宇宙人がやってきた
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先日、養護学校の見学があり参加してきました。
今回は、国立K養護学校。 昭和48年に開設されたというその学校は 観光地として知られる場所にあります。
私鉄の京浜急行線に乗り、N駅からタクシーでワンメーター。 緑深い山を背に、道路を挟んで学校と研修施設があります。
どこからともなく、潮の香り・・・。
正面玄関に入るなり、大きなカラクリ時計。 色とりどりで、仕掛けもいっぱいの楽しそうな時計は 子どもが自分で操作できるように工夫されており、 職員の方たちの手作りと聞いて、驚きました。
初めに案内された寄宿舎は、遠方からのお子さんが対象ですが 現在は定員割れしているので、県内の子どもでも利用できるそうです。
肢体不自由児の部屋、知的障害児の部屋、食堂、ホールと どの部屋も広々と明るく、そして随所に手作りされたものが見かけられます。 浴室を覗くと、お風呂場の前のそれぞれの場所に きちんと畳まれた着替えが置いてあり、床は髪の毛1本落ちてません。
小学部の教室、幼稚部、ホール、リラクゼーションルーム 広くて迷ってしまいそうでしたが、いくつめかのプレイルームに入った途端 眺望の素晴らしさに思わず、息を呑みました。 窓の下に海岸線があり、目の前が全て海、海、海、180度です。
それから修学旅行などの練習のための部屋、なんていうのもあり 和室と洋室とダイニングキッチン、システムキッチンも洗面所も 電動式で、感心することしきり。ここも、「オーシャン・ビュー」
ホテルのような中庭を、子ども達を乗せた電動車が走り抜けて行きます。 外遊びの広場も遊具が凝っていて、アスレチックか遊園地のよう。
環境も施設も申し分ないこの学校は元来、重度及び重複障害のお子さんの為に 設立されたそうですが、定員に満たない現在国からの指導(ハッパですね)で 軽度の子ども達も受け入れることになったそうです。
しかし・・・遠い。あまりに遠い。 6年間毎日送迎することを考えると、厳しい。 なぜなら、2年後に下の娘の就園があるからだ。 時間的に、絶対折り合いがつかない・・・。
夫に話すと、「幼稚部があるのなら、リスケもそこに入れればいい。」 ・・・なるほど。
もしくは、「じゃ、引っ越せばいいじゃん。近くに。」 ・・・え!?そうか、それもいいか・・・。
見学に参加する前に、担任の先生に言われたこと。
「学校の特色や評判も目安ですが、見に行った時に想像してみてください。 そこが、コーちゃんの場所かどうか・・・。
そこで遊ぶコーちゃん そこで勉強するコーちゃん そんな姿が目に浮かぶようなら、 そこはきっと“コーちゃんの場所”ではないでしょうか。
どう想像しても浮かんでこない ここにコーちゃんはいない そう感じられたらどんな立派な学校であっても “違う場所”なのだと思います。」
海の見えるこの場所に、コータはいるかな・・・。
実名で紹介しようかと悩みましたが、学校側へご迷惑が掛かるといけませんので 仮名にさせて頂きました。「教えろ」という方はメールにて問い合わせ願います
最近、息子がワケのわからない歌を歌っている。
「ワケのわからない」は、前からだが それでも冒頭部分をきけば、だいたいの見当はついた。
が、最近のものはいくら考えても、思い出しても、わからない。
朝、送って行ったついでに先生にきいてみる。
なんせホニャララ語なので、説明がむずかしいのだが それでも、かろうじて聴き取れるフレーズを口ずさむ・・。
「いいの〜いいの〜♪じゃ〜ね〜♪またね〜♪」
先生、悩む・・・・・・・。
「・・・・・」 「・・・・・」
あと、こんなのもあります先生。
「タコ〜♪イカ〜♪カニ〜♪サ〜ヨ〜リ〜♪」
先生、更に悩む・・・・・。
「・・・・・」 「・・・・・」
「・・・・あ」
わかりました!?
