みょうの日記
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もしかしたら初めてじゃないだろうか! 何がって? それは、私が投票した人が当選したことが! だったりする。 ほぉぉぉぉっ、こいつは快挙だ。
後で新聞で確認したところ(4月1日ね)、なんと青葉区以外は僅差で現市長が上まわっていた。つまり、青葉区が奮起しなければ、現市長は4期当選確実だったのだ。TVでも言っていたが、この逆転劇は投票率5%アップしたがために起きたことだ。5%だよ? 「しょせん何にも出来ないよ」って言ってる人! たったこの程度行動しただけで、こんなすごいことが起こるんだよ! だから無駄じゃないんだって。 それにつけても、他区の投票を見てもわかるとおり、「どうせ何にも変わらない」って文句言いながらも、現状維持を望んでいる人の多いこと! これじゃ、変わらなくって当たり前だよね?
それからさ〜、某与党の皆様。 たかだか首相の激励一つで現市長が落選したなんて、本気で思っているなら国政に携わるだけの手腕はないんじゃないの? 本当にマジで思っているのかな? そんなことぐらいで票が流れたわけじゃないでしょ? これまでの政治姿勢に国民が市民が不信感を覚えたからこその負けじゃないの? その辺、本気で考えないとまずいんじゃないの? まぁ、厚顔無恥にも「首相が激励したから〜」なんてことを声高に言ってるようじゃ、いくら考えてもどうして負けたのか、なんてことはわからないのかもしれないけどね。
時に、新市長の中田氏は・・・しゃべり方が野村萬斎氏に似ているような気がする・・・。
いい天気だったぁ・・・。 思わず外に遊びに行こうかナァなんて思ったぐらい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ そう。思っただけなのであった。
そうそう。招き猫さんのお酒が届いた。 ポチ子さんが送ってくれたのだけれど、もうすぐゴンの月命日だから、 そのときにあけようと思ってゴンのお骨に供えた。 招き猫さん、どうかゴンを招いてください。 大事な大事な猫なので、間違って他に行っちゃわないようにしっかり引き寄せてください。よろしくおねがいします。
うちの母は、早く空けてあげるのが供養だよ〜、などと言っているがっ! 訳知り顔で言うよりも、その口元のヨダレを何とかしてくれ〜。 母とオトートは酒飲みだからなぁ・・・。しっかり見張ってなきゃ。
ポチ子さん、ありがとう♪
病気をして長患いになりそうだってわかったとき、実は私はスポーツクラブになんぞ通ってた。・・・いや、最後の方は・・・その、サウナOnlyっぽかったんだけどネ。 で、スポーツクラブの月費って、それなりのお値段がするじゃない? ゴンの通院が3回できる値段なのよ。だから、スポーツクラブをやめたんだけど。 (いや、その前にもったいないからやめれば〜? とか言われてたことも事実だけど) 病院通いしている間に、家の近くにフィットネスクラブが出来たのを思い出して、また通おうかなぁ〜、なんて、さっそく会社の帰りにパンフを貰いに行った。 それがね、病院と目と鼻の先なんだ。 で、帰り道は4年10ヶ月ゴンと歩いた道と一緒。 夜、雨の中ひさびさに病院の道を歩きながら、いろいろ思い出を辿ってしまった。 「あ、ここでよくゴン、ピーピー鳴いてたなぁ」とか 「この辺りまでくるとニャンコバッグから顔を出してフンフン空気の匂いを嗅ぐんだよなぁ」とか ゴンが最後のうんPをしたとき、ユルユルでシートがすごく汚れちゃったから、慌ててゴンをバスタオルで包んで、抱いては作業できなかったから地面に寝かせて、いそいでシートを替えて・・・。なんてやったことまで思い出した。
もういないんだなぁ、って改めて感じてしまった。 さて・・・、フィットネスクラブ、どうしようかな。 通うとなるとこの道も毎回通るんだよなぁ・・・。
K子さんと待ちあわせて行って来た。 会社の近くの公園なんだけど、さすがにもうお花見って雰囲気じゃないなぁ。 結局コソコソと公園の隅で、花を愛でつつ・・・と思っていたのに、実際ごはんを食べてしゃべってる方に集中しちゃって、「はっ! お花見!!!」と気づいたときにはお弁当は空になってた・・・(T△T)。
花ももう終わりだね〜。 そういえば、29日から三渓園では夜桜見物ができるって書いてあったけど、花は残っているのかな。 4月、もうすぐ4月かぁ。 早いなぁ。ホント、早い。もうすぐ1ヶ月になるんだね。 だいぶゴンのいない生活になれたけど、時々「ゴンがいない」っていう言葉に反応してしまう。
いやぁ、季節が逆戻りしてるね。 最近、オトートが外猫をかまい出した。 やっぱし寂しいんだろうなぁ・・・。何しろ、ゴンが逝って号泣してたからなぁ。付き合いからすると、私よりもオトートの方がちょっとだけゴンとは長いわけだし。 未だにマメに花を買ってきたり、線香あげたりしているし、うん。
そんなわけで寂しいんだろうけど、ガチャ君を除いてみんなオトートの姿を見ると逃げていく。しょーがないか、オトートはでかいから。
昨日は電車から見える桜並木を眺めながら、「桜ももう終わりだナァ」ってしみじみ思った。ずっと待っていた桜だけど、あっという間に散っちゃうのか。
うちの会社の近くに住むK子さんとは、元同僚で会社のオヤヂの奥さんでもある。で、K子さんと「今日はお花見ランチでもしよう」なんて話をしていたんだけど・・・・・・・・・。 雨。
むー、今週に入ってからやたら天気が悪い。お花見どころじゃないね。 考えてみたら、今年の桜はゴンが引き寄せたものだから、天気に無理が出てきちゃったんだぁ。なんてね。
でもね、先日TVで開花までのお天気表を出して説明していたのを見て、改めて気がついたことがあった。 今年3月は軒並み平年よりもやたら気温が高いのだけど、1日だけ平年以下の日があった。 そう・・・、3月3日。 ゴンが死んでしまった日だ。 その日だけが例年を下回り、とても寒い1日になったのだ。 だからぶっちゃけた話、病院の先生が処置を施してくれた鼻とお尻の孔の詰め物以外、ゴンには保冷の処置もしていなかった。 あ、最後にゴンを連れて行って、死亡確認をしてもらった後、先生が脱脂綿を詰めてくださったのだけど、死んでいるってわかっていてもつい「ゴン、苦しくないですか?」なんてしょーもないことを聞いてしまったっけ。
