模様を納得させてしまうのであった。
カバータイトルは、こうだ 意を決して、死刑囚監房を訪れたスカーペッタに、<狼男>が告げた衝撃の事実とは? 警察を辞めたマリーノ、信じる道を歩きはじめたルーシーも、それぞれ決死の覚悟を胸に行動を起こす。 錯綜(さくそう)する謎、めくるめく急展開の果てに、驚愕の真相が待ち受ける! この結末の前では、すべての過去は伏線に過ぎない。
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