愛と創作の日々
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2011年01月16日(日) 悪人は、もう死んでいる

場所は、どこかの公衆トイレ。
入り口に識別装置のようなものが取り付けられていて、そのトイレのある建物の入り口に、足を踏み入れたとたんに、装置が作動して、「悪人です」「善人です」と、いったアナウンスが流れるしくみになっていた。その声は、ちょうど電話の117の時報を告げるアナウンスのように、抑揚がなく、ひどく機械的に響いた。
私は、建物の前で、トイレに入る人の識別結果に、気をとられていた。「悪人です」の連続で、「善人です」といったアナウンスを耳にすることが、ほとんどなかった。
みんな一見、ごくごく普通で、とても悪人には見えず、善良な小市民という感じの人ばかりだったのに。

一人だけ、「善人です」の人がいて、ほっとした。


まあそれはよいとして、悪人と識別されてしまった人々には、その後、恐ろしい運命が待っていたのだった。
悪人と識別されてしまった人は、そのトイレのある建物から、外に出てしばらくすると、異様に顔がふくれあがり、苦しみだしたかと思うと、ふくれあがった顔が破裂してしまって、大量の血しぶきを上げて、その場に倒れ、絶命してしまった。
まるで北斗の拳に、秘孔をつかれた時と同じような状態だった。



私は、恐ろしくてその建物には、入れなかった。自分もこの人たちと同じ運命をたどりそうだったから。

それから、一度破壊されてしまった顔が再生され、象のような顔になっていた男の人と、その恋人らしき女の人を、間近で見ている場面に変わった。
その女の人に首のまわりには、手術で縫ったような跡が生々しく残っていた。

私は、その傷痕を見て、きっとこの人は、首を切り落とされて、別の首を縫い付けられたのだろうと思っていた。


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