もふー。そんなこんなでとうとうおおつごもりとなりましたねえ。 色々ありました。しみじみ。
こんばんわ、今年あったことをまとめてみましょうか。もえぎです。 勿論いつもの箇条書きです。 さらんとしみじみしつつやってみましょう。
・紺堂嬢に攻殻にはめられた ・でもやっぱりマイナーなはまりかたをした ・ラブロマンチスト妻帯者東大卒脚本家櫻井さんにしてやられた ・免許が取れた ・ありがとうキリテ ・クリスマスの演出がとても素敵でした。キリテに聖夜って似合うんですね ・へなちょこのCuteも、とってもうれしくなりました ・つとめたりやめたり病んだり ・一時薬漬け ・特に前半春から秋にかけては倒れまくり ・たぶんエピ2ショックがなかなか抜け切れなかった所為もありましょうが ・ともあれ結局色々とはらくくった ・おかげで病状回復 ・世界で一番すてきなかのかたに、やっと謝れた ・わたしはたぶんあそこできえてしまっても良かった ・ふと思い立ちスーファミを色々してみる ・ようし次は聖剣2かロマサガ3かミスティックアークだ! ・バハラグサーチさまに登録させて頂いた ・たくさんすきなものがあるってすてきだとおもうのです ・人生是時間制限イベント ・ロープレバトルハイパー越せた ・モリゾーに飛びついた ・本作った ・挿絵が豪華すぎてえらいこっちゃった ・部屋の中をのたうちまわり『おかあさんうんでくれてありがとう』と叫んだ(実話) ・銀の天使さまが微笑んでいらっしゃる ・素晴らしい方々に、たくさん構って頂きました ・お世話になりましたみなさま、本当にありがとうございました(ぺこり) ・来年は、どうなるのかなあ ・でも、でも。おれ、まだまけねー ・らー、かかってこいやあー、おまえらなにちゅうじゃあー ・……やあってやんよお!
しめがこれか。まあ、うちらしいといえばらしいですが。 それではみなさま、良いお年を。 どうか、素敵な新年をむかえられますように!! みんな、すべてが、しあわせになりますように……
2005年12月30日(金) |
『A・m・a・d・e・u・s』 |
ほいやー。腕が軽く筋肉痛です。ロープレバトルハイパーしすぎました(笑) でもしあわせだから良いのです。ほいでましろきおさなご強化週間はファイナルです!
(注意!今日の日記は、ましろきおさなごもだいすきだけれども、 ポップンまみれな内容となっております。 お話希望の方は最後まで飛ばすのが賢明です)
こんばんわ、三宮まで紺堂嬢とラブラブデェトでした。もえぎです。 遊びすぎました。ポップンで筋肉痛だなんて久し振りです。 いやあもうロープレバトルと格ゲーが愛しすぎるのです。 お二人共大好きです!頭から離れません。にゃーにゃーにゃにゃー(イントロ) ロープレバトルはタキ嬢が『ダンスを!ダンスおじゃまをかけなきゃ!』 と笑いを含めた助言をメールにてくれたので、早速実行。 因みに自キャラはロープレバトル2Pキャラのミカエラです。 わたしが自キャラ変えるなんて、とても珍しいのですけれど(普段は7リエちゃん使い) それだけ、ロープレバトルだぁいすきということです! で、ミカエラのフィーバーアニメはなんとか知っていたのです。 プレイ中必死に横目を使って、何か召喚してるのには気付きました。 まさかポップンマン喚んでるとは思いませんでしたが。 キャラをミカエラ、曲は一曲目からロープレバトルハイパー。 ノルマはダンスおじゃまを最初から最後まで! 戦闘開始しましたら、何やらよく分からないながらも大変なことになっている感じ。 横で見ていた紺堂嬢大うけ。気になって気になってしかたありません。 で、結局曲はぼろぼろになり(無理ですあんな状態)最後に画面を眺めたら。
破壊神・降臨。
たえちゃんーーーー!!(爆笑) 壱ノ妙ちゃんは、身内ではたえちゃんの愛称で親しまれています。 画面のど真ん中には、破壊神というかいっそラスボスと化したたえちゃんがいました。 こっそりどこぞの邪神の面影が脳裏をかすめました。 しかも無駄にロマサガちっく。グッジョブですあまもさん。 キャラがキャラだけに呪われそうな感じがぴったりすぎて逆に笑えました。 でも呪いのCDは聴きたくありません。あさき…! 大人の事情で閃くことはできなかったそうですが、是非とも閃いてほしかったです。 後になり、紺堂嬢もしてくれたので、わたしもじっくり鑑賞できました。 閃きや回転こそありませんでしたが、必殺技はありました(笑) フェルナンド、そのまま乱れ雪月花とかかましませんか……。 しかし、ツンツン金髪の主人公に、緑の髪のおんなのこ。あとラスボス。 びっくりコナミなポップンなのに、真ん中だけ別の会社になってました。
やあやあ、このままイトケンさんも下村さんもポップンレギュラーなりませんかね。 お二方ともなんでもいけますよ。イトケンさんに至っては次も出る気ぽいですよ。 ハードロックでいきましょう!イトケンfeat.すわひでおで!! それにしても何してるんですかSotaさん。 曲コメントにキュンキュンしております。今週の更新はとてもしあわせ。 それにしても下村さんのコメントが、全く周囲と違和感なくなじんでるのが素敵。 既にポップンのノリに、すっかりなじんでらっしゃいます。凄。 けれどキュンキュンしたのはこれだけではありません。 いえロープレバトルと格ゲーのコメントだけでおなかいっぱいだったのですが。 キュンキュンよろよろしながら、残る更新項目、レーシングをクリック。 ああごめんなさいねMEGAさん貴方を忘れたわけじゃあないのですが他のお二方の破壊力が凄すぎるのですよMEGAさんなどなど思いつつ見ていると。 ギラギラメガネなにくいやつ。よくいじめられてる猫のきぐるみコンポーザー。 wacさんの一言。 「好きな車種はジャンプしたり『ハローマイケル?』とか話しかけてくるやつです」
……………ーーーーっ!!!!(声にならない)
きぃやぁあああああ!?キット、キット?わたしのナイト! うおおおおまさかこんなところであなたの影を見ることになろうとは。 え、どうしましょ次のポップンにナイトライダー入っちゃったら。 「『ヒャッホオオォォウ!』なターボブーストでおなじみのあの曲が登場だよ!」 みたいな感じですか.djwだったりELE BLOCKの左の人だったりする会社員さん。 今まで貴方は大好きでしたが、ここまで底抜けに株が急上昇したのは初めてです。 ありがとう、ありがとうwacさん。だから次はお願いしますねわたしのキットを。 DVDボックス(宝物)にぎっしり詰まった最愛のAIを。
なんか今日は悪乗りしすぎですか。ましろきおさなご強化週間だというに。 年末だというのに騒がしい日記ですまったく。キュンキュンしすぎです。 さてさて、こんな日記を読んでくださる寛容な方はいらしたのでしょうか? めんどいからかっとばされた方が大多数と思いますが。 お待たせしまして申し訳ありません、おつきあいくださりありがとうございました。 捏造できるラストチャンス、ましろきおさなごのおはなし。 短いながらもお気に入りなものは、こんな風になりました。
『A・m・a・d・e・u・s』(ましろきおさなご強化週間ファイナル)
「きみは」 「あなたは」 「どうしてきえてしまうの?」 「どうしてかなしくなるの?」 「そばにいてくれるだけで」 「そこにいてくれるだけで」 「とてもすてきになるのに」 「とてもなきたくなるのに」 「ねえ」 「ああ」 「会いたいだけなのに」 「愛しいだけなのに」 ぼくは」 「わたしは」
そのなまえさえしらないのに。
2005年12月29日(木) |
『アマデウスレクイエム』 |
むやー。年の瀬がおしせまってまいりました。 そんな世の中を無視するかのごとく、ましろきおさなご強化週間四日目です!
こんばんわ、まあ偉そうなこと言いながら今日の話短いのですが。もえぎです。 でもかなりお気に入りの部類に入るお話です。 いつもわたしは、あの子をちいちゃいちいちゃいかわいい子と書いてきました。 今日はもうちょっとだけ大きくなったあの子です。 結局のところほんのちょっぴししか大きくはありませんけれど(笑) もう、腰の周りにまとわりつくようなおっきさではないのです。 ふと思いついたとき、なんだかほんわりできました。 最後らへんはやっぱりやや暗いのですが、仕方ないと思うのです。 なにせ、原初のふたり。あんな別れかたをしたふたり。 『霧の朝にであい 夜の静寂にわかれた』ふたり。 今思い返すだけでかなしくなるような別離です。 ですからせめて、わたしの書くこのささやかな世界だけくらいは。 しあわせでいてほしいなあ、しあわせな可能性があったらなあと。 ぽつぽつ考えてたら、このサイトがまだ生きてるわけです(笑) さてさて今日は、ちょっぴし大きくなったおさなごと、そんな彼に気付いた彼女。 ふたりがくすくす微笑みあった、小さなおはなしです。 因みに昨夜の日記に一つ間違いを見つけました。 ウロボロスは鎌首をもたげられませんね確実に。 鎌首もたげたら、しっぽはなしちゃってEDになっちゃいます(笑) ごめんなさいウロボロス。
>二十八日 ・10時の方 わあ、Yさん!Yさんだ!おおよろこびです(笑) うう、こんな細々とした企画に気付いてくださってありがとうございます。 わたしこそ筆不精で申し訳ありません。 あの時に、もっともっとお喋りしておけば良かったです。もう楽しくて楽しくて。 少しでも楽しんで頂ければ、うきうきしながらやる気まんまんになれます! 今日も含めてあと二日、よろしければお付き合いくださいね。
『アマデウスレクイエム』(ましろきおさなご強化週間そのよん)
おさなごとていつまでもおさなごであるわけもない。されどおさなごが完全におさなごを脱ぎ捨てるのはまだ遠き日のこと。ゆるやかに時間を歩んでゆくこどもの背が、視線の高さが、ふと自分と同じほどであると娘が気付き始めた頃。それでもやはりまだおさなごである彼は、銀と鉱石の煌きを携えて、彼女の元へとやってきた。 なんでも、手先の器用な彼が、宮にある、自分の手が届く範囲にあるもので作った装身具らしい。感心しながら見つめる娘の瞳には、成る程、小さな輝きがさざめいている。 ぶかっこうな形にくだけた輝石の破片。それらを絡め、繋ぎとめる細い白銀の糸。ありあわせの材料でこしらえた留め金。宝物庫におさめられている貢物の類と比べれば、なんとも貧相な、とるにたらない品である。しかし彼女はかつて、おもたげな黄金よりも、彼のもたらす白く頼りない花をよろこんだ。この時も、そうだった。 彼女だけのために、と。彼がその手で作ったささやかな腕輪。捧げられた幼い供物を、娘は喜んで受け取り、作り手の目の前でまとおうとした。
「……あら?」 「どうしたの、エレハイム?針金、痛い?」 「いいえ、違うの。心配しないで。ただ、ちょっと……」 「あ。留め金、かけにくかった?」 「私がぶきっちょだから。片手じゃうまくかけられないみたいだわ」 「鎖の部分が短すぎたんだね。エレハイムの手首にはぴったりすぎてきちきちみたい」 「ごめんなさいね、アベル。せっかく作ってくれたのに」 「ううん。なら、こうしたらいいんだよ」 「え?」 「エレハイムがこれをつけるときは、いつでも僕がつけてあげるよ」 「はずすときは?」 「もちろん、はずすときも、いつでも僕が側ではずしてあげる!」 「ふふふ。じゃあ、これをつけてたら、いつもアベルと一緒ね?」 「うん。いつもエレハイムの側にいて、ずっと、ずっと一緒だよ」
くすくす笑いながら片腕を差し出した娘の前で、少年は至極真面目に恭しく、留め金をかける。けれど彼の顔にもまた、隠しきれないほど満面の笑みが浮かんでいた。細い、かそけき光を宿した腕飾りは、ふたりが共にある間、常に彼女の左手首に鎮座していた。ささやかな輝きを零しながら、ふたりの微笑を灯したまま、ありつづけた。 やがてそれは閃光に彼女ごと貫かれ、血を飾る、夜にちりばめられた星々の涙となった。だがそのことを彼女は知らないし、彼は消してしまったし、母は踏み躙った。 だからこれはだれもしらないただのおはなし。
2005年12月28日(水) |
『アマデウスデュオ』 |
とあー。ましろきおさなご強化週間、おりかえしの三日目です。 多分今日のが一番長いと思うのです。更に暗くなりはじめるのです。わあ。
こんばんわ、ほんまに感謝デイなのかこれ。もえぎです。 本人が言ってりゃ世話ないですね。 むー、少しでも楽しんで頂ければと思っているのですけれど。 やっぱり心配してしていたのですが、拍手が嬉しく見に染みます。 うう、ありがとうございます。がんばりますので、もうしばしお付き合いを!
