シネマ*マシンガン
映画鑑賞言いたい放題覚え書き
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2003年10月27日(月) 【フル・モンティ】達成じゃなくってさ

しょーもない男どもがいっちょ荒稼ぎ、とはやりの「男性ストリップ」をはじめようとジタバタするお話。しょーもない男、ときくとなんだか許せてしまうようなそうでもないような。しょーもなさぶりが適度で見ていて安心できる。離婚の話し合い中で息子と自由に会えない男とか、解雇されたことを妻に言えなくて通勤のフリをしている元上司とか。
結局ステージが成功してもそれがなにかの達成になるというわけでもなく、それでいて男たちがいちまいいちまい服を脱いでいくのがネイキッドになろうぜ、みたいな前向きさとやけくそさを絶妙にミクスした感じになっていて、なんだかほろりときてしまった。
ビデオのパッケージに「男たちがつかんだ栄光とは?」みたいなことを書いてあった気がするが、つかんでませんなんにも。むりやり美談にするのでなく、「トホホだけどちょっといい話」にしといたほうがこの映画はおいしい。

ふっと笑いたいおススメ度 ★★


2003年10月25日(土) 【模倣犯】映画を作る意味

ひさびさに「オレの2時間を返せ!」と言いたくなる映画を見てしまった。
なにがだめって、そもそも森田監督はいったいなにをしたくてこの映画を作ったんだ、というとこからはじめなきゃいけない気がする。
公開前からキーワードやらみどころやらをサイトを作ってあおってまで、この映画で何をいいたかったのか。わからん。わたしにゃ全然わからんよ。
原作の持つ、「人間同士の関係性の綾」とか「ひとつの出来事が波紋のように影響をひろげるさま」とか、大事なところがぜんぶすっとばされて残ったのは革新的な映像だか現代のメディアを意識した構成だかなんだか、もーどうでもいいを通り越して唖然とするようなことばかりだ。
キャストはがんばっていた。中居君の大胆不敵さ、山崎勉の無骨さ、藤井隆の素直さは、きっと生きるはずだったのだ、正当な脚本があれば。
ひとつだけいえるのは、この映画だけをみて失望したひとは、原作を読んでください。「殺人」をめぐるひとの心の動きが丹念に綴られている読みごたえのある本です。
決してやすっぽい「赦し」なんかが書かれているわけではない。


佐藤りえ |MAILHomePage

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