3月3日の前日でも次の日でも、ゴンをそのまま放置しておけない気温だったのだ。だから、もしかしたらやっぱりゴンは逝くべき時に逝ったのかもしれない。保冷していなかったから、ゴンは体温がないだけで体はやわらかいままだった。どこもドライアイスなどで火傷や霜がついたりしないままだった。 焼き場に向かうまで、ずっと抱っこして、手を握って、肉球の奥の指の付け根を触っていた。
ところで、猫にも握力があるって、皆知っていることなのかな? 私はよくゴンの指の付け根に自分の指を差し込んで、ニギニギするのが大好きだった。すると、ゴンは短い指でまるで人間の赤ちゃんみたいにギュッと私の指を掴んで離さなかった。 その力は意外と強くて、軽く引くぐらいだと外れない。
・・・あ〜ぁ、肉球触りたい。 こればっかりは外猫の肉球とはまったく違うのよぅ〜。
毎月毎月待ちに待っていた給料日。でもね〜、なぁんか使い道なくなっちゃった。張り合いないナァ・・・。
今まではいくらあっても足りないぐらいだと思っていたんだけど、当分は溜まる一方なのかな。まぁいいや、適当に景気良く使うか。 そもそも私にはあまり物欲はない。取得欲(というのなら)は人並みにあるんだけどね。どうやらお金の使いどころが他の人とちょっと違うらしい。 服も靴もかばんも別に使えればいいや〜、で、ブランド物にはこだわらない。趣味っていってもろくな趣味はないし・・・。 まぁ、唯一貴金属には妥協せんぞって感じなんだけど、それも安物だとすぐ無くすからって理由なのだ。もちろん、こちらもブランド物には手を出さない。 っていうか、ブランド物にはとんと疎い。ホントに疎い。 私の場合、欲しい=手元にとりあえず置いときたいってだけで、つまり手に入れちゃうと執着しない。 割と万単位のものも平気で粗雑に扱う。・・・威張れたことじゃないなぁ。 なので、最初からいい物を買わないか、無くしたら血の気が引くほどのものしか買わないわけで、ズボラの上に飽きっぽいという、なんとも救いようのない性格だったりする。
ゴンがずっと通院を余儀なくされたとき、先生から「2年近く通っている人もいますよ」と言われて、最初に思ったことは「げっ、そんなに続かないよ。多分途中でぜったい嫌になる。きっとすぐ諦めちゃうよ」だった。 まさか4年10ヶ月も通い続けるとは思わなかった。 これは偏に、ゴンが身の危険を感じて(笑)自己防衛に終始したからだと思う。 なぜなら、病院へ行くときのゴンは、手を変え品を変え私の欠片ほどの母性本能をくすぐっていたからだ。 病院へ行く素振りをすると、まずゴンはハイエナみたいに腰を落として、コソコソといろんなところに隠れてしまう。で、私はそれを部屋中捜し歩いて回わるのだが、側に接近すると怖いのを我慢できなくなるらしく「ひぁぁんっ」と思わずといった調子に声をあげて自分の居場所をバラしたりする。 待合室では、立ち上がって両手を離しても落ちないぐらい、がっちり私に抱きついて離れなかったり(さながら巨大なブローチのようだった)、診察が終わると自らニャンコバッグに入って、あまつさえ入口の方へ向き直って座ったり・・・と、可愛いことを山ほどしてくれた。 抱きついているのを、他の飼い主さんは爪を立てているのだと思ったらしく、「これじゃお母さんは大変ね。傷だらけじゃない?」と言う人もいたが、奴は純粋に腕力と脚力でへばりついていたから、爪痕はほとんど出来なかった。 毎回、私はそんなゴンの甘える仕草が見たくて病院通いを続けたのだ。 ゴンがもっとがんばってくれたなら、まだまだ5年でも10年でも通い続けられた。 まぁ、最後はちょっと無理させるのも可哀相なくらいだったけど。
春には春の、夏には夏の、秋には秋の・・・、そして冬には冬の楽しみが病院通いにはあった。 あんなに楽しかったことは、もうないだろうなぁ・・・。 あんなに切なかったことも。
給料のほとんどをゴンの治療費に充てていたから、今月からはおネェは金持ちになるぞ。悔しかったら、早く戻っておいで。
まる三週間が経った。 ・・・なんて信じられない。三週間、長いのは短いのか微妙。 遠い遠い日の出来事のような気もするし、あっという間だったような気もする。 今までは、すごく楽しかったこと、すごく悲しかったこと、すごくつらかったこと、すごくしあわせだったこと、が思い浮かんでいたけれど、最近はほんの些細な日常がちょっとした拍子に浮かんでくる。
たとえば、そう。 ゴンには変なくせがあった。ゴンのうんPを片付けてトイレに持っていくと、その後をいそいそとついて一緒に中に入ってきて、何の儀式か、便器の周りを一周するのだ。 それから一緒に寝ていると、ときどきゴンは私の顔を毛づくろいしてくれていた。猫の舌はザラザラしていて痛い、とよく聞くが、ゴンの舌を痛いと感じたことはない。なんていうか、マッサージされているみたいでなかなか気持ちが良かった。ゴンは天性のマッサージ猫だったのかなぁ。肩揉みも、時にウトウトしてしまうぐらい良かった。 私がお風呂に入っていると、必ず脱衣所に来て「んがー」と喚きちらす。ドアを少しだけ開けてやると、鼻だけつっこんでフンフン匂いをかぎ、頭でぐりぐりこじ開けて入ってきたり(でもお風呂は嫌い)。 洗濯機を回していると、上に飛び乗って、手洗いに切り替えたりもよくした。 5歳で去勢したわりにその方面に疎くて、求愛の歌はほとんど歌ったことがない。外でソノ声が聞こえると、「むむむ、何? 何何? なんなのーーーっ?」って窓にへばりついて「うにゃうにゃ」言っていたり、喧嘩の時も大慌てで駆けつけ、窓の外を見ながら一緒に戦っているつもりなのか、「んぐー、んがっ」と小さい声で言いながら口吻を膨らませていた。
・・・思い出したらきりがない。
なにやらすごく忙しく・・・というか、大量口が入ったために休日出勤した。 早く上がれたら帰りに買い物でもして、指圧でもして、なんていろいろ考えていたけど、普段よりも遅くなっちゃった。