昨日のお話で、初書きなのかどうなのかよく分からないと言っていた彼。 実はかなり楽しく書けたりしています。 今日のお話にも出ているのですが、かなりうきうき書きました。 おかしいですね。わたし、ああいう人は苦手なはずなのですが。 大人の人で、男の人で。頭が良くておっきくて。 本来なら一目散に逃げ出すような相手ですのに、何故だかすらすらでした。 おかしいなあと、思っていましたが。ふと気付いたこと。 お話にこそ書いてきませんでしたが、わたしはいつも意識していました。 原初のふたりを書くときは、常に彼の存在を背景においていました。 もし今までの原初のふたりを読み返して頂ければ、 そこかしこに彼の名前が登場しているのに気付かれるやもです。 とってもとっても尊敬している素敵サイトさまに、とってもとってもかっこいい彼がいます。 そのサイトさまの、彼とおさなごの関係が大変素晴らしいと思いまして。 いつも間にやら影響を受けたようです。優しい、知的な、お兄さんという。 ……いっぺん、謝りに伺うべきでしょうか(不安) なかよし、ほんわか原初の『三人』。 そろそろ藍色のウロボロスが鎌首をもたげてきます。
そいで二日連続で全く関係ないのですが、まだロマサガ3にキュンキュンしてます。 サントラがキュンキュンしすぎるのですよ。 でも曲によっては『……ここは左の白でリズムやな』とか、 『うああ嫌や。こんなハイハットの刻み嫌や。RIGHT ON TIME譜面や』など。 音ゲー譜面の見方をしてしまってちょっと切なかったりもします。 ロビンさまのテーマはVが!V譜面が入りますよ!(笑) キャラの曲、トム兄の曲がやさしくてうきうきです……トム兄大好きです。 エレンさんも、サラさんも、カタリナさんもユリアンの曲ものんびりできます。 歌詞をつけて、遊んだりしたのが懐かしく思い出されます(苦笑) ポドールイの曲にも歌詞つけたものです。いまだに覚えてます。封印ですが。 あと、ロブスターの名前がなかなか思い出せなくて考え込んでいました。
『なんやっけ…なんやっけロブスター……仲間にしたことないからなあ。 なんか、やたらアメリカンでワイルドな感じがしたのはおぼえてる。 ネルソン?…それは長くつしたのピッピか。 ニクソン?…これは大統領。 ブロンソン?……ポップンやろそれは!!ああなんやっけ…』
ボストンでした。
『ん』しか合ってないですよもえぎさん。 まあこんなアホ話はおいといて(本当にアホ話だ) いいかげん、ましろきおさなご強化週間三日目、GO!です!
『アマデウスデュオ』(ましろきおさなご強化週間そのさん)
そろそろ修学の刻限ではないか。柱廊に伸びる影の長さから、現在の時間を目算した青年は、片腕にかかえた書物へちらりと目をやった。彫刻のように整った容貌、猛禽めいた黄金の瞳。文武に優れた美丈夫がそこにはいた。 まだ時間はあるかと、彼が歩みを緩めた瞬間、ふと鼓膜がぱたぱたという軽い音を捉えた。双眸もあるものを捉えた。正面から駆けてくるその者の、躍動や、呼吸さえ聞こえた気がした。自分めがけて走ってくる者の正体を考えるまでもなかったし、警戒するまでもなかった。相手の、屈託のない満面の笑みについつられて、石膏のような彼の表情に、淡い笑みが灯った。 「カイーン!!」 「アベル。すまぬ、遅れてしまったか」 「ううん、カインは遅くないよ!ぼくがいつもより、早く来てただけ」 「そうか」 時間を読み間違えたかと思った青年の言葉を、こどもはすぐさま笑顔で打ち消してしまう。そして随分と高さの違う視点をもったおかしな二人組みが、並んで歩いていると、こどもは嬉しそうに彼を見上げて色々な話をしてくる。今朝の食事のこと、魔法の練習のこと、体術の訓練のこと。他愛のない、日常的なことを、こどもはさも冒険を繰り広げたとばかりに、両腕を広げてまで説明する。いきいきと身振り手振りで報告してくる相手を無碍にするでもなく、青年は薄い微笑のまま、軽く相槌を打ってやったり、時折大変有用な助言を与えたりしながら、聞き手に徹していた。歩く速度をこどもにあわせてやっているのに、彼自身気付いていなかった。 くるくるめまぐるしく表情を変え、臨場感たっぷりにお話を繰り広げるこどもの言葉の中に、ふと彼が興味を抱くものがあって。ああ、思い出した、とばかりに口にした。 「そういえばアベル。先刻、お主の木炭画を見てきたぞ」 「えぇっ。そ、そうなの?」 「うむ。見事だった。たいしたものだ」 「そうかなあ。ぼく、まだまだへたくそだよ」 「いや、単色であれだけ豊かに森を描写出来るなど、思いもしなかった。誇って良い技量ぞ」 「……そうなの?」 「ああ。我などにはとても真似の出来ぬわざよ」 「うぅー…そっかあ。じゃあ、もっと練習しないとね!」 「随分と意欲に満ちておるのだな」 「うん!だってぼくね、いつか、もっとたくさんの色をつかえるようになりたいんだ!」 「顔料を欲するのか?ラムズを用いて探索させれば、即座にお主の元へ供えられように」 「ううん。そうじゃなくてね」 ここでふっと一呼吸、間をおくと、こどもはきょときょと落ち着きなくがらんとして人気のない周囲を見渡し始めた。一体どうしたのだろうと、予測不可能なこどもの行動を純粋に不思議に思いながら、彼は待つ。そうして暫く経つと、傍目にはよく分からないが、どうにか安心できる状態だとこどもは判断したらしい。可愛らしい声をひそめ、あのねあのねとひみつめいてささやく。うんと背伸びをしてもまだ届かない彼の耳元へ向かい、彼も咄嗟に身をかがめてやり、こどもはあのね、と切り出す。
(あのね、ないしょだよ。誰にも言っちゃだめだよ!) (ああ。我は盟約を違えぬ) (エレハイムにも、ないしょだよ!) (……誓おう) (うん。カインはきっとだいじょうぶ。カインにだけ、言うね) (光栄の極みと思おうぞ)
しかつめらしく、とてつもなく真面目に返してくる、うんとおおきな青年に、こどもはくすくす微笑む。一方青年はというと、耳朶に絡みつくちいちゃな声が、なにやら仔犬にじゃれつかれているようで、どうにもこそばゆい。しかし彼は、あくまで理性的に対処する。たとえ子供であっても、いや子供だからこそ、慇懃なほど丁重に受け答えをする。自身の性格もあろうが、こども相手に権謀術数は通じない、即座に見抜かれてしまうことを、彼は知っていた。こどもとある時は、策謀など巡らさない。自らの思うがままに言葉を紡ぐことができる。ゆえに青年は、ましろきおさなごと共に時間を過ごす際、自覚すらしないほど心安らがせていた。 こどもが、ひみつをばらまいた。受け止めた青年の虹彩は、一瞬、針のようになった。
(あのね、ぼく、いつかエレハイムを描いてあげたいんだ) (今のぼくじゃあ、だめなの。ちっともエレハイムを、エレハイムらしく描けないから) (エレハイム、とってもきれいでしょう?夜明けの虹みたいにきれいでしょう?) (ぼく、とびっきりきれいにエレハイムを描きたいから、あざやかにエレハイムを描きたいから) (だから、いっぱい練習して、たくさんの色をつかえるようになりたいんだ!)
