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優しい=青い部屋=あたしとmasayaの日々。

2004年04月20日(火) 「だいじょうぶでせふか?」

そのまま眠ってしまったみたいで。

朝体中が痛かった。
masayaからメールが来てた事を思い出して、携帯を見る。


「それはそれは。だいじょうぶでせふか?」


だいじょうぶでせふか?だって。
だいじょうぶぢゃぁなかったから、返事も出来なかったのです。

でも、だいじょうぶでせふか?と言うメールをくれたことが
嬉しい。

なんでもないことだけど
嬉しい。



甘えてはいけないなといつも思ってるから。
たまに優しい言葉があると、嬉しく思います。


本当は、しんどいようと泣き言を言ってみたいのですが
電話でもメールでもあたしにはソレが出来ません。

強がってばかりで、大丈夫だよ!と答えてしまう。


今日もメールくれたら嬉しいけど、やっぱり期待はしないでおこう。



2004年04月19日(月) 立ちくらみ。

仕事中に急に目の前が真っ暗になった。

気付くと床にへたりこんでいた。
幸い、お店にはお客様もいなくて、たまたま店のスタッフも休憩中で
倒れるところは見られなかった。


しばらく座り込んだままでいる。
頭がクラクラした。


スタッフの子が帰ってきて、御願いして横にならせてもらった。
貧血だろうか?



仕事を終えて、家に帰る時に、masayaにメールを入れる。
体調が悪い時は不安だ。
誰かに伝えたいと思う。


立ちくらみで倒れました。


夕飯を終えて、ホットカーペットの上で横になるともう立てなくなった。
masayaからのメールの着信音がカバンのなかで鳴っていたのに、
携帯をとりにいく元気もなかった。

ああ、メールくれたんだぁ。



そう思いながら、うつらうつらと寝てるだけだった。



2004年04月11日(日) FOMA

「FOMAを導入してみました。」

日曜の夜にメールがあった。
そいへば、昨日も圏外が多かったものね。

こんなに早くに導入するなんて。


電話可?

とメールを送る。

よいよ。

とレスが来る。


番号は同じ。
どんな機種を買ったのか、何がどう違うのか、カメラはどうなのか、ひとしきりそんな話をする。

途中とてつもない雑音。

「なんか雑音が入ってるよ。ガーガー言う。」

「ん?こっちは聞こえないぞ。」

ひどい雑音で会話が聞こえない。やっぱりFOMAのせいですか?
一度切ってかけなおすとmasayaが言う。

一旦切って、すぐに着信。
今度は大丈夫。


あたしもFOMAにしようかなぁ。


話ながらそんなことを考える。
だって、今の携帯にしたのも、masayaが使ってたからだもん。
同じだと通話料半額だったんだもん。


2年以上も前の話ですが。
あたしはそれからずっとそこの携帯です。


そろそろ変えようかな。メリットは何も残ってないし。
同じ携帯に替えたら彼は怒るのかしら?

別に喜んだりしないのもわかってるんだけどね。



2004年04月10日(土) 2004 1st date 土曜日。

ふと目覚めると、彼の顔が目の前にあった。

ん?

睡眠導入剤を飲んでいるので、頭がはっきりしない。というか、まだ半分意識は寝たまま。

えっ?と思っていると、なんだかあたし犯されているみたい。
急に脚の間に彼の身体が入り込んで来て、あたしは前戯もないのに、なんなく受け入れてしまった。

まどろみながらも、身体は正直で。
くちゅくちゅという音と、彼の動きと、あたしの声が遠くで聞こえる。
まるで他人事のようだ。

夢なのかとも思う。

どれくらいの時間繋がっていたのかもわからない。
すごく短い時間?だった気もするけど。
それでもあたしはとても感じているようで、でも、自分の声が遠くで聞こえる。

そして気付くと、彼のモノはあたしの口の中ではじける寸前だった。
意識がはっきりしないので、精液の味もあまりわからなかった。

それから自分でどうしたのかもわからない。



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また目覚めた時には、もう意識がはっきりしてた。
朝方に繋がった記憶はあるのだけど、感覚としては、はっきり残っていない。

相変わらず、彼の腕はあたしの頭の下にあって、横にはぐぅぐぅと眠る彼の姿があって、本当に夢みたい。


いつもは、朝あたしが目覚めるのが先で、寝ている彼を勝手に襲うのだけど、今朝は違った。夢うつつのセックスもぼやんとしていて、妙に気持ちが良かったような気がするけど、それもよく覚えていない。
寝込みを襲われるのも、たまにはいいなぁとか、ちょっと思った。
それにしても、寝ていたのに、前戯もなくするっと入ってしまうなんて、そのことが恥ずかしいです。


時間までだらだらして、お風呂にもう一度入って、(シャワーだったっけ?)そこのところも、記憶力がいいあたしにしては、今回覚えていません。

洋服を着て、外に出る支度をして、ああお腹空いたねえなどと話をして、チェックアウトした。

---

外に出てご飯を食べ終わったあたしたちは、またコンビニに寄って飲み物を買う。

「どこにしますか?」

「どこでもいいよ。でもサービスタイムが長い所がよいです。」


今回のおデートは、お出かけはなしと言われていた。
『がっつり合宿です。』と最初から宣言されていたのです。

なので、午後からのサービスタイムのラブホテルを探す。
そんなに軒数は多くないのだけど、いろんな時間帯で昼間はサービスタイムをやっているので、少しでも長くお得なところを、あたしたちは車に乗りながら探す。

「えっと。さっきのところは6時までだったよ。」

「そか。」

「あ、ここは4時までです。ダメですね。」

「あい。」


そんなことを話してると、ホテル街が終了してしまった。
Uターンして、もう一度探してみる。でも反対方向からって、表示が見えないのです。
また、最初から物色をはじめる。

「あ。ここでいいですよ。」

「では入ってみよう。」


ガレージに部屋の写真はこの辺りの常識?
入ったホテルは結構古いらしくて、あまり良い感じの部屋はない。
そのまま、スルーして、またラブホテル街をゆっくりと通っていく。

「あ。ここも6時までだよう。」

「ではここにしてみやふ。」


今度は写真ではすこし洒落た部屋が多いように見えた。でもどの部屋も同じような作り。結局もう探すのも面倒なので、適当な部屋をみつくろって、駐車スペースに車を停めた。


211号室。

エレベーターで上がると、長い廊下があって、各部屋のドアも洒落た造り。
2階の一番端っこの部屋だった。廊下の突き当たりには大きな窓があって、外の緑が見えた。いいお天気。


