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現在の仕事場が埼玉県にあるため、毎日電車に乗っている時間が多い。朝はだいたい新聞を読んでいるかグウグウ眠ってしまうかなのだが、帰りは深夜の車中で仲間たちとしゃべったり、ビールを飲みながらぼうっとしていたり。そういう時に、車内の人間観察するのは楽しい。まわりの人たちを一人一人見ながら、この人は今日どんな1日を送ったのかとか、どんなところに帰るのだろうかと、想像する。 そういう時に感じるのが、このところ、変な人、得体の知れない人が、ずいぶん増えたな、ということ。 何より、目で分かる。どんよりして焦点の定まらぬ目、忙しく動き回っては悪意のようなものをのぞかせる目、ひとところに異常な集中を見せる目。そういう人は往々にして薄汚れた服を着ていたり、「いったい何が入っているのだ!」と疑問を抱かせる不穏な荷物を持っていたりする。或いは同じ運動を繰り返していたり、独り言を言っていたり。 人と一緒に乗っているとまだ安心できるが、一人で乗っている時は、少しでもおかしな人を見つけたら、わたしは迷わず車両を移ることにしている。余り気分のよいことではないが、こういう時代に我が身を守るには、仕方のないこと。 そんな安心感に欠ける昨今の車内で、相変わらずわたしを楽しませてくれるのは、たくましいおばちゃんたちだ。 この間見かけた、背の低いおばちゃん。近所で大安売りでもあったのか、パンパンにふくらんだショッピングバッグを持っている。勢いよく乗り込んできたおばちゃんは、混んだ車内を一通り点検して空席のないことが分かるや、「はいはい」と言いながらショッピングバッグに手を突っ込んでもぞもぞ何やら探したかと思うと、大きなS字の引っかけ具(あの、鴨居とかに引っかけて、ハンガーとかを吊すやつ!)を出し、つり革に引っかけてつかまったのだ。 このおばちゃん、背が低いから通常のつり革につかまるのは大儀なのだ。で、Myつり革を持ち歩いているわけ。なんだか、たくましくって、いいじゃない! 何駅か過ぎて、空席が出きると、素早い動きでMyつり革をはずし、しっかりお尻を間隙に割り込ませた。 こういうささいなことが、車内では楽しい。 それぞれの人に、生活があって、それぞれの人が、せいいいっぱいその暮らしを生きているのを知るのは、嬉しい。すれ違う人、すれ違う人。貧富の差があれ、多少の幸不幸の差あれ、みな「生きてる」って感じさせてくれる場所にいたいな。
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