水野の図書室
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2003年02月26日(水) 東野圭吾『友の助言』

おとといの夜、日記の最後に「じゃ、また明日」って書いてましたね。(^^)ゞ
昨日は読書タイムが取れなくて・・昨日来てくださった方、申し訳ありません。

最後の作品、『友の助言』も巧くまとまっています。
加賀刑事は、事故で入院した友人のお見舞いに。そこで、単なる居眠り運転ではない
ことを刑事として、友として話すのです。

犯罪を隠すための嘘、真実から目を背けるための嘘、動揺を見せまいとする嘘、
真実を知っていると知らせるための嘘……。嘘は相手に向けられるだけじゃなく、
自分に対してのこともあるんですよね。悲しい・・。

今日で「嘘をもうひとつだけ」(講談社文庫)を読み終えました。
どれも登場人物が少ないので、犯人がすぐわかるのが難点ですが、犯人探しより
その内面に深く入っていけて、物足りなさは意外にありません。
人間の悲哀を感じた一冊。これで495円(税別)って、安すぎ!


2003年02月24日(月) 東野圭吾『狂った計算』

夫を事故で亡くした妻の元を加賀刑事が訪ねてきます。行方不明になっている
建築士のことで──。

・・胸が締めつけられそうな展開に、心はどんどん重くなりました。
計算どおりになんていかないですよね。今日一日のスケジュールでさえ、予定どおりに
いくことは稀なのに、まして、完全犯罪を成し遂げようなんて、考えちゃいけません。

完全犯罪なんて、ムリなのです。その前に、他人を傷つけちゃダメなんです。
でも、現実では、そんなことわかっているはずの分別ある大人がとんでもない事件を
起したり、まるで小説の世界のような殺人事件を計画したり・・。
殺伐としたニュースが続きます。最近、明るい話題がないですよね〜。

そして、計算そのものも、実態は不確かなものです。
計算された安全は脆く崩れることもあり、計算した人生だからといって幸せとは
限らない・・。
とりとめのない感想になりましたが、ズッシリくる作品です。読んでみて下さい。
じゃ、また明日。


2003年02月22日(土) 東野圭吾『第二の希望』

そ、そんな・・と読み終えて悲しくなりました。
娘を体操選手にしてオリンピックを目指す夢をもつ母親。子育ての意見の違いから離婚し、
今は母子ふたりきりの生活です。そんな寂しさを埋めるように入り込んできた恋人。
なのに、留守中に、訪ねてきていた恋人が殺されていたのです──。

「嘘をもうひとつだけ」(講談社文庫)第三話も、加賀刑事、大活躍 !
ん?この短編集は加賀刑事の事件簿(古っ!)ですか?
匂いにも敏感なのは、『冷たい灼熱』でも立証ずみ。冷静で思いやりもある刑事さんで、
もしもの時には相談したいタイプです。

ラスト、犯人がわかっても、真相があきらかになっても、なんだかスッキリしません。
悲しいです・・。ミステリって、悲しいものが多いですよね。せつないというか・・。

あ、もうすぐ24:00。なんとか今日の日記に間に合いそうです。
今夜、CHAGE&ASKAのコンサートに行ってきました。良かったですぅー!
いい汗かいてきました☆ 


2003年02月21日(金) 東野圭吾『冷たい灼熱』

こ、こんな、どんでん返しがあったとは・・。うーん、うーむ、そーだったのね〜。
するするした文章なので、網膜で映像化しながら読みました。赤が鮮やかにでましたよ!
なぜ赤かは、わかる人にはわかりますから。。ぜひ、読んでみて下さい。

会社員が帰宅すると、部屋は荒らされ、妻は殺されていたのです。そして、一歳になる息子
の姿はなく、強盗に連れ去られたのだと思われたのですが……。またまた、加賀刑事の登場。
鋭いですよー、頼もしい刑事さんです。この犯罪にも、嘘が絡みます。おろかな嘘です。

途中でくるりと新しい場面に切りかわるのですが(どんでん返しのことね)、
誰もが、ゾッとするでしょう。どこにでもありそうな状況、隣に住んでいても不思議じゃない人、
結果として犯人になってしまう怖さ・・、犯人は、かわいそー、、。
犯罪を起こしたくて起こしたわけじゃないのです。嘘をつきたくて嘘をつくわけじゃないように。

去年の今日もどんでん返しミステリを読んだ気がして、listを見たら、山口雅也の『人形の館の館』
(「大密室」新潮文庫)でした。探偵小説を元にしたドールハウスがでてきて、すっごく面白かったです。
つい先日読んだような気がします。来年の今日はどんな小説を読んでるのかなぁ〜。
と、思いめぐらす誕生日の夜。ウフッ。