お彼岸中は、やっぱり気持ちが三週間前に戻ってしまっているらしい。 お世話になってるサーバーさんが長期メンテに入っていたため、アップがなかなかできなかったが、とりあえず更新用のページだけ作成。 そう、ゴンの、最期の1ヶ月の写真、追悼ページだ。 私はゴンを撮り続けた。特に最期の4日間は、カメラを向けるたびに「これが最期の顔になるかも」と思いながらシャッターを押した。ゴンは本当に急激に衰えていった。 すくなくとも2月前半までは鼻の頭にも毛があったし、病気をしているふうではあったけど、病的ではなかった。それが急激に鼻の頭の毛が抜け、皮膚がパリパリに乾燥し、歩く事もままならなくなった。足のあちこちから膿が滲み出て、代謝があきらかに遅くなっていった。猫の前足の、親指に当たるところに小さな肉球があるが、ゴンのこの肉球は本当にプラスチックのようにカチカチになっていた。脱水が肉球を硬くしたのだ。 けれど、本当の最期の一枚は、不思議とそれほどボロボロには見えない。 そして、最後の写真を撮ってカメラを置いた2時間後、ゴンは息を引き取ったのだ――。 夜中、どの写真を載せようか、残された写真を見ていくうちに、ふと一枚に目がとまった。 それはゴンが横向きに寝てコチラをみている写真だった。 そして、その写真は不思議なほど、ゴンの息遣いを感じさせてくれる写真だった。毛のやわらかさまで指が思い出すような、本当にリアルな写真だった。 画面に手を当てたら、あの滑らかな毛の感触までわかるかもしれないと思うくらいで、その晩、久々に大号泣してしまった。写真を見ながら、暗闇の中「あうあうっ」とオットセイみたいに泣き続けた。…端から見たらきっと怖い光景だったろう。 抱っこしたい、抱っこしたい。 触って質感をたしかめたい。 そして朝、もう一度同じ写真を眺めようとPCを立ち上げて探してみたが、あれほど目を引いたリアルな写真が、いったいどれだったのかわからないくらい、他の写真に埋没していた。 もしかしたら、あのときPC画面に本当にゴンが乗り移っていたのかもしれない。 触っておけばよかった。
春分の日、ゴンと約束したお花見に二人っきりで行ってきた。 桜の花は7分咲きといったところだったけど、初めからこの日って決めていたから有無を言わさず決行! とりあえず、かねてから考えていた『三渓園』へ向かった。 午後少し遅くに家を出て、ついたのは4時十分前ぐらい。桜は、園に行く前の道の方がすごかった。そうそう、入口付近のお店で猫の置物発見。最初は素通りしたものの、なんだか惹かれるものがあって引き返し、つい、一番ゴンに似た毛色のものを購入してしまった。 とりあえず入園して、まずは内苑から制覇。何しろ内苑入場は4時までだったから、大急ぎで入場口へ滑り込んだ。…のわりに桜の木がないのか、ちょっと寂しい様子だった。それでもゆっくりゆっくりゴンと話をしながら、内苑を歩いた。 「ゴン、約束のお花見だね」 …それに応えるように(?)、家を出たときは晴れていた空が俄かに曇りだし、内苑を出る頃には何やらアヤシイ雰囲気。 続いて外苑を周っていく。此方の方が桜は多かった。が、印象としてはあんまり満開ではなかったような…。 一周をゆっくりゆっくり時間をかけて歩いた。まぁ、恐ろしいほどの強風に煽られ、サクサク歩けなかったっていうのもあったのだけれど。 時折、砂埃のカーテンが出没するぐらい、それはまぁ、すごい嵐のような風デシタ。 三渓園が閉まるのは、5時。結局1時間ほど歩いて園を出た。 帰りにはとうとう雨が降り出し、バスの中で「よりにもよって何だってこんな日に〜」と思わず考えてしまった。 ゴンがきっと喜んで・・・と思うには、さすがに無理な天気だった。 いや・・・今までの仕返しをされたかな(笑)。
っていうか、なんでだろう。 一時期だいぶみんな落ち着いてたんだよ? それがね、またいなくなって3,4日ぐらいのきっつい時にもどってしまった。 昨日は家族で酒盛り。 んー、考えてみればあの日から私ってば、毎晩酒呑んでるじゃん。 昨日の夜も涙、涙、涙・・・・。ボロボロ泣きながら、またゴンの声を堪能。 思えばゴンの声、実は赤ちゃんの頃から割と低音だった。 「ビァァァァ・・・ビィァァ・・ブブブ」って感じかな。 ・・・ね、猫の声じゃない。 なんてことを思い出しながら、ふと考えた。 お彼岸って春分の日を挟んで3日ずつを含めた期間なんだよね。だからきっとゴンが今側に来ているんだよ。だから、その気配をみんな無意識のうちに感じ取って切なくなってるんじゃないかなぁって。
どうやらオトートの知り合いの方が、ゴンを失ったことを知って、現在妊娠中の自分のおうちの外猫さんの子を良かったらもらってくれないかって言ってきているらしい。 まだ生まれる前のことだし、母はもう嫌って言ってるし、私もちょっと安易な出会いっぽいなぁ、なんて思っちゃってるし。第一まだ日数が合わない! ゴンじゃないって(たぶん・・・。水泳のターン並に虹の橋に行く前に舞い戻ってきたっていうんならともかく(笑))。 オトートもとりあえずゴンがいなくなったばかりなんで、とお茶を濁しておいたみたいだけど、奴は要注意だ。 何しろ、文鳥のチィ君、ゴンと続けて連れてきたのはオトートだから。 ・・・実は奴は動物苦手。にもかかわらず、なぜか一番動物と縁があるようだ。もし、またオトートが断わりきれず連れてでも来たら・・・、やっぱり縁があるってことなのかなぁ。 でもゴン、合言葉を言わないとゴンだってわからないからね。 ちゃーんと言わないとうちの子にしてあげないよ。
合言葉は・・・・・ナイショ。
はっきり言って、我が家の連中はM一家だ。 いや、いきなり何? だけど、そうとしか言いようがないっ。 昨日、風呂に入ろうとリビングに行ったら、オトートがじっとゴンの前で座り込んでいて、のんびり風呂から出たら、まだ座り込んでいた。 いい加減長いんで、思わず「何してんの?」って話し掛けて、彼の手元を覗き込むと、私の携帯をいじりまわしていた。 そう、ゴンの声が入っている、a社の人をだまくらかしてゲットしたあの携帯。 オトートは「うん、ゴンの声が聞きたくなって」と言った。 30分経っても操作できなかったのか・・・、私は「貸しな」って携帯を受け取り、さっそく操作。 私の中で、ゴンのことはだいぶ消化され、今は何を思い出しても号泣することはなく、時にゴンの声を思い出しては、ほんのり喜んだりしていたから、声も聞けるはずさ! と、安易にゴンの声を再生したのだ。 ・・・後から考えれば、それはケンタ君のパターンと一緒だった。
ゴンの「んが〜、んがー、んん〜、ぐるんが」という、あの声! かすかな息遣いさえ再生されたその声が部屋に響き渡った瞬間、もう条件反射のように涙が滝のように流れ出してしまっていた。 ゴンの猫とも言いにくいような、みょうな鳴き声。 オトートと私、そして風呂に入ろうとしていた母まで立ち止まって、その声に聞き入って、その独特の調子に笑いながら滂沱の涙!