ドアを開けてみると、やっぱり無駄に部屋は広い。
というか、泊まったホテルと部屋の造りがそっくりで、なんだかホテルが変わった気がしない。
バスルームも同じような感じで、シャンプーやボディソープが入れてあるボトルも同じ種類。
バスタブにお湯を溜める。その間、テレビを観るのも昨夜と一緒。
ほぉんと同じだぁ。笑

「お風呂大丈夫だよ。」

「そかー。」

バスタブにちゃぽんと浸かって、彼はまたバスルームのテレビを点けて、そこまでは一緒だった。


バスタブに腰掛けた彼が、ぐいとあたしの頭を引き寄せた。
目の前に突き出されたモノをあたしはくわえる。

と同時にぐいぐいと頭を押される。
息が出来居なくて苦しい。逃げようとすると、それでもまた、引き戻されて、無理矢理喉の奥まで突いてくる。

何度も逃げようともがくけど、何度も執拗に繰り返されて、壁際に押さえ込まれたあたしには逃げ場もない。苦しくて涙が出そうになる。

ふっとその動きが止んで、お湯の中に座り込むあたしを彼の指が確認する。


「ははは。」


立たされて、壁際に手をついて、あたしはバックから犯される。
当然のように、あたしは受け入れて、喘ぎ声をあげながら犯され続ける。

こういうのが、好きなの。

少し乱暴で、少し痛くて、少し優しい。そんなセックスが好きなのです。

イきそうになったところで、彼は無情にもあたしの中から引き抜いてしまう。
崩れ落ちるようにバスタブに座り込んで、あたしは息を整える。



「…そろそろ上がります。」

「あい。そろそろね。」



洗面台に映るあたしは、顔が上気してて、身体が熱い。
しばらく、そうしていると、続いて彼が上がってきた。
そのまま跪いて、もう一度あたしは彼を飲み込む。
押さえつけられると苦しくて泣きそうなのに、それが感じてしまいます。

鏡の前でフェラをする自分の姿を想像して、また感じてしまった。



バスルームから出て、あたしはもってこいと言われたものを取り出した。
クリスマスに彼が送ってきたのは、大小のバイブレータ。
それをもってこいって言うなんて。
「命令です。」と言われると逆らえないあたしもあたし。

取り出したバイブを、ソファに座りながら、彼はしばらく眺めたりスイッチを入れたりして遊んでいたが、じゃぁ入れてみようと言って、あたしの中にそうっと挿入する。

電源がオンになるけど、そういうモノよりも、実際のセックスの方が何倍もイイ。
比べモノにならない。電気的な刺激は味気ないもの。

それは彼も感じたらしく、ちょっと試した後で、こう言った。


「楽しくないです。もういいよ。」

「でしょう。そんなに楽しいものではないですよう。」

はい。終了。
そんなものを使わなくても、彼とのセックスならば、極上の快感が得られる事は、あたしの身体が一番良く知ってる。


ベッドに移動して、今度はちゃんと抱き合う。


相変わらず、あたしの濡れ方は異常な程。
お尻の下のほうまで、濡れてしまうくらい。
昨日とはまた違う快感かもしれないし、同じ快感かもしれない。よくわからないくらい感じるのは確かだ。


正常位も好きだけど、あたしは自分が上になるが好き。
一番奥まで感じる事が出来るから。
これ以上入らないと言うところまで、貫かれて、狂ったように動くと、すごく感じてしまう。

イイノ。イイノ。すごくイイ。キモチイイのぉ。

そんな事を言わなくてもいいのに、どうにかして伝えたくてあたしは言葉にする。
でも、その言葉も最後には叫び声のようになってしまって、わからなくなる。


後ろからされるのも好き。
上になるときと、また違う場所に彼が当たるから。
背中やお尻を時折ピシっと叩かれると、快感が倍増する。

ようは
彼とのセックスならなんでも感じてしまう体質になっているみたい。


騎乗位で今日1番のエクスタシーを感じて、倒れ込んだあたしは少しの間動けない。



もう一度彼が上になる。
激しい動きで、あたしはまた感じ始める。

もっと奥まで突かれたくて、あたしは両脚を大きく拡げる。
時折目を開けると、中に浮いた両脚がいやらしく見える。
そう思うと、余計に感じてしまう。

目を開けたままでセックスをすると、快感はもっと増えるんだろうか…。



激しい動きがより早くなって、彼があたしに聞いてくる。



「中で出してもイイ?」


頷く。答える事は出来ない。絶え間なくあたしは喘いでいるから。



「もう出るよ。」


彼がそう言った。
唇が唇で塞がれる。
彼の首に腕を回して、夢中でキスをする。

と同時にあたしの中に精液が放出される。



…気持ちイイ…。


しばらくそのまま、余韻に浸るのもいつもと同じ。




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「ああ。ティッシュが遠いです。」

「あ。ほんとだ。」


繋がったまま少し移動して、なんとか彼がティッシュを掴んだ。
この情景ってすごぉくマヌケなのよね。



流れ出る感じも好きかもしれない。
ずっと前は中で出されると、後の処理が面倒だから嫌いだったのに。
人間って変わるのね。今は中でイッテ貰わないと、何か物足りない。



あたしが使ったティッシュには、うっすらと血液が付いていた。


…また流血しちゃった。笑




激しいセックスすると、必ず切れてしまいます。
激しすぎる?のかなぁ。




彼はまた眠る体制になっていた。
あたしも疲れて、ものすごく眠くなったので、一緒にお昼寝することにした。

セックスの後のけだるい身体で眠るのは、気持ちよくて好き。



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1時間半くらい寝ていたみたい。

彼はまだぐぅぐぅ寝ている。
そらそうだよね。今週は飲み会も多かったらしいし、その前の週まではものすごいハードワークで睡眠時間も少なかったみたいだし。

と、ここでそうっと眠らせてあげるのが、優しさなんだろうけど…。


滅多に逢えないから、セックスしないといけないような気分になってるのかもしれない。それに、ここ3ヶ月まったく逢えるタイミングがなかったので、あたし自身、欲求不満気味だったのもある。

