TOI,TOI,TOI!


2005年10月28日(金) ストレッチおすすめよ

昨日夜寝る前に、ふとストレッチをしようと思い立った。
オペラ2ヶ月間でたまった肩こりがあまりにもひどくなってきたので。そしたら、体がすごいかたくなっていて、びつくり。

私はもともと体が柔らかい人。足は180度とは言わないけど170度ぐらい開くことができたし、その姿勢で前傾して、床に鼻だけでなく耳!をつけることもできた。

しかし、昨日はひじをつけるのがやっと。よく柔軟体操なのかただ座って手を前に出しているのか分かんない人がいるが、そういう人の気持ちが初めて分かった。

そして、今日の午前中。オペラでリハーサル。
人に肩をもんでもらっても、湯船に浸かっても、あまり効果はなかったのだが、柔軟体操の効果はてきめん!だった。
まず楽器が軽く感じる。楽器の座りがよく、こう磁石のように首と肩に吸い付く。これだけですべては好循環なのだった。音程は取れるし、ビブラートもコントロールできるし。

というわけで、柔軟=ストレッチ。
あの10分でこの大きな差。なめたもんではない。


2005年10月23日(日) 冒険

BadHomburgで室内楽の講習会にピアノトリオでさんかしてました。昨日、修了コンサート。

おとといのこと。
朝オペラでリハーサル、夜、オペラの公演があり、昼、BadHomburgでレッスンだった。

レッスンが終わってSバーン(電車)でフランクフルトに向かう途中、電車が突然徐行運転に。
車内アナウンスで
「信号で徐行運転と出てるので。今のところ7分の遅れ」
なんて言ってて、ま、今日本番7時だし(その時5時ぐらいでしたね)そん位の遅れなら余裕余裕と思って、車内で3人で馬鹿話に花を咲かせていた。すごい霧だったので、そのせいかなと思ってた。

ふと時計を見ると、もう30分近くのろのろ走っているのにまだ全然Badhomburgの近くだということに気付き、そうこうしているうち、とある駅で停車。

「次いつ発車できるか分からない」とのアナウンス。

その駅のひとつ前の駅はOberurselといって地下鉄に乗り換えることができる駅で、あのときこうなることを予測できて、さっと乗り換えていれば!後悔先に立たず。

それでも電車の中に残っている人はけっこういて、私達もどうすべきか、この電車はいつか走りだすのか、と話したいたところ、ものすごい霧の中、視界の隅でバスがブロロロ・・。

慌てて電車を降りてバス停に向かった私達が見たものは、今行ったバスがOberursel行きで、1時間2本しか走ってないという事実。後悔先に立たず。ちきしょー。

不幸中の幸いは、黒衣装を一式オペラのロッカーに入れてあったこと。後悔その3は黒靴だけは家にしかないこと。黒靴はいて自転車で通勤するのが習慣になってきていたので。
この日は1日中黒靴を履いてあちこち移動する気がしなかったので、一度家に帰って靴履き替えて、いつものようにチャリ通の予定だった。

駅の大きな時計が6時にどんどん近づいていたので、まず靴をあきらめた。
ピアニストに、「伸はそろそろあちこちに電話入れといた方がいい」と言われ、まずは代わりに弾いてもらう人を探そうとして、もう一人のトラの子に電話して、興奮状態で状況を伝えた。
「今実家のバイロイトにいて今日は弾けないけど、その場合やむをえない事情だから、さっさと事務局に電話して事情を伝えるだけでいいのよ」
と言われ、ああそういうものかと、だいぶ落ち着き、そのようにした。

電車は相変わらず止まっていた。バス停には電車を下車する人が続々と増えていき、50人ぐらいになっていた。その人たちの話で、車内アナウンスで「人身事故」と知らされたことが分かった。

私がおろおろとあちこちに電話をしている間、チェリスト氏は、そこらじゅうの車に乗っている人に「この子が7時にオペラで弾かなくちゃなんないから、乗っけてもらえませんか。フランクフルト方面に行きませんか」とやってくれていた。
車で待機してる人はこの田舎駅まで誰かを迎えに来た人ばかりで、皆答えはノーだった。

タクシーを呼ぶにも番号が分からなかった。この辺に住んでいてこの辺のタクシー番号を知っている人はだれもいなかった。タクシーをどっかから呼んだ人は「来るまでに20分かかる」と言われたそうで、じゃ、もうすぐ来るバスに乗るのとどっちが早いんだーなんて言ってるうちに、タクシーが2台とバスが同時に来た。ここで頼もしかったのはピアニスト氏。

「おまえらはバスの入り口を押さまえとけ。」

といって彼はタクシーの方に全速力で走っていき「7時にオペラで弾かなくちゃいけない人がいるから、どうか乗せてくれ!」と、大声で掛け合ってくれ、フランクフルト方面に走ることも分かり、50人ぐらいの視線を感じつつ、相乗りさせてもらったのだった。チェリスト氏はタクシーに向かった私と一緒にうっかりバスから離れてしまい、バスは一度は走り出してしまったのだが、それをまたピアニスト氏は必死に手を振って強引に停めて、二人で乗ってった。

タクシーの運ちゃんが劇場の場所を知らなくて「Alte Oper」(コンサートホールがこういう変な名前)のことだと思ってたんで、それに気付いてからはカーナビで走り出し、おかげで、あの、なんであのカーナビってのはくるくる遠回りするんでしょうかね。まったく。着いたのはなんと、開演1分前。
ダッシュでロッカーに向かい、スピーカーから聞こえる調弦の音を聞きながらマッハで着替え。服を脱ぎ散らかし、ロッカーも開けっ放しのまま、ピットへダッシュ!
扉を開けると、「あとは指揮者を待つだけ」の静寂の時間だった。オケ全員の視線を感じつつ、着席。

後から知ったことだが、遅刻は50ユーロの罰金。でも電車が理由の場合は免除。車の渋滞の場合は免除にならないらしい。電車は自己責任ではなく、車の場合は自己責任。電車の定期はオケから出る。車のガソリン代は自腹。ま、車もってないし免許もないし、遅刻しないで間に合ったんだからいいんだけどね。


  
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