はっきり言って馬鹿です。 皆そろってあっという間に2週間前に逆戻り。 ワーワー泣きながら、それでも何度も何度もゴンの声を聞き続けてしまった。 そもそもゴンは普段からあんまり鳴かない。 録音しようにも、無理に声を出させないとダメ。だから、いつも不機嫌そうなふてくされたような声しかとれなかった。 本当はいろいろ、いろいろ可愛い声も出していたんだけどなぁ。
ご心配おかけしているみたいで、申し訳ないです。 HPのサーバーが長期メンテに入っていて、ただいまアクセスできない状態になっています。21日まで続くそうです。 決して、傷心のあまりネット界から撤退したわけじゃありません。 暢気に昨日更新しようとして、初めて気づいちゃいました。
今朝、すごくすごくいい夢で目が覚めた。 ゴンをしっかり両腕に抱えて、高校の時の通学路を歩いている夢だった。 薄暗い・・・夕立前の曇り空のような、あるいは古い映画の画面のような感じのところを、ゴンを抱きしめて「そうそう、こんな感じだよ」と嬉しさをかみ締めながら、ゆっくりゆっくり歩いていた。 時折、顔見知り程度の人たちとすれ違い、そのたびに私は親ばか全開で「可愛いでしょ? やっぱり一番可愛いね」などと自慢しまくってた。 ・・・は、恥ずかしい。 腕にしっくりくるっていうのかな。時折外猫たちが抱かせてくれるんだけど、やっぱり抱きごこちが違う。フィット感がねぇ・・・。 もしや、早く帰ってこないと他の子を飼っちゃうぞ! っていう脅しに慌てて駆けつけてきたのかな。 おでことおでこをくっつけて鼻チューしながら、ぐりぐりぐりぐり。いい感触だった。 ところで、ゴンは口吻が他の子よりも長いらしい。外猫たちと比べると、みんなぺちょっとした顔に見える。ゴンは写真だけでもよく「すっと鼻が高くてハンサム」と言われる(自慢)のだが、鼻チューするときが一番わかりやすい。 口吻の長さは猫というより犬っぽい気がする。 ときどき母の店の客が、ゴンの写真を見て「何っていう種類の猫ちゃんなの?」と聞いてくることがあるそうだ。 ・・・いや、どう見ても雑種のキジトラ白なんだけどぉ・・・、見る人によってはなんと! 血統書付きに見えるらしい。 ・・・本当にまったくもって「どう見たら???」という感じだけど。 まぁ、由緒正しき「キジトラ白」ってことにしておこう。
夢の話に戻るが、そういえば、私の前をもう一匹、白くて痩せた猫が(まったく見覚えはないんだけど)まるで道案内みたいに歩いていた。やけに人懐っこそうだったんで撫でてやりたいナァと思いつつ、手を離したらゴンが落ちちゃうから、しっかりしっかり抱きしめて黙って歩いていた。 もしかしたらあれはゴンの母猫だったのではっ(なわけないか。ちょっと夢見すぎ・・・)。
そこで珍しくうちの母が私を起こしに来て・・・、ギューッと抱きしめたまま目が覚めた。 ・・・普段起きるよりもだいぶ遅い時間に・・・。
生きているときは、そこらじゅうのものを落として壊して起こしてくれたのに、どうやらこれから奴は反対のことをするって決めたらしい。 しかし・・・、それは休みのときだけにして欲しいぞ。
今日、久々続きなんだけど、外に出てみた。 何をするでもなく、ブラブラと歩いてみようと思って。 ゴンが行って丸二週間が経った。長いような短いような時間を、相変わらず過ごしている。 本を読みつつ、ふと体がゴンを探してしまうのもまだ抜けない。 一緒に桜を見ようって言ったね。そして、皆が合言葉みたいにそう言ってくれた。 ゴン、たった二週間だよ。それだけがんばれば約束を果たせたのに。 外に出てね、思いの外暖かくって、プチ浦島気分を味わった。 室内にいると、暖かさを感じないんだ。びっくりすると思うけど、未だに暖房機のお世話になっていたりする。もしかしたら感覚が…、冬のままでいたいのかもしれない。 ゴンのいた季節に留まっていたいのかもしれない。 少し汗ばむくらいの陽気を肌で感じながらそう思った。 今年の桜は彼岸桜になったね。 近所の桜がポチポチとほころんでいるのを見て、「ゴン、咲いたね」って思わず独り言を言ってしまった。 今も時々フワフワと匂いがする。家の中、電車の中、会社、道端…。 今は体も軽くなったから、ずっと一緒について歩いているのかな。 そうしたら、桜の花も一緒に見ているのかもしれないね。
ゴン、ごめん。 おネェは金曜日、久々に羽目を外しちゃった。ダチのK子ちゃんが、ゴンを偲ぶ会をしようって言ってくれたからね。そしたらやっぱ行かないと。 K子ちゃん、覚えてる? 一回抱っこしてもらったでしょ。ゴンにあげてねってマグロをくれたんだよ。 …ってことで、金曜日に飲みに行って、土曜日に帰ってきました。はははっ。 ってね、おネェは下戸! とにかく下戸! 社会人歴○年にもなって、「飲めませんから」の一言で堂々渡り歩いてきたツワモノ。 たまぁに飲み会に行っても、ほとんど素面で帰ってくる。 しかも、筋金入りの下戸は1杯飲んだだけで、ほろ酔いを通り越して二日酔い状態になってしまう。 それを、もしかしたらゴンは心配してくれてたのかな。 家族が言うには、おネェが帰ってくるまで心配そうに玄関先でいつも待っていてくれてたんだって。 でもね、おネェが帰ってくると、奴はプンプン怒りながら、「知らないよ!」って顔して駆け足で部屋の奥に行っちゃったよね。 ワンちゃんみたいに、「帰ってきて嬉しいー!」って言うんじゃなくってサ。 思えばあてつけがましい奴だった。 だけどね、土曜日(ま、ちょい過ぎだけど)鍵を開けてそっと玄関のドアを開いても、これからはお前、お迎えに来てくれないんだよね。なんか実感してしまった。 そうそう、お前が逝って1つだけ成長した事があるぞ。 それはね、ちびっとだけお酒が飲めるようになったんだよ。なんでかって? ずっと寝酒しないと寝られなかったからだよ。ゴン、お前のせいだぞ。 …そういえば土曜日は、一七日に当たるんだったね。 そうして一週を七回過ごすと四十九日。それを過ぎると本当のお別れになるのかな。 …それはないか。ゴン、ネェとの約束、覚えてるね。 ちゃーんと帰ってくるんだよ。早く帰ってこないと、他の子を飼っちゃうよ。 だからね、その前にすっ飛んで帰ってくるんだよ。
そういえば、バレンタインデーには、たしかゴンにチョコレートを買ってあげたね。もちろん、猫にチョコはまずいから、謹んで私が食べてあげたけど。 そして、ホワイトデー。 ゴン、お返しは? 昨日もフワフワほのかにお粗相の匂いしてたけど、あれかな(笑)?
