恋愛日記



 軌跡。





歓声がピッチを包む。
統率されたディフェンス。
当たりが激しいながらも、競り勝ち、前線にボールを配給する中盤。
奇跡を起こす、フォワード。

白と黒のボ−ルがネットを揺らす度に、
体温が高くなる。
熱狂する。
その雰囲気に酔いしれる。

みんなで手を繋いで、円陣を組んで。
あたし達もその中に入れることが何より嬉しかった。
土を一歩一歩踏みしめる背中を、ベンチで見送った。
響き渡る咆哮。
耳を劈くホイッスル。
蹴り出されるボール。
今までのどの試合よりも緊張しながら、目でボールを追う。

美しい弧を描き、ボールはゴール右上隅に吸い込まれる。
ドリブルでキーパーをも抜き、無人のゴールへシュートする。
幾つものシーンが駆け巡る。
振り抜かれた右足が、左足が、
綺羅綺羅と輝く。

こんなに充実した日々があっただろうか。
カレンダーの日付が、金色に光っているようで、眩しい。





2004年05月05日(水)
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