2003年10月21日(火) |
【事象】−The another side of 『The diary of Sonoka』− |
『魂』を通じて入ってくる、疏埜馥のエナジーがほとんど感じられなくなった。
数ヶ月前のあの夜、疏埜馥とルナは分かり合い、完全体となった・・・はずだった。
はずだった。 そう、表向きには感じられるほど安定し、自分の意志によって「疏埜馥」「ルナ」を使いこなせるようになったはずだった。
元々強大な月の魔力を意のままに操ることが出来るルナが暴走しないように「歯止め」として、「封印」として疏埜馥は生まれた。
ただ、疏埜馥として生きていく時間が長くなるにつれ、本来放出されるべきルナの魔力が休火山の様に疏埜馥の奥底で溜まり、数ヶ月前のようにそれが爆発し、二人の意識が一つの肉体から完全に分断されたとわしは考えていた。
長い時間一つの肉体を二つの精神で生きてきたことで、ルナの中にも疏埜馥的な心を持ったし、疏埜馥の中にもルナ的な心を持った。
それが今、ルナの中に少しだけ残る疏埜馥の存在。
満月の夜が来ればそんなちっぽけな存在など、強大な魔力に吹き飛ばされることだろう。
やれるべき事は一つ。
・・・・ルナを消すこと。
そして・・・・
ルナでも疏埜馥でもない、新しい存在へ「一つ」にすること。
少しでもタイミングを逸すれば、ルナはもちろん、今は存在しない疏埜馥も、二度と戻らないのだが、このまま行けば、ルナすらルナで無くなる。
そう・・・満月まで後2日。
時間は・・・無い。
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