途中で目を覚ました彼があたしに聞いた。


「どれくらい寝てましたか?」

「1時間半くらい。」

「そか。」


そう言ってまた目を閉じる。目を閉じるとすぐに寝息を立て始める。

だから…また勝手にくわえてしまいました。
うんと。別に何がなんでもしたいわけでもなくて。
でも、ぐーぐーと寝ている彼を見てると何かちょっかいを出したくなるのです。

でもフェラしていると、どんどん彼のモノが大きくなってきて、
あたしはそれを感じるとまた濡れてしまって、そうこうしているうちにたまらなくシタクなってしまう。


勝手に乗ってしまう。


でも、さっきの激しいセックスで切れてる箇所があるせいか、濡れているのだけど、入り切るまでがとても痛い。擦り傷の痛みに似てる。というか、実際擦り傷みたいなものだし。

動かなくてもいい。


そう思うんだけど、やっぱり入れてしまうと動きたくなる。
少しだけ自分で動いてみて、ちょっとだけ感じてみた。



「ううううむ。」

「ん?何?」

「さすがに痛ひなぁ。」

「痛いの?」

「あい。痛いです。」



そか。男の人も痛くなったりするのね。知らなかったです。
というか、そんなに長時間普段はしないし。

あたしが動くと、彼は眉間に皺を寄せる。


「痛いの?」

「痛いです。」

「では止めておきます。」


と言いつつも、くすぶった快感が残ってしまって、不完全燃焼な気分。
でも痛いのを押してまでやる必要もないし。あたしも痛いんだし。


お茶を飲んで、その後、またベッドに潜り込む。
眠そうな彼に何かと話しかけてみる。



「ねへ。」

「ん?」

「チキン様って、変よね。」

「そかぁ。」

「うん。変だよ。」



横に並んで、ふつうの会話をする。
最後ちゃんとイケなかったので、少しトゲトゲしてた気持が、話してるうちになくなって行くのが自分でわかった。


ああ、あたし。
こゆうふうにふつうにゴロゴロとかしたかったんだ。
彼の顔を触ってみたり、筋肉だぁと噛みついてみたり
そゆうふうにじゃれたりする時間って、ここ数ヶ月なかったような気がする。


特に、あたしが彼の住む街へ行くようになってから、
それはあたし自身が意識してしなかったことだ。

甘えたりすることが負担になるかもしれない。
好きだとか言ったりすると負担になるかもしれない。

自分で決めてしまっていたような気がした。
セックスだけって。
セックスだけの関係にしちゃったほうが、きっと彼は楽なのだろうって。


もちろん、彼がそうしてくれとあたしに言ったことはない。
ないような気がする。
彼の態度とか、言葉とか、ふと見せるしぐさで、あたしはそう判断した。


負担になりたくないという重いは強い。
だから勝手に予防線を張っていたのかもしれないね。


「今何時だぁ?」

「4時。」


一瞬彼が笑顔になった。目をつぶったまま。



「今笑ったでしょ?あとまだ1時間は寝れるって嬉しがったでしょっ?」

「そんなことはなひよ。」

「だって、笑ったもん。今4時って聞いた時、薄ら笑い浮かべたよ。」

「いやぁ、例えそんなことを思っていたとしても、そんなことは言いませんよう。」

「うそっ。絶対嬉しい顔してたぁ!」


裸のまま寝ころんで、変な会話でジャレてるのが、楽しかった。



「ねへねへ。あのさぁ。眉毛切っても良い?」

「ダメです。」

「ねへ。ちょっとだけだからさぁ。」

「…うーむ。」


携帯している眉ハサミを取り出して、まだ寝ている彼の眉をチョキンチョキンとカットしはじめる。

まずは向かって左。(右眉)
眉毛ボーンな人なので、放っておくと西郷隆盛も真っ青な眉だから。



「うわぁ。すっごぉい。カッコいくなったよう。」


右の形が整ったので、今度は左。
左右対称にしようとあっちをチョキチョキ、こっちをチョキチョキしてる間に、だいぶ今時の眉になった。


「目、開けてみて。うわぁ。カッコ良いよぉー。ねへねへ。見てぇ。」


目を開けて、彼は思いきり上を見上げる。


「そじゃないってばっ!」笑


壁にかかった鏡を覗いて、彼ははぁと溜息をついた。
…気に入らないの?でも絶対カッコイイと思うんだけどなぁ。うーん。


そんなことをして、眠そうな彼と遊んでいるうちにチェックアウトの時間も近づいて来た。




「はぁ。風呂にでも入ろうかなぁ。」

「でも、もうぬるいよ。」

「今から用意します。」


そう言って彼は起き出してバスルームへ向かった。



熱いお湯を足したので、適温になっていた。
お風呂に浸かって、またいろんなお話をする。
近所の温泉の話とか、スーパー銭湯の会員になったとか。
…楽しい。


あたしは先にお風呂から上がることにした。女はお化粧とかいっぱいあるものね。

「じゃぁ、もう身体も全部洗って、後は夜寝るだけにしておこふ。」

そう言うと彼はジャバジャバと洗い始めた。



用意をし始めてると、彼が上がってきて、また歯磨きを始める。
あたしも釣られて歯磨きを始める。

シャカシャカシャカ。

彼の歯磨きタイムは長い。
そんなに磨き続けると、エナメル質が削れるぞといつも心の中で心配するんだけど、言っても無駄なこともわかってるのでいいません。

服を着て、お化粧をして、髪を整えて、荷物もちゃんとして。
忘れ物はないみたい。ただまだ口紅を塗っていない。



「さて、いってみますか。」

それを合図のように、あたしは彼に抱きついてキスをする。
この為に口紅を塗ってなかったの。





「あのね。がんばれって言って下さい。」

「あい。お仕事もがんばっておくれ。」


少しぎゅぅっとしてくれて、背中をぽんぽんと叩いてくれた。
明日から、またがんばれる気がします。



「晩ご飯はラーメンだなぁ。」

「そだね。気分はもうラーメンですね?」



チェックアウトして、彼が美味しいという、【お魚のおだしの味のするラーメン】を食べに行く事にした。

一緒に居られるのも、後2時間。





お魚のダシの味がするラーメンは、今まで食べた事がない味のスープ。

というか、ラーメンのスープではなくて、別物だと思う。
見た目では真っ黒でお醤油辛いのかなぁと思うのだけど、そんなに辛くもない。
不思議な味。
和風の味。

3口目くらいまでは、美味しいと思わない。ぜーんぜん思わない。
変な味のラーメンだなぁと思って食べ続けてると、なんだかものすごく美味しく感じて来た。

おうどんのおだしに似てるなぁ。


テーブルに一味があったので、振りかけてみたら、急にものすごく美味しくなってびっくりした。最初コショーを少しかけてみたけど、なんかしっくり来なかったんだけど、一味をかけたらぴったり。


