Opportunity knocks
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朝、昨日よりも早めに起きて身支度。昨日と同じ朝食をたべて、7時過ぎにはホテルをでる。 今日は午前中にヴェルサイユ宮殿、エッフェル塔にいき、午後はオルセー、ルーブル、ノールダム寺院、及びシテ島周辺散策する予定。なんてハードなスケジュール。
とりあえず、ヴェルサイユにいくためにメトロの駅へ。昨日地下鉄にはもう乗らない!と宣言した連れ合いだったが、乗らないと目的地には辿りつけない、タクシー、バス、レンタカーなどの選択肢はもはやない、ということでしぶしぶながら乗車。路線図もルートも何もかもわたしまかせの状態、子供とふたり、これで本当にヴェルサイユにつくのー?的視線をちらちらさせながらわたしの後をついてくる。 CONCORDEで8号線に乗り換え、INVALIDESでRERのC線に乗り換え、ようやくヴェルサイユ行きのRERへ。
メトロ及びRER内は昨日のような騒ぎはなかったものの、やはり挙動不審な(疑心暗鬼のなせるわざか)人がちらほら。それでも通勤、通学の乗客が多く、特に危ない雰囲気はなかったので安心する。 ヴェルサイユまでは50分弱の道のり。車窓はいかにも郊外という感じの街並みがずっと続いている。きちんと手入れされた庭があり、車2台以上は軽く収まりそうなガレージがある、そんな感じの住宅が視界に入っては消えていく。途中下車してみてまわったら面白いだろうなというようなところもあって、なかなか素敵な眺めだった。 そしてヴェルサイユ到着。駅をでて、見学者とおぼしき人の流れにまじって宮殿へ。 とにかく凄かった、ヴェルサイユ宮殿。もういうことはそれしかないってくらい。 たったひとりの人間のためにこれだけのものが作られ、これだけの土地が与えられたということに単純に驚く。何百年も前ではあるけれど、確かにここにはそういう特別な人間が存在し、その存在を支え続ける大勢の名も無き人達がいたんだなあと。
ひととおり観てまわったあと、来た道を辿って駅に戻る。 とにかく広大ところだったので見学だけで3時間弱かかってしまい、午前中にエッフェル塔に辿りつくという計画がはやくも崩れてしまった。とりあえずC線の列車にのってCHAMP DE MARS TOUR EIFFELで降車。
そして、エッフェル塔。とにかく高い。そして視界をさえぎる金網とか壁とかがない。高所だいすきなわたしはいいけれど、恐怖症の人はちょっと厳しいかな。360度、それぞれの角度にそれぞれのパリがあって、みててあきない。近代的なビル郡や、サクレ・クール寺院などの歴史的建造物を遥か上からみおろすというのも面白かった。
そんな感じで空中散歩!を楽しんだあと、お腹がすいた!!!と連呼する子供と連れ合いを宥めつつタクシーに乗りオルセーに向う(やっぱりメトロはのりたくないらしい)美術鑑賞の前に腹ごしらえということで、ちょっと贅沢なランチをとる。今回の旅行の中でいちばん美味しくて豪華で楽しかった。基本的にけちけち旅行なのだけど、やっぱりたまにはこういうこともないとね。特に子供は大喜びだった。
お腹がいっぱいになったところで、ようやくオルセー美術館。 これはやっぱり至福の時間だった。書き出すときりがないのだけど、強く印象に残ったのはクールベの部屋と彫刻(ロダン、カミーユ・クローデル)、そしてルソー、マネ、スーラ。特に彫刻は絵画のように海外へ持ち出すことができないわけで、これを機にじっくりみてまわった。 しかしそれにしても時間がない。1日かけてもおかしくないところなのにどうがんばっても2時間くらいしかいられない、、。未練をかなり残しながらオルセーを後にし、今度はシテ島方面へ向う。 サン・ルイ島やシテ島近辺は歩いていてとてもたのしいところ。「世界中がアイラブユー」という映画の中で、ウディ・アレンとダイアン・キートン(だったかな…)が夜のダンスを踊るシーンがあるのだけど、だいすきなそのシーンの場所をみることができてとてもうれしかった。 レ・アル、マレ地区からバスティーユ近辺はもっと見たかったし、歩きたかったな。
