Food for Thought
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2007年07月24日(火) ブログはじめました(引越ししました)

使い勝手を考え、ブログに移ることにしました。まだ使いこなせていませんが。


2007年07月20日(金) 河合隼雄さん死去

新聞で河合隼雄さんが亡くなったことを知り、ショックを受ける。脳梗塞で倒れたとの記事を見てたいへん気になっていたが、もう1年近く前のことだったのか。
その間、意識は戻らなかったのだろうか。

ご冥福を祈ります。


2007年07月16日(月) 佐藤優書店にて購入

ジュンク堂の児童書の階で子どもたちが本を選んでいる間に、佐藤優書店をのぞきに行った。周りには誰もいない…本人の独特の字体で書かれたPOPがところどころにあり、なんとなく「息遣い」が感じられる。私が持っている伊東乾著『さよなら、サイレント・ネイビー』が置いてあってなんとなく嬉しい。でも結構難しそうな本が並んでいる…身の丈を考えて(?)無理をせずに読めそうな魚住昭著『国家とメディア』『官僚とメディア』、高尾利数著『イエスとは誰か』を購入。

『国家の罠』で拘置所での様子を読んで佐藤優氏の精神的な強さに感心すると共に、その源はクリスチャンであることからきているのかもしれないと思った。『国家の罠』については改めて書くつもり。

子どもたちは毎週テレビで「レ・ミゼラブル少女コゼット」を楽しみに見ているのだが、本屋にあった『ああ無情』を下の子に「これ少女コゼットだよ」と見せると、「ほんとだ!これがいい!」と座読スペースに行ってむさぼるように読みはじめた。上の子も『ああ無情』という本は知っていたが、いつも見ているテレビ番組とは全然結びつかなかったそう。「話が分かっちゃうから先は言わないでね」といいつつ、自分の選んだ『デルトラクエスト』より先に、下の子の本を夢中で読んでいた。

あとは下の子用に国語辞典を買った。全然そんな予定はなかったのだが、辞書の棚にあった『7歳から「辞書」を引いて頭をきたえる』が目に入り、立ち読み。うん、この方式は良さそう。同著でお勧めの辞書を調べ、3つあったうちからベネッセのを買った。使いやすいよう、箱もカバーも取り、調べたら付箋を貼っていくと励みになるそう。帰ったら早速実行。

「知るって楽しい」と子どもに思わせることができたら、教育は半分成功したようなものかもしれない。


2007年07月15日(日) David Hoon Kim のデビュー小説

雑誌 New Yorkerの夏のフィクション特集号で唯一の新人作家デビュー作品として掲載されていたDavid Hoon Kimの"Sweetheat Sorrow" を読んだ。著者は村上春樹に影響を受けたといっている。(著者 Q&A

主人公Blatandは「見た目が日本人」、中身はデンマーク人の青年。日本人の両親の下に生まれたが、小さいころ養子にやられてデンマークで育ち、今は学生ビザが切れた後もパリに不法滞在している。

まず、パリで「見た目が日本人」とどうして言えるのか。アジア系なら分かる。でも、小さいころからヨーロッパで育ち、日本の文化に接していなかったなら、姿勢やしぐさなどの「日本人的特徴」が現れるとは思えない。韓国人にも中国人にも見えるだろう。そして、日本語を一言もしゃべれない「見た目だけが日本人」(ということにしておこう)の男の人に、日本人の留学生、しかも日本の受験戦争などのプレッシャーから精神疾患になり、パリに「逃避」してきた女性がひかれ(つきまとって?)、付き合うようになる、という状況はなんか説得性がない。男女の中なので絶対にありえないとは言わないが、海外では見知らぬ日本人同士は、どっちかというと避けたがる傾向があると思う。(おまけに、「中学校でフランス語を学んだから」という理由で留学先にパリを選んでいたりする)

フミコという、3つ向こうの部屋に住むその女性がある日自分の部屋に引きこもったきり出てこなくなる。”Hikikomori”、日本の「ひきこもり」についての言及もある。村上春樹の『アフターダーク』の影響か。