――ああ。母よ。母よ。御身は確かに美しい。我らの母であり、神の娘である貴方を、このこどもは、貴方自身としてしか見ていない。げにおそろしきおさなごの澄明さ、玲瓏さよ。我はそれを畏れ、それを羨み、それに焦がれるのだろうか―― 「ぼくとカインだけの、二人だけのひみつだよ!」 目眩にも似た感覚に彼が襲われているとも知らず、こどもは大きな瞳をくるりと動かして、また微笑む。きらきらと光そのものを辺りにふりまくような笑みだった。存在自体が光なのではなかろうかと、彼は瞬間思ったが、すぐさま愚かなことよと振り払う。そして何事もなかったかのように、ぎこちなく笑みを返す。 「ああ。誓おう」 「約束、ね!」 そう笑い、小指を差し出してくるこどもの仕草の意味が分からず、ぽかんとしている彼に、きょとんとしたのは相手のほう。しかしこどもは利発な子であったので、すぐさま青年が行動の意味を知らないのだと気付いて、説明を始める。おさなごに大の大人が約束ごとのまじないを教授して貰っている光景は、なんとも不思議に映るだろうが、彼は構わなかった。漸く二人とも得心がいったところで、じゃあ、とまたこどもが指を差し出す。今度は動じることなく、彼はその指に、自らの小指を絡めた。 こどもが呪文を唱え終わり、ぷちり、と誓約の指鎖が断ち切られるのと時を同じくして、彼は軽やかな足音に気付いた。 「あら、二人とも。何をしてるの?」 振り返る青年と、少し狼狽した様子のこども。二人の眼差しの先で、なよやかな微笑をたたえているのは、他でもない『母』であった。 暁色の髪を砂漠の風に揺らし、慈愛に満ちた紫苑の瞳はあくまであでやか。優婉に微笑みながら近付いてくる彼女に、青年は会釈を捧げた。 「母よ」 「こんにちは、カイン。もうアベルのお勉強の時間だったのね」 「否。刻限には少々到りませぬ」 「それじゃあ、どうして二人でいたの?」 彼女としては、ただ単に気になっただけなのだろう。こくりと小首を傾げて訊ねてくるさまに、悪意など微塵もない。しかしほんのついさっき、『二人だけのひみつ』を交わしてしまった身としては、上手く解答をそらすのが困難な話題と思われた。それが証拠に、彼女の姿を目にすると、一目散に駆け寄ってゆくこどもが、どうしたものかと青年の後ろでまごついている。うう、だの、ああ、だの、と言葉にならない声を発しているさまから読み取るに、どうしたら上手に嘘をつけるのかが分からない、といった様子だ。まだまだくもりなきこころのままである、ましろきおさなご。大好きな娘に向かって堂々と嘘を吐けるほど、大きくはない。 ゆえに、ならばこれは我が責務よと、青年はすらすらと答える。 「アベルが大変に勉学熱心で、疾く修学を、と我に訴えたのです」 驚いて顔を上げるおさなごに、青年はちらりと視線で答えた。言葉なく交わされる、ひみつを共有した二人の会話に、娘はちっとも気付かなかった。 「まあ、なんて感心なことかしら」 「然り。まこと、見上げた心根」 「じゃあ、がんばりやさんのアベルとやさしいカインに、お茶を淹れましょうか」 「汗顔の至り」 「後で部屋まで持って行くわ」 好奇心旺盛なこどもと、それに付き合う青年に、素直に感心したのだろう。大輪の微笑をたたえたまま、あまいものは何にしようかしらと口にする娘は、ね?と言わんばかりの眼差しと笑みをこどもに向ける。平生ならば、つられてにっこり返すこどもであるが、小さな胸に秘め事を抱いたままでは、いつものようには振舞えない。なのに優しく微笑んでくれるだいすきなひとが苦しくて、とうとうたまらずこどもは声を上げた。 「あ、あのねエレハイム!ぼく、さっきカインとひみつの約束してたの!」 「ひみつの?」 しまった、とばかりに、傍目にはちっとも分からないくらい眉をひそめた青年の前で、暁の娘はきょん、と瞳を見開いている。せっかく上手く隠し通せたと思ったのに、とうの本人が暴露してしまった。だが青年にこどもを責める気持ちはさらさらなかった。ただ、どうしたものかと明晰な頭脳を総動員し始めていた。 その前で、こどもは少し潤んだ大きな瞳で、娘を見上げる。 「でもね、それは二人だけのひみつのないしょで、カインとゆびきりしたの。エレハイムにも言っちゃだめだよってぼくが言ったから、カインは嘘ついてくれたの。でもでも、カインは悪くないんだ、ぼくがお願いしたんだから!いけないのはぼくだから、それで、あのね……!」 「アベル」 言っているうちに、どんどん悲しくなってきてしまったのか、こどもの瞳の表面張力が限界に達している。だんだん歪んでくる表情は、今にも大声で泣き出してしまいそうなもの。だがこどもは、自分のせいで嘘までつくことになってしまった大好きな兄代わりの青年を庇おうとして、必死に言葉を連ねる。しかしやはり拙いこどものそれ。上手く言い表すことができず、声がひきつりそうになってきたこどもに、娘はふわりと屈みこむと、目線の高さを合わせて、婉然と微笑む。やわらかに名を呼ばれたこどもは、くすんと小さく鼻をすすりながら相手を見やる。 「アベルと、カインだけの、ひみつのお話してたのね」 「うん」 「それを守るため、カインに嘘つかせちゃったと思って、かなしくなったの?」 「……うん」 「アベル。嘘の全てが悪いものではないのよ」 「そうなの?」 知らなかった、とばかりにきょとんと瞳をしばたたくこどもに、娘はだきしめるような微笑で応じる。傍らで目撃することとなった青年は、半ば呆然としていた。自らひみつを打ち明けながら、必死に自分をかばおうとする、嘘などついたことのないこどもと。そんなこどもを受容し、優しくあやしてやる娘。両者の、彼には計り知れない絆のあり方に、愕然としたのだった。 「ええ。カインのついてくれた嘘はね、アベルを守ろうとして、約束を守ろうとして使われた、とても優しい、良い嘘よ」 「いい嘘があるんだ」 「そう。すべてのものが悪いのではないの。だから、アベルも、悪くはないわ」 やわらかに断言すると、何よりの証拠とばかりに、娘は艶やかな華の微笑をこどもに向ける。重々しい嘘の鎖に押しつぶされて、息も絶え絶えだったおさなごは、彼女の伸ばしてくるしなやかな腕に、涙まじりの笑みを返した。くすんくすんという声はもうない。いつものように、くもりない、何処までも何処までも透き通った笑顔が戻ってきた。 ふたりの間に生じる、途方もないおだやかさやさしさに、青年は言葉をなくしていた。羨ましいなどとは思わなかった。思ってはならないと、自らを賢明に律していた。あのこどもを憎むわけにはいかなかった。
「いつか、きっと、エレハイムにもおしえるから!」 「ええ。その時を楽しみにしているわ」 ひみつをしているのを前提に交わされるひみつの約束。よくよく考えれば何かおかしいような気がするが、このふたりの場合は構わないのだろう。両者合意の上なのだから。にこりと微笑みあうと、それじゃあお茶の支度をしてくるからがんばってねと言い残し、彼女は歩き去る。後に残るは、青年とおさなご。 実にすまなさそうな表情で、幼い顔が見上げてくる。すっかり弱り果てた眉をして、しゅんみりとした眼差しを投げかけられては、小難しいことなど考えていられない。本人には申し訳ないが、ついつい口の端に笑みが滲み出てしまう。 「ごめんね、カイン。ひみつだったのに」 「お主が納得しているのなら、構わぬよ」 「カイン、きちんと嘘までついてくれたのに……」 「いずれ、母にも告げるのだろう?ならば盟約は三人のものと考えて良かろう」 「?どういうこと」 「そもそも盟約は三人のもの。母に告げるまで、少々期間を置くだけのこと、というわけだ」 「あ、そっか!じゃあエレハイムには、ちょっとの間だけ、ひみつなんだね!」 「然り」 青年の答えに、こどもは両腕を振り上げてまで喜んでみせる。わあいわあいと歓声を上げ、散々はしゃぐ。頬を染め、瞳はきらきらしく、黒髪を砂漠の風に踊らせる。他愛のない、ごくごくささやかなことであろうに、こどもは全身全霊をこめてよろこぶ。その単純な反応に、くすぐったいような微笑ましさと、本人さえ知らない裏に潜む僅かに暗い嫉みを、青年は抱いていた。 彼はさあ、とこどもに声をかけ。あえかな微笑を灯したままで、そろそろ刻限ぞと告げる。こどもはそれを嫌がるでもなく、はあい!と元気な返事をすると、舞うような足取りで柱廊を駆けてゆく。急いで急いでと青年を急かす幼い声に、ああ、と答える朗々とした声の主は、ついぞ見たことのないほど、穏やかな表情を浮かべていた。 暫し後、茶器と菓子を載せた盆を持って現れた娘は、輝く笑顔で本から顔を上げるこどもと、つきそって文字を教える青年に、胸をあたためた。お勉強は一時中断、美味しいお茶とお菓子で一息入れる僅かな時間、笑い声が絶えることはなかった。慣れた手つきで茶を注ぐ娘に、不慣れな手つきで杯を持つ青年は礼を言い、こどもは頬に菓子の欠片をつけていた。それを娘はくすくす笑いながら取ってやり、青年はぎこちなくも自然な微笑を浮かべ、こどもは声を上げて笑った。皆、ひみつのないしょを抱きながらも、それはそれはあたたかな気持ちになっていた。 青年が娘を殺し、青年がこどものこころを殺すなど、この時誰が考えようか?
凡てを識るのは、闇に蠢くインディゴのウロボロスだけ。
2005年12月27日(火) |
『アマデウスハーモニーナンバーナイン』 |
うりゃー、年末お客様感謝デイ進行中ー。本日二日目。 しかしふと、今日になって気付いたことがあります。
こんばんわ、この企画ってもしかして意味ない?もえぎです。 や、ほら年末といえば師走なわけですよ。皆さま忙しいのですよ。 そんな中、年末に連日更新してもお客様それどころじゃないですよねえ。 多忙を極めてあわあわ働いてはるのでしょうし。 こんな荒野の辺境をおとなうほど、お時間はないのでは。 それにそもそもこんなマイナーな子メインのお話ですし。 わあ。考えれば考えるほど意味がないと気付き始めました(笑) でもまあ…年明けて、正月番組は面白くないしで。 それで暇つぶしにうちのような辺境サイトにぶらぶらといらっしゃって。 おおーこのアホこんなことしとったんかあーと、目を通してくだされば。 そんな風でも良いやもしれません。ログとして。うむ。
はてさてそんなわけで、ともあれ二日目のお話です。 今日は昨日に比べ、ちょっぴり長めです。でも一番長いのは明日です。 原初のこども。前に言うておりました、原初のふたりプラスワンです。 すみません、今回もしかすると物凄く悪乗りしてるやもしれません。 けど、凄く楽しかったです。ものっそい楽しかったです。 初書きなのかどうかのか少し悩む人物を、原初のふたりと共に書いてみました。 ああいう人を書くのは苦手なはずなのですが、えらくすらすらいけました。 原初のふたりと、こういう関係でいてくれたらなあ…という願いです。 ふふふ、さて、わたしはいったい誰を書いたでしょう? あ。あとですね、題名もちょい悪乗りですね。 年末ですがあーれんめんしぇんなナンバーナインではありません。アマデウスですもの。 むしろcapsuleさんのSpace station No.9です。ぱっぱやっぱーです。 なんか語呂が良かったのでアマデウスもなんのそのでつけてみました。 ただのノリです。ごめんなさい。 そしてこのましろきおさなご強化週間、明日から暗くなるのですよ。 つくづく意味ないですかこの企画。わあん。
それから全く関係ないのですが、 ロマサガ3のミカエルさまのテーマが頭から離れなくて困っています。 昨夜久々に聴いたら何故か延々と。真っ先に聴いたのは我らがロビンさまですけどね! 次はトレード。ああ買収したい。カタリナカンパニー最強にしたい。 でもミカエルさま、あんな壮大な曲で町中歩き回るのはどうなんですか。 さりげなくユリアンの曲が心地良かったりします。 くうしかしトレードが。メッサーナキャラバン潰したい。 そう、圧倒的な資金力の差で弱小企業を叩き潰す!あの感触、あの昂揚感! 天から降り注ぐ黄金色の山は全てわたしのものですふはははは。 ……ロマサガ3しようかな(未クリア)