近頃、チビコがときどきゴンの代わりを務めてくれるようになった。 外猫たちの中で一番人間不信&片足のない子なんだけど、彼女が一番年上なんだよね。それまで、まずゴンにノミをつけちゃいけない、ゴンに別の子の匂いを嗅がせちゃいけない、ゴンの害になりそうなことはしないっていうんで、外猫を抱いたことがなかった。 あんまり外猫の方が人間に馴染んでも困るしね。 だけど不思議なことに、ゴンを見送って、ゴンを抱っこしたくって手が震えていたあのとき、チビコは黙って私に抱かれてくれた。 暴れるかな? って思ったけれど、信じられないことにまったくおとなしく、ゴンにしたみたいに赤ちゃん抱っこ(つまりお腹が上に向いている)すると、上目遣いに私を見て、胸に頭を預けてきた。 その仕草がゴンにそっくりで。 「チビコ、チビコ・・・ゴン」って、まぁ、そんな馬鹿な、な話だけれど、なんだかチビコにゴンが乗り移ったんじゃないかって思うくらい、彼女が寛容だったんで、つい甘えてしまった。 ベーベーうるさく泣いて抱きしめたのに、チビコは本当に寛容だったなぁ。
不思議と他の子も黙って抱かせてくれたけど、まぁ皆あんまり堪えしょうがない。それ以前に、他の連中は・・・その、みんなゴンの5,6倍はあるんで、ゴンの面影を追えないっていうのもあるんだけれどね。
チビコ、ありがとね。
夜、久しぶりにケンタくんに寄った。ゴンの具合が悪くなってからは、ほとんど脅迫されてるみたいに、速効で帰っていたから。 ホント、久々だなぁ・・・。 なんて考えながら、セットを頼んで席について・・・しばらくはコーヒーを飲んでポテトをつまみながら、小事をすませていた。 ポテトがなくなったところで、少し冷めかけたハンバーガーを口に入れた。 最初はレタスだけ、二口目にチキンを口にして。
硬直した。
だってね、ケンタくんのフライドチキンの味がしたから。まぁ、当たり前なんだけど。 ケンタくんのフライドチキン・・・、実はゴンは大好きだった。 ダメだって言ってるのに、匂いがするとすっ飛んできて、ヴルヴルんがんが言いながら、うっとりのため息つきながら、家中食べてる人の後を追い掛け回していた。あんまり可愛くおねだりするから、みんなそろって一番大きなチキンの、一番骨よりの、一番味がついてない場所を慎重に取ってあげちゃってた。 そうすると、もう夢中で、口元をこれ以上ないってぐらいふくらませて、ひげなんか全部総毛立たせちゃって、目なんか少女漫画の女の子みたいにキラキラキラキラ輝かせちゃって、一飲みでゴックンするもんだから、小さくちぎって少しずつ少しずつあげてた。 夜中になんかうるさくて起きていったら、暗闇の中、必死で二本足で立ってゴミ箱に顔突っ込んで、匂いを嗅いでたり(あわよくば取ろうとしてたり)して、おネェはそのいじましさに苦笑しかでなかったよ。 食欲ががたんと落ちて、あんなに食べてた鶏肉の水煮も口をつけようとしなくなったのに、ケンタくんの匂いは相変わらず食欲を刺激していたみたいだったね。最後に食べたのは、今年に入って一回あったっけ? そんなことを、ブワッと思い出しちゃって。 それまでまったく気にも止めずにケンタくんに入ったんだけどね。 だけど、思い出したらもう食べられなくなった。 「ヤバイ、泣く!」って慌ててハンバーガーをビニール袋に入れてお店を逃げ出した。 家に帰ってからも泣いちゃった。ハンバーガーは結局オトートに食べさせた。
しばらくケンタには入れないな。
悲しいのっていうのには、波があるんだね。
ちょっと飛ばしすぎたかなぁ・・・。 それまで会社から家への帰り道、直行コースで帰ってたんで、外猫たちのごはんもそっちの道のディスカウントショップで買ってたんだけど、昨日はいつもの道から帰って、いつものディスカウントショップでお買い物したんだ。 そこは山ほど猫缶の種類が豊富で、他じゃ見たことないようなものまである。 とりあえず、そこで新発売が出ると一度は買ってゴンにお伺いを立ててた。
昨日、やっぱり新発売が出てて、思わず手を伸ばし・・・。 硬直しちゃった。そのまま動けなくなったよ。 で、油の切れたロボットみたいにその場を離れて、カリカリの置いてある場所に行って・・・、でもそこには、唯一ゴンが食べてくれたシニアの缶も山積みしてあって。 改めてね、買ってあげたい、食べさせてあげたいって考えて手が震えちゃった。大好きなものたくさん食べていってくれたのに、おいしそうなのを見つけると、やっぱりゴンにあげたくなる。 ゴン、お腹すいてないかな。喉は渇いてない? おネェが抱っこしてあげられたらいいのになぁ。 ・・・違うや。おネェが抱っこさせて欲しいんだ。 本当は、最期の方、抱っこするのも怖いぐらい、やせ細ってて、ギュッて出来なかったんだもんね。 最期にギュッて抱けたのは、お前が冷たくなってからだったもん。
おネェはもう携帯を変えようと思う。今の携帯、なんだかお前みたいでね、手放しがたいから・・・本当は機種回収が普通なんだけど、なくしたふりしてショップへ行くかな。ショップだから高くつくけどね。 電源切りっぱなしの携帯持ってても、しょうがないもんね。 お前の声が入った携帯。お腹をこちょこちょやって声を出させたら、すっごい不機嫌な声になって、でも面白いからそのままとっておいた。 お前、あんまり鳴かないから、声はほとんど残ってない。 着信履歴が3月4日で止ってる携帯。 やっぱり使い続けることはできないよ。 a社の方、ごめんなさい。携帯、返しません。
