2011年07月09日(土) |
BENI 201号室。 |
『遅れます。新大阪到着は午後10時過ぎ。』
との連絡を貰ったので、それまで待機して迎えに行った。天理→京都で飯→新大阪という経路をたどったらしい。
ロータリーで待ってると、向こうから歩いて来る。 …全然変わってない?! 胃癌になってから、痩せた以外はほとんど変わんない。相変わらずの童顔だけど、笑うと目尻に皺。少し難しい顔をすると眉間に縦皺が刻まれる。
「お疲れさまー。」
「あー。疲れたよ。」
「どちらへ向えば?」
「取りあえず、先に。セヴンイレヴンかローソンに。飲み物と現金をおろしたいので。」
「…ホテル、とった?」
「いや、とってないよ。」
「何でよっ?当日プランとかあるじゃん。今からとれば?」
「その代わりですね、行きにちゃんと『ヌルヌルと楽しめるホテル』は探しておいたぞ。」
「まぢ?」
「当たり前やろ。そら10万円コースやし、ヌルヌルするやろ!」
…あれ、接待てまぢで言うてたん?そいへば、「予習しといて下さい」のメール、今日も来てたけど。
ローソン寄って、飲み物買って、masayaが調べたという曽根のラブホに一旦車を入れる。masayaが空室を見に行ってる間に、ふと
『…あ、あたしヤだ。ここ絶対ヤだ。』
て思った。滅多にそんなこと思わないのになぁ。 masayaが戻って来て「空いてるけど。」って言う。
「masaya君、あたしごめん、ここダメ。絶対ヤだ。無理。」
あたしの異様な嫌がり様を見て、「?」て顔をしてから、
「じゃ、次行こうか。」て、笑顔で言ってくれた。
空港線にある巨大ラブホテル【BENI】。 え?何?これいったい何室あるの?って言うくらい大きい。 自走式駐車場も建物の1Fがほとんどそうだから、すごい広さ。 でも、ほとんど埋まってる。 やっと車停めるとこみつけて、エントランス。 巨大なホールとオブジェにびっくりする。 部屋パネルはほとんど入室中。3つパネルあるけど、どれも違う? 真ん中のパネルで空室をみつけて、部屋設備を彼が見る。
「を。ヌルヌル出来るぞ。」
と、嬉しそうなmasayaが、入室ボタンを押した。 泊まりで約13,000円。このホテルでは中の上くらいの部屋か…。
部屋に入って驚いた。何?この広さ! アジア風のインテリア。入ってすぐに仏像の首のオブジェにはびびったけど。 広さは、リーガのタワーのデラックスツイン超えてる。 リビングの巨大テレビって、何インチあるの?ベッド前で50インチ? ダイニングテーブルまであるし。 アメニティ充実。 ドリンク、フードは4品まで無料。 これ、下手なビジネスよりよっぽどいいじゃん。 そら、流行るわ。 masayaがテレビを観てる間に色々探検。 探検終わってから、ソファに座る彼の横に戻る。 「ねぇ、なんかすごいねぇ。」
「そうだねぇ。」
まだ、キョロキョロするあたしに、彼が言う。
「さてっと。10万円のコースで御願いします。」
「えっと、すいません、今40代の子しかいませんので。」
「テクニックあるなら、かまいません。じゃ、その子で。」
「あー。その子、テクもないんですよ。今20代の子埋まってまして。20代の子お待ちになりますか?」
「待ったら来ますか?」
「いや、それはなんとも…。40代の子はちょっとねぇ…。」
「私、そういう趣味なんで、是非その子で御願いします。」
…何よっ!本気なのっ!!!涙 あたしが動くまでなーんにもしない。仕方なくエロ下着に着替えて、10万円コースごっこに付き合ってあげた。
お風呂お湯ためて、隣に行って、「お待たせしました。ご指名ありがとうございます。」って。 一応いろんなサイト観て予習はしてきたが、そんなこたぁやったこともないんで、無理ですよっ! 風呂入ってもたついて、身体洗ってもたついて、マット洗いで額から汗だらだら。すべるし、バランス感覚すごい必要やし、体力仕事。もう危険だってば。
「あのさー、masaya君、楽しい?」
「楽しいですよ、ゆうちゃんが悪戦苦闘してるのが楽しいねぇ。」
あー、腹立つ!こっちだって必死なんだから。もうのぼせるんだから。
「はい、お客様マット終了ですぅ。」
て言ってやった。
お風呂上がる時も、ちゃんと拭いてあげなきゃなんないしー。 いきなり上がったら素に戻ってもた。
「暑かったし、しんどかったです。」
「はぁ。私は気持ちよかったですが。」
コーラとアクエリを飲んで、煙草吸って、エアコン入れて休憩。
「次は何のお楽しみがありますか?」…まだやるのっ?
「もう普通のベッドプレイです。お客様がお望みなら、お話だけでも大丈夫ですよ♪」(にっこり)
あのさ、もうベッドになったら技とかないんだからね!てあらかじめ言うとく。
「ていうかさ、肉体労働だよね。もうなんか普段使ってない筋肉がえらいことになってんのよっ。ほんであたしは、テクとかないし、120分で2回とかイかせらんないのっ!」
「はぁ。10万円コースですよね。」
「(まだやる?)そうですけど。メインはお風呂ですから。特殊浴場ですから!お風呂は終わりました。また入ります?」
「10万円コースなので好きにしてもいいんですよね?」
「はい。どうぞ。」
ほんまいつまでやらせんねん。 もう120分超えてますよ。と言いつつ、なんかニヤ笑いで、本気で嬉しそうなmasayaを見たら、もういっかって思った。
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10万円コースやっと終了。時間オーバーですから!