彼女は「日本語で妻は夫を“vous”(あなた)と呼び、夫は妻を”tu”(君、おまえ?)と呼ぶ。」というが、この世代ではそんなことはないのでは。

「日本では神経衰弱の大半は十代後半から二十代前半に起こる。大学入試や、大学入試の資格を得るためのテスト[共通テストのことか?]や、資格を得るためのテストのための準備クラス[予備校?]などがある頃だ…自分の体臭が気になってしょうがない病気になる人もいる…しかも、準備クラスに入るためのテストもあるんだぜ…信じられるか?」と語る同じアパートの学生。

その心理学の学生が、フミコは日本を忘れるためにフランスに来たのに、日本を思い出してしまうものがそばにあるので…とBlatandに言う。はっきり言わないが、「君が日本人に見えるから…彼女は苦しんでいる」と言いたいらしい。フミコが「日本を忘れたい」、というのもちょっと違う気がする。「日本」という大きなものより、もっと具体的な、例えば大学入試の挫折や、親の期待からくるプレッシャーから逃れたいのではないだろうか。

そして自分がよく日本人に間違われることを皮肉って、Blatantは”I probably look about as Scandinavian as the Emperor Hirohito”(僕はヒロヒト天皇と同じくらいスカンジナビア人に見えるんだろう)と語る。何でここで昭和天皇が出てくるのか?

要するに一番引っかかるのが、韓国系アメリカ人の著者がなぜ日本人(に見える人)と自殺する日本人の彼女について書くのか、ということである。やはり、細部は日本人の実感とはずれている。著者David Hoon Kimは韓国で生まれ、子ども時代を過ごし、後にアメリカとフランスで学んだそうである。

正直、最初に”Sweetheart Sorrow”を読んだとき、面白いと思った。でもそのうち日本人の立場からの疑問や違和感がむくむくとわきあがってきた。
著者に悪意はなくとも、潜在的な日本に対する複雑な思いというのがどうしても出てしまうのかな、と思った。書いている言語は英語である。日本の誤ったイメージが一人歩きしなければいいが。


2007年07月10日(火) お詫びのコストも削減?

地下鉄車内で字だらけの広告だなあ、と思ったらNOVAのお詫び広告だった。

電車内のお詫び広告というものは、はじめて見た気がする。
ふと、もしかして全国紙に新聞広告を出すより安いからなのか、と思ってしまった。
単純な比較はできないが、値段はこんなもの?

東京メトロドア横ポスター料金
日経広告掲載料

NOVAのコスト削減の厳しさは外国人講師に不評らしく、NOVAユニオンという講師の労働組合のサイト内のCartoonsをクリックすると"The Cost Killers"という風刺漫画が載っている。「ブース内にハンモックをつって、そこに講師を寝泊りさせて住宅費をさっぴくのはどうかしら?」など…




2007年07月06日(金) 講師サイドが語るNOVAの実態

[注] 英会話学校に通っていて、それなりに満足している人は読むべからず。語学学習にモチベーションは非常に大事だから。


NOVAで外国人講師を経験した人たちの客観的と思われる意見をまとめてみると:


日本に興味がある英語圏の人にとって、ビザ、住居、安定収入を提供してくれるNOVAは日本入門にうってつけである。
まず、NOVAは利益が主目的である巨大な企業だということを理解しなくてはいけない。NOVAは、外国人が日本体験する機会と引き換えに、ネイティブスピーカーが稼ぎだすお金を得る。

大卒のネイティブなら、専攻に関係なく誰でも採用される。来日すると、まず「NOVAのアパート」に案内される。自分の収入から考えれば妥当な家賃だが、他の民間の物件に比べるとかなり割高だ。外国人にとってはちょっと大変だが、落ち着いたら自分で部屋を探して移った方がいい。

来日すると、4日間の日本に慣れる「猶予期間」の後3日間のトレーニングが始まる。それだけではまだ準備不足で不安だが、あとは実践を通じて覚えていくしかない。

NOVAでは受講生ひとりひとりに気を配っているわけではない。が、方法としてはかなり効果があり、受講生は目覚しく上達してくる。

テキストの内容は古いし、繰り返しやっている講師はそのうち退屈になってくる。受講生は好きな時間に予約を入れ、固定的なクラスはないので、毎回よく知っている顔とはじめてみる人が混じった状況になる(レベル別)。