『アマデウスハーモニーナンバーナイン』(ましろきおさなご強化週間そのに)
るんらる。その日もこどもは、ごきげんだった。知らず知らずにらんらんと、可愛らしい歌声を零してしまうほど。ぱたぱた駆ける軽い足音は、砂漠の宮殿において、こどものみが持ちうるもので。重厚な造りの柱廊を、楽しげに跳ねるような足取りでくるりくると舞うのもまた、こどもだけだった。 らんらる。ちまりと束ねた黒髪を揺らして走るごきげんなこどもは、更にごきげんになってしまうだろう、すてきなことをみつけた。角を曲がった向こうの廊下、柱にちらほら見え隠れする、暁色の長い髪。持ち主など考えるまでもない。こどもはにっこり満面の笑みをたたえると、彼女のもとへ馳せようとした。 ところが暫く経って、こどもはなんだかおかしなことに気付いた。
暁色の髪を持つ娘の前に、数人の丈高い若者たちが立ちはだかっている。身にまとうものの豪奢さから、彼らが高い地位にあることがすぐさま見て取れる。娘は別段怯えた様子もないが、相手の表情が平静なものではないと直ちに感じ、やや身構えているようだった。 若者らが、娘にずいと詰め寄る。少々神経質にひきつった声音は、追い立てられた動物の、生命をかけた叫びにも似ていた。 「母よ!!」 「どうしたの?貴方たち」 「……なにゆえに母は、あの呪い子へ情をかけられる!?」 「呪われし鬼子、鋼の方舟より堕ちし忌み子!」 「やがては消去されるべきものよ!」 「にも拘らず、母は我らよりあの呪い子に時を割いては微笑を送る!」 「当初は、いずれ粛清される子羊への憐憫と思うておりました」 「我らが母は母であるがゆえに」 「されど母は、変わらず呪い子へ余りある情を無為に注ぎ続ける!」 「待ってちょうだい!確かに…確かに私は母です」 「左様。厳然たる事実」 「貴方は我らのやんごとなき母であらせられる」 「二人の母が一人」 「そう。けれど、私は母だけれど、貴方たちを産んだのは私ではないの!」 「我が子への愛を持たれぬのか!?」 「なんたる汚辱、なんたる責苦!」 「我らは母の子であるというに!」 「違うの!あの私もまた…私です、でも今ここにいる私は、あの私ではないわ!!」 「否!母は母であらせられる、我らが至高の母であらせられる!!」 「御自らを否定なされるとは!」 「ならば我らの存在を如何に思われるのか!?」 「ああ違うの…どうしたら……どうしたら、分かってもらえるかしら……」 「母!!」 会話の内容は、こどもには難解すぎて分からなかった。だが、急いで駆け寄り徐々に近付くにつれ、だいすきなひとが顔を歪めて両手で覆おうとし、若者の一人が彼女の細い腕をぐいと力任せに引っ張るのは見て取れた。だいすきなひとが、泣き出しそうな顔をしているのは理解できた。 ぐっと奥歯を噛み締めて、幼い顔立ちを可能な限り厳しくして、全力で走ってきた勢いをそのままに床を蹴った。
「エレハイムをいじめちゃだめー!!」 未発達な腕をできるだけ突っ張って、大きく広げて。相手の手を跳ね除けて。紫苑の瞳を驚きに見開いている、背中側の彼女の様子など分かるわけもない。咄嗟に若者たちと娘の間に飛び出したこどもは、小さな背に、だいすきなひとを庇って、懸命に声を上げた。 驚いたのは娘だけではなかった。予期せぬ妨害に意表をつかれたのは、とうの若者たちもだった。だが彼らの驚愕は、娘とは異なり、すぐさま赤黒い憎悪に歪められた。 飛び出してきた凛呼たるおさなごに、手を払われた若者は、あからさまな悪意を顔に浮かべると、わななく腕をそのまま振り下ろそうとした。小生意気にもこちらを真っ直ぐ見据えてくるこどもを、思い切り打ち据えてやろうとして。気もふれんばかりの憎しみに、あるいは、たまらないほどの羨望に。 「この…!忌々しき私生児があぁっ!!」 「やめ…!」 呪いの言葉を吐いて腕を叩きつけようとした若者と、少し顔を歪めただけで瞬くこともなく目を逸らしもしないこどもと、必死におさなごをまもろうと叫んだが手も声も届かない娘と。 それぞれが交錯したとき、突然辺りは水を打ったように静まり返った。
「我らが法院は、稚き幼子に手を上げるほど余暇に恵まれておろうか?」 朗々とした声が響いた。低く、重々しく、しかし快い声音。うっすら瞳を滲ませていた娘は、安堵にまたまなこを潤ませた。両手を広げて固まってしまっていたこどもは呆然と見上げていた。逞しい腕に遮られ、真正面から冷ややかにねめつけられた若者は、脂汗を浮かべて凍り付いていた。腕と声の持ち主は、淡々と言葉を続ける。 「それとも。次な刻限に行われる地上統括における案件の議論より、主らは此な事象を優先すべきと判断したか?」 猛禽を思わせる黄金の瞳は冷たいわけではないが、ただ鋭く、そして強い。覗き込まれると、後ろ暗いことや何もかもを見透かされるような錯覚をおぼえる。色素の薄い髪、涼やかな叡智を宿した彫像のような相貌。そして何より、王者然とした丈高い偉容は、青年が若者らよりなお高位な存在であると知らしめていた。 「疾く。答えよ」 「くっ……!」 眉一つ動かさない青年を前に、ひやり、と首筋に刃を押し付けられた気がして。答えることもままならず、短い声を残すと、若者らは逃げるように去っていった。何事もなかったかのような静寂が辺りに戻り、聞こえるのは砂塵の音だけになった頃、青年はゆるりと娘に会釈を捧げた。 「母よ。瑕疵などありませぬか」 先程と、それほど声の調子が違うわけではないのに、うってかわって柔らかな声音でいたわられ、娘ははっと我に返り、小さく安堵の吐息を一つ落とした。重苦しいそれを胸から締め出すと、彼女は青年に向けてやんわりと微笑んだ。 「ええ…大丈夫。ありがとう、カイン」 「否。我は遅れ馳せた身。御身がご無事で何より。我よりも…母を守護せしものはおりました」 ぴくりとも表情を動かさずにいた青年が、ふと目元を和ませる。彼の口の端に、ささやかすぎる微笑が灯った。娘でなければ気付かないほど、ごくごく些細な笑みだった。青年の言わんとすることをすぐさま察知し、彼女は満面の微笑でそれに応じた。 「そうね。ねえ、アベル?」 しかし青年と娘は、予想外の光景を目撃することとなり、目をぱちくりすることとなった。誰よりも先に駆けつけて、誰よりもうんと勇敢に戦ったちいさな戦士様は、まだ両手を広げて虚空を見つめたまま、押し黙っていたのだから。 きっとすぐさまいつもの愛らしい笑顔を見せてくれるだろうと考えていた二人は、顔を見合わせ驚いたが、すぐさま行動に出たのは娘だった。青年は、傍目には酷く分かりづらいが内心とても困惑していた。常に冷静沈着な彼が、子供のようにきょとんとした顔をしているのを見て、くすりと微笑む余裕があるのは、娘だけだったから。 「アベル?ねえ、どうしたのアベル?」 こどもの側に屈みこむと、優しい旋律のような声で名を呼ぶ。強張ったままの小さなてのひらを取り、そっと両手で包むと、ぴくりとこどもの体にわななきが走った。つい、と一筋の汗が頬と伝い落ちるのに、漸く娘は気付いた。 なんとなく状況が飲み込めてきた娘と、どうしてよいやら全く分からずただ眺めている青年の前で。こどもはまだ声なく立ち尽くしたまま。彼女はそっと唇を湿すと、言葉を選んでゆっくりゆっくり話し出す。 「アベル。守ってくれて、ありがとう。私、とっても助かったし、とっても嬉しかったわ」 両手で温めてやるち幼いたなごころを、優しく優しくさすってやりながら、紫苑の双眸はじっとこどもの瞳をひたり、と見つめて。 「カインも助けてくれたわ。だから、もう、だいじょうぶよ」 そう囁かれて。やっと、こどもが動いた。顔を傍らの娘に向け、相手を見つめる大きく見開かれたままの深遠宇宙の瞳には、大粒の涙が盛り上がっていた。 柱廊に大音声の泣き声が響き渡るのに時間はかからなかった。
「そうね。怖かったのね。当たり前だわ、私も怖かったもの。でも、私を守ろうとして、怖いのをうんとうんと奥に閉じ込めちゃってたのね」 娘の腕の中へ飛び込み、わあわあと泣きじゃくるこどもをあやしながら、おさなごへ言うように、青年へ説明するように、やわらかな声は抱き締める。 「ずっとずっと我慢して…頑張って。カインが来てくれて、やっと安心できたのだけれど、上手く怖いって感情を表に出せなかったのだわ」 「つまり、恐怖が遅延して到来したと?」 「ええ、そうみたい」 どうにか眼前の出来事を理解しようとして答えを導き出した青年に、娘は正解と告げる。よしよしと撫でたり、揺らしてやったり、けれどもとにかく抱き締めて。思いっきり感情を爆発させて、怖かったことを今怖がっているこどもを、ひたすらにいとおしむ。 「器用だけれど…やっぱり不器用なのよ」 ふ、と母の目を横切る遥かな悲哀の翳が見えたような気がして。思わず青年は目を眇めて捉えようとしたが、かなうわけもなかった。そうしている間にも、娘の腕の中にいるこどもの声が、漸く多少落ち着いてきて。しゃくりあげるくらいになってきて。真っ赤な目元を乱暴にぐしぐしとこする手を、娘がほどいてやろうとする。青年には、この光景がよく分からなかった。体験したこともないし、文献等で知識として得たこともないからだ。しかしそこはかとない快さと、その億分の一にも満たないかすかすぎる痛みをおぼえた気がしたが、青年にはやはりよく分からなかった。 よく回らない舌で、気持ちを伝えようとするこどもだが、うんと泣いた後ではそれは無理というもの。ただでさえ今は頭がずきずきしているだろうに。それを心得ている娘は、ただただこどもを受け止めて、あまい微笑を絶やすことがない。一体これは何なのだろうと、青年は怜悧な頭脳で分析を試みようとしたが、それは娘の声により打ち消された。 「ねえカイン。貴方、アベルを寝間に連れて行っては貰えないかしら?」 「我が?」 思いがけない提案に、少々面食らってしまう。しかし相手は母。逆らっても良いものか、そもそも今母からこどもを引き離すのは酷ではないのか、などと様々な考えが脳裏を巡るが、とうの娘は微笑を崩しもしない。 「ええ。頭が痛むだろうから、少し横になったほうが良いと思うの。私は何か飲み物を用意してあげたいし」 「されど次な刻には会議が」 「ミァンには私がお願いしておくわ。カインにお休みをちょうだい!って」 「……母の仰せのままに」 悪戯っぽく片目を瞑って微笑んでみせるやんごとなき母に、青年は薄い微苦笑を浮かべた。この母や、このこどもは、まったく自分の思いもしないことをやってのける、と感心さえしていた。会議は踊るだろうが、たまにはこのような展開もあって良いやもしれぬ、と彼は真面目至極に考えた。 その前で、娘は次から次へと想像を広げる。腕の中では泣き疲れたこどもが、うとうとと小さく舟を漕いでいるので、浅い眠りを妨げないよう極力声を抑えている。 「カインのぶんの飲み物も持っていくわ。果物の余りでもあれば良いけれど…あ、もしアベルが目を覚ましたら、少しお喋りしてあげて。ご本を読んであげても良いわ。アベルはカインのお話が大好きだもの。カインがお勉強見てくれるようになってから、アベルやる気まんまんなの」 彼の知らないようなことを次々に教えてくれてから、そうっと娘はおさなごを渡す。慣れない手つきで、壊れ物を扱うようにおっかなびっくりこどもを抱き上げる青年に、彼女はやわらかに目を細めた。それじゃあとお互い暫しの別れを告げてから、彼は生まれてこのかたこれほど一歩一歩を慎重に歩いたことはない、というくらい慎重に足を進めた。揺らさないように。起こさないように。知らず知らず、眉間に皺が寄っている。そんな青年の緊張感など何処吹く風で、こどもはすうすうと寝息を立てている。寝間までの道程の遥かさを初めて痛感し、目的地に到達して細心の注意を払ってこどもをベッドに横たえると、彼は何とも言えない疲労感に体中を包まれていた。だが不快なものではなかった。 少し時間が経って、おさなごが目覚め、言葉を交わし話をせがまれ。そうこうしているうちに娘が飲み物や果物を持ってきて。三人集まって、夜が来るまで他愛のないお喋りを続けることになった。ありえないような時間の中で、平生の枠から外れた時間の中で、青年は薄い微笑でふと思う。 このような日も、悪くはない。