2003年02月20日(木) 東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』

昨日、井上荒野の『楽天ちゃん追悼』と『ビストロ・チェリィの蟹』(「グラジオラスの耳」光文社文庫)を
読みました。・・やはり、相性が合わないようで、、、感想をまとめるのが・・です。
そのうち、もう一度読んでみたいと思いますが、疎遠になりそな予感88%。あぅ〜。
ただ、江國香織の解説がいかにもエクニック、プリンのような甘くやさしい語り口にホッとしました。
作品名からの検索で「水野の図書室」においでくださった方には、申し訳ありません。。
ぜひ、井上荒野に挑戦して下さい。!Animo ! ←最近覚えたスペイン語の「頑張って!」

嗚呼、今は何か面白いミステリーを食べたい〜じゃなくて、読みたい〜ぃ!
という訳で、読み始めたのが東野圭吾の短編集「嘘をもうひとつだけ」(講談社文庫)です。

で、最初が表題作『嘘をもうひとつだけ』
自宅マンションのバルコニーから転落死したバレエ団の事務員。自殺として処理されると
誰もが考えていたところ、同じマンションに住む元・プリマ・バレリーナのもとに刑事がやってきます。
刑事が訊きたかったことは──。

この刑事さん、東野圭吾の相方のような練馬警察署の加賀刑事です。論理的に会話で犯人を
追い詰めていき、犯人に真相を語らせるのが巧いですねー。これから犯人は何を言うのか、
集中できます。思わず耳をすましてしまいました。
(これから作者はどう書くのか、、なんていう余計な心配しなくていいとこが嬉しい)
そして、暴かれる嘘には、哀しいものがあります。嘘ついて、また嘘ついて・・。
バレエに精通した刑事ならではの謎解きもみどころです。


2003年02月17日(月) 井上荒野『わたしのヌレエフ』

タイトルを見て、どんな物語かピッ!ときました?
ん?と首を傾けた人のために、いちお説明しておくと、ヌレエフとはルドルフ・ヌレエフ。
'61年にソ連から西側に政治亡命し、イギリスのロイヤル・バレエ団で活躍したダンサーです。
と、わかると、輪郭も何となく見えてくるのではないでしょうか。
「我が社の菊川怜」とか「我がサッカー部のナカタ」みたいな物語かと想像したでしょ?

ところが×ところが、、そうシンプルな物語じゃないのが井上荒野なのです。
夏子と夏彦が共有するものは……。
うーん、難解です。くるくる変わる場面、次々登場する人々、駆け足で読めない小説ですねー。

'89年の第1回フェミナ賞受賞作品だそうですが、うーん、、、なんと言ったら良いのか、
あ、そうなんですか・・という感じ。。
・・読んでいて挫折しそうになりました。。相性が合わないのかも・・。


2003年02月15日(土) 井上荒野『暗い花柄』

「人妻殺し」といっても、殺人じゃありません。そそそ、いわゆる、アレです。
その団地に住む主婦たちが、ひとりの美大生と関係を持っていくんです─ はぁ、ため息。。
選ぶのは嫌悪感。恋愛の欠片も見えず、否、こういうのは恋愛じゃなくて、何ですか?
罠?仕掛けるのは主婦か、美大生か、、どっちでもいいけど、なんだか・・気分が重くなるばかり。。
同じ団地っていうのも、・・ですよねー。息苦しー、読んでて苦しいー。助けてぇ〜〜。

『グラジオラスの耳』も『暗い花柄』もストーリーのわりにキャストが多すぎて、ついていくのが大変です。
作者はわざと焦点を絞れないようにしているようにも思えてきます。
大きな疑問=主人公は誰?

こーいったタイプの短編小説は、正直言って初めてのような気がします。
帯には「不可解で、可笑しくて、豊かで。」(江國香織)ってあるけど、
江國香織でさえ、不可解なんだーとヘンに納得したのでありました。ハイ。


2003年02月13日(木) 井上荒野『グラジオラスの耳』

フゥ〜日記のデザインを変えてみました。
明日はSt.バレンタインデーだし。って、関係ありませんが・・笑
戴くメールに「字が小さくて、」というのがよくあって、気になってたんです。
どーでしょうか?読みやすくなったでしょうか?携帯用のアドレスも画面下に入れ
ました。ちょっとした時間に携帯電話でも読めます。よろしくです。

