水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2020年03月31日(火) |
北村薫『ビスケット』 |
「遠い唇」(北村薫 著/角川文庫)の掉尾を飾る『ビスケット』。 読み応えがありました。
《作者の意図》を伝える付記に、作品への深い思いが滲みます。
場所は大学の研究室。 アメリカ人の客員教授のプロフィールに興味津々。 こういう人、私も会ってみたいなぁ。 楽しいエピソードを織り交ぜながら話が進むのですが──。
ダイイングメッセージをめぐる謎解きは、犯人がわかってもモヤモヤ。 犯人の告白がせつない。 犯行に至るまでの心の揺らぎが見えてくるよう。
タイトルの『ビスケット』という素朴でかわいらしい響きが余韻を強くします。
北村薫「遠い唇」(角川文庫)は謎解きの短編集だと思っていたら、 6番目の『ゴースト』を読んで、ん?
これまでと雰囲気が変わりました。 付記を見たら、 『ゴースト』は「八月の六日間」の主人公の心を描く習作─とのこと。 うーん、それではと、「八月の六日間」を先に読むことに。 「八月の六日間」は、文芸雑誌の副編集長をしている“わたし”が山歩きの魅力に出会うお話。 “わたし”とは、『ゴースト』に登場する朝美なんですね。
小さな行き違い、気持ちとは裏腹の作り笑顔……あぁ、わかります。
『ゴースト』の冒頭に引用されている短歌が印象あざやか。
「鬼などは来ぬやもしれぬ恍くわうと身をおしつつみ菜の花ばかり」 〜河野裕子
感性を刺激されます。いろんな意味で、北村薫は刺激的。
2020年03月18日(水) |
北村薫『続・二銭銅貨』 |
北村薫『続・二銭銅貨』。 続? これは、江戸川乱歩の『二銭銅貨』を先に読んだ方がいいと気づき、 『二銭銅貨』を読み始めて、子どもの頃に読んだことを思い出しました。 有名な暗号解読物語で、暗号部分は頭がクリアでないと入ってきません。
思いがけず、乱歩と再会。 若かった頃は、推理小説にハマった時期もありました。。 私のことは置いといて、北村薫の凄さを改めて知る『続・二銭銅貨』。 頭がスッキリとしている時、気持ちに余裕があるときに読んでほしい。 頭脳明晰な人なら、ワクワク、ゾクゾクが楽しめることでしょう。
ところで、二銭銅貨を見たことありますか? 古銭ですから、その現在の価値はいかほど?とネットチェックしたところ、 希少価値のある明治6年発行の二銭銅貨が高値のようです。
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