うわぁ。なんか不思議な味だけど美味しいよう。

あまりしつこくもないし、あっさり味で不思議な和風味だけど、美味しかったです。餃子は普通のお味でしたがこちらもおいしゅうございました。
完食。ごちそうさまでした。


「不思議な味のスープだねぇ。」

「そかぁ?鯖とムロアジの味だと思うが。」


…そんなのあたしにはわかりませんよう。
彼は変なとこに詳しかったりする。


店を出て、今度はお土産屋さんに連れてってもらう。
魚の干物を買うつもりで。

アジの干物と、あと梅干しを買うつもりだった。
それだけにしとこうと思ったのに、たまたま試食した「たこわさび」が非常に美味しかったので衝動的に買ってしまった。ああ、またやっちゃったわぁ。


後は駅に向かうだけです。
ちょっとだけ淋しいような気分。




駅に向かう車内であたしは彼にお礼を言う。




「今日はありがとう。」

「いへいへ。どういたしまして。」

「今度は温泉とか行きたいなぁ。江ノ電も乗ってみたいし。でも江ノ電と温泉は別だよねぇ。」

「うむ。そうだなぁ。」

「ね、お仕事ちょっとは楽になるの?」

「なるかと思うよ。」

「また来てもいいですか。」

「あい。どーぞ。」


良かった。
また来てもいいって。
あい。どーぞだって。




駅の券売機で新幹線の指定席の切符を買う。
自由席でもきっと座れるんだろうけど、もしダメだったら困るので、先に買っておいた。まだもう少し時間がある。車に戻って彼にお茶でもしない?と提案してみた。



「でも駐車場があるファミレスとかこの辺りにはないんだよ。」

適当にその辺りをドライブして、ぐるぅっと回って戻って来ると良い時間になりそうだった。
もう30分くらいだね。ラスト30分。



いつもいつも、気持の中ではカウントダウン。
後何時間、後何分。
やっぱり1時間切ってしまうと、急に切ない気分が盛り上がってしまう。
ダメダメ。切ないとか思ってしまうと、泣きたくなるし。


極めてふつうに、ドライブを終えて、新幹線口と反対側のロータリーに彼は車を入れた。


「えー。新幹線口まで送ってくれなひのぉ?」

「いや、別にいいよ。たまたまこっちに入れてしまっただけだぁ。」


後5分くらいダイジョブだよ。
これで一人で待つ時間が5分減った。



「こないだはここの辺りでモモレンジャーのお話とかしてたんだよねぇ。」

「ああそうだね。」

「モモレンジャーはちょっぴりなんだったっけ?」

「ちょぴりケチで綺麗好きだぁ。」



間抜けな会話です。
そんな事を話してるうちにもう新幹線口。



「今日はありがとう。」

「いへいへ。」

「気を付けてね。」

「忘れ物はないかぁ?」

「うん。ない。じゃぁね。着いたらメールする。」

「あい。」



ドアをバタンと閉めて、彼の車が発進するまでそこで見送る。
バイバイと手を振ったのは見えたのかしら?


切なくなりそうな気持にパタンと蓋をして、
バッグから新大阪行きのチケットを取り出した。
そして、呟く。


「たまにはホームで見送ってくれたっていいじゃん。」

3ヶ月ぶりの逢瀬。
なんか、ラブホテルのはしごしかしてないけど
それはそれで楽しかった。


桜エビのうどんも、お魚のだしの味がするラーメンも美味しかったし。


3ヶ月ぶりに逢った彼は髪が長くなっていて、でも痩せても太ってもいなくて、
相変わらずテキトーで、それが相変わらず適切かどうかなんて、あたしには全くわからないけど、優しいのか優しくないのかもいまひとつビミョーな感じだけど、

逢えて良かった。





家に着いてから、メールを入れる。

「ただいま。今家に着きました。ありがとう。」


当然のようにレスはない。
逢瀬の後の放置はもうお約束?




それでも、あたしはこれを書いている今
ほんのりシアワセ。



2004年04月09日(金) 2004 1st date 金曜日。

金曜は朝から支社で会議。

いつもなら、6時過ぎまで勤務して、そこから車でJRの駅まで出て
車をパーキングに入れてから新大阪へ向かう。

支社は新大阪。
きっと会議は夕方まで続くはず。
そのまま新幹線に乗ればいい。

そう思って、いつもは地下鉄で行くところを、JRに変更する。
もちろん、車はパーキングに置いたまま。


会議の資料と、彼が持って来いと言ったモノと、1泊の着替えとで、結構な荷物になった。会議なのに、大荷物はおかしいので、新大阪のコインロッカーに荷物を預けて支社へ向かう。

カバンの中のロッカーキーがなんだか嬉しい。


---

会議は思ったより早く終了。
予定していた時間よりも1時間も早い。
最終のひかりで向かう予定だったのに、まだ2時間半以上も時間があった。

コインロッカーから荷物を取りだして、
駅構内のショッピングモールを少し歩く。
少しだけ買い物をして、新幹線の中で読む文庫本と雑誌を買って
食べるものとお茶を買って、それでもまだ時間は余った。

とりあえず、切符を買おう。


券売機で降車駅を入れて検索。

あ。こだまがある!

発車まで後10分ほど。
到着時間はひかりと20分ほどしか変わらないけど。
乗車時間は1時間ほど長い。
指定席はもう満席だった。

でも、少しでも早くに逢えるならと思って、あたしはその列車に乗る事にした。


切符を買ってホームに上がると、新大阪始発のこだまが停車している。
思ったより乗客が多いのね。

座席はすんなりとみつかった。
後はもう座ってるだけで、彼の住む街まで新幹線が連れてってくれる。

少し胸がドキドキした。

まだ彼からの連絡はない。


---


あたしが彼の元を訪れるのは、いつも金曜夜。

金曜夜の上りの新幹線はいつも乗客が多い。
ほとんどがスーツ姿のビジネスマン。

単身赴任だろうか?
週末に家に帰るんだろうか?