2005年12月26日(月) |
『アマデウスアンセム』 |
めふ。漸く指のノリが戻ってきました。実家に帰省するとリズム崩れますね。 どうにかこうにか書けます。少しずつでも着実に。息抜きしつつ、やまごもれ(動詞)
こんばんわ、ちょっとした企画をはじめようと思います。もえぎです。 や、わたしは現在大絶賛やまごもり中なのですけれども。 一日中、目を血走らせて黙々とこもっているわけでもありませんので。 (むしろ一日のうち、一時間か二時間に短期集中してるだけ…) 息抜きだとか、気分転換だとか、日頃の感謝などなど。 色んな気持ちを込めまして年末この時期にもえぎさんプレゼンツです! 名付けるならば。
『エピ3が出るまでに、したいほうだいできるのはもう今しかない!だってあの子ったら最後にしか出てこない上に台詞はないわ意味ありげなトレーラーだわでまあとにかく前作みたいに無視されることはないでしょうが出たら出たで今まで散々好き勝手に書きまくってきたのが全てイエス捏造ということになり逃げ場のなくなる複雑な愛憎模様でありながらああやっぱりあなたがだいすきですよそうでなきゃいまだにこんなサイトしてませんよちくしょうめ!ってなノリのゲームバカ年末進行・ましろきおさなご強化週間!!』
ラスト十二文字だけで概要説明できましたね。すみません。 ともあれそういうことなのです。『ましろきおさなご強化週間』です! みもふたもなく言えばアベルです。ええアベルです。 ただこの場合、ある意味アベルは二人です。 文字通り、エピ1の最後で白い部屋にてニュートンに真っ向から逆らった積み木の子。 もう一人は、白い砂漠で泣いていた原初のあの子。 この子が同一人物かどうかは敢えて今は考えないことにして。 同じ名前を冠した、同じしろい空間にいたおさなご。 この子について書き散らしたいと思います。 おおみそかまでの五日間、連日更新でどーん!です。 長いのやら短いのやらとりそろえておりますー。 まあ最初っから需要皆無なのは承知なのですが(笑) それでも日頃の感謝を込めまして。 だいさーびすのー、いつかかんー(電気量販店とかの呼び込みぽく) 実はやまごもりの息抜きとかも兼ねてるのですがあまり言及しないでやってください。
わたしは。あのこがだいすきなのです。 だいすきでだいすきで。たまらなくて。けれどかなしいのです。 もしわたしの予想通りならば、あのこの行く末に待ち受けているのは。 そもそもサーガにハッピーエンドが待っているとは思えません。 わたしたちは知っているはずです。 あの黄金の光輝を、神の堕ちたあの惑星を。そしてそこで起きた悲喜劇。 ちいさなおさなごが繰り返し繰り返し辿った血塗れの道程。 砂漠の涙。都市の血。天空の魔。真空の羽。 ずっと、ずっとみてきました。 あのこがとってもだいすきなのです。 ですからどうか、神の寵児たる舟の持ち主、ましろきおさなご。 あなたがせめて、もうひとりで泣いたりしませんように。 さあさ開幕。神に愛されたこども。その前に、拍手のお返事を。 ……五日連続とか言いながら、明日の文にまだ手をつけてないのは秘密です。 いやその、三日目と四日目と五日目のはできているのですが。 うう、明日がんばりますー…。
>十四日 ・23時の方 返信が遅くなり申し訳ありませんでした…! うう、随分とお待たせしてしまいまして。 しかしそれにしてもこのようなお言葉を頂けるとは予想外でした。 確かにMEGAさん、モール曲だとポプにもう出ていらっしゃいますね……。 まさかここまで音ゲーに詳しい方がお客様にいらっしゃるだなんて(笑) ご指摘、ありがとうございます。けれどほら、新曲なら初参戦ということで……。
>二十五日 ・19時の方 ……ありがとうございます。すみません叫びすぎですねここんとこのわたし。 アホな管理人に、なんとも優しいお言葉、本当にありがとうございます(ぺこり) 単純なので物凄く物凄く嬉しくて、ほっこりしてしまいました。 はい。がんばります。ほどほどにがんばりすぎないよう、がんばります。気合いー!らー! あまいものは正義の味方です。今日もココアでほこほこしておりました。 どんどん寒くなりますので、お客様もお気を付け下さいね。ありがとうございます!
『アマデウスアンセム』(ましろきおさなご強化週間そのいち)
向かい合うは、ちいさなふたり。ひとりは両手を背中側で組み、物憂げな紫苑の瞳で佇んでいる。もうひとりはぺたりと床に腰を下ろし、くもりなき深遠宇宙の双眸を瞬きもしない。 彩りも、あり方も、目の高さも違うけれど。ふたりは同じように、お互いをみつめていた。
「ぼくね、ママをさがしてるの」 「ママを?」 「うん。でね、まってるんだ」 「そう」 「ぼく、ママがうんとうんとだぁいすきなんだ!」 「……そう」 「きみはママじゃないよね?」 「ええ。」 「でもね、きみはママじゃないけど、ママとはちがうんだけれど、なんだかママみたいなかんじがしてでもちがうんだけどママじゃないかんじじゃないんだ。ママじゃなくても、ぼく、きみがすきだよ」 「……ありがとう」
悲哀ばかりが目立つ大きな両眼を、おさなごの言葉にふと細めて。そうして現れた表情は、なんだか泣き笑いのようだったけれど。真に愛しいものに向ける眼差しと、短い感謝の言葉を残して、光の少女は掻き消えた。僅かな粒子だけが、残滓として宙を彷徨っていたが、それもやがて消えた。 白きこどもは、消えた少女のほうへ咄嗟に伸ばしたままの、細い腕をぽてりと下ろし、真白き部屋をゆっくり仰いだ。もらした声は嘆息のようだった。こどもがしてはならないような悩み深いまなこは、長く繊細な睫に飾られ、拭いきれない憂いをまとわせていた。ふとこどもは、目を伏せた。 「ぼくは、君が、だいすきだよ?」
2005年12月24日(土) |
絶叫聖夜のムードクラッシャー |
じょいやさー。わあ、日記さぼり倒しですね! 前回前々回とはっちゃけすぎたので、落ち着こうとしたのですけれど。さぼりはだめです。
こんばんわ、ほらバニシュ→デスだから少し消えといたのです。もえぎです。 詭弁ですね。ごめんなさい。 やあやあそんなこんなでイヴですよ。じーざすさんお誕生日前日おめでとうです。 わたし日本人でキリスト教徒違いますが、お誕生日は祝うものです。 これで明日の朝、枕もとにDS置いてあったらいうことないのですが。 いいかげんサンタさん特権はなくなった年齢なので諦めです。しくしく。 じゃあライブアライブもクリアしたことですし聖剣2でもいいですサンタさん。 ああもう自力で買いに行きますよちくしょう。 ともあれみなさま、すてきなクリスマスを! わーいケーキケーキぃー。ゴンチャロフのチョコもきゃほーい。
がんばろう。がんばりすぎないように、がんばるとはちがいますが、がんばろう。 がんばっているひとは、わたしみたいなろくでなしより、よっぽどがんばってはる。 最高に自慢の綺麗で聡明ないもうとぎみや。 ワガママにいつもつきあってくれる、来世のだんなさまたるナイトな友人や。 いっぱい、いっぱいすてきなひとを知っているのだから! 負けてたまるかこんちくしょうめ。折れてたまるかこのやろう。 うらぁー、かかってこいやあー。おまえらなにちゅうじゃー。 やあってやんよおー!らー!!
2005年12月15日(木) |
キュンキュンマジックバニシュ→デス |
『司法解剖の結果、死因は「ときめき」と判明しました』 ってなんか切ない最期だなあとふと思います。本人は幸福の果てでしょうが。
こんばんわ、でもここ数日の怒涛の展開ときたら。もえぎです。 やー、まさかまたもフライング情報が出るとは思っていませんでした。 しかしわたし、真っ先に気になったのが、情報元がフランスのゲームサイトって……。 なんか不思議な気分です。 以前、知り合いの方でフランスに行かれた方が仰ってました。 『何かフランス人何喋ってもアンニュイに聞こえる。口喧嘩しててもアンニュイに聞こえる』 って(笑)気持ちは分からないでもありません。 こないだグリーンスリーブスのフレンチボッサ風アレンジ聴いて泣きそうになりました。 でもフランスの方もゲーム好きなんですね。なんか嬉しいなあ。 きちんと言葉を交わして、お友達になれたらさぞ楽しいでしょう。 日本語もろくに話せてない現状では夢のまた夢でしかありませんが。 さてさて。ではでは以下はネタバレGOGOです。 と、申しますかわたしふいにあることに気付きギャーとなりました。 昨日に引き続きまた叫んでますが、まあ誰でも気付くことなのでしょう……。 考察屋さんなんて一目瞭然な、ごくごく初歩的なことに気付いて叫んでます。 ごめんなさい、わたしアホの子なのでそんなことにもいちいち驚くのです。 アホの子どんとこいと仰る豪気なお客様がいらしたら、どうぞお進みください……。
アレンさん戦闘参加て。 あれ?わたしの見た夢、正夢になった?(笑) エピ1のプレイ日記ご覧になった方ならご存知やもしれませんが。 わたし、あの頃夢を見ました。アレンさんが戦闘に参加する夢。 マシンガン持って戦ってて、必殺技かましてる夢。 多分技の名前は『主任マイラブ』とかだろうなあとか笑っていたら。 あれ?正夢?(笑)
テロスのイラストに関しては多くを語りたくないような。 ……やっぱり、わたしちょこさんと相性悪いっぽいです。 どうしても男性的目線で描かれている気がしてならないのです。 おとこのひとだけが楽しむような。おんなのこないがしろなような。 そんな感じが、ちょっと、嫌。 でも田中先生お忙しいですしねえ…うう、帰ってきてくだされば……。
シオンさんの水着、今回は白なのですねー。わあ、可愛い。 うむうむ、シオンさんにはやはり白が似合います。 でもなんかかなりセクスィーなので、ちょっぴりはらはらします。 戦闘服みたいのは、U-TICの兵士が着ているのとおんなしぽいですね。 潜入任務とかあるのでしたら、わたしまたへなちょこ確定です。 エピ1では散々迷惑をかけましたねジギー…(遠い目) Jr.くんはなんか一人お祭り状態なのですがどういうことでしょう。いいですが。 ともあれデータベースおかえりなさい。ああ良かった。
さて本題。ちょっとテロス絡み。 テロスの製作者さんの名前が明らかになりましたね。 どれどれと名前を拝見して、ん?と妙な予感にとらわれました。 ええと。ロート・マンテルさん。 ロート。ドイツ語ですね。意味は一応知ってます。 マンテル。知らない単語ですが、スペルの予想はつきます。 頭の中で浮かべてみます。 ……あれ?と、なりました。 口元が徐々にひきひきしてきます。妙な予感がずしばししてきます。 いやいやそんなことないわと、必死に打ち消そうとします。 そうそう。そもそもきちんと単語知らないのですから。 打ち消すにはちゃんと調べたほうが良いですよねと、辞書持ち出します。 妙な予感がどぎゃんごぎゃんしてきました。 いやいやそんなことないそんなわけないだってあなたもしこれが当たっちゃったら。 はやる気持ちをおさえつつ、ページを繰り、予想通りのスペルであるのを確認し。 見て。硬直。
ロート・マンテル氏。
Rot Mantel
にほんごやく。ちょくやく。
Rotは、赤。Mantelは、フードやマント。
マントは、日本語表記で『外套』。
あかいマント。
つまり?
緋色の外套……。
…………
ヲギャァアーーーーーーーーー!!!??