ノートルダム寺院をみて(このあたりからだんだん頭が茫洋となってくる)あまりに疲れたのでカフェで一休み。小山のようなケーキとノンカフェインのラテを頼んで糖分を補給。これで少し頭の回転が良くなったかなと思ったらだんだん眠気が…。わたしの体内時計はかなり強固なものであるらしく、旅行中何かに逆らっているような違和感がずっと消えなかった。ああ眠い。 自分を叱咤しつつ今日の予定の最後、ルーブル宮へ。 それでも硝子のピラミッドが見えてきたときにはさすがに疲れや眠気も吹き飛んでしまった。夕暮れ近くの(といっても7時過ぎ)穏やかな太陽光がピラミッドやあたりの建物を覆っていて、なんというかちょっと特別な雰囲気だった(すみません、語彙力まったくなし)
そしてルーブル美術館。 さらに至福の時間だった。ハードな1日の終わりにさえこれだけの感動があったのだから、ほんとうにたいした場所だとおもう。通常なら1歩も動けないくらい疲労困憊状態なのに、閉館までの3時間弱、少しも集中力や感動力(?)が途切れることがなかった。 特に1階のデュノン翼からシュリー翼へ抜ける大階段に突然現れる、サモトラケのニケ。今でもくっきりとそのときの記憶がまるごと取り出せる、そのくらい強い印象があった。
カノヴァやミケランジェロの彫刻、ハムラビ法典などのメソポタミア美術、「ラムセス二世坐像」「書記坐像」などのエジプト古王国時代の美術品、フェルメールの「レースを編む女」「モナ・リザ」「メデュース号の筏」ドラクロワ、コロー、デューラー、フラゴナール、が特に記憶に残った。またいつかこの場所に戻ってきたい、そうおもった。
夢見心地でルーブルを後に。時刻はもう11時近く。タクシーを拾ってホテルの近くまで戻り、駅のそばのビストロで遅い夕食。もうこの時点でわたしも子供も瞼がおちかかっていて、早々にホテルへ戻る。 やっとの思いでシャワーを浴び、化粧をおとして歯を磨き、あっというまに眠りにおちた。
朝。昨日と同じく7時前に(強制的に)起き、シャワーを浴びて朝食。 ご飯をたべながら今日一日の予定について話す。(フランスへ行く)飛行機の時間が15時なので、それまで昨日ほとんど休館だった美術館をまわろうと言う事になった。 急いで身支度をして8時前にはホテルをでる。 まず、たぶん混雑というか待たされることを予想してウフィツイ美術館へ。 自分たちは早めに行動したつもりだったのだけど時既に遅しで、すでにかなりの行列ができている。見通しがあまかったことを痛感。ガイドブックをみるとあらかじめ予約(英語可)ができると書いてあり、実際予約をしていた人達は列に並ばずに別の入り口から入っていた様子。貴重な時間をムダにしてしまった。 1時間半ほど待たされてようやく入り口へ。ボディチェックと荷物検査を受け、半ば疲れながら美術館の中へ入る。ギャラリーは上階にあるらしく、大きくて幅のある階段を何階も上がってやっと絵画のある部屋へたどりつく。
足を踏み入れてまずその展示物の多さに驚く。というか建物、空間すべてが芸術品。無造作に置かれている彫刻ひとつひとつが素晴らしい。 ちょっとうまく言えないのだけど、やっぱり日本の美術館の中でみる西洋美術と、現地の雰囲気の中でみる西洋美術は感じ方、捉え方がかなり違うと思う。何が違うのかといわれるとそこがうまく言葉にできないところなんだけど、あえていえば作品を特別視することなく自由な目線で鑑賞することができるということかな。とにかく今までにない親密さで多くの美術品をみることができたような気がした。 ボッティチェッリの「春」は小さな花のひとつひとつまでが新鮮で鮮やかで、ほんとうに素晴らしかった。あと、フィリッポ・リッピの「聖母子とニ天使」がとても印象に残ったし、カナレットも良かった。この美術館のメインのひとつ、ダ・ヴィンチの「受胎告知」は今東京(横浜?)にいっているらしく、見る事ができなくて残念だった。 そんな感じで豊かな時間を過ごした後、次の目的地であるサン・マルコ美術館へ向う。と、そのまえに一度荷物を置いておこうと、いったんホテルに戻ることに。これが悪夢の前触れだった(なんで美術館に直行しなかったんだ?)ホテルに着いて荷物の出し入れをしたあと、出かける前にトイレへ。急いでいたので無造作にバックを洗面所のへりへ置いた。と、その瞬間!バックの中身がざざざーっと雪崩のごとくビデの中に!!!!口紅…携帯…ハンカチ…デジカメ…縮緬の小銭入れ、すべてが水浸し。ああ無情。 口紅やハンカチなどはこの際どうでもよい。肝心なのは携帯とデジカメ!慌てて拾い上げたのだけどスイッチを入れても画面は真っ暗、それを見てわたしの目の前も真っ暗。