こしおれ文々(吉田ぶんしょう)

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2007年07月11日(水) 吉田サスペンス劇場【夏美】 第4話『同業他社』

吉田サスペンス劇場【夏美】
第4話『同業他社』


管轄外の事件なんて【同業他社の営業活動】でしかない。

よっぽどの凶悪犯罪や
人手不足による協力要請でもなければ
殺人事件であってもニュースで知る程度である。

要するに管轄外の事件に対しては
私も一般人となんら変わりないのである。

ただ、隣県で起きた大学生殺人事件は
古くからの友人が担当していることから少しばかり情報が耳に入っていた。

  【どこか不思議な事件】


それが事件に対する友人の感想である。

  
  犯行現場に争ったような形跡はない
  まあ大学生にありがちの汚い部屋だったけどな
  犯行時間に大きな物音がなかったのは
  隣の住人が証言している。

  つまり被害者が犯人を自ら招き入れていることになり、
  犯人は被害者の顔見知りである可能性が大きい。

  通帳やクレジットカードは残されていることから
  犯人の目的は金銭ではない。
  そもそも通帳の残高見れば犯行を犯す気もなくなるしな

『恨まれてたってことか?』

  そう・・・だよな

『なんだ。もったいつけやがって
 ほかに何かあるのか?』

  
  鑑識が言うにはな
  致命傷となった後頭部が
  どうやら2回殴れた可能性があるらしいんだよ

『2回?別に不思議でもないだろ
 1回で死ななかったからもう一度殴った。』

  その2発目が寸分の狂いもなく1発目の傷に当たってるんだよ
  ただ【息の根を止める】という目的だけなら
  そこまで正確なヒットは必要ないだろ?

『マメな性格なんだな』 

  それがそうでもない。

  犯行現場の状況からすれば計画的ではないだろうな
  犯行を隠そうともせず殺してすぐ立ち去った
  多少指紋を拭き取った形跡はあるものの
  全てを拭き取ったわけでもない。
  そもそも殺すつもりがなかったから
  自分がどこを触ったかを把握していない
  素人の衝動的な犯行の典型だろ

  だからこそこの正確な2発目が矛盾してくるんだよ
  パッと見じゃあ専門家でも見逃してしまいそうなくらい
  正確に殴っているらしい

『まぁ確かに不思議だな
 でも指紋は出てるんだろ
 被害者の近辺当たればすぐ見つかるだろ』

  まぁ、それならいいけどな


そのときはまだ気にもしなかった
寸分の狂いもない2発目の本当の意味。


その後の捜査で被害者の近辺から指紋が一致する者は現れなかった。

近辺からは出なかったのだが、
その指紋の持ち主は意外なところで判明する。
しっかりと警察のデータベースに登録されていたのだ。




糸の両端は
大きな暗闇のなかで繋がっていた。

いや・・・
正確にはいままで独立していた2本の糸が
何者かに意図的に結ばれたという言い方が正しいのだろう。



そしてその結び目に【夏美】はいる。




2007年07月08日(日) 吉田サスペンス劇場【夏美】 第3話『助手席』

吉田サスペンス劇場【夏美】
第3話『助手席』


『少し疲れてるのかなとは思っていました。』

ソファに座る夫は、顔を伏せながら答えた。

 でも・・・前にもこういうことがあったんです。
 元々、真面目というか、思い詰めるタイプというか・・・
 ちょうど1週間くらい前からひどくなってきて
 夜、うなされていたり・・・よく眠れていなかったようです。
 それでも子ども達にはいつもどおり接していましたし
 気にはしていましたけど、
 僕にはそっとしておくぐらいしかできないんで・・・・

 まさか・・・こんなことになるなんて・・・


『遺書には一言【ごめんなさい】とありますが
 ケンカとかあったんですか?心当たりは?』

 仕事が忙しくて育児を手伝えないってことで
 最近何度かもめたことはあります。
 と言っても私自身は夫婦げんかというほどの感覚はありません。
 口論というか・・・ましてや自殺する程のこととは


主婦が死ねば、
たとえ自殺が明らかであっても
まずはその夫を疑ってかかる。
しかし、夫には確固たるアリバイがあった。
ちょうどそのとき、会社で打合せをしており、
一歩も会議室から出ていない。

証言しているときの夫の落胆した様子から見ても
けっしてウソには聞こえない。

その日、
亡くなった主婦は実家の母親に子ども達を預け、
その足で現場の海岸に向かい、
車の中で手首を切ったものと思われる。

車はロックされ、カギは車内に残されているため、
スペアキーがなければ犯行は不可能。

スペアキーはいつも自宅に置かれており
事件当日も夫が持ち出した形跡はない。

手首を切ったとされるカミソリには
本人以外の指紋は検出されていない。

99%自殺だろうと思われるこの事件、
しかし、私には一ヵ所だけ気になる点があった。

『旦那さん、ここ最近あの車に乗りました?』

 いや・・・乗ってません。
 最近忙しくて疲れているんで
 休みの日も妻と子ども達だけで出かけて
 私は家で昼間から寝てるんです。

『仮に旦那さんと奥さんが一緒に乗るとき、
 運転するのはどちらですか?』

 私が一緒のときは運転するのはほとんど私ですね
 妻は運転が下手とは言いませんが
 知らない道の運転は敬遠しますから
 いつも買い物するスーパーとコンビニ、
 あとは彼女の実家とぐらいだと思います。
 それが・・・なにか?