ゴン! 東大でついに桜が咲いたんだって。関東もいよいよ桜の季節だよ。 たくさん咲いたら写真を撮ろうね。 お花屋さんに桜が出たら、買ってきてあげるから、写真を撮ろう。 初七日までいてくれるって行ってたけど、ゴンは延長してくれたね。
ゴン、あのね、なんだか今は悲しいよりも寂しいよ。 もうあんまり泣いてないよ。だけど、すごい寂しくて、寒くなって、布団を被っちゃったり、暖房入れてみたりしてる。 お布団を踏んで歩くとき、少しでもふくらみがあると大跨ぎするくせも、当分は抜けないなぁ。間違って踏んじゃって、ざーって血の気が引いちゃったりね。ゴンはお布団が大好きで、よくあっちこっち気分次第で潜り込んでたから、それを宝捜しみたいに捜して歩いて、発掘して、「みつけたじょー」ってやってたからね。
可愛いゴン、今でも思うよ。 「お前な、そんだけ猫に金かけてたら、もっと高くて若くていい猫が買えるじゃないか」なんて冗談交じりに言われて、「何言ってんですか。仔猫100匹が束になったって、ゴンには敵わないですよ」って怒ったら、〔親ばか〕から〔親〕を省かれたっけ。 今でも気持ちは変わらないよ。 たくさんお金を積んだらゴンが帰ってくるのなら、おネェはそうする。 最近、猫のクローンが成功したんだって。 それを聞いて、正直な話、おネェは一瞬グラグラしたよ。 だけどね、『遺伝的には全く一緒だが、毛色が違う』って読んで、ひっくりかえっちゃった。意味ないじゃん。まぁ、確実に同じ血が流れているんだから、ないってことはないんだろうけど、さすがに今からゴンの兄弟はさがせないしね。 でも、やっぱりクローンはやめておこう。すごくすごく未練タラタラだけど、お前の命の尊厳を汚してしまう行為だからね。
ちょっと待った。 側にいること、すっごいアピールしてくれたね。今日一日。 おネェは嬉しかったけど・・・嬉しかったけどサー。
なんでよりにもよって・・・・シッコの匂いなの?
お前が何度も何度もあっちこっちの絨毯にしてたのは知ってるよ。 だけど、ちゃーんと拭き拭きもしたでしょ。 お前がいなくなって、新しい匂いもつかなくなって、それで匂いも消えてたでしょ。もともと、ゴンのシッコはもうほとんど匂いもなかったし。 なのにね、なのに、今日一日、オソソウの匂いが部屋中フワフワしてたよ。 お前って奴は、本当に・・・っ。
でも、嬉しかったよ。ゴンの匂いだったね。シッコの匂いがうれしいなんて、初めてだよ、おネェは。
おネェはね、お前のいない初めてのお休み、わりとそつなくこなせたよ。 ゴン、心配かけたけど、おネェは大丈夫。これからはもう大丈夫だよ。 この一週間、テレビを見たり、本を読んだり・・・そんな娯楽もできないくらい、お前のこと思ってたモンね。仕事して、飲めないお酒飲んで、へべれけになって布団に潜り込んでたもんね。 だけど、お前がちゃんと側にいるってわかったから、おネェはもう大丈夫だよ。
ただね、ふと本を読むのを中断して、立ち上がりたくなる衝動が時々ね、あるよ。 いつもそうだったから。いつも、本にのめりこんでるつもりでも、急に抱っこしたくなって本を閉じて、ゴンが寝てるところを襲い掛かったりしてたもんね。 それをね、無意識のうちにやろうとして、で、「あ、そうだ、ゴンいないんだ」って思い出したりして。 ・・・まぁ、まだしょうがないよね。 長かったなぁ・・・。 毎日考えてたよ。先週のお前はまだ・・・って。 でも今日からは違うね。だって、先週のお前は・・・もういなくなってたもん。
初七日に当たるのかな? 実は、祖父の命日でもあるんだよね。ゴンと祖父は一度も会った事なかったっけかな? それでも不思議な符号だね。
昨日ね、おネェの部屋の片隅に埃被った使い捨てカメラが落ちてたんだ。 全部撮ってあるのに、なぜか忘れてて現像してなかったみたい。朝、気がついて、もしかしたら写真だめかもって思ったんだけど、使い捨てカメラって必ずお前の写真も2,3枚は撮ってるはずだから、写ってるといいなぁってすぐに現像に出したんだ。 そういえば、おネェはお前を撮るのに夢中で、一緒に撮った写真はほとんどない。 こんなことならもっともっともっと一緒に写真を撮っておくんだったって、すごく後悔しながらね。 デジカメを買ってから、ゴンの写真は700枚ぐらいになってるけど。でも、デジカメはゴンの病気が発覚してから買ったから、ちっちゃい頃、元気な頃・・・おデブな頃の写真は格段に少ないんだよね。とくに赤ちゃんの頃。あの頃は使い捨てカメラさえなかったもんね。デジカメがあったら、もう山ほど写真を撮れたのに。残念。
先週の今日、ゴンとおネェは最後の・・・そして最高の至福の時間を過ごしたね。 おネェは仕事を持ち帰ってたから、ときどきPCに向かったりしてたけど、すぐにゴンと一緒にいたくなって、ゴンに腕枕して添い寝して、一緒にテレビを見て、ごはんを食べて。病院から帰って鯵を焼いてあげたら、おネェの指ごと食べる勢いで1匹ぺろりと食べちゃったね。おネェはすごくうれしかった。 でも、本当に鼻先に持っていかないと、ごはんに気づかない。目がぜんぜん反応していないのにも、このとき初めて気がついたよ。前日までは確かに見えてたみたいだったのにね。お水もたくさん飲んだね。スポイトで少しずつ口の中に入れてあげると、本当においしそうに飲んでた。 PCに座ってても、ゴンもおネェを呼んだよね。お願いの声が「おネェ〜ッ!」って聞こえるんだよ、お前の鳴き声。そのたびに飛んでいって、シーツを変えて・・・けっきょくろくな仕事にならなかったなぁ・・・。 だから、一日中、ほとんど何にもしないで一緒に寝てたね。鼻チューしたり、ナデナデしたり、話もしたね。