「もしかしたら・・・ “あつまり”の時のお唄と、 しまじろうのビデオに出てくる歌かも・・」
ハッキリとはわからないけれど(だろうな・・・) 何となく思いあたる歌があるそうだ。
結局、なんの歌(か、どうかも不明)なのか判明しなかったけど 私の知らない息子が、いるんだなーと・・・ふと思う。 ここに来て、ここで過ごす時間、 その間、確実に息子は私の知らない世界にいるのねー・・。
外で唄を覚えてくるなんて それを、家で歌うなんて 思いもしなかった成長だけど
私の知らないコータの出現に 一抹の寂しさも覚える、母なのでした。
週末、海に行ってきました。
この近辺にも、潮干狩りで有名な ファミリー向けの海浜公園があるのですが もう少し先まで、足を伸ばしました。
まだ5月なので、海の家も設置されておらず ウィンドサーフィンや、バーベキューをする家族連れなどが のんびりとシーズン前の海を、楽しんでいます。
水着は用意していきませんでした。 波打ち際で、「ちょっと遊ぶ」つもりだったので。
何年つきあっているのでしょうか・・・。 この息子と。
全身びしょ濡れになるまで、10分とかかりませんでした。
初めは、波が来たらキャッキャと逃げていましたが 次第に大胆になり、 ウンチをしてしまった娘に、気をとられている間に海水浴してました。
「ジュボン、ビジュビジュ・・・」と言いに来た息子に そのままでいいから、あとで、お着替えするから・・と言い聞かせても 例によって納得できないようで、不満そう・・・。
じゃー、もう、これでいいよ!と、下半身だけ スッポンポンにして(10年後なら変態姿) そのまま遊ばせていました。
波がくるたびに、歓声を上げて喜ぶ息子。
初めて、海へ連れて行ったのは1才4ヶ月の時。 突然、ザブザブと入って行ってしまい大慌てしたなー・・・。 あの時は、男の子だから「怖いもの知らず」なんだろうと思ったっけ・・・。 「危険の認知」とか、そんな難しいことは考えもしなかったよ。
海へ入っちゃったのは、今回も同じだけど 嬉しい!楽しい!と、そんな気持ちをこちらに向けてくる。 「危ないから、おいで」と声をかければ 子犬のように、ころがり走ってくる。
邪気のない笑顔。 可愛いなー・・・可愛いな、私の息子。 もう、ずっとずっと、このままでいて欲しいな・・・なんて またも考える「進歩のない母」
楽しかったね、コーちゃん。 また、来週も来ようね。 今度は水着を用意して、いっしょに海に入るからね。 パパが。
週末、センターから帰った息子の持ち物をチェックしていた。 なにやら、制作物を持ち帰ったよう。
色画用紙で作った、カードのようだ。
リボンが結ばれた、そのカードには クレヨンで塗られた、カーネーションの貼り絵と 「おかあさん ありがとう」のシールが、一文字ずつ貼ってある。
連絡帳を見ると 「クレヨンで、色を塗りました。シールも上手に貼れました。」と。
もう1度、カードを眺める。
大半は、先生がやって下さったのだろう。 カーネーションの貼り絵が、1人で全部できるとは思えないし・・・。
・・・でも、・・・でも、 鼻の奥が、ツーンとしてしまった。 恥ずかしながら、泣いてしまいました。私。
もう、先生も、罪なことするなぁ〜・・・。
単独通園が始まり、約ひとつき。
熱だ、連休だ、と実際は半月ほどしか通えていませんが それでも何とか、この生活に慣れつつあります。
朝、センターまで息子を送り 教室の入り口で、上履きをはきかえたところまで見届け 先生にお願いして、帰ります。
「いってらっしゃい!」大きな声で手を振ると 振り返って小さく手を振り、教室へ入って行くコータ。
ほんのひと月前まで、「靴は、自分で履かない」と こだわっていた息子が 下駄箱の前のベンチに座り、自分の場所の扉を開け、 上履きを出して履き、外靴を自分の場所にしまい、扉を閉める。
この一連の動作を、何も指図されなくても 一人でできるようになっただけで、母は感無量です。いや、ホント。
