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排水溝には猫がいる。 背中が黒いの、そいつ。手足とおなかは白いの。 で、黒い背中だけ見せて、排水溝にいんの。 「なぁー」と、鳴く だだっぴろい駐車場があって、それを緑のフェンスが取り囲む。 雑草だらけで、ちっさな木まで生えて、枯れた葉も草も、ゴミといっしょくたに排水溝を埋めてる。 その排水溝をさらにふたしてるのが猫。 いっつもいる。だから私は下見て歩いてる。 見かけると声をかける。 「よっ!げんき?」 なにも持ってないときはそのまま素通り。 しゃがみこんで話し掛けると、猫も「なぁー」っと鳴くけれど、なにも持ってないやつには興味ないんだ。 「邪魔くさいなぁ」と、鳴く 猫のいるあたりのフェンスの側は、猫缶の空いたのや、おわんが落ちてる。あとアルミホイルとかね。 だから食べてるんだと思う。 でも、エサやりのあとのゴミは、捨てた方がいいと思うな。ネコギライの批難の的だもの。 猫はエサを食べる。 エサがあると察知すると、猫はフェンスに頭をすりつける。 「おくれ〜」と、鳴く ビニール製の袋をやぶって、近くにまいてやる。 フェンスの下には猫のくぐれる高さはなくて、もどかしげに手をだす。爪も出てる。 「おまえよぉ、ちっとおとなしく待ってられんのかね」 「なぁー、なぁあ゛ー」 ガシガシっ!←爪出てるの 「食え食え」 しばらく見守って、立ち上がる。「ばいばい」とか言ってみるけど、猫は聞いてない。 だから、いつも下を見て歩いてた。 だだっぴろい駐車場はゴミだらけで、車は一台もなかった。 駐車場はいつだって、管理小屋の中の管理人(一応いるらしい)と猫だけ。 土地はあまらせておきたくないみたい。 人間の考える駐車場の有効利用。猫の考える排水溝の有効利用。 フェンスのぐるりに工事用のビニールシート。排水溝は見えなくなった。 でも下を見て歩いてる。 「カラスを狩って食ったという噂がある猫だから、元気だろう。」と、天佑は考える。 せめて鳩でも食べてりゃいーんだが・・・・ |
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