仕事の帰り、写真を受け取って・・・、中を見てびっくりしたよ。 だってね、ぜんぶお前の写真だった。一枚も欠損なしで綺麗に写ってた。 その上ね、その上、ゴンを抱っこしてすっごく楽しそうに笑ってるおネェの写真が何枚もあったんだよ。 おネェは本当にびっくりして、嬉しくって、やっぱり泣いて帰っちゃった。
大事なニャンコとの別れで、何日も何ヶ月も写真が見られなかったって話をあちこちでたくさん見たけれど、おネェはそんなふうにならなかったよ。 たくさん写真を見てね、「幸せだったね、楽しかったね」って思えるんだよ。 きっとゴンが本当にいい別れ方をおネェにプレゼントしてくれたからなんだね。
昨日のお昼休み、おネェちょっと会社でウトウトしちゃったよ。 もうすぐお昼休みも終わりって頃、だんだん目が覚めていく瞬間、ふと、本当になんの唐突もなくゴンの顔が出てきた。 赤ちゃん抱っこをすると、いつも大きな目を見張って、じーっと顔を見上げてたよね。あのときの顔だよ。 ちょっとずつちょっとずつ大きくなって、もうちょっとで鼻チューできるってところで、完全に目が覚めちゃった。 ゴンは少しふっくらしてたね。元気な頃より少し細くなって、赤ちゃんのときみたいな顔に戻ったね、なんて家族と話してた頃の、あの顔だよ。 惜しかったな〜。せめて鼻チューしてから起きればよかった。 不思議なんだけど、目が覚めても悲しくなかったよ。すごく嬉しかったなぁ・・・。
だけどね、お前のことを過去形で話すのに、まだすごい違和感っていうか抵抗がある。 今日の朝もね、足元が重くって、ちょうどゴンの重みとそっくりで飛び起きたよ。洗濯物だったんだけどね。せっかくたたんであったのに、ひっくりかえっちゃった。
いろいろ思い出すよ。帰り道ね、夜空を見ながらふと思い出した。 初めてしし座流星群が騒がれたあの晩、おネェは毛布に包まってベランダに座り込んで、ずっと空を見上げてた。思ったほど流星群は見られなくって、がっかりして部屋に戻ろうとしたら、大窓の曇りガラスにゴンがおでこをくっつけてじっと窓のこっちを見ながら座っているのが映っててびっくりしたっけ。 あれは午前4時ぐらいだったっけ。 いつもは寝てる時間だよね。だけどおネェの奇行を心配して、ゴンはおネェが戻ってくるまで見張ってたんだよね。あの後二人で寝たんだよね。 ゴンはおネェがあんまり遅くまで起きてると、足元で「んがーっ!」って文句垂れてたね。親より口うるさかったよ。
まぁ、きっとたぶん知らない人には俄かに信じられないような話かもしれないけど、ゴンはたしかにちょっと人間臭いところがあったよね。
辿っていくのは辛いなぁ・・・。先週の今日はまだお前がいたよね。 朝まで持たないって言われたのを乗り越えて、がんばっていたね。 すごい遠い昔のような気がするんだけど。
どうしよう。日に日に張っていた気が緩んできてる気がする。 先週の今日は、私はこんなへたれじゃなかった。 ゴンががんばって生きてくれたって、叶わない望みに一縷の希望を託して最期の戦いに挑むだけの力があった。 3日、4日とあわただしくお前を見送って、気がついたらもうお前がいない日を4日も過ごしてるよ。 おネェの力は、このところヘロヘロとしぼんでる。お前を何とかしなきゃっていう力を使いすぎて、今ヘロヘロになってる。充電もできないよ。
おネェの携帯みたいに、バッテリーがすぐ切れちゃう。 かっこ悪い・・・。こんなおネェはかっこ悪いね。
あの・・・、悪夢みたいな日から一週間が経った。 ちょうどこの一週間前、ゴンは急変した。前日の夜から、急に肌の色が黒ずんでいたのだが、あのとき、仕事から帰ったらと思わず午前中お休みをもらって病院へ連れて行っていたら、まだゴンはここにいてくれたのだろうか。
夜、あせる思いで帰ってきて、ドアを開けた瞬間に飛び込んできた、廊下に点々と散る黒いペースト状の便。 それを見たとたん、カーッと頭が真っ白になってヒステリックにゴンを呼び続けた。昔、黒いペースト状の便は人でも最期に体から出る老廃物で、死の・・・死の予告なのだと母が言っていたから。 そして、ようやく見つけたゴンは、布団乾燥機用の乾燥袋と布団の間に横たわっていた。袋はビニール製で、ゴンの下半身は尿で濡れていた。 これも、もしかしたら死期を早めてしまった原因かもしれない、と今でも考える。 きっとこれから一生後悔して行くことだ。 私は半狂乱になってゴンをバスタオルに包んで、病院へ走った。 けれど、ゴンはすでに低体温を引き起こしていた。 34℃・・・、実際は体温計は反応していなかったそうだ。たしかに、冷たくなりつつあった。
朝までは持たないと言われて、もうできることは体を温めてあげることだけだと言われて、恥も外聞もなくおお泣きしながら家までの帰り道を、ゴンを抱きしめて歩いた。途中ゴンが文句を垂れたからまたオソソウしたのかと見てみると、また真っ黒いトロトロの便を大量にしていた。思えばこれが結局最期のうんちになった。 家に帰ってからもワーワー泣いた。ゴンを抱きしめて、温めて、ゴンの最期の四日間の闘いが、この日から始まった。
ゴンを焼いてきた。時間的にちょうど丸一日経った頃。 そういえば、明日はちょうどゴンに命の期限が切られて一週間だ。
朝は曇っていたけれど日も差していた。焼き場までは入れ物にいれず、私がバスタオルに包んで抱いていった。 マンションを出たところで、ガチャがゴンの見送りに来てくれた。側まで来て、小さく挨拶をし・・・。ガチャは晩年ゴンが唯一自分から近づけた子だった。 鼻チューを2,3度しただろうか。