『いや、たいしたことじゃないんですけどね
 知らない道を敬遠する奥さんが
 よく現場の海岸まで運転したと思いまして』


 あそこは妻の思い出の場所なんです。
 学生時代に付き合っていた彼氏とよくデーとしたと
 聞いたことがあります。
 車で行ったことがあるかはわかりませんが
 彼女の実家からもそう遠くありませんし・・・。


『わかりました。ありがとうございます。』


私が気になっていたのは、
事件が起きた場所のことではなく、実は車の助手席だった。

現場に残された車の助手席は、
運転席から見て少し後ろの位置に下がっていたのである。

普段、夫が一緒に乗るときは運転するのはほとんど夫であり、
助手席の位置が運転席より後ろにある必要はない。
奥さんが運転するとき同乗するのは子ども達のため、
なおさら後ろに引く必要はなくなる。


つまり、【亡くなった主婦よりも体格のいい人間】が
事件当日もしくはその前に助手席に座った可能性がある。


【亡くなった主婦よりも体格のいい人間】

無論、男性・女性どちらの可能性もあるし、
たまたま大きな荷物を運ぶために
助手席を後ろに引いた可能性もある。
子どもが助手席に座っているときイタズラに動かした可能性もある。


あらゆる状況が考えられる中で、
直接事件に関わっているとは今の段階では言えない。


今の段階では、
ただ【運転席より助手席が後ろにあった】という事由でしかない。



2007年07月07日(土) 吉田サスペンス劇場【夏美】 第2話『小さな機械』

吉田サスペンス劇場【夏美】
第2話『小さな機械』


国民の二人に一人が持っている携帯電話。


電話でありながらも
その機能は電話にとどまらずメールやインターネットも可能である。

また、各社の競争が激化したことは料金面への影響が大きく、
小中学生でも所有者が増加。
さらなる普及率の増加をもたらした。

いまや携帯電話は【ケータイ】という
電話機とはまったくかけ離れた
別の機械としてその地位を確立している。


ただし、それにより
ケータイを使用した犯罪も増加の一途を辿ることになる。
機能面の充実化は犯罪の多様化をもたらし、
急速な犯罪進化に法律が追いつかないのが現状である。


コードがなくどこにでも持ち運べるケータイ。


その小さな機械に
使用者のプライバシーの全てが含まれていると言っても
過言ではない。
一見、自分が持っている限り
そのケータイに盛り込まれているプライバシーが
外部に漏れることはないと思いがちであるが、
それは大きな間違いである。

容易に所有可能となり、
大多数の人間が手にしているケータイは、
実は目に見えない糸でつながっていて、
個人のプライバシーなんてものは
あっけないくらい簡単に
外部の人間が手に入れることができるのである。


ケータイ自体がなくしてしまったとしても、
使用した履歴はハッキリと刻まれ、
一本の糸を引くことにより芋づる式につるし上げられる。


たかが履歴と思うかもしれないが、
その履歴こそが、
その人の人間関係はもちろん、人格や社会性、
さらには潜在意識に眠る、本人すら気づいていない欲望さえも
鮮明に表してしまう。


2つの事件・・・いや、亡くなった主婦と大学生の二人も
その見えない糸で繋がっていた。


少し引っ張っただけでは全く手応えがなくとも
その糸は確実に二人を結びつけていた。




2007年07月06日(金) 吉田サスペンス劇場【夏美】 第1話『赤色の光』

この世に神様のような存在があり
この結果が全て彼の手により導かれた【運命】であるなら
私は彼に神ではなく映画監督を職業として勧めるだろう

様々な人間と様々な欲望・・・

偶然の中で必然的に交わり合い
必然の中で偶然的な結果が導かれた

【運命】という言葉で片づけられることなのか

いや・・・
【運命】なんて
人間の自分勝手な責任逃れでしかない

【運命】という陳腐な小説があるならば
尊き生命を彼自身が軽視することになる


【運命】なんてない


だからのこそ
私はこの事件を生涯忘れることはないだろう

数年後には
誰もが忘れるであろうこの事件を



吉田サスペンス劇場【夏美】
第1話『赤色の光』


都内に住む35才の主婦が
死体となって発見されたのは3ヶ月前のこと。

さらにその1週間前、
隣県に住む21才の大学生が何者かに殺された事件。


2つの事件は
当初まったく関係性がないものと見られていた。

というより、
この国における事件の発生頻度から見て
たとえ隣県で同時期に死体が発見されたとしても、
まったく不思議なことではない。

管轄も違うため、
それぞれに捜査本部が立ち上げられ
それぞれ捜査が進められていく。


さらに今回の主婦の死体に関しては
最近夫婦間がギクシャクしていたらしく
名目上、自殺・他殺の両面から捜査することとしているが、
遺書もあり自殺と見て間違いはないだろう。