バレバレだ!バレバレじゃないですか!(笑) ナニ、ナンナノ!?(二日連続)思わず乾いた爆笑を放ってしまいましたよ! 誰ですかこんなバレバレな偽名つけたのはってええ総帥に決まってるじゃないですか。 そもそも総帥のお名前だってどうせ偽名に違いないのですから。 その上で自分の偽名に『ヴィルヘルム』なんて分かりやすい名前つけてはるのですから。 あなたどんなネーミングセンスしてるのですか総帥。 じゃあなんですか。外套ズは全員マンテルさん家のご家族なのですか。 『ヴァイス・マンテルでーす』(山寺氏声) 『シュヴァルツ・マンテルでござー』(ござる説勝手に確定) 『ブラオ・マンテルだおらー』(関氏声) みたいな感じですか。嫌ですよこんな家庭。
そもそもこれって、ドイツ語圏の方からしたら今更な話やもですね。 ドイツの方にしたら、彼らはそもそもその名前で呼ばれていたやもなのですから。 日本人は日本語ゆえに『緋外套』とかいう名前で馴染んできました。 日本語って素敵。 駄目ですね。外国語は難しいなあ。語学って、数学みたいにわたしには思えるのです。 テロスだって、かなり前にTを取ったらエロースだとか言ってましたが。 エロースの正しいスペルはerosなので間違ってました。 RとLの区別がよくついてない悪い日本人の典型です。 姉なんかはバイリンガル通り越してトライリンガルなので分かるそうです。凄。 だからわたし、日本語さえもろくに扱えてないのに……(笑) まあエロースの件に関しては、他にもダブルミーニングの可能性がありつつも。 前にほざいてたのは間違いでした。アホで申し訳ありませんでした。
でも、でも総帥のネーミングセンスって……(笑)
2005年12月14日(水) |
キュンキュンメーターリミットブレイク |
リミットレベルEX。レトロなる福音。 ああごめんなさいごめんなさいエアリスさん。だって、こんな…!こんなことって……!!
こんばんわ、のっけから注意です。もえぎです。 今日のわたしはえらいことを目撃しえらいこっちゃな状況に陥り動揺しまくっております。 ゆえに叫びます。そりゃあもう吠える感じです。 フォントサイズ変えすぎとかいう苦情がざかざかきそうです。 すみません。どうか、どうか今回は許したってください。 まさかこんなことが起こるだなんて思いもしなかったのです。 ちっとも調べてもいなかったので文字通り不意打ちだったのです。 もえぎさんときめきすぎてほんまに倒れるか思ったのです。 えらいことになっている叫びも受け入れてやろうじゃねえかと仰る寛容なお客様。 そういった方がもし、いらしたら、この先におすすみください。 他にも書こうと思ってたことありましたのに、一気にふっとんじゃいましたよ……! これに爆笑してる場合じゃなくなってしまいました。
ええとですね、今日は、ちょっとだけおでかけしたのですよ。 用事がありまして。このアホほど寒い中、自転車でおでかけしました。 ひぃいさむいーと、やや泣きそうになりながらもペダルをこいで。 お気に入りのマフラーに、イヤマフ、それに新しいジャケットもあるのでご機嫌で。 でもやっぱり寒くて(どっちやねん)ともあれこきゃこきゃ自転車でGOGOだったのです。 そして辿り着くは。用事の前に、ゲーセン(笑) 体あたためなきゃね!という全くもって勝手な理由でポップンをしようと。 あと、ドラムやニデラも鑑賞しようと。 ポプは隠し曲第二段が出始める頃ですし、どうなったかなー?と思いまして。 なかなかクリアできない課題曲もありますが、ともあれ隠し曲確認目的。 午前中だったので人はまばらで、ポプ台は見事に誰もいません。 デラとドラムはちらほらいはりましたけれどね。 わあいと思いながら百円投入カード挿入。るんるるーとモード選択。 それからええとカテゴリはシークレットに合わせてーとがきょがきょして。 隠し曲がずらりと並ぶカテゴリ内を、ハイパーにして移動。 見知らぬジャンル名がちらほら見えて、わーいアーティストさん誰ー?と確認します。 あら、sampling mastersのMEGAさんがいらしたー。Sotaさんに引き続きデラ陣初登場ー。 ふふふ、デラだとぼこぼこにされますがポプならどうにか頑張りますよ? とこないだぜえはあ言いながらSotaさん曲を撃破したので無駄に闘志を燃やしたり。 おお、ホラーに追加譜面が出たのかな?ピアノPfもEXなかったのかしら?と思いつつ。 がだだだだ、と曲目を回していて。 ふと、目にとまった知らない曲。曲説明もジャンル名もろくに見ずに。 本当に。咄嗟。アーティスト名に目をやりました。するとそこには。
『下村陽子』
…………あれ?
時が凍りついたような気がして。 もう一度確認してみます。お名前をよおく拝見してみます。 しげしげと眺めます。
『下村陽子』
『しもむらようこ』
……………
ギャアアーーーーーーーーー!!!??
え、ナニ?ナンナノ? 一体これはどういった罠?誰かがわたしを陥れようとする策謀? ワタシコンナパニック(注:Secret Tale)ってこういうこと? え、えと。下村さんですよね。おもっきし下村さんですよね。 わたしついこないだライブアライブクリアして、余韻にひたっていたところなのですけれど。 えと、これはポップンですよね?びっくりコナミですよね? むしろ今のわたしがびっくりコナミなのですがこれはだからなにがどうなって。
思わず画面に詰め寄りそうになってしまいました。 呆然としながら、どうにかジャンル名だけでも確認します。 とても曲説明まで目を通す余裕がありませんでした。 ジャンル名。『格ゲー』。 もうなんか無駄に心臓がときときときとき凄まじいことになっておりました。 けれど無常にも曲選択残り時間は減ってゆきます。
おおそうだ。落ち着こう。落ち着かなければ。 そうだそうだ。まだ一曲目なんだから。下村さんの曲ハイパーでレベル31もなんだから。 とてもではありませんが、限界レベル29(精一杯)なわたしには手が出ません。 ノーマルではらはらしながら選べば良いのよと自分に言い聞かせます。 そして、現在出ている隠し曲全てをまだ確認していないことに気付き、回します。 うんうん落ち着かなきゃね。挙動不審はいけないことです。 さあ落ち着いて隠し曲を確認してみよう。あ。また知らない曲発見。 今度もまた、ジャンル名も曲説明も見ずに、アーティスト名に目をやりました。
『伊藤賢治』
…………
……いとう、けんじ。いとうけんじ、いとうけんじ、イトケン……
ホギャァアーーーーーーーーー!!!!??
え、ナニ?ナンナノ?どういうこと!? だからなにがどうなってどうにもこうにもワタシコンナパニック? 何処のマフィアの陰謀ですか、何が目的だというのですか。 え、だって、イトケンさんですよ?天下のイトケンさんですよ? 四魔貴族バトルですよ怪傑ロビンのテーマですよ? 最近の聖剣シリーズの音楽も担当していらっしゃる方ですよ? え、えと。しかもさっき見かけたのは下村さんですよね? 下村さんはライブアライブでフロントミッションでカプコンもどんとこいで。 イトケンさんはロマサガでサガフロで聖剣でそんな感じで。 旧スクウェア黄金期に名を連ねるコンポーザーさんたちじゃないですか……。 わたしは、あなたがたの音楽に育てられたこどもみたいなものですよ。 目覚ましの音楽に間違ってロマサガ3のディスク1かけちゃって、 朝の一発目から死食という超絶心臓に悪い目覚めをもたらされたことがあるのですよ。 え、こんなこと仕組んだのは、一体……?
落ち着くどころの話ではありませんでした。 繰り返し申しますが、まさしくあれこそワタシコンナパニックでした。 軽く混乱しながらも、イトケンさん曲はハイパーでレベル30なのは確認。 おろおろしつつまた曲を見ていると、ふと目に付いたエレハモニカ新曲。 しかもレベルはハイパーで28。あ、ちょうどいい…と思い、半ば意識喪失気味に選択。 心地良い低音と、重たく響くドイツ語詞(多分) 大好きな聖夜さんということで、叩くうちに漸く多少落ち着いてきます。 それにしてもポップンコンポーザーズはドイツ語詞の曲偏りすぎでしょうとか思いながら。 たまにはとびきり可愛いジャーマンガーリィギターポップとか作って欲しいと淡い願い。 そうこうしているうちに、完走。ハイパー初見で九万点越えなんて珍しい……。 で。続いてやってくる曲選択。ここであっさり吹き飛ぶさっきの落ち着き。 ときときときときしながら、イトケンさん曲のノーマルを選びました。 ここでやっと、ジャンル名に気付きました。それは、『ロープレ』でした。 泣きたくなるような心地良い響きが溢れ出しました。
次に選んだのは勿論下村さんの『格ゲー』。 流れ出して、キャラを見て、ついついくすくすしてしまいそうになります。 本当に、絵に描いたように(いや実際描いてるんですが)格ゲーだったので。 しかもライブ終わりたての身としては別の意味で笑えてなりません。 高原くんだ!これは高原くんの曲だ! そう、思えて。なんだか愛しくて。大好きでたまらなくて。
三曲終えて、それから。 久し振りに、狂ったようにポップンしまくりました。 殆ど並ぶ人のいない台の前で、何度も何度も。 勿論連コインはいけないので、一旦筐体から離れて、周囲を見渡します。 いきつけのゲーセンは最近ポプ台を二台に増やしたのです。 それもあって、ちっとも並ぶことなく、何度も何度も、百円投入しまくりました。 レベル的には無理な、ロープレと格ゲーのハイパーを、延々やってました。 はたから見たら、さぞかし奇妙に見えたことでしょう。 何度も何度も、この二曲ばかり。しかも越せもしないのに繰り返しているのですから。 や、でもロープレハイパーはどうにかなりそうです。 レベル30にしては比較的親切めに思えます。ゲージかなり残りますし。 ただ、最後の右の白と緑と赤の絡みがどうしても見切れない……! あれさえ乗り越えれば、どうにかなると思うのですが。 ロープレハイパー、のっけからプチV譜面がきたのでややびびりました(笑) でも無理ではなさそうです。少なくともロマネスクハイパーの28よりは望みがあります。 格ゲーハイパーも、頑張れば…多少は、見切れます。 真ん中らへんにぐっくるもびっくりの二重らせんがくるのがきついのです。 あそこでゲージごっそり持っていかれてしまいます。 それさえ見切ればどうにかなるとは思うのですけれど。 いや。越してみせます。愛ゆえに。 愛ゆえにチップトロニカハイパーだって頑張って撃破したのです。 そう、懐かしいいとおしい16ビットの末裔の端くれとして。 今回の課題曲は、この二つに決定です!
……光田さん来られませんかね?(笑)松枝さんも。 あ、あと、あれです。スマイルプリーズがいらしたら完璧。 ジャンル名は『ラスボス』でお願いします。きっとヘル13コースです。 凄いよコナミ…見直しましたよコナミ……。 王子でキュンキュンしていた矢先にこれですよ。 こうなったら次はヒゲです。Mr.T。 グーニーズ、グラディウスときて、次はコナミワイワイワールドを。 1で。1でお願いします。2、知らないんですよわたし。 グーニーズのEXがどうしても倒せませんよヒゲ。あの小さい階段譜面をどうにか。 ああともあれ、あのお二方参戦を提案してくださったスタッフさんに最大の感謝を! でもほんと、誰のしわざだろう…?わっくさんヒゲトモスケさん…うーん?
