五行日記
ガム



 怒の音が出なくもない。

「意外と気が短いんだな」って意外でも何でもない。

まだ我慢の限界には達していないけど

怒りの破片が愚痴になってこぼれ落ちていく。

日記に書きたいような言葉がなかなか出てこない。

何だかつまんないな、ここ最近の自分。

2005年10月31日(月)



 後悔の鍵。

そこに入ろうとして開けた扉から、

僕じゃない別の誰かが入って行った。

多分そこは一人しか入れない場所だから、

僕はそっと扉を閉めてその場から立ち去った。

今思えば、外側から鍵を掛けておくべきだった。

2005年10月30日(日)



 浮子の準備。

浮き沈みの激しい気持ちが比較的安定してる。

今度またいつ深く沈んでしまうか分からないけど。

もしその時が来てもただでは転ばないよう準備をしよう。

魚が釣れた時の浮子みたいに

一旦沈んでも何かを得られるように。

2005年10月29日(土)



 たまには同僚と。

残業の勢いで同僚と飲みに行く。

今までありそうでなかったこんなことが

丁度いいガス抜きになる。

ストレスを共有して団結を強める。

こういうのならまた飲みたいな。

2005年10月28日(金)



 風を待つ。

糸の切れた凧のようにどこまでも飛んでいきたい気分。

だけどこんな日に限って風が吹かない。

自分の力で飛べるかっていくら何でもそれは無理。

ただじっと風が吹くのを待つような

こんな日もきっと必要なんだって。

2005年10月27日(木)



 不足はメンバーだけじゃなく。

メンバーが足りず来月予定していた駅伝大会への出場は

残念ながら見送られることになった。

目標を失って残念だと思う気持ち以上に

何処かホッとしている自分がいるのも事実。

気持ちの衰えが何より問題だというのに。

2005年10月26日(水)



 おはようバス。

朝の自転車通勤が、だんだん辛くなってきた。

雪が積もりだしたら、このオレンジ号もきっと冬眠。

そして毎朝僕を追い越していくギュウギュウの

あのバスに乗って通勤することになるんだろう。

朝から人いきれに飛び込むのは何としても避けたいけれど。

2005年10月25日(火)



 ドロップ。

もう解散しているバンドの曲を聴きたくなる気持ち。

懐かしさの他にも「何か」があるような気がして。

聴いてもその「何か」が「何か」は分からなかったけど

心が様々な方向に引っ張られてるような錯覚を憶えた。

未来はないはずの曲に未来を少し感じて口ずさんでみた。

2005年10月24日(月)



 雨上がりの風に。

雨は上がったけどテンションは上がらない。

止まない雨がないように、

沈みっぱなしのテンションもないと信じたい。

ここにいる理由を探した。

見つからなければ吹き飛ばされてもいいやって。

2005年10月23日(日)



 スパイスも空を飛んでパッチギ。

場内の明かりが落ちてスクリーンだけが白く光る。

最初の音に備えてスピーカーが沈黙を鳴らす。

予告編もなく本編が始まるため集中力を高める。

地元秋田の小さな会場で行われた国際映画祭。

観た3本はどれもこれも胸に突き刺さった。

2005年10月22日(土)



 殺意を押し殺す日々。

一旦気になり出すと、どこまでも気になる他人の癖。

独り言、貧乏ゆすり、その他諸々。

毎日隣で繰り返されるその目障り耳障りな癖に

軽い殺意を憶えるが押し殺して日々を過ごす。

僕にもそんな癖があるのだろうか。

2005年10月21日(金)



 けんえんの仲。

犬でも猿でもないけどそいつは嫌いだ。

開けっ放しされたドアからそいつが入ってくる。

毎回毎回形を変え、時には姿を現さず、

嫌な臭いはそのままで、足もないのに踏み込んでくる。

こんな嫌煙者の思いは喫煙者には分からないだろう。

2005年10月20日(木)



 イライラの大木。

イライラの種を飲み込んだら頭のてっぺんに芽が出た。

イライラの芽はすぐに大きな木になって頭を重くした。

イライラの木に実がなって頭の上にボトボトと落ちてきた。

イライラの実は腐って沢山の種をばらまいた。

その繰り返して頭はもうイライラの樹海。

2005年10月19日(水)



 久遠のかくれんぼ。

少しずつ距離をとって彼らの目の届かない場所へ。

彼らがそれに気付くかどうかなんてどうでもいい。

それを確かめるために近付くようなリスクは冒さない。

向き合う顔が多すぎて少しだけウンザリしてるんだ。

落ち着くまでの間、隠れていることにするよ。

2005年10月18日(火)



 ナイトメア・ビフォア・ハロウィン。

去年に引き続きまた現実になった悪夢。

一年間の戦いがゼロになった瞬間の虚しさ。

負けを認めたくない思いと勝者を讃えたい思いが

複雑にこんがらがってグラスに落ちていく。

祝杯のために用意したビールがちっとも美味くない。

2005年10月17日(月)



 ラリックの黒。

北から南まで県内をドライブ。

紅葉にはまだ少し早いようで。

ガラスで繋がった僕たちの関係は

ガラスのように壊れやすいものだろうか。

そこまでの間柄ではないのだけれど。

2005年10月16日(日)



