体が一瞬痙攣して目が覚めた
錯覚だったのか現実だったのか 汗が体を覆っていて気持ち悪い
そこは白と黒の世界で 何故かいる場所は車の後車席 だが運転席は視界になくて
車が動いているのかもわからない
見えるのは
助手席のシートの背面と窓
そしてその隙間からみえる顔
そこにいる奴は
名前も覚えていない 小学・中学生のころのクラスメイト
仲がよかった記憶もないただの他人
そいつの無機質な顔で口を開いた
―人を殺したんだろ?
俺は何度となく疑われてきてるかのように うんざりとして
―違う
そう答える
だが相手は聞いてないかのように
続ける
―人を殺して金をもらっているんだろ?
ビシ
何故か画面にヒビが入った気がした
自分が殺したりするはずないのに
―違う
俺はやはりそう答えた 更に気分が悪くなり
視界が暗くなる
単に下を向いているのか
自分の足が見えないほど暗いのか
―それがお前の仕事か 一度 で―― もらえるんだって?
ビシビシッ 更にヒビが入った気がする
―違う!!
本当に 俺は人殺しなんかじゃないのに いつまでこの質問はつづくのか
どんどん自分が追い込まれ傷つくのがわかる
黒一色の世界で言葉だけ響きだす
―何故殺した?
…
違う違う違う違う!!!
そんな言葉の響きと 窮屈に追い込まれた自分の心だけが
理解できるその空間で
黒の画面が真っ赤に染まった
今日の一口<自分が怖いのか世界が恐いのか 不安が映像になったようで>
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