連絡帳を見たり、個人面談で先生から様子を伺ったかぎりでは マイペースにやっているようです。
「聞き分けも良くて、指示もよく通ります。 ご機嫌もいつも良いのですけど・・・。」と先生。
「給食が、ほとんど食べられません」と困ったようにおっしゃる。
「コーちゃんは、ごはんに混ざり物があったり、何かのっていると 嫌みたいなので、必ず白いごはんを用意しているのですが・・・。」
いや〜・・・お手数おかけします。恐縮しきりでございます。
今まで、唯一完食したおかずは、「唐揚げ」だけです。 なんか可笑しくて吹き出しそうでしたが、申し訳ないのも確か。
だもんで、帰ってくるなり「パン」とか「おにぎり〜」と言ってきますが せいぜい果物をちょっと与えるだけで 「お持ち帰り」を洗濯しつつ、その間に連絡帳をチェックしたり プリント類に目を通したり、なんやかやで、もう夕方。
さっさとお風呂に入れ、とっとと夕飯を与え 7時半には、「おやすみなさ〜い」です。
1日中バタバタと忙しいけれど、通園する前の「託児所状態」より メリハリがあって、ずっとコータの為には良いと思う。
で、朝、息子を送ったあと娘と2人きりになるわけで・・・。 そうなるとパソコンなんてできませんねー・・・さすがに「母」しないと。
公園に行ったり(近所のではない)、ドライブしたり 外食したりして、これが結構楽しい。なんたって「身軽」
最後は必ず、夕飯の買い物をしてからお迎え・・というのが定番コース。
コータは、娘くらいの時は「ベビーカー」から降りないか 店中を走りまわる・・・というパターンでした。 リスケは、と言うと・・・「多動」なんですよ。これがやはり。
もう手を振り切って「ピューッ!」は、見事に同じ。 なんというか・・・溜息を通り越して、感心してしまうくらい同じ。
でもたったひとつ、兄と違うのは お菓子売り場で引っかかり、大騒ぎをします。
コータは走り回っても、決して商品はいじらなかった ・・というか、多分、興味が無かったのでしょう。
娘はお菓子を欲しがって騒ぎます。 兄とはまた違う意味で、「しつけの悪い子」と見られております。
仕方が無いので、駄菓子をひとつ買ってやります。 たいていは30円のカプリコ。
レジで鼻を鳴らす娘に、「お金を払ってからね。」と言いきかせ 店員さんに、「すみませんが、テープを貼ってください。」と頼みます。
・・・が、実を言うと、これこそが1度でいいから やってみたかったことなのです。本当は。
息子は、何もねだったことがありません。 お誕生日も、クリスマスも、いつも親の私たちが 「これだったら、喜ぶかな。興味を示すかな。」と色々考え 一方的に買い与えてきました。ま、たいていは失敗に終わります。
2才ごろ、公園の帰りなどスーパーに寄ると、他のお子さんは ボチボチお菓子をねだることを覚え、文句を言いつつ買い与えるお母さん方。
私も、息子の好きなお菓子を手に取り、「コレ、買おうか?」とききます。 息子はそれを手で押し戻します。
何も、欲しがらない子。どうしてなんだろう・・と不思議でしたが 今、思うとアレは「元の場所に、キチンと戻せ」だったんでしょう。 整頓されているものや、置き場所を変えるのが嫌いでしたから。
だから今、娘にお菓子をねだられると嬉々として買い与える 別の意味で問題アリ・・・の母になっています。
連休最後の日に、水族館に行きました。 大きな水槽の中を回遊するマグロやカツオ。 目の前まで泳いでくると、かなり迫力があります。
怖いのかキュッと抱きついてくるリスケ。 どれどれ、コータは・・・おおっ、見てる見てる。興味があるのか?
なおも後ろから観察していると マグロを眺めたのは、ほんのわずかな間で そのあと彼が見つめていたのは、水槽の横のタイル部分でした。
指で、ツーーーッと「正方形のタイルの目地」をなぞる息子を見て 思わずガックリくる父と母なのでした。
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