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2004年11月02日(火) |
書かない理由、書く理由。 |
●ずっと働いていた。7月に海外公演から帰国した翌日、新しい現場に入り、8月頭に初日を開けたあと、またすぐに新しい現場へ。この8月9月の仕事は、わたしの演劇感を大きく変えた。 ヨーロッパとアジア2国から来日した俳優たちと共同作業をし、自分の愛してきた仕事と、自分の生まれ育った国について、様々なことを考え考え過ごした。考え、行動することに忙しくて、それを書き留める余裕がなかった。 そして今、古巣に戻って12月に開ける公演の稽古に没頭している。……没頭? 時間的には没頭しているけれど、自分の心境の急速な変化に伴い、今まで通りの仕事では満足のゆかない毎日が続いている。来年末まで休みなくこの生活の続くスケジュールがすでに決まっている。 自らの仕事の変化のために、再来年の国費留学を考えている。今の自分の履歴ならたぶん決まるだろう。大事なのは滞在先を何処に定めるか、何を学ぶために何処を受け入れ先と定めるか、はっきりと一年間の目標を決めること。そして語学のブラッシュアップ。
●5月から始まった新しい恋人との関係は、今も続いている。 彼の29歳という若さと激しい性格から、何度も何度もひきつれを起こしながらも、お互いに愛情の深い人間なので、バランスよく引き合っている時の幸福感は大きい。恋をしていることが余りにドラマティックで、良くも悪しくも自分を満たすので、日々を書き留める必要がなかった。 泡立ち続けて生きることを、どれほど自分が求めていたのかがよく分かる。わたしは恋愛に関しても、安定が嫌いならしい。
●5月から今までで、10キロ痩せた。特にダイエットをしたわけでもなく、病気をしたわけでもなく、実に健康的に。仕事の忙しさで少しずつ体がしまってきた折、酷暑の中エアコンが故障し、汗をかく生活を強いられること1ヶ月。衝動買いしたビアンキの自転車が余りに乗り心地よく、自らの足として何処へでも自転車で移動するようになって、どんどん体脂肪が減っていき、安眠のためにはじめた毎日のヨガが体に合っていたらしく、10キロの減少以降、体重は安定している。 おかげで衣類をほとんど買い直さなくてはならず、ギャラをずいぶん食いつぶしてしまったけれど、体が軽く、快適。今の自分がとても気にいっている。 自分とつきあうのが楽しくって、ナルシズムに欠けるわたしが、書かなくっても自分を愛せるようになっていた。何かを書き殴らなくても、一日を終えることが出来るのだ。
●この歳になって、激変する自分を愛せるのは、幸せなことだと思う。でも、これからは、その自分が、自分を取り巻く世界とどうつながっていくのかを変えていく時期だと思っている。自分の選んでいる仕事を通じて、何が、どこまで、出来るのか? その為に、また少しずつ書いていこうと考えている。自分の慰撫のためではなく、自分を相対化して見るために。
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