4月も5月も逢えなかった。
あたしはそれでも、せっせと週末に休日を入れるようにシフトを組む。 たいてい、1週間前にお伺いを立てる。 そして、2-3日前になって、やっと答えが返ってくる。
「週明けに某企業への出張が決まったので、無理です。」
…またか。
過度な期待はしないようにしているけど、もう長いこと逢ってないから逢いたかったのに。
彼の仕事の詳細はあたしにはわからない。 忙しいよと言われると忙しいのだろうと認識する。 それでも、どこかに、「少しくらい時間を作ってくれてもいいんじゃない?」という気持ちもある。
週明けの火曜日。 何も予定がなければ逢える【かも】しれなかった週末の後。
仕事から帰って家にいると、携帯にメールが来た。
「出張帰りひとりで飲んでます。」
「どこで?」
「それはいわないけど、八重洲口。」
そっか。出張行ってたのね。 ヨッパライのメールは要領を得ない。 あたしが逢いたいというとはぐらかす。 いやらしい言葉ばかりが飛んで来る。 それはそれで楽しいんだけどね。あまりにもはぐらかされちゃうとね。
何考えてんだろふ…。
きっと何も考えてないんだろうね。 ただ、急に思いついただけ。
でも、思いついたとこにあたしがいたってのが、少しだけ嬉しい。
|