仮に自殺に至った経緯が明らかにならなかったとしても、
半年もすれば捜査がうち切られることは分かり切っていた。


意味もなく人生に落胆し、成り行きで自殺するケースは多々ある。
不可解な自殺を念入りに捜査するほど、
犯罪都市東京を管轄する警察はヒマではないのである。


しかし・・・
捜査が進むにつれ、
次第に【糸】は見え始める。

普段は目に見えない赤外線が
タバコの煙の中ではその存在をしっかりと示すかのように、
神々しい赤色の光は
確かに二人の人間を結びつけていた。


2007年07月05日(木) 吉田がいらないもの

例えば
不特定多数の男女を
所得額によって5段階程度に振り分ける
 A 1,000万円以上
 B 500〜1,000万円
 C 300〜500万円
 D 100〜300万円
 E 100万円以下
といった感じで

その後所得に関係なく
結婚相手を見つけさせたとき
どういう結果になるであろう


あくまで推測でしかないし
容姿等の諸条件で変わるとは思うが
できあがった夫婦の所得を比較すれば
同ランクの所得を持った夫婦が
一番多くならないだろうか
(BとB、BとCといった感じ)


所得によって経済観念は変わってくるし
精神的な安定感も変わる


結局、同レベルの所得同士である方が
価値観も近く
なにかとうまくいくのではないだろうか


ヤンキーの嫁は
やっぱりヤンキーくさいってことと同じです


さて
今度はその出来上がった夫婦を単位として比較します

D(300万円)とD(300万円)
E(100万円)とE(100万円)
といった低いランクの夫婦を比較したとしても
【その家としての所得】は【600万円】と【200万円】となり
400万円の開きが出来てしまいます



格差社会ってけっこう当然なことではないでしょうか



生活していくうえでいろんな条件は付き物で
国の政策が悪いとか
社会情勢が悪いとか
それでも結局自分が生活するためには
自分が働くしかないわけで


誰だってEランクの生活はしたくないけど
Aランクまで所得を上げる努力をしなければ
いつまでたってもAランクには上がりません


一生懸命仕事することは当然なことで
Eランクの仕事をいつまでも一生懸命こなしたところで
Aランクに上がれるとは到底思えない


Aランクの人たちは
やっぱりどこかまわりと違った部分で
努力するものだと思います



・・・結婚します。



相手の両親から同意を得たわけではないので
正確には結婚の意思を固めたとなるのでしょうか


前に彼女と別れたときに
「結婚ってなんじゃ」なんてほざいてた割に
ずいぶん簡単に言うじゃねーか


はい。


気づいたら結婚することになってました
もうじき相手の両親に挨拶する予定でございます
手みやげ持参でね



それだけ運命を感じる女性なのか
彼女の策略にまんまとハマってしまったのか
正直まったくわかりません



【結婚は勢い】



そんなスピード感ぜんぜんないっす

純粋にこの娘なら一緒にいられるなぁぐらいなもんです
本人が見たら怒る表現ではありますが・・・



今年で私、30才

まわりを見渡せばいまだ独身の方が多い



結婚できずに焦ってるやつもいれば
転職したばかりでほかのことに頭が回らないやつもいる

固定客獲得に乗り出しているキャバ嬢とエッチして
痒みが止まらないやつもいる


それぞれにはそれぞれの生活がある


社会情勢の影響を受けつつ
多少の条件の違いはあったとしても
みんな同じ土俵で生活している


いまより良い暮らしをしたいなら
自分でなんとかしなければならない


だから今日も
僕はギター片手に唄うのさ



稼ぎもないのに4人も5人も子どもは作らない

なんでもかんでも世の中のせいにするやつとは
酒飲まない


所得だけが幸福の判断材料でないにしろ
家族に苦労かけない男前なおっさんになりたい


っていうかたぶん俺なら楽勝だけど


事情がありまして
ここを読んでくれている方々を
全て式に呼べるかわかりませんが
後日ご挨拶させていただきます



ちなみに祝いの品は【センス】あるものでお願いします


二人が生まれた年に出来たワインなんて
死んでもいらねー


まぁ、そういうことだ


管理人:吉田むらさき

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