さて、「MISSING」の次に選んだのは、「グラジオラスの耳」(光文社文庫)。
井上荒野って、本名ですか?父は井上光晴、民衆を描いた作家です。あれの、から
想像するのは、寒風吹きすさぶ誰もいない野原。娘に名付けるなら「あやの」で
しょ、なんて余計なことまで書きたくなったのは、名前同様、小説の方もよくわか
らない世界だったから。

表題作『グラジオラスの耳』、次々に流れていく風景のスピードは同じまま、ただ
連れていかれます。悲しいわけじゃなく、楽しいこともなく、電車の窓から眺める
景色のように途切れることなく過ぎていく世界は、確かにそこにあるもの。
どんな話なのか上手く言えないんです。運ばれる景色を誰かに伝えるのは難しいように。
残りの4編もこんな感じかもしれません。


2003年02月10日(月) 本多孝好『彼の棲む場所』

突然の電話にもいろいろありますが、昔の同級生からの電話ほど警戒するものは
ありません。わたしのところにたまに飛び込んでくるそれは、結局は選挙のお願い
だったり、宗教の勧誘だったり、高額な商品の購入だったり・・電話を切れない
のは、昔の同級生だから、それだけなのです。

『彼の棲む場所』も昔の同級生からの電話で始まります。(あぅ、、ヤな予感)
でも、「僕」は彼と会う約束をします。(あん、、よせばいいのにぃ〜)
そして、彼は有名な大学教授でテレビにも顔を出す文化人。「僕」は私立図書館
員です。(あ・・でも同級生が有名人になるのって、何となく嬉しいなぁー)
ところが、彼の話を聞くうちに、その心に棲む狂気を知ることに……。

どうも読んでいて居心地が悪いくらい引き込まれます。
私立図書館員だなんて、わたしは憧れますが、「僕」は自分を卑下してるようで、
なんだか、んー、そのへんも居心地の悪さにつながります。彼より、駄菓子やの
老婆のキャラが際立って、この老婆と「僕」を主軸にしたストーリーをリクエスト
したくなりました。本多孝好は、この短編集に5年を費やしたとか。その後、長編
も書いてらっしゃいますが・・ゆっくりじっくり書くタイプみたいですね。
ついていきたくなりました。この本は、わたしの本棚の目立つ場所に・・。

本多孝好「MISSING」(双葉文庫)、ありがとう。


2003年02月08日(土) 本多孝好『瑠璃』

「僕」と四つ年上のいとこ、ルコの物語。無鉄砲なルコを慕う「僕」の中に芽生え
ていたものは……。

平凡な日常を嫌うルコが、年を重ねると共に一番嫌いなはずだった普通の女に
なっていく苦悩が滲んで、痛々しいです。思い出のために欲望を抑える「僕」に
は、共感できるような、、できないような、、(どっちよ!笑)

青空の輝きのような子どもの頃の「僕」とルコ。“なぞなぞ”で遊ぶふたり、羨ま
しいです。こんないとこがいたら、楽しいでしょうね。“なぞなぞ”って、かなり
親しい間柄じゃないとできないでしょ?どんな答えも受け止めてもらえる安心感
があってこそ、ヘンな問題も出せるし、とぼけた答えも言えます。ルコと「僕」の
“なぞなぞ”は、最後の問題以外面白いですね〜。

ラストには少し納得できないところがありますが、胸をしめつけられるような
せつなさは、濃密な時間を過ごせた満足感に変わっていきました。
「MISSING」(双葉文庫)、お薦めです。




2003年02月07日(金) 本多孝好『蝉の証』

わたしが死んだら、誰かの思い出の中に挟んでもらえるでしょうか。いつか、その
人も死んで、その人を知る人も死んだら……わたしを知る人はどこにもいません。
人の一生なんて儚いものです。なんて、今日も「MISSING」(双葉文庫)にすっぽ
りと浸りました。

第三話は『蝉の証』。老人ホームにいる祖母を訪ねた「僕」は、同じホームにいる
ある老人のことを調べて欲しいと祖母に頼まれます。老人が、何か厄介なことに
巻き込まれているんじゃないかと祖母が心配する訳は……。

と、老人ホームでありそうな話かなとリラックスして読み進むうちに、事態は思わ
ぬ方へぐいぐい進みます。祖母の言葉は、ズシリと重くもあり達観した軽やかさも
あって、もー、しみじみ。。「僕」、いい人すぎますー。