うー、ポップンはやはりみんな大勢でしたいです。 タキ嬢の神プレイを長いこと見ていない気がします。 彼女や葵嬢や紺堂嬢がいてくれたら、横からアドバイスくれますのに。 どうやったら課題曲クリアできるのか。うう。 みんな忙しいので、ちっとも会えません。暇なアホの子はわたしだけです。 わーん、みんな、遊びたいよーう。
それにしても、この一件の所為かどうなのか。 筆ノリがアホほどよくなる単純なわたしって一体(笑)
2005年12月13日(火) |
むしょうにたいやきが食べたいです |
テレビから『古代バビロニアの…』とか聞こえただけでときめくのは駄目ですか。 アシモ君の話題で『近未来の…』とか聞こえただけでキュンキュンするのは駄目ですか。
こんばんわ、駄目ですね。もえぎです。 思わずたいやき買っちゃいましたよ冷凍のやつ。 本当はお店で売ってるあつあつのが良いのですけれどねー。 もっともっと欲を言えば公園で売ってるたいやきが良いのですけれどねー(笑) ……あかん。何故ライブアライブの近未来編こんなに好きなのか。 何かやたらとアキラくんが好きな所為やもしれません。勿論無法松兄さんも! ああラブいなあ。ラブいなあ近未来編。高原くんとは会えるかもですねアキラくん。 アキラくん見た目かなりえっらいことになってるのに不良なくせに弱いのが素敵。 しかもどっちかというと魔法使い系な役割なのがまた可愛い。 腕相撲したらユンくんにも負けるかもしれませんねアキラくん。 シナリオ書いてはるのはどなたかしらと調べてみたら、ふと目に入るそのプロフィール。 ……井上さん、貴方かFFTでウイユヴェール書いたの!! もうどうしてもクリアできなかったのですよウイユヴェール。 途中からずっと『……ときめけ!ときめけ!ときめかんかいオラー!!』 とか言いながらやってましたが一向にときめかないのですよあのお嬢さん。 悔しくていまだに未クリアですよ。でもノリは大好きですウイユヴェール。 変な所で色んな方が繋がっているものですね。
あ。こないだ日記で『後継者はユンくんよりレイさんにすべきだったか』 とか言ってましたが、あれは取り消すことにしますね。 だって、ユンくんじゃないと、聞けなくなっちゃうんです。 レベルアップ時の、ユンくんの『あちょー』。光田さんの、あちょー(笑) 何してはるのですか光田さん。えらくびっくりしましたが大笑いでした。 こんなところで光田さんに出会えるとは思いませんでした……。 あ。それと。幕末編で坂本さんの土佐弁翻訳の人とかも。 誰とは言いませんがね。ええ、言うものですか。 それでは拍手のお返事どん★です。
>十日 ・0時の方というかむしろ紺堂嬢 あっはー。きみもしてないもんなバハラグ。 まあ無理やりやらせようとしたわたしも悪いんですが。 ともあれこれでUFOやってないもえぎさんとはおあいこですね! あ、わたし次ミスティックアークがしたいなあとか思い始めました(笑) きみはきみでワンダとか天地創造とかしてくださいなー。 天地創造はまた見せてな。なつかしいなー。
・21時の方 わあ、感想ありがとうございます!まだちょっとざりざりした文体ですが……。 今度こそ、もっと可愛らしい魔女さんを書こうと心に決めることしきりです。 あのお二人はやっぱり仲良しさんな感じがしますね。ほのぼの。 次に書きたいお話にも、お二人揃って出る予定なのです。 予告っぽく申しますと『魔女さん、おなかがすく』って風でしょうか(笑) お言葉ありがとうございます。いっぱいいっぱい、がんばります!
やまごもりで。いきなりスランプに陥って。 原因を押し付けるわけではないのですが、大きな要因の一つがFF7AC観賞でした。 思うことがあって。たくさんありすぎて、のみこまれて、押し潰されていたのです。 問答無用に無視するには、わたしはあのひとがだいすきすぎました。 そんなこんなでまとめてみたのです。お話一つ含めて。 けれど相当に辛辣っぽい内容ですので、色はかえておきますね。 FF7AC大好きだったり超好きだったり大絶賛だったり礼賛だったり。 そういった方は、ご覧になられないほうが賢明かと存じます。 わたしなりに考えて、向き合ってまとめたFF7という作品への思い。 こんな風に、なりました。
端的に言いますと。 『どれだけ卓越した弁舌で胸をつく論理的で且つ感動的な言葉で説得されてもわたしは赦すことができない』 とでも申しましょうか。 こればかりはもうどうしようもないみたいです。 それだけ。わたしはあの頃、絶望し、深淵に呑み込まれ、泣いていたのです。 ガセネタに踊らされても、ディスクがどんどん進んでいっても。 ただ信じて、信じて。彼女の武器は全て売らずに取っておきました。 一瞬だけ幻の見える、あの教会へ。何十回、いえもう、何百回? 毎日。毎日通って。 そしてある日。知った、とある人の発言。 ご本人は後になって、誤って伝わってしまったと否定されたそうですが。 当時は、それまでの言動から、『言って当たり前かも』 と思わせてしまうくらいの説得力がありました。 後に残るのは涙をまとわせた憎悪でした。
よくもあんなことをさせたな。 よくもあんなことをしたな。 よくもあんなことを言ったな。
憎くて憎くて。たまりませんでした。 あんなことしたくなかったのに、勝手に動き出して、そうして。 『こんなことさせられるくらいなら死んだほうがマシだ』とユーザーに思わせた。 かなしいほど玲瓏としたふるい都での日を、絶対に忘れません。 かすんだ視界も。頬に一筋にがいものが流れた感覚さえ覚えています。 だからなおのこと赦すことができません。 あんなことをさせて、あんなことをして、あんなことを言った人のこと。 なのに今頃になって何をすると言うのか。 あのひとの、あのひとの場所、痕跡、花。すべてを汚して。 どうしてこんなに酷いことができるのかわかりません。
でもですね。愚かしいことに、どうしても忘れることができないのです。 良くも悪くも印象に刻み込まれすぎた。 わたしはあの頃幼くて、かなしすぎたのです。 かなしくてかなしくておかしくなりそうなくらいかなしかったので、憎んだのです。 もう二度と開かないよう、シャンパンに栓をした。ぎゅうぎゅうに栓をした。 これ以上ないってくらいに栓をして、思い出さないようにしたのです。 乗り越えるには憎むしかなかったのです。 しかもこの後にTODという最悪のコンボが続き、わたしは奈落の底だったのです。 そこを救い出してくれたのがゼノでした。 ゼノがなければ、わたしはいまだにあのどん底で倒れていたやもしれません。 ゼノがいてくれたので、わたしは徐々に忘れてゆきました。 奥に奥にしまいこまれたシャンパンは、埃が積もるにまかせておきました。 楽しかった。ゼノは、途方もなく楽しくて嬉しくて涙さえ愛しくてだいすきです。 嘘をつきませんもの。とても誠実でいてくれるから、わたしは原子から抱き締めます。 年月が経ち、FF7ACの話題が出るようになり。 それを何処か冷ややかに眺めていました。 この感じはTOD2のそれによく似ていました。 ゼノの前にプレイして、わたしをどん底に突き落とした二作品。 FF7で大好きなのはエアリスさん。TODで大好きなのはリオン。 もうお分かりですよね?(笑) 後者なんて特に酷かった。ないがしろも甚だしくて。 だからTOD2出すと聞いたときも、前作へのフォローなのだろうなと思いました。 あんなことをしたのですから。あんな酷いことをしたのですから。 そして今回FF7AC。FF7の頃にですね、凄い発言がありました。 例の、とても酷い発言がありました。 エアリスさん大好きなわたしに毒々しい憎悪を否応なく抱かせる類のもので。 最後の思い出はそれ。そこへこれ。 何を今更、と思うのです。あれだけ酷いことをしておいてさせておいて。 人に、あんなおもいを抱かせておいて何を今更と。
実際。見て。 わたしはばかばかしいくらいあの大地の名を持つ花のひとがだいすきでだいすきでたまらないのだと思い知らされました。 だから作品を憎むことしかできなかった。 小気味良い音を高らかに立てて開けられたシャンパンは、黄金の泡を撒きました。 きらい。きらい。だいっきらい。 普通の嫌いとは全く毛色の違う『きらい』。 例えばコナミの某タラシDJとかでしたら、もし目の前に本人がいるとすると。 頬を赤らめ、上目遣いになりながら。『だいすきです…だから、一発殴らせてください』 で、一発殴って終わることでしょう(多分渾身の右ストレート)でもFF7は違います。 無言のまま前に出ると、そのまま確実に頚椎を狙って回し蹴りをかまします。 倒れたところに馬乗りになって、レヴァリアース三巻でウリックがしたみたいにします。 ぽかぽかぽかぽか殴り続けます。声もなく泣きながら。ぽかぽかぽかぽか。 ゼノも、FF7も、ギルバート・ブライスみたいです。 まあゼノは良いとします。でもFF7もそうなのがくやしい。だから殴りたい。泣きながら。 いっそのことチャーリー・スローンなら良いのにと思いますが(スローン家はスローン家だから) それでもやっぱりギルバートなのでしょう。くやしい。くやしい。くやしい。 すげなくさらりと足蹴にすることができないのです。 そうするには、わたしはあまりにエアリスさんとななちゃん(注:レッド13)が好きすぎました。 だいすきでだいすきでたまらないので、憎みました。 クラウドが喋るたびなんだこんちくしょう声はヒルツさまのくせにちょっと前まで赤アフロでデジモンだとテントモンだったくせにあとガンダムみたいなゴーグルかけやがってとか暴言吐きそうなくらいです。 あとケット・シーの声がサーガのケビン先輩なのをどうしてくれようだったりルーファウスの若社長が焔の大佐で左目に気をつけるスナイパーよりも大佐寄りの声だったのがなんかむかついたりツォンさん生きてるやんとか銀髪森久保はおへん(注:オーフェン)のくせにとかレノさんはのはらひろしのくせにとかザックスが楽俊だとかイカのくせにイカのくせにイカのくせに銀色の闇をどうしても許すことができないので延々イカのくせにイカのくせにコーラスが始まる前に瞬殺してあげましたよねえ今度もそうしましょうぜカモンナイツオブラウンドとか呪い続けていました。 ファンの方は、本当に偉いなあと尊敬します。 わたしは憎んだので。憎まずにはやっていられなかったので。 ただただ憎み続けていました。 それでも受け入れ、自分なりに解釈し、抱き締め続けたファンの方へ心より敬意を。 ごめんなさい。わたしは、かなしすぎて。ゼノに、助けて貰いました。
『ずっと。』
鋼の街は錆び付いて、緑と獣の寝床になった。荒みながらも躍動感溢れ熱気に満ちていたスラムは鳥鳴き交わす金属の森、巨大な鈍色の要塞は蔦に抱かれて太古のとねりこ、守り神めいて。 とても。とても長い時が経ったね。
