2005年06月02日(木) |
わかりにくい物語でいい。 |
かつてわかりやすくマスコミが謳い上げた物語に、美しい終幕が引かれたものなど無い。
人はわかりにくく複雑で欲を離れては生きられない。 欲を離れた時点で生きることはどうでもよくなる。
人に良く思われたい。金が欲しい。異性にモテたい。 これら3つの欲望がある限り、人はわかりやすく美しくなど生きられはしないんだよ。
マスコミに批判されない程度にずる賢くほどほどの欲を見たし。 一生テレビカメラの前に出ない庶民の位置で生きていくのが一番安泰な世間。
わかりやすい美談に飛びつき、骨の髄まで消費しつくし。 舞台の裏側のゴシップまで捨てる所もなく味わいつくすのが。
生涯誰からも心底尊敬もされないかわり、心底軽蔑されることもない。
庶民の一生なんだから。
わかりやすい美しい物語になんてされてたまるかよ。 大事な人との大事な日々を。 命がけ踏ん張って強がって生きてきた不器用な生き様を。 おかしな起承転結に当てはめられるのはまっぴら御免。
美しく説明しきれない。 いまひとつどうにもしっかり理解できない。
しかし当人同士は幸せそうで。 そのまま幸せなまま誰にも追いつかれずに逃げ切って。
きっとあれはあれで幸せだったのだろうとヨ。
そういう愛がいい。
そういう家族。兄弟。親子。夫婦。友人。
わかりにくく。
美しくもなく。
それでいいんだよ。
仲の良い兄弟は素晴らしい。 偉業を成し遂げる天才は美しい。
しかしその影には必ず説明のつかない、わかりにくい欲や不器用の渦があり。
だからこそ清濁あわせ世の中は知らず知らず浄化され。 時に必要とあればその部分から腐っていくんだよ。
ひどく、自然に。
激しい理不尽を抱え、それでて死ぬまで笑って生きていけ。
物語は胸の内だけあればいい。
時々立ち止まりシャツの胸元で小さく、メモ帳のようにそれを開いて。 何かを書き付け。
こっそり幸福に生きていきゃそれでいい。
誰にもわからなくていい。
幸福に。 死んだ者勝ち。
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