死を意識した時、誰かの心の中に自分の存在を刻みたいと思うのは、生への執着
というより、ただ寂しいから。そんな気がします。みな寂しがりやなんです。



2003年02月06日(木) 本多孝好『祈灯』

失ったものは二度とかえらない。過ぎた日には戻れない。一人で生まれて、死ぬ
時も一人。だからこそ、今この瞬間がいとおしいのです・・随分、感傷的に
なってしまいました。

『祈灯』─ 「僕」の妹、真由子の友達“幽霊ちゃん”。そんなあだ名がついたの
は、悲しい過去の出来事で自分の存在を消してしまったからだったのですが……。

真実の裏で息をひそめる本当の真実を紐解いていく「僕」の推理の見事さとまわり
を気遣う優しさが丁寧に描かれていながら、明るく振舞う真由子の心の傷を凝視さ
せてはくれないところが、逆に深みを増しているように感じました。そして、家族
であるゆえの、煩わしいほどのもどかしさとせつなさが胸に迫ります。


あなたの家から見える街の灯りは、あなたにはどんなふうに映るのでしょうか・・




2003年02月04日(火) 本多孝好『眠りの海』

爽やかなものを読みたくて、表紙に惹かれて手にしたのは本多孝好「MISSING」
(双葉文庫)、五編の短編集です。表題作がないところを見ると、共通のテーマ
が、MISSING(欠けている・失った・行方不明の〜)ということなのでしょう。

第一話『眠りの海』─ 自殺を計ったものの、少年に助けられた高校教師のお話。
見知らぬ少年に問われるまま身の上話をする教師。車の助手席に乗せていた教え
子の女子高生を死なせてしまった事故の真相を解いていく少年の面影に教師が
気づいたものは……。

ミステリアスな少年のおぼろげだった輪郭が、少しずつ縁取りを見せてくる過程
が心地良いです。ひたひたと寄せる波の音が聴こえるような抑え気味に進む文章
に加納朋子を思い出しました。共通項は、せつないミステリ。
不思議な余韻と透明感、もう一度読みたくなりました。


'94年の第16回小説推理新人賞受賞作品です。




2003年02月03日(月) 赤川次郎『十代最後の日』

19歳の友也の前に突然あらわれた死神、彼を迎えに来たという死神は少女の姿で
彼の視界の片隅に立ち──。「十の恐怖」(角川ホラー文庫)では、いろいろな
恐怖アイテムを見てきましたが、最後のお話で、とうとう“死神”の登場です。

なぜ、死神がこの日を選んだのか、謎めいた日にち指定へとつながる過去と現在
の物語は、死神に抵抗を試みるスリリングな連続に、幼なじみの香子への想いが
絡まり、ハートフルな赤川ワールドになりました。

読み終えて、じ〜ん。そして、想像するとザクッと怖い。このバランス、絶妙です。
ぜひぜひ、読んでみて下さい。


今日で人生が終わると宣告されたら、どうしますか?
何をして、誰と過ごしましょうか・・


2003年02月02日(日) 竹河聖『十歩……二十歩……』

信州の秘湯へ出かけた女の子三人。幽霊を見たことある?から始まった旅は…
と、いうんですが、…ありがちな設定、ありがちな会話、・・んー、ラストは
やはり、となりました。ちょっと、物足りないです。

せっかくの露天風呂ですから、もっと温泉の雰囲気を醸し出して欲しかったような
気がします。でも、難しいですよね。あまり書き込みすぎるとガイドブックみたい
になっちゃうし・・。幽霊・温泉・女三人旅って、書くには簡単なようで、意外と
大変なのかもしれません。ほら、本当においしい卵焼きを作るのは案外難しい
ように。

次のお話が、この短編集の最後になります。「十の恐怖」(角川ホラー文庫)って
中身とタイトルがかみ合ってないような・・。

明日は赤川次郎の『十代最後の日』。
やっとここまできたという感じです。この短編集、つ、疲れます。。




2003年02月01日(土) 朝松健『十死街(サツセイガイ)』

これは、お薦め! 満足度101%です。
舞台は返還前の香港。漢方薬の買い付けに行った“ぼく”は、“あっちの世界”に
迷い込みます。そこは、夢の中のように秒きざみで場所が変わってしまう街。
そこで香港マフィアの戦いに巻き込まれた“ぼくは”──。

「十の恐怖」(角川ホラー文庫)九番目のお話は、妖術・<火>神術でワックワク!
短編なのに、場面ごとにタイトルがついて、豪華?(笑)な感じがたまりません。
戦闘シーンを楽しめるのはあまりないので、肩に力が入ります。
ぜひぜひ、読んでみて下さい。

!ところで、この短編集、恐怖がウリのはずだったんじゃ・・。




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