五行日記
ガム



 迎撃ブレイクスルー。

楽しいことから逃げ出しても楽しいことは追ってこないのに

嫌なことから逃げ出したらそれはどこまでも追いかけてくる。

それなら楽しいことを追いかけて嫌なことを迎え撃とう。

そこに道が開けたら胸を張って進もう。

1月ももう終わるんだし、やり残したことがないように。

2005年01月31日(月)



 浅い呼吸。

なんだろう?

このところ切なさが尋常じゃない。

わかってるんだ。

わかってる。でも、

わかんないよ。

2005年01月30日(日)



 空に抱かれた日。

一人乗りのリフトに揺られながら目を閉じる。

まぶた越しに太陽の光を感じ、気分は風に乗る。

今、自分は空の中にいる。いつも見上げていた空の中に。

目を開けると眼下に広がる一面の銀世界。

こういうのは悪くない。

2005年01月29日(土)



 記憶にないけど。

独りになってからでよかった。

梅干しを手に入れた今日も何の解決にはならない。

帰り道で、家に着いてからの独りの部屋で、

声を上げた泣いた。理由は分からないけど。

って、ここまで書いて力尽きてた。

2005年01月28日(金)



 水墨画の中で。

メガネが曇ってる訳じゃないのに、

カップの底で乾いたコーヒーが髪の毛に見えた。

対向車のスキーキャリアがカラスに見えた。

全てがぼやけて水墨画の中に入り込んだみたいだ。

溢れてくるのは何も涙だけじゃない。

2005年01月27日(木)



 一度砕けてるけど。

ストレスのない彼女にはかえってストレスだったようだ。

それについて少し話したかったけど話さなかった。

長い沈黙の間、彼女は何を考えていたんだろう。

沈黙が心地いいと感じる仲にはなれないだろうけど

もう少し砕けた感じになれたら…って。

2005年01月26日(水)



 不眠浮遊。

一睡もできない夜はとても長い。

数時間前に見たテレビ、口にした食べ物が、

まるで数日前のことように感じられた。

夢とも現実ともつかないような浮遊感。

うぶ毛までもが浮き足立ってる。

2005年01月25日(火)



 冷たい部屋で。

さっきまで熱かったコーヒーがもうすっかり冷たくなってる。

でも美味いコーヒーは何事もなかったように美味いまま。

同じように冷めても変わらずに付き合えるのが

上手い人付き合いなのかもしれないなんて。

まだ冷めちゃいないんだけど、今までのことを思うとね。

2005年01月24日(月)



 暴発テレフォン。

気の利いた冗談のひとつも言えずに、沈黙が訪れる。

話題を振られたり質問されることは、まずない。

誤って飲み込んだ言霊の弾丸が胸の中で暴発した。

聞きたかった声が聞けたのに、こんなにも胸が痛むのは、

たぶん、きっと、そのせいなんだろう。

2005年01月23日(日)



 前向きな引きこもり。

部屋の中、鉛筆を握って、電卓を叩いて、机に向かって、

今しかできないことを、今やる。

なんて前向きな引きこもり。

少し休んで外の世界のことを想う。

天気のこと、気になる店のこと、僕じゃない誰かのこと。

2005年01月22日(土)



 魂の弾丸。

喉の奥のシリンダーに言霊の弾丸を装填する。

一発、一発、ゆっくりと、想いを込めて。

だから、出任せじゃない言葉には時間がかかる。

いつか、心に残るような弾丸を撃ち込みたいと思うけど、

引き金を引けなかったり、狙いを外してしまったり。

2005年01月21日(金)



 白銀に招かれ。

板も靴もストックもゴーグルも借り物でスキーをした。

記憶が確かならばブランクは7年ということになる。

何かと理由をつけては誘いを断ってきたけどついに解禁。

ブランクのわりには滑れたし思ったより楽しめた。

でもやっぱチョット違うかなとも思ったけど。

2005年01月20日(木)



 不眠エスケープ。

あれこれと考えすぎて眠れない夜が何日も続いてる。

夢の中なら何の咎めもなく会えるのに

極端に減った睡眠時間で夢さえも見られない。

だけど彼女は現れる。まばたきをするたびまぶたの裏に。

そして僕はまた目を閉じたまま現実から目をそらす。

2005年01月19日(水)



 囚人の弱音。

冷蔵庫よりも寒い台所でパックから直接牛乳を飲む。

傾けた勢いで溢れ出した牛乳がほおを伝って流れ落ちた。

その白い縦の列がよこしまな僕を格子状に塗り替えていく。

格子に閉じこめられた僕はまるで囚人。

誰かに弱音を聴いてもらいたい夜もあるのに。

2005年01月18日(火)



 蛍光グリーンの20番。

これ以上テンションを落とさないようにって

部屋の中でもサッカーのユニフォームを着て過ごす。

新しく買ったユニフォームは気持ちまで新たにしてくれる。

これで試合中みたいに大声でも張り上げられたら

スッキリするんだろうけど、アパートじゃチョットね。

2005年01月17日(月)