とにかく蓋をあけてメディアを取り出し、隅々まで水気を拭きとって超強風ドライヤーで乾かす。もうなんでこんなことがおきるんだよー(自分がドジダカラ)とパニック状態。とても美術館にいけるような状態ではなくなった・・・。 そんな修羅場を尻目に連れ合いとコドモは、「んじゃおれたち昼飯くってくるから」とわたしを置いてでかけてしまう。ああ今頃は早めのランチをとったあとサン・マルコ美術館でフラ・アンジェリコの受胎告知を見ているはずだったのに! 自分のあほさ加減にうんざりしつつ、あくまでヒトゴトの連れ合いとコドモに悪態をつきつつ、先月買った(変えた)ばかりの新携帯と新デジカメがなんとか蘇生するようにと祈る思い。 そして1時間あまり経過。ドライヤーの超熱風が功を奏したのか、まだらになった画面ではあるがなんとか2つとも起動するようにはなった。やっと目の前に希望の光が。。神様ありがとうございます!!!と感謝の祈りをささげ、やっと人心地がついた。 そうこうしているうちに連れ合いをコドモが戻ってくる。「ほい、昼ご飯」ホイルに包んだピッツァを買ってきてくれた。ほっとしたら急に猛烈にお腹がすいてきたので、むしゃむしゃとピッツァをたいらげ、コーラを飲む。ふと時計をみると、当然のことながら12時をまわっていた。結局サン・マルコ美術館へは行けず仕舞い。もう一度行こうと思っていたアクセサリーのお店やステーショナリーのお店も行けなかった・・・。後悔の嵐。あのとききちんとバックを手に持っていたら、いやそもそもバッグを持ってトイレに入らなければ、いやいやホテルに寄り道せずに美術館へ直行していれば・・あーきりがない。 後悔と脱力感にさいなまれながらホテルを後にして空港に向う。アメリゴ・ヴェスプッチ空港(名前思い出した)。 そして14時半、イタリアを離れフランスへ出発。まだまだ後悔と脱力感は消えてないけど、でも良い街だったなーと少々感傷に浸る。願わくばまたいつか。今度はもっとゆっくりした時間の中で訪れてみたいと思う。
飛行機はたぶんスイスとの国境をこえて飛んでいる様子。天気が良いのできらきらと光を反射させながら蛇行していく河や、山の稜線がくっきりとみえる。小さな街や集落が現れては消え、消えては現れる。ほんとうに見ていてあきない。小さな子供のように窓にはりついて、そんな景色をずっとみていた。
1時間半ほどの飛行時間であっというまにパリ着。シャルル・ド・ゴール空港の、どうやらターミナル2に着いたもよう。宿泊するホテルがオペラ座の近くなので、オペラガルニエ行きのシャトルバス(ロワシーバス)に乗るつもりでバスの発着所を探す。とにかく広大な空港なので歩いても歩いても目標の場所が見えてこない。ほんとうにこの方向で良いのかだんだん心もとなくなってきて、何度も通り掛かりの人に道をきく。うーん旅行ビギナーまるだし。。それでも何とか目当てのバス乗り場が見えてきてやっとひと安心。ひとり8・2ユーロの料金でオペラガルニエまで。しばらく無味乾燥で殺風景でただっぴろいところを走っていたのだけど、20分くらい走ったところで街らしきものがみえてきた。 景色をみながら、ここはまぎれもなく都会なんだなあと、しごく当たり前の事を思った。特にフィレンツェにいったあとだから余計そう思ったのかな。思うに都市の形態というか雰囲気というのは、東洋西洋関係なく似ているのかもしれない。人の多さ、視線、歩き方、空気の悪さ、喧騒、車の往来、建物のこみぐあい、ネオン、都市を形成するものの要素というのはたぶんどこも同じなのだろう。そういう意味で、ああこれは見なれた景色だ、とおもった。
そんなことをぼんやり考えているうちにバスはオペラガルニエに到着。時間はもうすでに6時をまわっている。ホテルまでは歩いていこうと思えば歩ける距離だったけれど、荷物もあるのでタクシーでいくことにした。メトロのグラン・ブルーバール駅の近くで○○ホテルまで、と英語で伝えると、さすが都会。普通に英語が通じる。料金は12ユーロほど。距離からして少し高すぎるような気がしたのだけど、交渉する気力もないので言われるままに支払う。でもやはり都会だけあって料金をごまかす(水増しする)タクシー運転手はかなりいるような気がした。メーターを見せずに料金を請求したり、道を知らないと思ってわざと遠回りして走ったりなどなど。ぼられないためには細かく指示をだしたり、乗る前に料金を確かめたり、メーターの表示を求めたり、はっきりと行き先を提示することが大切かもしれない。