煙草を吸うあたしは喫煙車を選ぶ。
髪や洋服に匂いが付くのが少し嫌なんだけど。
自分も吸うので仕方ないです。


お茶を飲んで、少しだけ食べて、雑誌をパラパラめくる。
…でも内容が頭に入ってこない。


眠いのに眠れなくて。
時間がものすごくゆっくりと流れている気もして
なかなか時計が進まない。

フと携帯を見るとメールが来ていた。

「そんなに遅くならないと思われ。」

後2時間。
後1時間半。
後1時間。

2通目のメールが来た。

「終了。」

思ってたより早く逢えるの?
てっきり待ちぼうけだと思ってたのに!

3通目のメールが来た。

「すいません。やっぱり間に合いません。」

なによう。


後30分。
後10分。

「どこまで行けば良い?」

返事はない。

「到着しました。」

返事はない。

「何分発に乗ります。」

返事はない。


仕方なく、私鉄に乗り換えて予定していた駅に向かう事にした。
知らない場所で知らない電車に乗るのは不安です。

路線表を見ると、彼が指定した駅は、あたしが初めてこっちに来た時に
泊まったホテルのある駅の一駅手前だった。

一昨年の夏のことだ。…もうそんな前になるのね。
なんだか不思議な感じ。


指定された駅に近づく。
窓の外は真っ暗に近い。
列車が速度を落として、ゆっくりとホームに停車した。



ホームから見る駅前は、ほとんど真っ暗だった。
正直途方に暮れる。

…どうしよう。

普通なら駅前にはファーストフードがあったり喫茶店があったり本屋があったりレンタルビデオがあったりするものなのに
そこには何もない。

ただ1軒だけ、煌々と明かりが点いているのが、彼が言っていた24時間スーパー。

まだ連絡はない。
メールを送ろうと思って携帯を取りだしたところに、彼から着信。


「今どこにいらっしゃるんでしょうか?」

「今指定された駅に着いたところです。」

「申し訳ありませんが、まだ抜けれないんです。
俺としてはサクっと~*Yuuちゃんにくわえていただいたりしたいもんなんだが
生憎飲み会を抜けられません。」

「はぁ。で、後どれくらいですか?」

「…早くて30分。」

「あい。なるべく早くに来て下さい。」


---


しばらくホームでベンチに座って時間をつぶした。
風が冷たくて、人もいなくて、ちょっと泣きそうになる。

改札を抜けて、スーパーへ向かう。
身体が冷え切ってたので、缶コーヒーを買って、フリースペースのような場所で時間をつぶすことにした。ここなら寒くないから。

時刻は11時。
ガードマンのおじさんがやってきて申し訳なさそうに言う。

「すみません。ここのご利用は11時までとなっております。」

「ああ、そうなんですか。ごめんなさい。知らなかったものだから。」



外は風が冷たくて気温も低い。
それでも、あたしは連絡があるまではここを動けない。

仕方なく、今度はそのスーパーをゆっくりとまわる。これと言って買う物もない。


うろうろと深夜に店内を徘徊する女は不審者に見えるんだろうか。
何度もさっきのガードマンがあたしの近くにやってくる。
風をよけるために出入り口付近に居れば、そこにやってくるし。
店内を歩けば、遠くからみているし。

あたしって、やっぱり不審?


それはそうよね。
だって、深夜スーパーなんて、みんな買い物をして、用事が済んだら帰るんだもの。
こんなに長時間徘徊してればおかしいと思うに違いない。


時刻は11時半。
長いこと出入り口から駐車場を眺めていたが、まだ来る気配はまったくない。
何度目かでガードマンが来た時には、もう限界と思って、
少し先に見えたコンビニに場所を移した。

「早く来いよ。バカ。」


ほんと泣きたい気分。


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コンビニもガラガラで、少し居づらいかもと思っていたけど、ここを出たらもう寒さをしのげる場所もない。なので、仕方なくそこに居る。

もう待ってる自分がなんだかすごく可哀想な気がしてきた。


やっと電話がある。

「今どちらですか?」

「近くのコンビニです。」

「タクシーがねいないので、がんばって歩いてます。」

「で、どれくらいで着くの?」

「15分くらい歩いて、それから、煙草などを吸ったらいけませんか?」

「だから、どれくらいで着くんでせふ?」


少しイラついてた。
あまりにも寒くて、半袖カットソーにジャケットだけではもうどうしようもなくて。
立ち読みする人が増えて来たから、まだそこに居られたけど。



結局、彼が来たのは、
午前0時10分。

へらへらとヨッパライで、ものすごく酒臭くて。

逢ったら、絶対嫌味の1つ、2つ、いいや、もう100くらい言ってやろうかと思ってたのに、あまりに普通にいやぁ、こんばんわと言う彼と、
いきなり運転席に乗せられて、操作方法を教えられて
何も言う暇がなかったです。

これも作戦?

というか、あまりにも普通過ぎて、3ヶ月のブランクあるとは思えなくて。
あたしもあれだけドキドキしてたのに、現れたのが酒臭いヨッパライだったし
初めて運転する彼の車の操作と、初めて走る道で緊張してたので
結局何も言えずじまい。

これも作戦?笑


あのさ、あたしこんな何もない場所で、1時間40分も待っていたのです。
褒めてくれたっていいでしょ?


でも、テンション高く喋りはじめる彼の顔を見てると
そんなことは、もうどうでもいいような気もしてきた。


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土地勘はまったくない。

自分で何度か運転した道ならば覚えているのだけど、助手席にいつもちんと座ってるだけなので、そうそう道なんて覚えない。
助手席の時は、こっそりと運転する横顔ばかり見ているから。

自分の車を軽自動車に変えてから、そろそろ1年。
普通車の車幅で運転出来るのか不安だったけど。
乗れば乗れるもんなのねと、自分で感心。
そだね、長い間大きなワゴンを運転してたんだもの。
乗れないはずがない。