 奇天烈四重奏。

昨日の汗が染みついたリストバンドで今日もライブへ。

客の9割以上が女子という会場に軽く引き、

アイドルのコンサートのようなノリに更に引く。

夕べのライブとの温度差を感じながら自分なりにノる。

複雑な気持ちを胸に、土砂降りの中、車を走らせた。

2005年10月15日(土)



 スーパースターが街に来た。

なんとか手に入れたくるりのチケット。

鉄道記念日にくるりを観られるなんて、なんていう偶然。

電車に乗って、ジンジャーエール飲んで、青い空見上げて、

東京行って、澄むことのない川に飛び込みたい気分。

充実の2時間。掛け替えのない時間。

2005年10月14日(金)



 0.5%のオレンジ号。

ボディにだけオレンジの塗装がされた僕の自転車。

今では剥き出しのスチール部分も錆び付いて

全体的にオレンジ色に見えるからまた愛着が湧く。

気の抜けたタイヤに空気を送り込んだら

気持ちでは清志郎にも負けてない自転車になる。

2005年10月13日(木)



 炊飯生活。

ここ最近ずっと土鍋でご飯を炊いてる。

去年100円で買った土鍋は一合炊くのに丁度良い大きさ。

一食で一合食べる僕にはピッタリだし

美味しいご飯が炊飯ジャーより早く炊けるのが嬉しい。

来週手に入る新米が今から待ち遠しい。

2005年10月12日(水)



 王手対逆王手。

残念ながらヤンキースがプレーオフで敗退した。

だけど勝敗よりも気になったのが「逆王手」という言葉。

今更だけど「そりゃ負けるでしょ、アンタ」って。

それ以外にも気になる言葉は沢山あるけど。

ツッコミを入れつつ何とかならないもんかとボンヤリと考えた。

2005年10月11日(火)



 消耗品エレジー。

運動日和の体育の日、サッカーで汗を流す。

シーズンが終わったとは言え絶不調で凹み気味。

オフで緊張の糸が切れたのか、一年の疲れが出てるのか。

この一年一緒に頑張ってきたグローブももうボロボロだ。

愛着はあるけど新しいグローブに変えてみようかな。

2005年10月10日(月)



 留守番猫。

事前連絡なしで実家に帰ったら留守で誰もいない。

出迎えてくれたのは飼い猫と産まれたばかりの子猫。

開いたばかりの真っ黒い目にはじめましてとご挨拶。

用事を済ますのも忘れて僕が小猫にじゃれてみる。

さて飼い主はどんな名前を付けるんだろう。

2005年10月09日(日)



 夢で見そうな夢。

頭が痛むんで寝ていたら今度は寝過ぎで頭が痛い。

二度寝、三度寝と眠るたびに違う夢を見て

その夢から覚めるたびに気分が悪くなった。

今まで見たこともないようなおかしな夢。

覚めてからも暫く夢の中に取り残されたような夢。

2005年10月08日(土)



 ほじなしの脳。

朝からずっと頭の裏っ側が痛んでる。

これが世に言う偏頭痛ってやつなんだろうか。

痛むのは一部分なのに全身が怠く感じる。

そこだけ取り外せたらなんて考えたけど

脳ミソ取り外して何が出来るんだって。

2005年10月07日(金)



 コンガラガリズム。

答えは決まっているはずなのに知ってか知らずか

お互い平行線ですらないのに交わろうとしない。

そんな上司の間に挟まれて気持ちが萎える。

どっちの味方にもなりたくないけど

とりあえず弱い方の立場に立ってみるか。

2005年10月06日(木)



 ブレイクする?

せっかく作ったものを壊してしまうのは

とても勇気のいることだ。

前に進むためには壊さなければならないと知っていても。

僕にはその勇気があるだろうか。

特に不満もなく作り上げてきた現状を壊す勇気が。

2005年10月05日(水)



 そこから続く夢。

夜の闇。吐く息は白。

数万年前に生まれた星の瞬き。

数十年前に生まれた琥珀色の水。

あるはずもない記憶を辿って

僕が生まれるずっと昔の夢を見た。

2005年10月04日(火)



 特別な日、平凡な日。

今日が祝いたくなるほど特別な日というわけではなく

明日が記憶に残らないほど平凡な日というわけでもない。

だけど、全てが明日に向かって廻っている中で

もう少し今日に留まりたいと願う気持ちが生まれる。

この狭い部屋ひとつ分の空間だけでいいから。

2005年10月03日(月)



 ワンダーフォーゲル。

思い出に縛られて身動きが取れない渡り鳥。

何時しか翼も折れて飛び方さえ忘れてしまった。

決して自由ではなかったけどあの頃の僕は空を飛べた。

今の僕は空は飛べないけどあの頃よりも自由だ。

どっちが幸せかなんて分からないけど。

2005年10月02日(日)



 進んできた道。

なるべく振り返らないよう、前を見て進んできた。

だけど進んできた道を振り返ってみて初めて

目指していた方向から大分逸れていたことに気付く。

また大きく遠回りして、そこへ向かうことになりそうだ。

この道も決して居心地が悪い訳じゃないんだけど。

2005年10月01日(土)
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