到着したのはホテルというよりプチホテル、という感じの小さめなところ。それでもスタッフがとてもわかりやすい英語で丁寧に説明してくれたので好印象。部屋も清潔でシャワーのお湯もちゃんとでるし、角部屋で大きな窓がふたつあってとても眺めがよかった。
服を着替えて、とりあえず凱旋門&コンコルド広場まで行き、その後夕食をたべて帰ろうということに。通りにでてメトロの駅に向かう。はじめて入るメトロの構内。時間はもう8時近い(けどまだ外は明るい)。と、そのタイミングでトラブル(?)が発生した。パリ・ヴィジットという乗り放題のパスを買うか買わないかで揉めはじめるわたしと連れ合い。明日行くヴェルサイユ宮殿はかなり郊外だし、普通に観光に公共の乗り物(メトロ、バス、RER)を使えばもとはとれる、と説明したのだけど、連れ合いは料金が高すぎるし、もとがとれるとは思えないと主張。しばらく不毛な言い合いが続く。結局パスを買うことになったのだけど、その後も連れ合いはぶつぶつきこえよがしに文句を言うので、わたしの怒りのバロメーターは上がるばかり。その上、メトロの構内は不穏な空気がただよっていて、どうみても危なそうな若者が奇声をあげながら走りまわっていたり(手に棒らしきものを持っていた)、うつろな目をした浮浪者風の男が近づいて来たり、銃を持った職員が改札以外の場所で検札していたり、と日本では考えられない状況。できるだけ早く降りたいのだけど路線の乗換えがよくわからなくてなかなか行き先が定まらない。 やっとのことで路線を乗り換えて凱旋門に到着。時間は8時半過ぎ。さすがに外は暗くなり始めている。 ようやく地上にでたのはいいのだけど、予想外の地下鉄の治安の悪さに、またさっきのパスの購入についての言い合いが始まる。だから買うのやめようっていったのに、という連れ合いの言葉からはじまって、またもや不毛な水掛け論がはじまる。 ライトアップされた凱旋門はとても美しく、暮れかかった夜空に綺麗に映えている。そんな中あーだこーだと言い合いをするふたり。ばかばかしいと思うけれどやめられない。険悪な状態のまま凱旋門へ向う。
小さく狭い螺旋の階段を上り頂上まで。外にでると、ほんのりあたたかくてさらっとした風が吹いていてとても気持ち良い。凱旋門を基点にして四方へ伸びている道が、イルミネーションできらきら輝いていてとても綺麗。シャンゼリゼ大通りを見ると、はるかかなたに高層ビルに囲まれたバスティーユの新凱旋門がみえる。とても素敵な眺め。
もときた階段を下って地上に降りる。さてこれからどうしようかと切り出そうとしたら、連れ合いがもう地下鉄にのるのは嫌だと宣言。あーそれは結構結構おすきにどうぞ!とさらに険悪に。コンコルド広場はあきらめ、タクシーを拾ってホテルの近くまでもどることに。 適当なレストランに入って口もきかずにそれぞれオーダーし、でてきた料理を黙々とたべる。それをためいきまじりに眺めるコドモ。ああ不毛。 そんな状態のまま食事を終えホテルに戻る。服を着替えて順番にオフロに入り、ベットにもぐりこむ。ああ今回こそは喧嘩をせずに(海外へいくと毎回おきまりのように大喧嘩をするのです)旅行を終えようとおもったのに…。 明日が思いやられるなあ、とうんざりしながら眠りにつく。 そんな旅行3日目なのでした。。
朝。昨夜ベッドに倒れこむ前に辛うじて目覚ましをセットしておいたおかげで、何とか6時半に起床。通りに面した窓を開けると、教会(たぶんドゥオモ)の鐘がぐわらんぐわらんときこえてきた。辺りはまだ夜中か?と思うほど暗い。 眠気でふらふらしながらシャワーを浴びる。朝食は7時から(ビュッフェ)たべられるときいていたので、5分前に連れ合いとコドモをむりやり起こす。 眠気まなこのまま3人で朝食。焼きたてのパンとフルーツジュースとヨーグルトがおいしい。果物やチーズの種類もいっぱいあってけっこう良い朝食だった。おいしいご飯だったせいか目が覚めた。
夜明け前のフィレンツェ↓
