サミー前田 ●心の窓に灯火を●

2007年02月21日(水) 天才バカボンといえば

 「天才バカボン」は少年マガジンで1967年から連載していたので、アニメ化はずいぶん後である。近所に住んでいたイトコのお兄さんが毎週少年マガジンを買っていたので、バカボンだけは物心ついた時からずーと読んでいた記憶がある。これが自分の人格形成にものすごい影響を与えたのだ。連載が数年過ぎた頃、今思えば赤塚先生がアル中になってメチャクチャな時代の幕開けだったのだろう、急に作品がアバンギャルドな展開を見せ始めたのだ。
 例えば、バカボンが出てこないのは当たり前、劇画調タッチだったりはまだいい方、終始見開きで1コマだったり、すべてのコマが眼玉や鼻の穴のアップだったり、停電だという設定で台詞以外全ページが黒で塗りつぶしてあったり、下書きのままだったり、ちゃんと書いてある漫画の上にマジックで「赤塚へたくそ!」とか「ボツ!」とか殴り書きしてある「作品」だったり・・・。毎週こんな調子で続いていた。
 まあとにかくラリって書いているのか、毎週毎週めちゃくちゃな内容で、よく漫画として印刷物になったものである。確かに漫画の常識や手法を超越してしまったのだが、それをガロではなく大メジャーの少年マガジンでやったのはすごい。
 当時リアルタイムで一回読んだだけの記憶しかないのだが、幼少時代にこんな漫画読んでいたら、そりゃあその後の人生は何が来てもびっくりしない。中1の時にオノヨーコのつまらん前衛音楽聴いても、高1の時に吉祥寺のマイナーでフリージャズやノイズ聴いても、普通に「こーゆーのもあるよな」と理解できたというか別にびっくりしなかったのは、もしかしたらそんなバカボンでアバンギャルドな感覚を受け入れる下地ができていたからか。
 一連のこれらのバカボンは単行本に収録されていよな・・・もう一度見てみたい。


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サミー前田 [MAIL]

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