高速道路は空いていて、アクセルを踏んでもいないのに、スピードが上がる。
最初はこわごわ制限速度で運転してたのに、気付くと140km/hも出ていた。

彼は時折横から口を挟む。

「右に寄ってるぞ。」

「今度は左に寄ってます。」

うんと。わかってるんだけど。
制御不能なの。って危険なドライバーです。

やっぱり緊張して運転してるのか、姿勢に力が入り過ぎ。
酔ってると、彼は饒舌だ。
車の事や、飲み会の事や、いろんな事を話す。
その合間にナビをする。

あたしはといえば、前方を見て、追い越しするタイミングをはかるのに、全神経を集中させる。深夜の高速は大型トラックが多いから、少し怖い。


「晩ご飯は食べたのですか?」

「新幹線の中で少し。でも小腹が空きました。」

「そういうときはうどんかそばでしょう。」

「あい。あたしはうどんがいいです。」


30分ほど高速を走って、インターを降りて、すぐ近くの深夜までやってるうどん屋さんへ。ナビをする彼は細かい。


「はい、この車線のまままっすぐ。」

「ああ、左に入っておいて下さい。」

「そこなのでウインカーを出して左。」

「そんなに突っ込まなくていいです。」


やっと到着。
事故もせず、車にキズもつけず、あたし的には合格点。


「ねへ。あたしの運転どだった?」

「うむ。ふつーだろ。」

「えー。ふつー?」

「免許は取れるってくらいだな。」

「て、持ってるよ!」



この時間なので店内はガラガラ。


「~*Yuuちゃんどっちが良いのだ?エビとシラス。」

「エビのおうどんが良いです。」


セルフなので、桜エビのかき揚げうどんと、シラスのかき揚げうどんを彼が頼んで持ってきてくれた。

…だしが黒い。


でも食べてみると桜エビのかき揚げも美味しくて、ダシは色は黒いけど、少し甘めで、彼に言わせると関西風味だということだった。
関西風味ともちょっと違うんだけどなぁ。
シラスのかき揚げを貰ったら、あっさりした感じだった。
あたしは桜エビの方が好きかな?

おうどんを食べながら、彼が話す。

「いやぁ、この時間になると、名札が田中って書いてあるのに、作ってる人は外国人だったりするんだよー。」

「そなの?」

「昼間は違うけどね。」


調理場のカウンターの方を見ると、そういえば日本人より彫りの深い顔立ちの男の人だった。そか。田中さんなのね。笑


お腹もいっぱいになったあたしたちは、後は泊まる場所を探すだけ。


もう大丈夫だと運転を交代した。
あたしも人の車を運転するのは疲れる。
それに車庫入れが出来ない。

ホテルを探す前にコンビニに寄って、飲み物を調達する。
セブンイレブンの杏仁豆腐はいけるよと、彼が言うので、ちゃっかり杏仁豆腐も買って貰った。



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少し走るとラブホテル街になる。
インター近くってどこも多いよね。
それなのに、彼の住む近くには、ラブホテルがない。ほぉんと健全な街。
だからわざわざ高速に乗ってここまで来なければならないのです。


「さて。どこにしますか?」

「どこでもいいです。そそられるとこなら。」

「うむ。じゃぁ、一通り見てみよう。」


一通り見てまわって、でもどれも決めてがなくて、こないだ行ったホテル2軒を除いて考えるとどれも似たりよったり。

とりあえず一軒選んで入ってみる。
ガレージごとに部屋の説明が表にあるので、どんな部屋かわかるようになってる。



「システムバスは?」

「うーん。どんなだろうね。」

「マッサージチェアは?」

「そそられません。」

「うーん。あ、ここウォーターベッドだよ。」

「ん?これにするか?でももう一週してみよう。」

「この中からどれか選べと言われれば、やっぱりウォーターベッドだよ。」

「じゃぁここにしてみよう。」



ワンルームワンガレージかと思ったらそうじゃなかった。
ガレージのドアを開けると長い廊下で、その先にエレベーター。
320なので、3階。


部屋のドアを開けると、いきなりベッド。
そして、奥にももう1台のベッド。
無駄に広い空間。
ランドリー着きって、洗濯機置いてあるだけじゃない!


「ねへねへ。ベッド2台もあるよう。あ、こっちがウォーターベッドなんだぁ。」

「2回ヤレって言う事じゃぁないか?」

乗ってみると身体の下で、ちゃぽんちゃぽんと水が揺れる。
でも温度調節機能がないので、少し冷たい。
疲れたので、お風呂の準備をして、入る事にした。


えいっと、洋服を勢いよく脱いでしまう彼は相変わらず。
そして、キスもされてなくて、やっぱり自分で脱いでしまうあたしも相変わらず。

…だから前戯とかしてもらえないの?笑

とにかく、お風呂に入る事にした。



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そのホテルには、バスバブルが備え付けていなかった。
こんなこともあるかと思って、家から持ってきたバスバブルを浴槽に入れてみた。

大きなバスタブではお湯の落ちる勢いだけだと、うまく泡立たない。
少しだけの泡のお風呂にふたりで浸かって、ジェットバスのスイッチを入れた。
みるみる泡が増えてくのが楽しい。


「ねへねへ。やっぱりジェットバスだと泡が細かいねぇ。」

「はぁ。そうですか?」

バスルームのテレビを点けて、テレビを観ながら話す。
彼は相変わらず、あたしに何もしようとしない。

…つまんない。


お湯が少しぬるかったので、熱いお湯を足して、しばらく二人で浸かったままテレビを観てた。


あたし上がろうっと。

先に上がって、洗面台で化粧を落として、顔を洗った。
彼も上がってきて、腰にタオルを巻いたまま、歯磨きをはじめたので、あたしも歯磨きをする。

「オーラツーならそこにあるぞ。」

いつも歯ブラシセットを持ち歩いてる人です。
備え付けの歯ブラシセットは歯磨き粉の味がまずいから、お言葉に甘えて彼のを使わせていただいた。




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ウォーターベッドに寝ころんで、彼は相変わらずテレビを観ているので、あたしもその横に寝ころんでみる。



「さてっと。前戯でもしてみるかなぁ。」

「何それぇ。」



珍しく、キスからはじまった。
でも…甘い前戯を期待してたあたしがバカだったの?

バスタオルをはがされて、次にされたのは、お尻を叩く事だった。


「いったぁぁぁい。」



ピシャピシャと勢いよく音が鳴る。
基本的にMの性質を持ってるあたしは、痛い事が快感に繋がる。
肩を噛まれる。噛みちぎられるかと思う程痛かった。
耳たぶも噛まれる。

痛いといいつつも感じるあたしがいる。
でもね、本当にものすごく痛いのです。
爪を立てた指で、胸を掴まれた。


「痛いぃぃぃ。」



彼の指があたしの両脚の間にそっと触れる。


「でも濡れてるぞ。」



少し意地悪そうに彼がそういった。


あたしを責める時の彼は、淡々としている。
あたしが喜ぶからしてくれてるだけ?
あたしが感じるからしてくれてるだけ?
彼は楽しくないのかしら?