朝食後、でかける前の身支度。女の身支度は長いと昔から相場が決まっているが、うちは男の身支度もやたらと長い。長トイレして朝シャンして乾かしてつめ切って服選んで(×3)、なんてやっているうちに1時間経過。そうこうしているうちにだんだん外が明るくなってきた。 9時少し前にようやく準備ができたので、とりあえず外に出ることにする。 外はやっと明るくなったばかりで思ったより寒い。現地は日本と同じ気候かそれよりも弱冠暖かいと踏んでいたわたし、白のベネトンの長袖Tシャツにショートジャケットをはおってきたのだけど、…かなり寒い。隣をみると、連れ合いとコドモはあたたかそうなダウンジャケットをきている。向うは寒いよっていったでしょ?でもおまえ(かあさん)ゆうこときかないから、と(マフラーを貸してくれと懇願したわたしに対して)二人して冷たい目。まあ歩いているうちにあたたかくなるだろう、と楽観的にかまえてとりあえず歩き出す。
鐘の音が近くにきこえたからすぐ近くにドゥオモがあるだろうと思っていたのだけど、ホテルの前の道を左に曲がったらいきなり目の前に現れた。想像以上に壮麗で美しくて威厳があって素晴らしい建物。なんていうんだろ、ただたんに異文化の建物(歴史的建造物)を間近でみたという驚きだけではなく、純粋に(日本もイタリアもなく)美しいものをみたときの感動、そういうものを感じる。ぽかんと口をあけてはるか上のクーポラを眺める親子3人。 ドゥオモ内に入るには時間が早すぎたので、とりあえずアルノ川まで行ってみようということになり再び歩き出す。歩いている途中にもいろんなものに目を奪われる。開店の準備をしているカフェ、小さなトラックに山積みの野菜をおろしている農夫っぽいおじさん、小さな路地でバイオリンをひいている人、街のあちこちにある彫像、匂い、人の顔、声などなど、ほんとうにあきない。水を買いに行った小さなお店の人も「チャオ!、マダム」とにこにこしながら声をかけてくる。
小さなトラック(3輪!)に新鮮な野菜たち↓
ドゥオモから10分くらい歩くと、シニョリーア広場がみえてきた。広場を囲むようにヴェッキオ宮と彫刻が建ち並ぶランツィのロッジア、そしてウフィツィ美術館。まずヴェッキオ宮の時計塔にびっくりさせられ、そして無造作に置かれた彫刻の数々にびっくりさせられ、ウフィツィ美術館の入り口の小ささにびっくりさせられ(ついでに休館日だったことにもびっくりさせられ・・)ほんとうになにもかもに驚く。驚きすぎて疲れてしまうくらい驚く。
10時半。だいたいのお店が開店する時刻。それでも思ったより人が少ない(後でわかった、というか理解したのだけど、月曜日はほとんどの美術館や博物館が休みなので火曜日から訪れる人が多いらしい)でもまあ少ないといってもわたしにはちょうどいい賑やかさ。シニョリーア広場からウフィツィ美術館を抜けてヴェッキオ橋に行くと、いろんなお店がひしめきあっていてもう見てまわるのに夢中。宝石店、革製品のお店、骨董店、古本屋、洋服屋、お土産物屋、ほんとうにいろんなお店がある。各自見てまわるお店が違うのでここは1時間ほど別行動。橋の手前で待ち合わせすることにする。しばらくコドモをみていたけど、ちゃんと気をつけて行動しているみたいだし、もうかなり大人なのでしばらく目を離すことにして、その間自分の興味のある店でいろいろ買い物。いちばん印象に残ったのはやっぱりジュエリーのお店かな。アクセサリーをつける感覚が日本人とは違うからか、大胆なデザインや色彩が目をひく。アクセサリーは添え物という感覚ではなくて、むしろそれ自体がメインになるようなそんな雰囲気。ほしいなあと思ったものがいっぱいあったのだけど、残念ながら最後まで手が出ず仕舞い。so expensive。
ヴェッキオ橋の近く↓
1時間後、待ち合わせ場所にて無事に合流し、今度は高台にあるミケランジェロ広場まで。 歩いていける距離だと主張するわたしに対して、ナサケナイ男二人はタクシーで行こうよ…と主張。2対1ということで結局タクシーを拾う。ヴェッキオ橋から10分ほどで到着。とても見晴らしが良い。ヴェッキオ宮の時計塔とジョットの鐘楼とドゥオモがとても大きくみえる。広場の真中にはダヴィデ像(レプリカ)がどーんとたっていて、そのまわりに土産物の小さな露天みたいなお店が何軒かある。ダヴィデ像の模型とかキーホールダーとかハンカチとかポストカードとか。こういうところは日本の観光地とかわらないんだな、と妙に納得。
アルノ川とフィレンツェの街並み↓
景色を楽しんだあと、車の通れない散歩道を歩いて丘を下る。ヴェッキオ橋より少し上流の橋を渡っていろんな道を通りながら、市場をみてまわったり目についた教会(サンタ・マリア・デル・カルミネ教会、サンタ・クローチェ教会など)をみてまわったり、地元のスーパーマーケットを覗いてみたり。たのしみにしていたサン・マルコ美術館(もちろんお目当てはフラ・アンジェリコの「受胎告知」)、場所はわかったもののやはり今日は休館日のよう。明日は見られるといいけど、時間的に余裕があるかどうか。
