水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2003年06月21日(土) |
川上弘美『墓を探す』 |
あ・・またまた一週間が過ぎてました。今週は、月曜はセカセカ、火曜はソワソワ、 水曜もソワソワ、の中に思いがけず芥川賞作家の藤沢周氏の講演を聞き、 木曜はグッタリ、金曜はバタバタ、そして、今日はノンノンしておりました。
このところ更新がままならず、毎日覗いてくださる方には、ホント申し訳ないです。 ハフゥ〜ようやく、「物語が、始まる」(中公文庫)を読み終えました。 今日は最後のお話『墓を探す』。これも不思議な世界で、夢と現実の境界線が どんどん消えていって、訳もなく不安な気持ちになりながら、そんな不安になぜか 居心地の良さを感じたり・・。変な話、で終わらないところが川上弘美の魅力なん ですね。
ストーリーはタイトルそのまま、姉妹が死んだ父親の先祖のお墓を探しに山村へ 向かうのですが、なくなったはずの旅館には、すでに他界した父母や親族が 集まっていて……。 お墓が姉妹にとって、いつのまにか、家のようなものになっていく過程が自然で、 死んでいるはずの人たちを拒むことなく受け止める姉妹にも不自然さを感じない まま読んでいました。
生きていくって、お墓をめざしていくことなんでしょうか。 死んだらお墓はイヤですねー。海に眠りたい・・。
あっという間の一週間でした。お元気でしたか?わたしの方は、少々あわただしく 過ごしていたものの、パキポキ元気でした。笑
6月6日から、川上弘美の短編集「物語が、始まる」(中公文庫)を読んでおります。 不思議な世界に、たっぷんとつかったまま、その居心地がいいのか悪いのかも わからないくらい、のんびりと身も心も委ねております。
今日は三つ目のお話、『婆』。見知らぬ婆に手招きされて家にあがり、恋人の話を していた私──。次には恋人と一緒に婆の家に行き、家の中にある穴にふたりで 入り──、と紹介しても、はぁ?ど、どんな話?なのかよくわからないのでは・・。 そうなんです。よくわからないのです。恋人の名前からして、妙な名前なんです。。
『蛇を踏む』の前に芥川賞候補になった作品だそうです。そう、いかにも芥川的な 匂いがあって、好きですと言いたくなる魅力に惹かれます。耳をすまして読んでい ると、心が刺激を求めていたことに行き着くような。
トカゲと主婦たちの交流?いやはや、またまた不思議な世界です。 読み進むうちに、なんだかドキドキしてくるのは、なぜなんでしょ?トカゲに馬乗り になる主婦を想像すると、可笑しさを通り越してエロティック、じゃありません? 会話文に「 」がないのが、面白い効果を作っています。
川上弘美、どこでどこから、こんなストーリーを思いついたんでしょ? ハチャメチャ、なのに、ちゃんとまとまってます。
れれ?短いんですが(短すぎ!)、今日はこのへんで。
素敵な週末をお過ごしくださいまし〜♪
2003年06月06日(金) |
川上弘美『物語が、始まる』 |
わ!中公文庫、字が大きい!昨日まで読んでいたハルキ文庫の字が小さかっ たので、すっごく大きく見えます。この紙色も OK!で、川上弘美は読みやすい。 スンスル読めるのは、漢字が少なめだからか、(昨日読んだ篠田節子は、漢字 が多いんです〜)文章が簡潔だからか、描写が巧いからか、吸い込まれていく ように、物語の中で、心はフニャフニュ自由に飛びまわりました。
9日間、ミステリを味わった後に選んだのが、川上弘美の「物語が、始まる」 (中公文庫)。幻想的なお話が四つ納められた短編集です。嬉しいことに、まず 表題作の『物語が、始まる』─ 素敵なタイトルです〜〜♪あぁ、読む前から やられてますっ。(ハイ、タイトルに惹かれて本を買うタイプのようで・・)
ある日、公園で男の雛形(アシモくんみたいな物?)を拾った女。雛形に絵本を 読み聞かせているうちに、雛形は本を読むようになり、しゃべりだし──。
んー、、、、純愛と見る人もいそうですが・・純愛とはちょっと違うような・・。 雛形にとって女は、自分を見守り育ててくれた母親にも思えるんですね。 心から愛し合っていても身体は愛し合えないのは、やはりせつないです。 別れをきちんと迎える二人には胸が詰ります。そして、物語りが始まるのです。
「らせん階段 ─ 女流ミステリー傑作選」(ハルキ文庫)の最後は篠田節子の 『秋草』。不倫関係にある男女が京都で逢引・・しかし、すでに互いの情熱は 尽きていると感じた女は──。
もー、迫力ありすぎ!女の思いつめるような形相が、ガンガン迫ってきます。 対照的に、男は冷静ですね〜。冷やかなまま終わるのかと思ったら、この男、 意外といい人です。「私の妻です」─って、ん〜嘘も方便ですが・・。なかなか、 こんな場面では言えないですよ。きっと。どんな場面かは、読んでみて下さい。
読み終えて、すっきり感はほど遠く、余韻は不安色。 愛し合う時を過ぎたら、こんなふうになるのでしょうか・・。
9作品読んで、特に印象に残ったのは、永井するみの『洗足の家』と篠田節子 の『秋草』ですが、どれもタッチは力強いです。 これで、定価760円+税は、お買い得☆
2003年06月01日(日) |
加門七海『アメ、よこせ』 |
しばらく前に、TV「めざましテレビ」のめざまし調査隊が、巣鴨の商店街を行き交う お年寄りがアメを持ち歩いているか、という調査をしたのを思い出しました。
お年寄りがバッグにアメを入れているのはなぜですか?という視聴者からの葉書 を元にしたものだったのですが、調査の結果は、ほとんどのお年寄りがバッグに アメを入れていました。?なぜ?明確な答えは得られなかったんですが、お年寄り がアメを持っているのは、ほぼ間違いないようです。そう言えば、バス停で、アメ をごそごそ取り出して口に入れたお年寄りを目撃したことがありましたっけ。。
わお!前置きが長くなってしまいました。 『アメ、よこせ』 ─ 墓参りするために山へ行った姉妹が、生前、祖母が山にはアメ を持っていくのだと言っていたのを忘れ、アメを持たずに山に入ったとき──。
ホラーですね〜。ぐいぐい引き込まれていきました。 これを読むと、アメを持ち歩きたくなります。たぶん。 お年寄りがアメを持ち歩くのは、このアメ伝説のせい?まさか、ね。
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