隣のサラリーマンが酢イカとビールを嗜んでいる。
一列の席に座っていた私の隣で宴が始まっていた。 絵に描いた様に電車に飛び込んできたおじさんは、まだ春というのに暑そうに上着を小脇に抱えていた。 缶ビールを虫も殺さない様な力加減で「プシュ」という音を発てる。 喉を通る音を横で聞く私は、お疲れ様でしたと言いたくてたまらなかった。 ツンと香る臭いが鼻を突き、酢ずけイカをむしゃむしゃと食べていた。 私は思った。食べたいと。 その後、反対側では音楽を聴く女の子がいた。 大学生のような雰囲気で落ち着いた人であった。 音楽が微かに漏れていて、私の耳に聞こえてきた。 非常に激しいスネアの音で「パァン」と四分音符を叩いていた。 なんの曲かは分からないが、5分間ぐらいの間に永遠とスネアの音しか聞こえなかった。 最近の音楽はそんなに単調なリズムなのかと思った。
私も明日は音楽を身にまとってみようかと思う、今日この頃である。
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