最初に行ったのはクラウドだった。おかしいね、でも当たり前かもしれない。誰よりも何よりも一番会いたがっていたのは、きっとクラウドだろうから。皆ぼろぼろ泣いて、バレットやシドなんかは怒鳴りだしたくらいだけど、皆何処かで納得していたと思う。口には出さないけど心の奥では言ったと思う。よかったね。よかったね、おめでとう、って。 長く長く生きてきたから。そのぶん、たくさんたくさん死を見てきたよ。皆の死に立ち会ってきたよ。次第に泣く人の数も減ってきて、とうとうぽつんと残ってしまったよ。誰もいなくなってしまった。最初から、分かっていたけど。それでも時々、さみしくはあった。だって皆、嬉しそうに看取られていったから。取り残されてゆく感覚は、決して慣れるような類のものではなかったから。 でもね。やっぱり皆死ぬんだね。やっとここにも来てくれたよ。とってもとっても長かったけれど。子孫を残して、記憶を伝えて、名前を忘れないようにいつもいつも語って聞かせてきた。その名は、常に共に在り続けるようにと思って。がんばったよ? ねえ。なんでこんな風に考えるんだろうね。もう長老と呼ばれても良い年齢で、子供っぽかったあの頃なんて遥か彼方に過ぎ去ってしまったのに。おかしいな。さっきまで酷くおもたくて、もたげるのさえ大儀だった前足が、すんなり動くようになったよ。牙も爪も磨り減って、獲物を狩る力なんてとっくになくなってしまったのに。ふいに駆け出した体は、岩を蹴って、空を弾んで、若々しいあの頃に戻ったみたいだ。種族の誰にも告げず、一人で行く。体中をばねにして、飛んで、走って、ただ馳せて。辿り着いたのは、古い鋼の町を見下ろす高台。真正面にいる太陽が眩しくて、隻眼を眇めると、そこに。
雪白のかいな。やわらかな巻き毛。大地の名を持つ、花のひと。星を愛して、星に愛され、すべてをいだいた。気付かないうちにほとほと涙が零れていた。わけなんてわからない。ただ、泣き出したかった。 (ナナキ) ああ。あの声が耳朶を打つ。忘れるもんか。忘れられるもんか。やさしくて、あったかくて、いつも口の端にくすくす笑みを宿していたあの声を。楽しげに名前を読んでくれる、その音の快さを。 腕を広げて、淡く微笑む。大地母神みたいな彼女がさやさや光を撒きながら待っている。だからもう、たまらなくなって、泣きながら、叫びながら、崖からそこへ飛び込んだ。 しっかりと体全体で抱きとめてくれた彼女は、ただただ泣きじゃくる相手を、甘い花の香りで包み込む。そしていとおしむような手つきで、ゆっくり真紅の毛並みを撫でてくれた。 (いいこ。よく、がんばったね。ひとりでずっと、がんばってたんだね) うん。がんばったよ。すごくすごく、がんばったよ。たったひとりになっちゃっても、うんとうんとがんばってたんだよとてもとても会いたかったんだよさみしかったんだよ。伝えたいことはいっぱいあるのに、言葉なんて意味をなさない。咆哮のように泣き続けるだけ。 (やっと、会えた) ひたすら抱き締めてくれる。細い指先が、毛皮の中に沈みこんで、とてもあたたかでやっぱり泣きたくなる。あえかな微笑を浮かべる彼女の向こうから、誰かがやってくるような。ああそうか。彼女の名前を呼ぶ、忘れもしない金髪の。彼もこっちに気付いて、微笑んだ。こっちも笑った。きっと泣き笑いでくしゃくしゃだったろうけど。そんなの構やしないや。 うん。やっと、会えた。
彼と彼女の傍らを、甘えるようにじゃれながら歩く。ひかりのなかへ。星のなかへ。めぐるめぐるそのなかで、笑いながら行くそれぞれの思いはおんなしだろう。 やっと、あえた。これで、だきしめられる――
ふふふ、なにしてんでしょねこのひと。更新しやがりましたよやまごもりなのに。 何でもやまごもりしはじめていきなりスランプになったらしいですよ。
こんばんわ、だからといってやつあたりはいかんでしょうにね。もえぎです。 あーあーうあー、すーらーんーぷー。 書いてて思わず自分で笑ってしまいました。なにこれ。と。 ぎしぎし錆の浮いた歯車がきしむみたいにぎこちない。 しかも薄っぺらくて表層をだらだらと漂泊しているだけ。 自分で自分が一番嫌いなものを書いている感覚にちゃぶだい返しそうです。
しかしわたしもいーかげん自分の扱いは分かっています。 ここでずんずん追い込んで責め立て続ければ結果は明白。 いつもどおりじんましん出して倒れるのが目に見えています。 ので。解決策という名の現実逃避発動。 こないだ実家に帰省してたとき、八割ほど書き上げていたラディアさん話。 それを仕上げて気分転換してみました。 ……一応アップはしてみましたが、内容は散々です。 『なら更新するなよ』というご意見はごもっともです。後日ちゃんと書き直します……。 ご覧頂ければ現在のわたしの不調っぷりが、ひきつった笑みと共に見えそうな出来です。 申し訳ありません。いえ、本当に。 ラディアさんの、透き通るような美しさを、もっと出したかったなあとしみじみ後悔。
あ。ラディアさんで思い出しました。 わたし、ゼノとかでもよく言ってますけれど、キャラに似合う曲を考えて遊んでます。 しかもポップンから選んだりとかして(笑) その人に当てはめて楽しんでるのですが、ラディアさんはちっとも悩むことありません。 もう。即決。他に何がありましょう?ぴったりすぎるのがあります。 エレゴス。確定。ロキちゃん可愛い。ミコシバ乙女は皆凛として可愛い。 何せ『魔女のサバトとトカゲのミイラ』ですしね。衣装も似合いそう。 ロキちゃんの何が可愛いって負けアニメのあのキレっぷりが素敵です(笑) ポプ13のエレゴシックサバトのドレスアップ衣装も可愛いですー。 エレゴスの歌詞、英詞なのですぐには理解できなくて。 でも、英語での韻の踏み方ってこういうのなんだと感心しました。 イギリス文学とは相性が悪いので未読なのですが、 マザーグースもこんななのでしょうか。 『keel』の意味が分からなくて辞書を引いて調べてみて。少しぞっとしました。 まあわたしの英語力はあてにならないので、間違った理解の可能性大ですが。 (ミミックティアーを『うそつきなみだ!』と言ったら『…嘘泣きでいいんじゃ?』 と、返されるようなレベル。意訳ができない人) 『蒼海よりの最後の言葉 「わたしを竜骨からときはなって…」』 ……人柱?と、思ったのです。
そして現実逃避なやつあたり第二段。 ライブアライブクリアしましたー(笑)うう、つらかったです。 メンバーは、キューブ、アキラくん、ユンくん、おぼろくん。 なんかみんなくんづけしちゃってます。高原くんもそうですし。 でもポゴとサンダウンは呼び捨て。何故。 因みにオルステッドはオルスくんでした。ちょっとオレルスとかぶり気味。 ―…良い作品ですね。 くすくすして、ほろりとして、大笑いして、切なくて、かなしい。 うん。かなしかったです。 でもそのかなしいのを、誠実に向き合って描いているのが素晴らしいと思いました。 SF編はこわくて愛しい。AI好きのわたしは無駄にキュンキュンしてました。 近未来編は清々しいアホっぷりに大笑いでした(褒めてます) 嗚呼ブリキ大王素敵。アホで。そして無法松兄さんがかっこよすぎます。 西部編は鐘が鳴るたびあわあわしつつちょっと泣きそうでした。 あのわたしマッドさん倒しちゃったんですが…い、いいのでしょうか……? 功夫編は予想外の展開に胸が痛みました。 ユンくんでいきましたが、レイさんでも良かったなあと思う女の子ひいき。 最終編に花が欲しい。 原始編は一番びっくり。だって台詞なしで物語を成り立たせているのですから! こういう表現技法もあるのだなあと、とても尊敬してしまいました。 現代編は『格ゲーだ!格ゲーだ!!』とやたらうけてたらぼこぼこにされました。 昔『このくさったにんげんどもをぼくのてでさばいてやるー』(映画版スプリガン) の声真似が上手いと言われました。まったくもって嬉しくありません。 で。幕末編はそれはもう苦戦して一時コントローラー投げつつもエロイムエッサイム。 坂本さんがかっこいいでござるよー。ござる口調がうつるでござる。 ただでさえサーガのヴォイジャーござる疑惑でござるござる言ってたとこなのにでござ。 中世編は………かなし、かった、です。 よく言われるスクウェア三大悪女ですが、アリシア姫は違うと思います。 もっと違う…別の、もので。中世は、誰も悪くなくて、ただ。かなしい。
音楽がまた素晴らしいですねえ! 下村さんて、あの方ですよね?バハラグのサントラに乱入してらした(笑) 松枝さんとは仲良しさんなのでしょうか。そんな感じ。 それにしても、下村さんの技量は凄まじいものがあります。 だって普通、一本のゲームで『宇宙な感じのとヒーローものと西部劇と中華風と野生なのと格ゲーと時代劇と正統派中世ヨーロッパ風RPGなのお願い』 とか言われたら作曲側は暴れだしても不思議ではないと思うのですが。 まさにオムニバス。どれもこれも特徴を捉えて、しかも気持ち良い。 サウンドモードがついてるので、これからほくほくしながら聴こうと思います。 つくづくサントラが欲しいです。
さて。次は何をしましょう?(笑) スーファミでおすすめがあったら、教えてやってくださいね。 ……UFOやってなくてごめんなさい紺堂嬢。
2005年12月07日(水) |
無法松兄さん超かっこいいでござるよー(現実逃避) |
パトラシエ。おいらもうつかれたよ。 ウフフ精神的にはぞろあすた!みたいなノリですウフフアハハ(何)
こんばんわ、やまごもりからひょこりと顔出すもえぎです。 たった数日、日記書かないだけでこうも体の中に色々たまるとは。 別に一日二十時間作業とかはしてないのですよ。ちょっと逃避気味なくらいですよ。 なのに徐々に確実に、何かがすりへってゆく気がします。 ちくしょうまけるもんか。こんなんで倒れてなるものかと思う一方。 ああそうさわたしは才能のない凡人だからそれこそ血反吐出るほど努力しなきゃなのさ! みたいになったりもしております。ぐはあ。 ある意味これは望ましい状況なのやもしれませんけどね。 わたしはもっと苦しむべきなのですから。昔からずっと、そう思っていました。 つくづく宮沢雪野(カレカノ)はたいしたものだと思います。
まだ、折れない。なんか鏡見たら今にも泣き出しそうな顔してましたが。 泣こうが喚こうが文才のないアホで低能で愚昧なわたしは変わらない。 その中からどうにか救いようがあるような事項をみつけだしてしごきまくらねば。 折れるものか。折れるなら、戦ったその果てに折れてやる。
自分で自分に凄みをきかせながら、拍手のお返事ですイエー。 嫌な話の流れですみません(笑)
>三十日 ・21時の方 はい、ハレンチ!イエスハレンチ!(笑) お言葉から当惑と動揺がひしひしと伝わって参りました。 そうなのです。ハレンチなのです。エピ2のケイオスくんがああだからいけないのです。 身内ではハレンチといえばケイオスくんでセクハラといえば総帥を指すようになりました。 嫌な定着の仕方です。でもこのお返事もハレンチハレンチ言い過ぎて嫌ですね。 ハレンチなお返事で申し訳ありません(笑)お言葉、ありがとうございました!
>一日 ・21時の方というかむしろ葵嬢 わーんわーん葵嬢ー。 きみにはいつもにっちもさっちも迷惑かけまくりでほんまごめんよ。 うん、やまごもり頑張るよ。一ヶ月くらい食事抜きで平気な体が欲しいよ。 きみも話を聞くだけでもおそろしい修羅場に挑むとこやのに、コメントありがとう。 今度会うときはなんかお菓子作って行くよ。リクエストある? わたしほんとろくでなしなのにいつもいつもごめんな。
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