お昼ご飯はサンタ・マリア・デル・カルミネ教会の近くのトラットリアでトスカーナの伝統料理(リボッリータ、ペポソ)やパスタ、ピッツァをたべる。家族で経営している感じのお店で、威勢の良いおばさんと気の弱そうなおじさんと将来格好良くなりそうな男の子がくるくるとよく働いていた。(英語がほとんど通じなかった・・)
お腹がいっぱいになったのでまた少し歩いていろいろ寄り道しながら再びドゥオモまで。朝とは打って変わってすごい人。ほんとうはクーポラの上にのぼりたかったのだけど、スペースが限られているところへかなりの人が列を作って並んでいるので仕様がなくあきらめることに。 礼拝堂の中は外観に劣らず、とても美しかった。天井画とかレリーフとか、荘厳なのだけど、優しさというか慈愛というか、そこにいるだけでなんとなく穏やかになるような、そんな心地。 しばらくそんな空気にひたったあと、少々疲れのきた足を休めるべく、ジェラードのあるカフェでひと休みしてピスタチオのジェラードをたべる。ちょっと大人の味がした。
そのあと、イタリア料理(トスカーナ料理)の食材専門店(明治屋みたいなとこ)に寄って、パスタソースやらオリーブオイルやらをいっぱい買う。ドゥオモの目の前にあるお店なのだけど、日本語が離せるスタッフがいたので遠慮なくいろんなことをきいていろんなことを教えてもらった(料理の作り方やフィレンツェのことなど)近くにおいしいリストランテを知らないかときいたら、良いところがあるといって地図を書いてくれたので、今夜はそこで食事をとることに決定。
親のテンションについていけないコドモ↓
一日中歩いてくたくたになったのでとりあえずホテルに戻る。 戻った途端、また強烈に眠気が襲ってきて一時意識がブラックアウト。30分くらいだったかな。連れ合いとコドモに起こされてしぶしぶおきあがる。そのまま朝まで眠れそうなくらいすごい睡魔だった。 夜になってますます寒くなってきたので、持ってきた服をとにかく重ね着して、さっき教えてもらったリストランテへ出かける。
その途中、大きな通りから少し外れた横道にあった小さなアクセサリーのお店が目に入る。ディスプレイされているものはほとんどオリジナルのハンドメイドらしくて、かなりわたし好みのものばかり。その中の一つ、赤茶色の石(?)が嵌め込まれた銀製のブレスレットが目に入り、その瞬間に人目ぼれしまう。素材はなにかと英語できくと「コーラルだよ」とのこと。コーラル・・・珊瑚?? とにかくとても気に入ったので即購入。値段は銀製にしてはそんなに高くない。それでも45ユーロほど。大事に大事に使おう。
久しぶりに自分の良いと思うものが買えたせいで、その夜はとてもとても嬉しかった。幸福な気分でご飯をたべ、幸福な気分でホテルに戻った。
ゆったりしたバスタブにお湯をはってゆっくりした後、連れ合いに1杯飲みにいかないかと誘われる。でももうその時点でもう瞼が落ちかかっていたので、とっても残念だったけれど行かないことにした。じゃあいってくるわ、と出かける連れ合いを見送りながら前夜と同じくベッドに倒れこむ。2日目の終わり。
朝6時に起床。前日の夜に作っておいただし巻き卵とお握りをもぐもぐたべながら荷物の最終チェック。いつもチェックしたつもりが絶対なんか忘れているのだよね。今回は何を忘れることになるのかと思いながらトランクの蓋をしめた。
ぴかぴかに片付けられた部屋(旅行の前はいつもそうする)を後にして車に乗る。旅行に行っている間、知り合いがやっている修理工場へ車をメンテナンスにだすので、とりあえずその工場まで。車を預けたあと工場の人が空港まで送ってくれるというのでお言葉に甘える。 そんな感じで8時半にセントレアに到着。空港内の銀行でいくらかの現金をユーロに替える。あまりにもユーロが高いのでショック。数年前までは120〜130くらいじゃなかったっけ?それが今は160超。 玩具のお金みたいなぺらぺらしたのをお財布の中にしまい、気を取り直してさあ出発。9時には出国手続きをして、9時半には搭乗開始。