給料は大手英会話学校ならどこも大体同じで、月25万くらい。十分日本で快適に暮らしていける。勤務は週40時間で、2日連続休み。土日はいちばん需要があるので、両方は休めない。シフトは10:00からと1:20からのふたつ。ほとんどの講師は受講生の多い遅番で、夜9:00にあがる。祭日は休みではない。6ヶ月以上いると、有給が2週間もらえる。

クラス外で受講生と交流するのは禁じられている。世界中から来た他の講師と知り合うのもいい経験だ。オーストラリア、イギリス、カナダ人が多い。

勤務地の希望をきかれたら、大都会をはずした中間くらいの場所で、小さい学校の方がいい。大規模校のボスは社内での出世を目指している人が多いので、杓子定規でやりにくかったりする。

日本に来た外国人は3つのステージを経る。

・ステージ1:ユーフォリア(いわゆるハイ)。すべてが新しくエキサイティング。スーパーでの買い物も冒険だ。
・ステージ2:落ち込み。というか、ステージ1の反動。このステージは短いが、結構強烈。
・ステージ3:受容。そのうちまわりの環境に慣れていく。

講師経験から他の仕事、例えば国際的なビジネスや外交にステップアップできるなんて思ってはいけない。正直、何のキャリアにもならない。

ネットにはNOVAの悪い話がいっぱいだ。「まるで工場」「利益至上主義」など。「とにかくNOVAで働くのはやめろ」というのが大多数。だが、こういうコメントは何か個人的な恨みがある人が書いていることが多く、中立的な意見ではない。新人講師の多くが会社勤めの経験がなかったりする。

当然、普通の受講生から経済指標や、医療研究や、中東情勢についてのディスカッションなどは期待できず、せいぜいスポーツや、歌手や、ハリウッド映画について話すことになる。あっちこっちのクラスでブラピの最新映画についてばかり話すのは結構ツライ。下のレベルになると話題が40分間「好きな食べもの」だったりする。1日の終わりにはとにかく知的刺激に飢えている状態。

閉所恐怖症の人には向かない。毎回狭いブースでのレッスンに耐えられないだろう。対人スキルを磨くのには最適。人と話すのが上手くなる。

たぶん、1年契約した講師のうち半分以上は満了前にやめる。でも3・4年や6年教えている人も結構いる。最長で13年という人もいた。
ただ、ずっと働くようなところではない。給料がそんなに上がるわけではないし、勤続年数で評価が上がるわけでもない。マネージャーにとっては6年選手も6ヶ月の人と同じ。



NOVA及びAEON、GEOS、Berlitzなどの大手英会話学校の外国人講師は、ワーキングホリデーのような形で日本に来ていると考えると分かりやすい。いわば、「日本って面白そうだし、一度行ってみたい」という、フリーター達のためのプログラムだ。採用の敷居が一番低いのがNOVA。
素人なので教授法も何もわかっちゃいないが、なぜかそれなりに上手くいく。日本人の妄想で、欧米人と英語に対して憧れをもっているのがいい緊張感をもたらし、モチベーションを与えるからだ。NOVAはその舞台装置を用意する。成果の大部分は受講生に負うところが大きいので、やっぱり授業料は払いすぎでしょう。


例えば、逆の立場で考えてみよう。「なんとなくアメリカに行ってみたい」という日本人のフリーターが、「日本語のネイティブ募集!経験不問」という新聞広告を見て応募する。即採用。別に一言もアメリカ語をしゃべれなくてもいい。「ネイティブの日本人」ということで、数日の研修だけで、アメリカ人相手に日本語を教える。ありえない…



好意的な目で見れば、外国人に日本に来てもらって、日本好きになってもらうのには役立っているかもしれない。受講生の負担でね…


参考サイト(英語):
The Unbiased Truth About Nova
Working at Nova: My experience
A guide for those considering teaching English for Nova in Japan


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