お腹空いたーって、無料オーダーから、masayaは味噌ラーメン。あたしはハムチーズホットサンドを頼んだ。
ホットサンド、サラダとかポテトとかヨーグルトとか付いてて、結構なボリューム。味噌ラーメンは冷凍のだろうな。まぁまぁ美味しかった。
顔洗って歯磨きして、基礎化粧して寝る準備。 もう2時過ぎてるよぉ…。て、先にベッドに入る。 バスローブ着たまま、masayaが隣に入って来た。
脱がないの? ん?このままでいいよ。
腕枕。久々の腕枕。 そっからぎゅーって抱き締めて、背中をとんとん。でも、もう半分寝かけてる。
「ね。10年経ったね。」
「そうだねぇ。」
「ほんと、色々ありがとね。」
「いへいへ。」
寝かけてるmasayaに、おやすみのキスだけしてあたしも寝た。
腕枕してもらったまま、彼に背中を向けて、4つもあった大きい枕を抱えて眠る。少しあたしが動くと、クイって引き戻される。…そんなとこも変わってないんだね。 朝まで腕枕したままで、午前8時頃、そーっと、あたしの首の下から腕を抜いて、起き出した。お風呂にお湯溜めて、コーヒー入れて、バスローブのままテレビ観てる。
そういへば、寝起きが良くなったんだね。 masaya君も、もう会社では、かなりえらい人だもんね。フレックスだから多少は遅いけど。…昔は寝起き悪かったなぁ。
あたしは眠剤残ってて、意識朦朧。それでも、彼を送ってかなきゃ。無理して時間やりくりしてんだから。 歯磨きしつつ、湯船にちゃぽん。…眠いや。
その後、masayaもお風呂入って、豪快にワシャワシャ洗って上がって来て着替えてた。
「氷抹茶が飲みたい」
あたしがそう言うと、テレビ画面でオーダーしてくれる。あたしが氷抹茶で、彼が氷コーヒー。4品まで無料やしね。笑 氷抹茶美味しかった♪
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「さて。いきますか。」
「あい。」
立ち上がって、masayaに抱きつく。ね、キスして。ん?唇が塞がれる。 離れた後に こんなに背高かったっけ?って思う。 抱きつくと、ホントに痩せたなって感じる。 …あたしは腹肉掴まれたけど!怒。 駅に送るまで、懐かしい道を走って、それからわかんない道も走って、なんとか希望時間の新幹線に乗れるように到着。 いっぱいの思い出。いっぱいの懐かしさ。たくさんの変化。色んな事を話しながらだから、あっという間だった。
降車場に停めるスペースがない。だから、慌てて降りて貰う。
「ありがとね。」
「いへいへ。じゃ、また。」
颯爽と歩く背中を少し見送って、後続車がいるからすぐに発進。でも大丈夫。相変わらず彼は振り返らないから。
メールを送ろうかと思ったけど、それもやめた。 だって、別れた後に返事が来ないのは、この9年でわかってるもの。笑
だから、 「またね。」 て小さく呟くだけでいい。
なぜか10万円コースになった10周年。 …楽しそうだったからいっか。 でも次はちゃんとしたホテルとってよ! もう10万円とか出来ませんから。
こないだ、masayaからまたメール来た。
「ところで、どんな接待をしてくれるのだ?」
はぁ?え?何それ。
「だから、そっちに行くわけじゃないか。当然接待をしてくれるんだろ?」
…なんで、話しがそんなことになるんすかっ?
「そんなことは考えてませんけど。」
「なんでだ?行くからには接待だろう。」
「うーむ。masaya君の言ってる接待てのがわからんです。」
「考えとけ。」
「考えてもわかりませんよ。」
「例えばだなぁ。高級ソープ並みの接待をしてくれるとかだなぁ。」
「あれ?高級ソープ行った事あるの?」
「あるわけないだろ。調べてみてくれ。」 カタカタとネット検索。高級ソープは6万から10万以上。姫も美人さん多いとか。 「あー。残念ですね。高級ソープの姫は20代とか30代前半とかですよ。あたくしすでに40代半ばですので、高級ソープは無理です。」
「そんなことはいいんだよ。だからだな、20年前のゆうちゃんに戻ったつもりで接待してくれればいいんだ。」
「…でも40代です。」
「そこで、20年以上のキャリアを駆使するわけだよ!」
「そんなたいしたキャリアも技も持ってないのは知ってるじゃん。てかさ、それって楽しいの?」
「…楽しくないのか?」
「うーむ。」
「取りあえず高級だから。一般とか大衆とかは嫌だぞ。」
「はぁ…。」(なんじゃそれ)
「希望としては、10万円コースでお願いします。」
「だから10万も出したら20代の姫が来るってば!」
「俺はゆうちゃんがいいんだから、とりあえず10万円コースで。」
「…ちゃんと、それなりのホテルとって下さひ。」(困)
…なんなんだろう、この人は。 いきなりメールして来たかと思えば、ソープランドごっこで10万円コースのオーダー入れて来るし。
基本的に、あたしが困ってるのを電話で聞いたり、その場で観たりするのが好きなんだよな。Sだから。
それにしても、10万円コース、まぢ困る! とりあえず、くびれるところからスタート。 …全然間に合わない。
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