飛行機はエール・フランス(ボーイング)。NW以外の飛行機に乗るのは初めてでちょっとどきどき。機内に入ると入り口に近いところにビジネスクラスの座席がならんでいる。座り心地良さそうだし広い。そこを通り抜けるとエコノミーの座席。でも思ったより悪くない。NWはもっと狭かったような気がする。 荷物を上にしまって、靴を脱ぎ、携帯スリッパをはく。背もたれのところにひとつずつ液晶のテレビがあって、音楽を聴いたり映画を見たり、機外カメラの映像をみたり、語学の勉強ソフトをやったり、ゲーム(テトリス、だったかな)をしたりできるらしい。機内誌をみると映画のラインナップがあったのでわくわくしながらみてみたら、・・・「武士の一分」・・・「ナイト・ミュージアム」・・・「007 カジノ・ロワイヤル」 全部趣味じゃない映画ばかり。でてくる人(男)もまったく興味なし。うーん、このまえもそうだったけど、ついてない。期待してたのは「善き人のためのソナタ」とか「パリ・ジュテーム」とか「バベル」とかだったんだけどな。コドモは「スパイダーマン3」を密かに期待してたらしい。ふたりしてしょんぼり。 そして搭乗してから30分後、時間通りに飛行機が離陸する。轟音をあげながら滑走し、ふとした瞬間に地上を離れるあの感触。久しぶりでうれしかった。白状すると飛行機に乗るのが好きです(落ちなければ)
あいにく朝から荒天だったので、上昇しているうちにすぐ陸地は見えなくなった。知多半島を上空から観察しようと目論んでいたコドモはがっくり。雲の上にでてからは眩しいまでの太陽光線。自転とは反対方向へと進むので機外はずっと明るいとのこと。あきらめて窓をしめ、コドモはヘッドホンを耳にかけ、Jポップを聴きながら本を読み始めた。連れ合いはNHKニュースをみながら新聞を読み、わたしはというと辺りをきょろきょろしたり、スッチーの化粧とか髪型とか笑顔の度合い(?)とかチェックしたり席のポケットにはさんであるいろんな雑誌を読んだり。 ベルト着用のサインが消えたと思ったら、乗務員の人が熱いお絞りやらジュースやらビールやらを運んでくる。お絞り→ジュース(ビール、ワイン)等の飲み物配り→食事→飲み物配り(コーヒーとか紅茶とか)→軽食(デニッシュのパン)→飲み物配り→お菓子(あられみたいなもの)→2回目の食事→また飲み物配り、といった感じでシステマティックにサービスが提供される。そういうのをみているだけであきない(やっぱり旅行ビギナーであるからか)
そういうのの合間に連れ合いと現地についてからの予定を話したり、唯一見たいなーと思った映画(「あるいは裏切りという名の犬」、だったかな、けっこう良い映画だった)をみたり。
10時に出発して日本時間の23時くらいにフランスに着く予定なのだけど、パリでフィレンツェ行きの飛行機を待たなければいけないので、フィレンツェ着は日本時間のAM3時くらいになる。つまりほとんど徹夜明けの状態で現地に到着(現地時間は20時くらい)することになるので、少々昼寝をしておかないと体がもたない。だけど結果的にあまり眠れなかった。ひじょうにハイテンションのままパリに到着。
着いた途端、日本とはあまりにも違う空気にまず遭遇する。まず匂いが違う。そしてぴりぴりとした緊張感、そして寒い! フライトの案内板をみてフィレンツェ行きの飛行機を探すのだけど、それらしい時間のところに該当する便名がなくてしばし戸惑う。オペレーターのおねーさんに聞くと(英語が通じた!)ターミナル2のFに行きなさいとのこと。試行錯誤しながら移動する。なんて広い空港なんだろうと歩きながら思う。たぶんセントレアの5倍くらいはあるんじゃないだろうか。そんな建物がそれぞれ1と2に分かれて立っている。 自動小銃に手をかけながら辺りを睥睨している兵士を何人もみかける。ちょっとへんな人(空港なのに手ぶらで目つきが悪く挙動不審。視線を合わせると近づこうとするので完全無視)もいっぱいいる。へんな人と兵士以外はきっぱりと前を向いて足早に歩いている。日本とはまったく違う雰囲気にただただ目を見張るばかり。
ようやくフィレンツェ行きのゲートを見つけてひと安心。 安心したところでお茶でも飲もうかということになってカフェに入る。と、ここでもあまりの物価の高さに目を見張ることに。だってオレンジジュース1杯が7ユーロですよ。日本円で1120円。まあ空港内ってこともあるんだろうけど。調子に乗って買い物が過ぎると大変なことになりそう。お財布の紐をがっちりしめておかなきゃとあらためて決意。
