水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
荻原浩の短編集「月の上の観覧車」(新潮文庫)、4番目の物語『金魚』。 これも、せつない。 哀しみがあふれてきます。
妻を亡くして、心を病み、精神神経科に通院している男性が主人公です。 ひょんなことから金魚を飼うことになり、在りし日の妻との日々を回想します。 若かったときのこと、結婚したいきさつなど、語りがとても自然で、すぐそばで聞いているよう。 何を後悔しているのか、わかりすぎるほどよくわかります。
夏祭りの描写が郷愁を誘い、美しい水彩画を見るような感覚。 金魚の赤が鮮やかに浮かびます。
そうですね。金魚で癒されることもあるでしょう。 でも、一緒に金魚を眺める女性を見つけましょう。 そう言ってあげたい。
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