ゴンは死んでから一日中、両手足を思い切り伸ばして横たわっていたはずなのに、車に乗って抱いているうちにだんだん手足を曲げていき、焼き場につく頃には箱にぴったり収まるように手足を縮めていた。本当に最期まで気を使う奴だ。
焼き場の重い扉の向こうに姿が消えていく最期の瞬間まで、ゴンは私の顔をじっと見続けていた。私もゴンを見続けていた。扉が閉まって「ゴォッ」という音が聞こえた瞬間、涙が止まらなくなった。 ゴンが焼ける。焼けてしまう。 でも、どうすることもできなかった。可愛いゴンの重みは、永遠に失われてしまった。可愛い耳も目も鼻も口も・・・可愛い尻尾も何もかも。 ゴンはもうどこにもいなくなってしまった。 待合室で私は声をあげて泣いてしまった。 辛い・・・というよりキツイ。キツイというより痛い。 ゴンがいなくなって痛い。息もつけない。ただ痛い。
ぜんぶが終わって、骨になって戻ってきたゴンを見てまた泣いた。
焼き場の方が骨の説明をしてくれた。 「これとこれとこれが尻尾ですよ。この子は尻尾が短かったんですね」 「これは大たい骨、こっちは第二頚椎、骨盤、これは足です」 「この子の骨はずいぶんしっかりしてますね。あんまりみないですよ、こんなに残ってる子は」 そして、 「これが喉仏。ああ、ずいぶん綺麗に残ってますね。ここが仏様の頭、こうして手を合わせているように見えるでしょ? 人も猫も一緒ですね」 喉仏が綺麗に残っているという事は、ゴンはやっぱり猫の神様にいい子の認定を受けたのだろう。少し安堵の涙が流れた。 焼き場の方は最後にもう一度 「とてもしっかりした骨の子でしたね」 と言った。 だから私も言った。 「性格もしっかりしてたんです」
四角い箱の中に収められたゴンを胸に抱いて、私たち家族は泣きながら帰路についた。
マンションに着くと、ガチャがまた出迎えてくれた。
ゴンがいないのに・・・。こんな時間に。 もう一度寝直そうと思って、布団を被ったけど、やっぱり寝られなかった。 起き出して、ゴンのところにいく。
今日は焼かなくちゃいけない。でも、まだ可愛い顔でそこに寝てるのに。焼かなきゃダメかな。昨日の夜中、そっと抱っこしてみたら、生きていたときみたいにコテンと頭をおネェの胸に寄せてきた。 いきてるうちは、すごく軽かったけどそのとき少し重みを感じた。 ふーっといつもの「しょうがないなぁ」って感じのため息を、そのときついたように聞こえた。 しばらく抱っこして、体をさすって・・・。 さっきも「ゴン、朝だよ。おっきするかい? おっきしないと食べちゃうぞ」って呼びかけてみたけど、やっぱり起きる気配がない。 かなり脱水がすすんでたから、ゴン、目を閉じられなかった。特徴だった大きな目が、じーっと私のことをみている。 おネェ、疲れた。すごく疲れた。 でも、体が休まらない。 お前に囲まれて寝てるのに。お前のお気にのふとん、枕、最期まで体を温めていたストール・・・。抱え込んで寝てるのに、ぜんぜん寝られない。 ・・・あれ? お前のお気にのって・・・、もともとはぜんぶおネェのじゃん。 自分のもん抱いて寝たって、そりゃ、安眠できないわな。
なんか、昨日辺りからひどい咳がぶりかえしてきた。もう癖になっちゃってるんだね。
3月3日、モモの節句。女の子の日。朝8:30にゴンは行ってしまった。
体温が下がってきてるな、と思ったし、なんだかときどきカフーカフーっと口を開ける。様子もいままでと明らかに違う。 もし、もしもこの状態が長く続くようなら、病院へ行って早く楽にしてあげた方がいいかもしれない。そんなことも考えた。 けれど、「んー、んー」と時々呼びながら見えない目をじっと凝らすゴンを見ていると、なかなか決断ができない。病院は9時からだし。
ゴンに腕枕してあげて、頭をなでてやる。体をさすって、手をにぎってやる。 ゴンは、2回ほどほんの少し伸びをして、少し震えて、それでいってしまった。 これまで、何度となくアブないと思うたびに、ゴンの最期をシミュレートしてしまっていたが、そのどれとも違って穏やかだった。 病院にあずけたときじゃなくてよかった。 だれもいないときじゃなくてよかった。 わたしがいるときでよかった。 すごくすごく辛いけど、必ず必ず最後の瞬間まで一緒にいてあげると決めていたから。
17年と半年。ゴン、ありがとう。 おネェはね、今まで言わなかった事、言えなかった事言うよ。
ホントはね、ゴンは18歳にはなれないと思ってた。 だってね、病気してから何年もの間、お前、ずっと17歳だったんだもん。 どうしてだか、みんなお前が「17歳」だって思い込んでた。で、毎年数えて「あれ? まだ17歳じゃなかったよ」って・・・。 だから反対に、「ゴンは17歳」で終わってしまう暗示なのかも、って心の隅で思ってたんだ。だけど、言葉にしちゃうと本当になっちゃいそうで、17歳が過ぎたら笑い話で話そうと思ってたんだよ。・・・本当になっちゃったけどね。
ゴンと一緒の17年間、何事もなく無事に過ごせてよかった。ちゃんとゴンを見送ってあげられた。最期の最期まで、やってあげられた。
去年の夜、最期の夜、お前と過ごした最期の夜。 あのときたしかにお前がいた場所に、座り込んでみた。 なんにも変わってない。お前がいない以外は。 だけど、去年のお前。 最期の闘いをしていたね。
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