 呼吸するオレンジ。

小さくなった自分を膨らますために何度か深呼吸をした。

塞いでばかりもいられないんで目的を持って外に出た。

肌に触れる雪も風も冷たかったが不思議と寒くはなかった。

目的地の店は定休日だったが怒りも悲しみも感じなかった。

AqualungのCDを買って聴いたら少し呼吸が楽になった。

2005年01月16日(日)



 音もなく。

音もなく、胸に穴が空いた。

風船みたいに破裂したり、宙を舞うことはないが、

感じる痛みは同じようなものだろうか。

穴を塞ごうと、躰中の皮膚が胸の方へ引っ張られる。

また少し、自分が小さくなった気がした。

2005年01月15日(土)



 上弦の月。

今日2本目のジンジャーエールを飲みながらバスを待つ。

虚勢を張るのにも疲れたけど、全てを見せる勇気もない。

ボンヤリと考えてる間にバスはもう何台も通り過ぎた。

日が暮れて、上弦の月を見上げながら来ないバスを待つ。

来るはずもない。ここはバス停じゃないし。

2005年01月14日(金)



 嗚咽独舟。

ある意味充たされ

ある意味もの足りず

さらけ出せなかった自分を

独りになってから出してみる。

誰も見てくれてないのに。

2005年01月13日(木)



 たとい目が潰れても。

太陽を隠す雲のように、本心を覆い隠す表情。

僕はそれを読み違えて、太陽を見たつもりになってた。

形を変えて流れる雲の隙間に、確かに見えた気がしたんだ。

いつか全ての雲が流れて、丸い太陽が顔を出したら、

僕は目をそらさず、真っ正面から受け止めるだろう。

2005年01月12日(水)



 久遠。

ほんの数日なのに途方もなく長く感じた時間。

考えないようにと思っても考えてしまう彼女のこと。

何日かぶりで会った彼女はすごく大人になってた。

何がって訳じゃないけどそんな気がしたんだ。

僕は本当に、本当の彼女を見てるんだろうか。

2005年01月11日(火)



 空想散歩。

聞こうとしていた言葉を聞き逃したり、

消しゴムで消した文字をもう一度書いてしまったり、

上の空で想いが散歩をしてるみたいだ。

もう既に今日の日に未練はない。

灰色の雲を越えて、心は数日後へ飛ぶ。

2005年01月10日(月)



 大雪、葬式、1、3、7。

爺さんの七回忌で大雪の降るなか実家へ。

この季節だからってのもあるけど

爺さん絡みのイベントはいつも大雪が降る。

何かを訴えようとしてるのかな。

確かに生きてるときは会うたびにケンカしてたけど。

2005年01月09日(日)



 そしてまた眠くなくなる。

初売りで買ったコーヒーメーカーでモカを淹れた。

でも何か違うような気がした。

どうやら僕は一頃のように

酸味の強いコーヒーを好まなくなったらしい。

辛酸を嘗めすぎたせいかな。わかんないけど。

2005年01月08日(土)



 表裏一体ラッキー7。

全ての物事に裏と表があるというのなら、

裏表併せてひとつの物事だというのなら、

それはサイコロのようなものであって欲しい。

どう転んでも裏表併せたら何となく運の良さそうな

7って数字になるサイコロのような物事で。

2005年01月07日(金)



 疑問符の呼び水。

「…が、わからない。」と言うその言葉。

褒め言葉として受け止めておきます。

でもそれは僕自身にもわかりません。

僕にその謎が解けていたら今こうして

独りでいることはないでしょうから。

2005年01月06日(木)



 そういえばあの頃から。

数年前、『三つ子の魂百まで』の本当の意味を知ったとき、

「うまいこと言うなぁ。」って感心したっけ。

1日で幾つ歳を取っても、1年で幾つ若返っても、

僕の中にはいつも幼いときの僕がいて、

大きくなった僕を笑ったり、たしなめたりするんだ。

2005年01月05日(水)



 運命の掌で。

もし運命に悪気がないとしても

僕をその掌から解き放してくれないのなら

僕は手にしたこのナイフで

足下に伸びる一本の線を切り裂いてやる。

運命の運命線を変えられたら僕の運命だって変わるはず。

2005年01月04日(火)



 エリア59。

車で雪のわだちを越えるときのようなスリル。

あの背中に汗を掻くような緊張感。

自分の場所からはみ出すときはいつもそうだ。

願わくばもうひとつ自分の居場所が欲しい。

緊張感など必要ない居場所をそこに。

2005年01月03日(月)



 初夢の代わりに。

刃物を研ぐような音を立てて回る秒針。

眠れずに研ぎ澄まされた感覚を逆撫でしていく。

暗闇にも目が慣れて次第に周りが見え始める。

でも、天井よりもはっきり見えるのは、

そこにはないはずのものだったり。

2005年01月02日(日)



 あけました。

何があるわけでもなく静かに幕をあけた新年。

餅を食い、初売りに出かけ、天皇杯を観た。

自分なりに今年の目標を掲げ頑張るぞと誓う。

いい一年に出来るよう

日々明日の自分にタスキを繋ごう。

2005年01月01日(土)
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