そんなことを少し考えてみたけれど、また背中に唇が近づいて、思い切り噛みつかれた。一瞬にして、そんな考えはどこかへいってしまう。
3ヶ月ぶりの甘い痛み。痛みが去った後に残る甘美な快感。
期待していたような、【普通の前戯】ではなかったけど
十分あたしは感じていた。


「ふぅ。」

お酒が入って酔っている彼が、ベッドに仰向けになる。
今度はあたしの番。

躊躇することなく、あたしは唇を近づけて、ゆっくりと飲み込む。
舌先を遊ばせて、頭を上下に動かして、愛撫する。
しばらくそうしていた。


ふと視線を上げると、彼が眠っているように見えた。



「ねぇ。寝てるの?」
「ん?寝てなひよ。」
「だって、寝てるように見えるんだもの。」
「あまりにも~*Yuuちゃんが嬉しそうにくわえてるので、微笑ましく思ってたんだよ。」
「微笑ましいの?」
「微笑ましいぞ。」



フェラする女を見て、微笑ましいという言葉を使うなんて。
ほんと、変わった人だなぁと思う。


「ねへ。眠い?」
「ん?大丈夫だよ。」


いつもより長い時間、あたしは愛撫を続けていた。
でも、もう限界が来たようで、耐えきれない。



「…入れて。」

「ダメだよ。自分で開いて御願いしないとダメだぁ。」

「えー。なんでぇ。」

「じゃぁ、そのままくわへてなさい。」


落胆して、あたしはもう一度くわえはじめる。
そして、機会をみて、もう一度御願いする。


「…ねぇ。入れて。」

「じゃぁ、自分で拡げて御願いしたらどうだぁ?」

「だって、ヤだよう。恥ずかしいよ。」

「じゃぁ入れない。」


何度かそんなやりとりをして、それでも彼が折れてくれないので、あたしは諦めてベッドに仰向けになる。



「…入れて。」

「もっと自分で拡げてみたらどうだぁ?」


部屋の照明も全部点いている。
恥ずかしくて、そんなこと出来ない…と頭の中では思うのに、
あたしは彼に言われた通りに自分で両脚を開く。


「…入れて下さい。」


少し控えめに開いた両脚を、両手でぐいと拡げられた。
恥ずかしさと快感は比例する。


「じゃぁそろそろ入れてみようかなぁ。」

そう言う時の彼は意地悪で楽しそうだ。
あたしはもう我慢の限界だった。彼が入ってくるとものすごい快感が押し寄せて来る。
気持ちよくて泣きそう。

奥まで入ったとたんに、彼が激しく動き始めた。
瞬く間にあたしの感じ方も激しくなる。
自分でも知らない間に、あたしも腰を動かしてしまっている。

ああああん。


ラブホテルだから、別にどれだけ声を上げてもいいんだけど。
あまりにも大きな声なので、それも恥ずかしい。

しばらく正常位のまま繋がっていたけど、アルコールが入った彼には辛かったようです。


次はあたしが上になる。
あたしが動くたびに、ウォーターベッドの水が揺れて、チャポンチャポンと音がする。
膝が固定されなくて、少し不安定。

それでも、気が狂うのじゃないかと思う程、気持ち良くて。
突き上げられると、奥の奥まで届いて、子宮に当たる感覚がすごくて。
思わずイッテしまった。

あたしは動くのを止めて、はぁはぁと肩で息をして言い訳をする。





「久しぶりだから。すぐイっちゃうぅ。」

「いいんじゃぁないかぁ?」

「でも、ほんと気を抜くとあっという間にイッてしまうの。」

「俺もそろそろ出してみようかなぁ。」

「今日は出さないでいいよ。だって、酔ってる時って、男の人イカナイでしょ?」

「イクよ。当たり前です。お口で出そうかなぁ。」



もう一度正常位で、彼が激しく動く。
突かれる度に、あたしはあんあんと声を上げる。
激しいセックス。


激しい動きが止まって、すっと彼があたしの中から引き抜いた。
あたしは彼の脚の間に顔をうずめて、それをくわえてしばらく上下運動をする。
自分の体液の味と匂い。
発情したメスの匂いかしら。



「…あ。」

「ん?」

「なんか、タイミングを逃してしまったようだ。」

「ん?」

「はい。タイミング悪かったかもだ。」


唇を離してあたしはこう言った。


「無理にいかなくても。酔っぱらってるんだし。」

「そだな。それもそうだ。」

「じゃぁ、あっちのベッドで寝ないと。こっちじゃ風邪ひいちゃうよう。」



あたしはね、満足したの。
だってちゃんとイッタし。とっても気持ちよかったし。
彼も今日は諦めたみたいだ。それよりもお酒も入っていて眠かったみたい。


普通のベッドに移動すると、もう寝息を立てている。
あたしは飲み物を飲んで、煙草を一本吸って、そして、睡眠導入剤を1錠摂取した。
きっと、3ヶ月ぶりに一緒に眠ると、興奮して眠れないだろうから。
彼の横にいるだけで嬉しくて眠れないだろうから。




「ねへ、何時?」

「3時過ぎかな。」

「そか。」


ベッドに入って、腕枕をして貰う。
脚を彼の身体に絡ませて、抱き枕の代わり。
あったかくて、気持ちよいです。
既に寝ている彼の寝息を聞きながら、ひさびさの腕枕であたしもいつしか眠っていた。


とってもシアワセだ。



2004年04月08日(木) 確認電話。

木曜日。

仕事が終わって家に帰ると、突然携帯が鳴った。


え?ドタキャン?



…やっぱり何か予定が入ったんだろうか…。

不安になりながら電話に出る。



こんばんわぁ。

あい。どーも。
明日の事ですが、一応そんなに遅くはならないと思うんですが。

あい。

で、○○といふ駅まで来ていただきたいのです。

あい。

そこに24時間のスーパーがありますので、そこなら時間がつぶせるかなと。

24時間?スーパー。

そうです。というか、近くで何かある駅がそこしかないのです。

あい。じゃぁわかりました。

何時に着くんだ?

