2005年09月16日(金) |
「おしさしぶりです。」 |
メールチェックをしていると、そんなサブジェクトのメールを受信した。
最近出会い系サイトからの迷惑メールが多いから、きっとまたそれなんだろうなと、何気なく開く。
…えっ?
嬉しかった。 泣きそうになった。
ずっと返事がなくて、その事を考えると落ち込んでしまうし、それでなくてもプライベートが多忙で、精神状態もよくなかった。 だから、考えないようにしていた。意識的に頭の中から追い出してしまっていた。
彼からの内容はメールはとても普通。
「仕事で海外逃亡していました。お返事出来なくてまうしわけない。」
送信時間はついさっき。 携帯にメールを送る。
「そか。そうだったのね。またお疲れじゃない時に話を聞いて下さい。」
すぐに返事が来た。
「今ならお疲れじゃないぞ。」
「電話して良い?」
着信。いつもの着信音。着信画像も表示されてる。
つとめて平静を保ったふりをして、電話に出た。
「もしもーし。こんばんわ。お疲れ様。」
「あい。こんばんわ。」
ねえどこに行ってたの?どんなお仕事で行ってたの?そこはどうだったの?楽しかった?あたしもいろいろなのよ。 行ったことのない外国の話を聞く。 彼の仕事の話はあまりわからないけど。
あたしのこと。仕事のこと。まわりの事。
ゲームを買ったよ。毎日やってるの。なんだそれ?そんなもんは常識だぞ。土管に入れるのだよ。そうしたら近道だ。みんないろいろあるみたいなの。そかそか。
「あたしは、もう何を目的としてるのかがわかんなくなってきたんだよ。焦りばかりが先にたっちゃって。本来の目的がわかんない。」
「出来ることなんて、箇条書きにすればいいんだ。」
「出来ない事の方が多いのよ。」
「そんなことは面接で言わんでもよい。」
「水商売に戻るのも違う気がする。安易に走るのも違う気がする。遠くまで働きに行くつもりもないし、忙しい仕事だとワーカホリックになっちゃう。」
「なんとかなるんだろ。なんとかせなあかんし、~*Yuuちゃんはなんとかするんだよ。」
「…そだね。」
「ちょっとゆっくりしてもいいんじゃぁないか?子供が成長した時に『あんたはそんなだった』と言われないようにすることが一番じゃないのか?」
…息子とちゃんと向き合えていない。 仕事だから仕事だから、ママはお仕事だからと言い続けて来た。 生活の安定=多忙にすると言う事ではないはず。
普通に暮らせていければいいんじゃないかしら?
そう思うと少し楽になる。
「あのね。2年前にさ、masaya君言ってくれたじゃない。『30倍の競争率なら30件うければ1件は採用になるって計算だろ?』。あれがね、なんか支えになってる。」
「そらそうだ。そういう事じゃないか。」
「焦ってばかりで、わかんなくなってたのよ。あたしはきっと仕事をするために仕事をするわけじゃない。子供と生活を守る為にするんだよね…。」
「テキトーにだ。でも適切に動かないと。焦って変なとこ決めるよりは、1ヶ月2ヶ月待ったらいいところもあるかもだ。でもぼーっとしてたらダメだってことだな。」
いろんな事を聞いて貰った。 少しだけ、ほんの少しだけど、軽くなった。 出来る事出来ない事、やりたい事やりたくない事。 仕事と生活の比重。 何が一番大切なのか。
そんなことわかってるのにね。わかってるのに見えなくなるのね。
2時間もの長電話。 あたしの今の混乱がわかったから電話してくれたのかしら? でも聞こえる声はいつもと同じ。 叱咤激励するわけでもない。
誰かにがんばれと言われる事には慣れている。 そのがんばれがあたしには重荷になる。 がんばらないとがんばらないとがんばらないと…。 安定剤を増やして、精神状態を保って、がんばってしまう。
だから。 いつもと同じ声に、あたしは救われた気がした。
「テキトーにがんがりたまへ。でも適切にだー。時間と経費の無駄になるぞぉ。」
「うん。そうする。」
いつもぐちゃぐちゃなあたしの頭の中が少しすっきりした。 ほんと、有能なカウンセラーと思った。
逢いたいっす。
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