TOI,TOI,TOI!


2006年10月19日(木) 不可能と可能の間

やってることが両極端だなーと自分でも思うのです。バロックを専攻しつつ、一方ではこれ。
ドナウエッシンゲンの現代音楽祭の本番がこの週末にあります。この音楽祭、作曲家の登竜門らしいですね。
参考までに http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A8%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%B3%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E7%A5%AD

もうね、なんだろうね。今の最前衛中の最前衛はこれなのかと。選ばれし名誉ある作曲家達の委託作品がこれか、と。いい曲と思える曲が皆無。南西ドイツ放送響は2つのコンサートでオケ作品を合計6曲弾くんです。私のように6曲中5曲に乗ってる人もたくさんいます。その中で特にF氏の作品にはイライラの極致。

こんなにイライラさせられるものが、”音楽”なのか、と素朴な疑問が沸いてくるんだけど、でね、オケの奏者に文句言われた作曲家達や指揮者はこう言うわけですよ。

譜面に書いてあるものの30パーセントの出来で自分達は満足だ。100年前は演奏不能だったものが、現代は30パーセント可能になった。喜ばしいことだ。
そしてそれを依頼できるのも全国であなた方だけです。

褒めてるつもりだろうが全然うれしくない。見当違いに持ち上げられても、かなり寒い。

「じゃ、200年後には100パーセントになるとでもいうのかよ。ふざけんな。」

と後ろのホルン当たりから怒声。

同感。演奏技術が発達した、というのを演奏家でもない人に勝手な解釈で語らないで欲しい。昔の人より今の人の方が上手いとか頭がいいとかは絶対に思わない。そもそも現代人がどんどん失っているもの、というのも得たものと同じだけあるんじゃないの?そんな風な自分達が格上だみたいな最も優れているみたいな発想、大嫌い。

なんかそんなこと言われるとやる気と興味が0パーセントになる。仮に結果が30パーセントの出来だとして、そのために100パーセントの労力を影で費やしてると言うことをご存知?そしてストレスというものの存在もご存知かしら?仲間がいての団体なのですから、一人だけさぼるわけにはいかないのよ。

Fの譜面はなにしろ音、拍子、リズム、奏法、Div.、全てがもんのすごく複雑に書かれていて、理解するのに頭を使う。拍子が1小節ごとに変わるのはもはや当たり前、16分の11拍子やら32分の13拍子やら、そのなかに7連やら10連やら、で更に複雑なリズムが伴うわけですよ。指揮者が拍を1小節に4つ振ってて、その小節を7等分したのの3つ目でBartok Pizz!なんて、16人のグループで合うとでも思ってんだろうか、作曲家さん。
譜面をもらってから譜読みを曲の始めから真面目にしていって合わせ当日までに譜読みが終わっていた人なんていないと思う。

ある日はオケのVorstandから、公に作曲家達への苦い一言。

「3ヶ月は譜読みに時間がかかるようなこの曲を、1週間前になっても譜面が我々の手元に届かないというこの状況は、今後変わらないといけない。この機会にはっきり言うけど、こんなのは金輪際お断りだ!」

オケから大拍手。


2006年10月12日(木) バロック専攻実施中

今学期からバロックも専攻していて、すでに2回のレッスンを受け、もううれしくて楽しくて先生のファンになっている私。
かっこいいのに、素敵な人。レッスン後帰ってくるときものすごい上機嫌になって自転車をこいでいる自分がいる。

この先生はFreiburger Barockorchester(FBO)の創設者の一人で、コンミス。フランクフルトに教授の籍があり、週に一度だけまとめてフランクフルトでレッスンしているが、住まいはフライブルク。なので、私は今学期だけここでレッスンを受けているのですね。そして、先生の住まいは今の私の住まいからなんと一つだけ通りを隔てただけ。近。

入試の日にその場で貸し出してもらった先生所有の弓を買うかどうか迷っていたが、買うことに決めた。ちょっとこんな大きい買い物は生まれて初めてなんでドキドキしたけど、こんないい弓に探さなくても巡り合える機会がこれからあるか分からないし、(めんどくさがりの私が果たして積極的に探すかどうか、というのもあるけど)とにかく先生がいい弓だというんだからいいという判断をした。ドキドキ。

このバロック専攻についてだけど、ディプロムでヘンデルを弾いて以来ずっと興味があって、で、今やることにした。このProbespiel戦争&オケの仕事のさなか、というのもあるけど、今ギリギリ学生で、この機会を逃したら一生こんな機会はないかな、と。私の性格からして、あとでお金を払ってまで個人レッスンを受けにいったりする根性があるかな、と。ないかな、と。

といってもこの専攻のために学校に授業料は払っていて、1学期ごと500ユーロ。ま、練習しないでレッスンにいったりできない感じね。っていうか本当はそっちばっかり練習したいんだけど、今はカルテットとオケで手一杯で、欲求不満。

カルテットは今フライブルクに全員いて、毎日合わせしてます。仕事と合わせ以外のことができない毎日。個人練習すらできない。なぜならほかのメンバーは私が仕事中に個人練をして、私を待ち構えているので、私はほとんど指慣らしすらできない状態。

日曜、いよいよ本番です。まだ全然合わせが足りてません。
本当にカルテットは不経済。だって合わせに要する時間が多すぎる。今回は特に無茶なプログラムを組んでしまったというのもあるけどね。ま、いいトレーニングになっているのでいいんですが。
けんか寸前までいくのが非常に早いこの女4人のカルテット、本番はどうなるのかしら。
いろんな意味で楽しみ。


  
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