空港内をあれこれ散策するうちに搭乗時間が近づいたのでゲートに向う。 フィレンツェ行きの飛行機は日本から乗ってきたものと違ってかなり小さい。 座席も狭く天井も低い。そして揺れる。それでもやっぱり飛行機はすき(くどいようだけど)落ちなければ。 夕暮れの中、飛行機はフランスを離れイタリアへ向けて出発。乗ってすぐにサンドイッチとクロワッサンのサンドとオレンジタルトが配られる。とてもおいしい。飲み放題のオレンジジュースもおいしい。 2時間弱くらいのフライトだったのだけど、ここでもやはり眠気がこず、眠いはずなんだけどなあ、とコドモをみたらついさっきまでサンドイッチをたべていたのにぐっすりと眠っていた。だよなあ、眠いよなあ、と思いながら暗くなっていく空をみながらしばしぼんやりしていた。
(現地時間)午後9時近く、ようやくフィレンツェ到着。なんとかヴェスプッチ空港、、。とっても小さい空港だった。ロータリーにバスの乗り場があるとガイドブックに書いてあったけど、探す気力もなくタクシー乗り場へ直行。空港から降りた人達の列がみるみるうちにできたけど、タクシーの方もそれに劣らず続々と列をなして並んでいたので、割合すぐ乗車することができた。 連れ合いが英語で「・・ホテル」までいってください、と頼む。すると運転手さんは英語があまりよくわからないらしく、「???」という感じ。とりあえずホテルの名前をイタリア人っぽく(笑 連呼してみる(・・ホテル、ペルファボゥレ)。すると「シ、シ、」といってばっちりOKだよ、というジェスチャーをしてくれたので、半信半疑のままタクシーが動き出した。ホテルの名前だけで本当にわかったのか甚だ不安だったので、ホテルの場所がドゥオモの裏だったことを思い出し、「ドゥオモの近くなんですが・・」と英語で念押ししてみたら、「OK!わかってる、問題ないよ」というようなことを(ノ、プロブレム、パーフェクト!)話したのでまかせることにした。時間はどれくらいかかるかと連れ合いがきいたら15分くらいとのこと。安心して窓の外に目を向ける。車はあまり走っていなくて、勿論人通りもなくてしーんと静まり返っていたのだけど、市街に入るにつれて人が多くなり、徐々に趣のある建物が視界に入ってきた。そして運転手さんが言った通り15分くらいでホテルに到着。料金は13ユーロほど。ちゃんとしたタクシーの運転手さんでよかった。
ホテルは元はお屋敷だったという建物を改装してできたなかなか素敵なところ。いちおう星も4つ。ドゥオモもすぐ近くみたいだし、良いホテルでよかった。 チェックインしてボーイさんに荷物持ってもらってチップをあげて、やっと部屋にたどりついた。天井が高くて居心地がよさそう、ベッドもちゃんとした大きさのものが3つあるし、ベッドカバーとかのリネンも素敵。 スーツケースをあけてとりあえず洗面用具と着替えをとりだし、顔を洗って着替える。と、そこで猛烈な睡魔が襲ってきた。ガイドブックをひろげて明日の予定のチェックをするつもりだったのにそのままベッドに撃沈。 長い一日がおわる。
気がついてみればもう1ヶ月以上日記を書いてなかった。 はじめたころは毎日更新があたりまえだったのにな。 自分の中のもの全部書き尽くした感もあるけれど、自分の中では書くことの(自分の心情を吐露することの)意味を失いつつある、というのがほんとうのところなのかもしれない。 それは健康的な方向なのか(精神的に)不健康な方向なのか、それはよくわからないけれど。たぶん良い方向なんだろうね。
さて、初欧州旅行。 あさって出発です。 なんと1週間でパリとフィレンツェをまわります。 各々3人のスケジュールや諸々の理由で、当初計画していたものとまったく違った縮小版になってしまったけれど、それでも非常にたのしみ。 とにかく時間がないので、地下鉄やRERの路線図とにらめっこしながらどうしたら効率良くいろんなものを見てまわれるかを考えに考えた。イタリアはとにかくおいしいものたべて街を散歩して雰囲気そのものをたのしむ、フランスはとにかく有名所を全部みてまわる(これはいちおうこどもの社会勉強のため)という感じになりそう。 かなりの強行スケジュールになるので体力勝負ということになるけれどまあ初ヨーロッパなので、体験版というかトラブルにまきこまれずにたのしんで過ごすことができればいいかな。
ではでは無事に帰ってきたらまた報告しにきます。
いってきまーす!
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