10時過ぎです。というか、それしかありませんし。

とりあへず、明日連絡入れます。




良かった。
キャンセルじゃなかった。


今年になってから、masayaの仕事がものすごく忙しくて、あたしが土曜に休みを取ってもまったく逢う機会もなかったから。

今年初めてのデート。



明日の新幹線に間に合うかどうかが、最後の難関。



2004年04月07日(水) ヨッパライ。

休日で、1日中出かけていた。
春休み最終の家族サービス。と言っても、正確には「元家族」なんだけど。

おでかけ先から一通だけメールを送った。
その日買ったインスタントカメラが高いとの愚痴を送っただけです。
25枚撮りで、1680円。
これだから観光地は嫌なのです。

夜にピロロンとメールが来た。

「アホやろ。」

何?あたしがアホってこと?
ちょっとムっとして、レスを返す。でも返事はない。


しばらくして、バイブにしてた携帯がジジジジと震えた。ん?メール?
見てみると電話だった。
…嫌な予感。
もしかして…やっぱりダメになったの?


もしもーし。こんばんわ。

あい。こんばんわー。ヨパラーイです。

ん?何?どしたの?

あのさぁ、先に言っておこうと思ったんだけど、金曜日飲み会が入ったんだよ。

…。

いや、土曜日は何もないんだけどね。

…。



やっぱり。ぬか喜びだったみたいです。
一瞬もう言葉が出なかった。せっかく3ヶ月ぶりに逢えると思ってたのに。
言葉に詰まってると、masayaがたたみかけるように話す。



いやぁ。今のとこ土曜日は何もないんだよ。

じゃぁ、何もないままにしておいて。

うむ。でも明日飲み会なんですね。だから俺が言いたいのは、~*Yuuちゃんが運転してくれと言うことだ。

えっ?そなの?

そーだよ。それに、飲んでしまうので、最終に乗り遅れて、手前の駅に~*Yuuちゃんが着いたりすると迎えに行けないという事です。

そっか。そーだったのね。

あい。そういうことだ。

じゃぁ大丈夫ですね?

あい。運転さへしてくれればね。



あたしはてっきり、またドタキャンなのかと思って、先週に続いてやっぱり今週も逢えないのかと思って、本気で落胆したのです。良かった。ほんとに。



しばらく話してると、2軒目に着いたらしい。


じゃぁ。もう2軒目に到着しましたので。
どこの駅に来て貰うかとかは、また連絡入れます。

あい。わかりました。
電話ありがとうね。

いへいへ。




ふぅ…やっと逢える。
でも、まだ明日1日で土曜日にどんな予定が入るのかもわからないし。

油断禁物。



2004年04月04日(日) とりあへず後で電話します。

日曜日。
仕事を終えて、家へ帰って、誰もいない部屋で、あたしはPCの電源を入れる。
この日はとても寒くて、外に出る気分にもなれない。
こういう日はおとなしく家にいるのがいい。


ピロピロと携帯にメール着信。


「とりあへず後で電話します。」


なんなんだろう。
何か重大な事?
あたしからは、今日は「寒い」というメールを昼間に一通送っただけ。

ネットで遊びながら、あたしは待つ。
また遅い時間なんだろうと思っていたが、それほど遅くない時間に電話がかかってきた。

もしもーし。こんばんわ。

あい。こんばんわ。今日は買い物に行って来たんだよ。


逢えなくて淋しいのは当然なんだけど、あたしは淋しい淋しいと言わない。言うと余計に淋しくなるから。
彼の買い物の話を少しして、あたしのお仕事の話を少しして
思い切って言ってみる。

「逢いたいよう。」

「いや、普通に今週末は逢えるかもしれないぞ。」

「え?嘘。ほんと?」

「うむ。逢えるかもだなぁ。」

「嬉しいぃ。」


お仕事が少し一段落したみたいです。
3ヶ月。
丸3ヶ月も逢ってない。

もう桜も満開だよ。春だよ。




あまり期待して、もし万一ダメだったら、また落ち込みます。
だからもう予定として入れておいて下さい。

たまにはあたしとの事も【予定】として。



いつも。
何かがあると、他の予定の方が優先されるのも、あたしは知っています。
でも、それも仕方ない事なのかなと、
ずっとそう思って来た。

だから泣かない。
だから怒らない。



御願いだから、予定を確定しておいて下さい。
たまにはいいでしょう?








表の日記には、こういう予定は、あたしは書かない。
今までも書いていない。
もしダメだった時に、ものすごく鬱になって、泣きそうな日記を書くだろうと思うから。

そして、もし彼の目にそれが触れたら
きっと嫌な気分になるだろうから。



あたしはいつでも彼にはご機嫌良くしておいて欲しいのです。
そーして、ご機嫌良く逢ってくれたら、それで満足。




2004年04月01日(木) 不可です。

金曜日の夜に、
あたしは彼に逢いに行くつもりだった。

一応電話でそのことを伝えてはいたのだけれど、彼からの答えは
「正直わかりません。」

木曜日には結果がわかるであろうと、その時に言われた。


水曜日になっても連絡はなくて
木曜日の昼間にメールを入れる。


「明日行っても良いですか?」


夜になって、メールが来た。


「不可です。空いてません。」


冷たい言葉ね。
いつも用件だけの簡単なメールしか寄越さない。
期待はあまりしてなかったけれど、不可ですと言い切られると少し淋しい。



「電話をしてください。」

午後10時過ぎに、携帯が鳴る。

「飲んでるンだよ。今から2軒目だぁ。」

相変わらずの脳天気な声。
淋しいとかそういうことも言える気配でもない。普通に少し話す。
それでも、ほんの少しの時間に電話をかけてくれたのは、感謝。



あたしはその日、近場で見つけた新しい男友達と約束していた。
鬱鬱しているときは、何をしでかすかわからない。いつも自分でそう思う。
淋しさに負けてしまうかも…?
そんなことを考えてるときに、彼から電話があったのです。

少し落ち着いたみたい。


きっと、意地悪をして無視しているわけでもないんだろうな。
わざと逢えないって言ってるわけでもないんだろうな。

そう思うと少し安心したのかもしれない。



だから、その日の男友達との約束が、少し鬱陶しくなった。



あたしは他の誰でもなくて、masaya君に会いたいのです。
へらへらと愛でていただきたひのです。
誰も代わりにならないのも、わかってんのにね。


 < past  INDEX  will>


~*Yuu
エンピツ